vol.3  20230315
ジャパンタイムズ出版のメールマガジン「THE NIHONGO TIMES」のご購読ありがとうございます。
「THE NIHONGO TIMES」は、日本語教材の新刊やイベントのご案内などをお送りするメールマガジンです。
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【1】近刊案内
【2】JLPT対策シリーズ、続々刊行中!
【3】凡人社オンライン日本語サロン研修会レポート
【4】デジタル教材についてご意見をお聞かせください
【5】NIHONGO教室だより~多読授業の実践編~

【1】近刊案内
『中級日本語カルテット』シリーズに、まもなく2つの教師用リソースが加わります!

(1) 教師用ガイド
『カルテット』をより効果的に先生方にお使いいただけるよう、教材の特長や教え方のポイントを詳しく解説した「教師用ガイド」が登場します。
授業の計画を考えていると、「この読み物にはどれぐらい時間をかければいいんだろう?」「この会話はどのタイミングで扱えばいいんだろう?」といった疑問が湧くことはありませんか。「教師用ガイド」にはそういった疑問を解決するためのヒントがたくさん詰まっています。
『カルテット』を使って教えるのが初めてという先生方や、『カルテット』を使っているけど教え方に悩んでいるという先生方に、ぜひ手に取っていただきたい一冊です。
※紙書籍版と電子書籍版で発売予定

●主な内容
・シリーズの教材構成
・授業時間の目安
・レベル移行時のポイント
・全課に共通する教え方
・各課の指導ポイント
●2023年3月末 発行
●B5判184頁
●3,520円(税込) 
(2) 教師用リソースパック
「授業の準備を少しでも楽にしたい!」
そんな先生方の希望を叶えるために、「教師用リソースパック」をご用意しました。印刷してすぐに使える小テストやワークシートなど、授業の役に立つリソースがたっぷり収録されています。先生方の準備の負担を軽減するだけでなく、よりよい授業作りを実現します。
※ダウンロード教材として小社デジタルストアで発売予定

●主な内容
・小テスト:文法/漢字/単語
・ワークシート:漢字読み練習/漢字書き練習/文型・表現ペアワーク
・日本語訳:文型・表現ノート/読みのストラテジー
・解答:テキスト/ワークブック
・読み物総ルビ版
●2023年4月中旬 発売
●個人16,500円(税込)/団体49,500円(税込)

※発売に関する今後の情報は  「中級日本語カルテット オンライン」でご確認ください。
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   明日開催!『カルテット』説明会
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3月16日(木)にボストンで開かれるAATJ 全米日本語教師会 Annual Spring Conference のPublisher Information Sessionにて、著者による『4技能でひろがる 中級日本語カルテット』の説明会を行います。学会に参加の先生方、ぜひお越しください。

    AATJ Annual Spring Conference 
 Hynes Convention Center, Boston, MA
 March 16, 2023
 中級日本語カルテット説明会
 12:45 - 1:15 pm Room 201  

【2】JLPT対策シリーズ、続々刊行中!
小社の「JLPT対策ベストシリーズ」を続々刊行しています。

JLPT全科目の対策が1冊でできる『総合問題集』、
ミニストーリーで楽しく学べる『単語』、
本番さながらに練習できる『模試』と、
3つの柱で合格を支えます。
次の7月の試験突破のため、シリーズでの学習をオススメします。

【3】凡人社オンライン日本語サロン研修会レポート
2月18日(土)に 『東京大学教養学部のアカデミック・ジャパニーズ J-PEAK 中級』をテーマとした教師向け研修会を開催し、約200名の方にご参加いただきました。
著者のボイクマン総子先生より、まず教科書のコンセプトや内容構成をお話しいただいたあと、中級編のユニット2「田舎に住むか、都会に住むか」を例に、話す活動の一つ「即興型ディベート」についてご紹介いただきました。
実際の授業で行われたディベートでの学生の意見やふりかえりの感想、クラスを担当した教員の記録などの具体例からは、限られた日本語で自分の考えを伝えようとする学生たちの様子がうかがえ、初級を終えたばかりでもアカデミックな活動に挑戦できる、その力を引き出す教科書なのだと改めて感じました。参加者からは、レベル感や授業の準備、活動の進め方など質問をたくさんいただき、充実した研修会となりました。

『J-PEAK』シリーズは、続刊となる【中上級編】を今年出版予定です。教師向けイベントもまた開催を検討しておりますので、どうぞ楽しみにお待ちください。

【4】デジタル教材についてご意見をお聞かせください
学校でのデジタル教材の使用について、ご意見を伺っております。
1分程度の簡単なアンケートです。ぜひご協力ください。
アンケート回答期限:2023年4月15日(土)まで

ご回答いただいた方は、小社デジタルストアで販売中のe-book、
『全科目攻略!JLPT日本語能力試験ベスト総合問題集N3』
『ミニストーリーで覚える JLPT日本語能力試験ベスト単語N3 合格2100』

