皆さま

今週もマネックスクリプトバンクから、Web3.0界隈の動きをお伝えします。
注目トピックス
コメント:島田
EthereumのL2であるArbitrumで重大な脆弱性が発見され、バグバウンティプログラムを通じて報告者に400ETH(執筆時のレートで約$530k)が支払われました。

バグバウンティプログラムとは、脆弱性を発見したホワイトハッカーに対して報奨金を支払う仕組みで、ブロックチェーン以外の領域でも利用されています。とりわけクリプト業界では、ブロックチェーンが「足のつきにくい公開データベース」であるがゆえに攻撃の対象となりやすく、また一度攻撃されたプロジェクトの信頼回復は容易ではないため、多くのプロジェクトがこの仕組みを導入しています。

たった一人のホワイトハッカーに対して$530kは巨額すぎるようにも見えますが、ArbitrumのTVLは$932.41m(DeFi Llama)とはるかに巨大です。実際、報告者はArbitrumからの支払いに不満があるようで、Twitter上で脆弱性が悪用された場合の被害額は$470mにのぼり、それを未然に防いだことへの対価はプログラムの最大額($2m)であるべきという旨を述べています。ホワイトハッカーへ支払う額があまりに少ないとブラックハット(悪意のあるハッカー)に転じてしまう可能性もあるためArbitrumには慎重な判断が求められます。

ところでこの領域には、プロジェクトとホワイトハッカーを結びつけるプラットフォームが存在しており、今回の件もその最大手プラットフォームであるImmuneFiを通じてやり取りが行われていました。こうしたプラットフォーム以外にも外部の監査機関として依頼を受けてスマートコントラクトのレビュー・セキュリティテストを行う監査会社や、ImmuneFiなどのプラットフォームや独自のプログラムを横断して報奨金を稼ぐホワイトハッカーのチームなどもいると思われます。

Dappsやプロトコルは継続的なアップデートのなかで都度セキュリティの見直しを求められるため、Web3領域が伸びればそれだけセキュリティ関連支出も伸びていくと考えられますし、現在は関心を向けていない他業界のセキュリティエキスパートも市場拡大に乗じて流入してくる可能性があります。
コメント:万代
米商品先物取引委員会(CFTC)が、「Ooki DAO」というDAO(自立分散型組織)を相手に訴訟を起こしました。

bZeroXというレバレッジ取引などを提供するブロックチェーン上のプロトコルを運営していたbZeroX LLCは、法律による制約を回避するために、bZx DAO(現Ooki DAO)をつくり、bZeroXの経営権をそちらに移行していました。

このプラットフォームは、米国で同サービスを運営するために必要なCFTCによる運営許可等を受けていませんが、DAOのガバナンストークンを保有して投票等に参加しているメンバーの中には米国在住の人間が複数いるため、米国内でビジネスを営んでいるとみなして、創業者2人に加えて、DAOも提訴するに至りました。なお、ガバナンストークンのOOKIは8月にコインベースにも上場しています。

この事例からも見られるように、近年広がりをみせる分散型の組織・プロトコルに対して、アメリカ中央政府はそれを規制下に置くための試みを積極的に行っています。

他にも先日、米財務省が匿名資金洗浄プロトコルのTornado Cashに制裁を科したニュースがありましたが、これに対しては、Tornado Cashのユーザーが米国財務省を相手に訴訟を起こしており、コインベースは同訴訟に資金提供を行なって援助しています。
コメント:松嶋
Tres(760万ドル)やNilos(520万ドル)、Headquarters(500万ドル)など、企業のバックオフィス向けに暗号資産管理サービスを提供するスタートアップが資金を集めています。

企業が暗号資産を保有する場合、従来の財務会計システムでは暗号資産に対応していないため、エクセルなどで取引内容や残高を個別に管理することが一般的となっています。ブロックチェーンエクスプローラーでアドレスごとの情報を書きだすことはできますが、それが複数の銘柄、アドレスにわたると管理も大変になります。

Web3向けの財務会計システムでは法定通貨と暗号資産をダッシュボード上で合わせて管理することができます。アドレスごとで取引内容や残高の追跡を自動化し、資金の流れを手作業の手間なく把握することができます。

また、給与や請求書の支払いについても法定通貨と暗号資産の交換に対応することで円滑に行なうことができます。たとえば、法定通貨で受け取りたい企業と暗号資産で支払いたい企業の取引も問題なく処理することができます。

このようなサービスによって財務会計上の暗号資産管理が効率化されれば、一般企業がWeb3企業とも取引しやすくなり、暗号資産が経済活動においても広く使われるようになるでしょう。

日本でも将来的にfreeeやマネーフォワードなど既存大手が暗号資産に対応するか、Web3対応の新しいシステムが作られることが予想されます。


注目の資金調達
Doodles
概要:NFTメーカー
調達額:5,400万ドル
ラウンド:不明
主な出資者:Reddit co-founder, 776

Sardine
概要:決済、詐欺検知、コンプラ対応のインフラ提供
調達額:5,200万ドル
ラウンド:シリーズB
主な出資者:Visa, ConsenSys, a16z, ING Ventures

GRNGrid
概要:再生可能エネルギーを活用した独自検証システムを採用するL1ブロックチェーン
調達額:5,000万ドル
ラウンド:-
主な出資者:GEM Digital

Portofino Technologies
概要:Web3プロジェクト向けマーケットメーカー
調達額:5,000万ドル
ラウンド:-
主な出資者:Valar Ventures, Global Founders Capital, Coatue

Yellow Card
概要:アフリカ諸国向けの暗号資産取引所
調達額:4,000万ドル
ラウンド:シリーズB
主な出資者:Polychain Capital, Valar Ventures, Third Prime Ventures and Sozo Ventures

Messari
概要:暗号資産データプロバイダー
調達額:3,500万ドル
ラウンド:シリーズB
主な出資者:FTX Ventures, Morgan Creek Digital, Samsung Next

Diamond Standard
概要:ダイアモンドを裏付けにしたトークン
調達額:3,000万ドル
ラウンド:シリーズA
主な出資者:Left Lane Capital, Horizon Kinetics, Gaingels, Republic.co

Ownera
概要:金融プライベートマーケット
調達額:2,000万ドル
ラウンド:シリーズA
主な出資者:J.P. Morgan, LRC Group, Accomplice Blockchain

Magna
概要:企業向けトークン管理プラットフォーム
調達額:1,520万ドル
ラウンド:シード
主な出資者:Tiger Global Management, Circle, Tusk Venture, Solana Ventures

Reku
概要:インドネシアの暗号資産取引所
調達額:1,100万ドル
ラウンド:シリーズA
主な出資者:AC Ventures, Coinbase Ventures, Skystar Capital

Integral
概要:分散型取引所(DEX)
調達額:850万ドル
ラウンド:-
主な出資者:Electric Capital、Balaji Srinivasan, Diogo Monica, Roham Gharegozlou

Vulcan Forged
概要:P2Eゲーム
調達額:800万ドル
ラウンド:シリーズA
主な出資者:SkyBridge Capital

Random Games
概要:ゲーム開発
調達額:760万ドル
ラウンド:-
主な出資者: IGNIA, 2 Punks Capital, ID345,  Polygon

Tres
概要:Web3向け財務管理システム
調達額:760万ドル
ラウンド:シード
主な出資者:F2, Alchemy, New Form, Kenetic Capital, Blockdaemon Ventures, Mantis

ITSBLOC
概要:P2Eゲーム
調達額:750万ドル
ラウンド:パブリックトークンセール(IGO)
主な出資者:-

Thirdwave Labs
概要:Dappsサーチエンジン
調達額:700万ドル
ラウンド:シード
主な出資者:Framework ventures, Animoca Brands, Play Ventures, Shima Capital, Hustle Fund

Nilos
概要:Web3向け財務管理システム
調達額:520万ドル
ラウンド:-
主な出資者:Viola Ventures, Fabric Ventures, Mensch Capital Partners

Satschel
概要:取引所向けコンプライアンス対策
調達額:520万ドル
ラウンド:シード
主な出資者:Brand Foundry Ventures, Assure, Special Purpose Vehicles (SPVs)

Arpeggi Labs
概要:音楽作成プラットフォーム
調達額:510万ドル
ラウンド:シード
主な出資者:a16z, 1confirmation, Palm Tree crew, 3LAU, Steve Aoki

Headquarters
概要:Web3向け財務管理システム
調達額:500万ドル
ラウンド:プレシード
主な出資者:Crypto.com Capital, Forge Ventures, MassMutual Ventures

Sherlock
概要:スマコン監査
調達額:400万ドル
ラウンド:シード
主な出資者:Archetype, Spartan Group, Lattice, CoinFund

Presail
概要:VC等投資家向けトークン管理プラットフォーム
調達額:380万ドル
ラウンド:シード
主な出資者:SNO, Kraken, Skyfall Ventures, Weekend Fund

Ookeenga
概要:P2Eゲーム
調達額:284万ドル
ラウンド:パブリックトークンセール(IGO)
主な出資者:-

SerMorpheus
概要:クリエイター向けNFT発行支援サービス
調達額:250万ドル
ラウンド:シード
主な出資者:Intudo Ventures, 500 Global, FEBE Ventures, AlphaLab Capital

メタバース体験記
Robloxで大人気のWeapon Fighting Simulatorをやってみた
体験者:佐藤ネルソン綾和

Robloxとは?
Robloxは、現在世界で大流行中のゲーミングプラットフォームです。ユーザーは、Roblox内の多種多様なゲームをオンライン上でプレイできます。また、オリジナルゲームを開発し、世界中のユーザーにプレイしてもらうことも可能です。 アイテムなどを購入してもらう、課金設定もできます。 

Roblox は2004年にデイビット・バシュッキとエリック・カッセルによって設立され、2006年にリリースされました。2010年代後半に人気に火がつき、コロナ渦におけるステイホーム拡大の影響で2020年7月には月間アクティブユーザーが1億5,000万人を突破。オリジナルゲームを作るユーザーは200万人以上とされています。特に子供たちからの人気は絶大で、アメリカでは16歳未満の子供のうち約半数がプレイしているといわれているほど。日本の小学生の間でも流行を見せており、ユーザー数が急速に増加しています。日本でも有名YouTuberがプレイ動画をアップするなど人気が上がってきています。

今回プレイするゲームは”Weapon Fighting Simulator"!
現在遊べるタイトル数は5000万本以上にも及び、プレイするゲームの選出が難しいため、今回はその中でも常に同時接続者数が常に1万人を越えていた”Weapon Fighting Simulator”をプレイしていきます!


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