上記2冊を期間限定でまるっとご覧いただけます。
お気軽にご意見をお寄せください。

【5】NIHONGO教室だより~多読授業の実践編~
取材協力:池田 庸子 先生(茨城大学)
日本、そして世界各地で日本語を教える先生にお話を伺って、最新事情をお届けします!
今回は、 『初級日本語よみもの げんき多読ブックス』の著者でもあり、多読授業を実践されている池田先生にお話を伺いました。
◆多読授業の概要
 茨城大学では、主に初級後半から中級後半にかけての留学生を対象に、週に1回(*1)90分 × 15週間、多読支援のための授業(以下、多読授業)を行っています。授業中の活動は次の通りです。
(1) 前活動 約15分  【話す】 
  3~4人のグループ内で各自1冊紹介し、グループでお勧めの1冊を選ぶ →クラス全体に紹介
(2) 多読  約60分(*2)【読む+少し書く】
   自分のペースで本を読み、読書記録に短いコメントを書く
(3) 後作業 約15分【話す・聞く】
   読み聞かせ、お薦めサイト紹介などの活動

 読み物は、日本語学習者用の多読教材が中心ですが、中には母語話者向けの本や、絵本、漫画もあります。学習者が自分で持ってくることもあります。中級の学習者でも初級の本から始めて次第に難しいものを読むように伝えています。気になる言葉は辞書を見てもいいですが、最初のオリエンテーションで、辞書なしで、すらすら読める本をたくさん読むことが大切であることをしっかり伝えるようにしています。

 前後のグループで話す活動は、感想を共有したり質問しあうことができる大切な時間です。本について話すことは多読で得たインプットをアウトプットするいい機会ですし、クラスメートから勧められることで読む動機づけが高まる、同じ本を読むことにより感想を共有しあえる、といった効果も期待できます。
 このほか、宿題としても多読を行い、読書記録をつけさせます。また、1学期に2回、1枚程度のレポート作成とそれをクラスで共有する発表活動を入れています。さらに10週目を過ぎたころ、多読本の創作にも取りかかります。

◆多読授業の評価
 多読は楽しく自主的に読むもので、強要するものではないという思いもありますが、授業では、“この期間に決められたレベルの本を、何冊読むこと”という基準を示し、それに沿って評価を行っています。授業外の読書記録も評価の対象で、読んだレベル・冊数・時間に応じて点数をつけ、学生のコメントにもフィードバックを行います。これを続けたところ、学生の読書量が増えていきました。学期初めのころは、決められたレベルから何冊読むようにと目安を示していますが、次第にレベルを指定せず自由に読めるようにしています。

◆オンラインでの実践

 コロナ禍により、一時期多読授業を完全オンライン(同期型)で行いました。オンラインの場合でも、対面授業と同様に小さいグループに分かれて読んだ本を共有し、多読の時間は各自で本を読みます。読書記録はMicrosoft Teamsに入力させ、フィードバックもTeamsで返しました。多読教材は、電子書籍を図書館に揃えたり、無料のオンライン教材を紹介しました。
  最近は、対面受講生とオンライン受講生が混在するハイブリッド型の多読授業を行っています。この場合、教室にいる学生が各自PCを使い、オンライン受講生と読んだ本について共有します。画面共有機能を使うと、本の中身を詳しく見せながら話すことができ、便利です。多読の時間は、オンライン受講生は電子書籍などのオンライン教材を読みます。教室にいる学生は紙の本でもオンライン教材でもいいのですが、紙の本を選ぶことが多いです。紙の本だと表紙や内容をざっと見ることができますし、学生同士で意見交換しながら選べるからではないでしょうか。
 今後は完全に対面授業に戻ると思いますが、読書記録は管理のしやすさからTeamsで行う予定です。また、画面共有機能を使った本の紹介は、対面でも取り入れたいと思っています。

◆多読本の創作
 多読授業では、多読本の創作も行います。内容はオリジナルでも、既存作品のリライトでもかまいませんが、自分の言葉で書くこと、下のレベルの学生が理解できるぐらいのやさしい言葉で書くこと、と伝えています。学生が原稿を出した後、面談を行い、どのような話を作りたいのか、どんな登場人物なのか話し合った上で、原稿の修正を行います。
 学期初めにはコース後半で多読本を作ることを伝え、本を読む時にキャラクターによる1人称の違いや、文末表現を意識させるようにしています。多読でたくさん読むからこそ、言葉や表現、物語のフォーマットのようなものが身についてきて、物語が作れるようになるのだと思います。

 できた作品は、冊子にして多読文庫に入れ、後輩に読んでもらえるようにしています。学生の作品は、SF、ラブストーリー、民話や国の紹介などさまざまで、個性にあふれています。また、作品を読んで学生の繊細さに気づかされるなど、作品から学生の内面が見えてきます。

◆好きな作品に出会うと学生が変わる
 母語での読書経験が少なかったり、読書が苦手だという学生が、この多読授業の中で読書のおもしろさに目覚めることがあります。好きな作品に出会うことで、“日本語で”おもしろいと感じたり感動できることに気づき、読書が楽しくなるようです。
 また、日本語は好きだけど授業についていけないという学生でも、多読ならついていけるということもあります。多読の授業は、読みの力を伸ばすだけでなく、学び方の選択肢を広げているのではないでしょうか。

*1   週に6コマ日本語の授業があり、そのうちの1コマが多読の授業です。
*2 学生が読書に慣れておらず、60分間多読を行うのが難しそうな場合は、前後の活動を長めに取り、徐々に多読の時間を増やすようにします。

■編集後記
 「一月往(い)ぬる二月逃(に)げる三月去(さ)る」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。「往ぬる」は「行く」という意味で、「逃げる」ように、「去る」ように、1月から3月までの時間があっという間に過ぎることを表しているそうです。
 3月もあと少しですね。1日1日を大切に過ごしましょう!
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THE NIHONGO TIMES 第3号 
2023年3月15日発行
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