vol.10  20240520
ジャパンタイムズ出版のメールマガジン「THE NIHONGO TIMES」のご購読ありがとうございます。
「THE NIHONGO TIMES」は、日本語教材の新刊やイベントのご案内などをお送りするメールマガジンです。
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【1】新刊速報 『20の場面で学ぶ 敬語コミュニケーション』
【2】Ask the Authors!! 著者に質問してみよう!『中級日本語カルテット』回答編
【3】教材説明会開催! 日本語教育学会春季大会|賛助団体会員出展ブース
【4】NIHONGO教室だより~イギリス・ブライトン編~

【1】新刊速報
『20の場面で学ぶ 敬語コミュニケーション
-気持ちが伝わる中級からの日本語待遇表現』

アメリカ・カナダ大学連合日本研究センター 著
その場にふさわしい敬語がわかる会話教材が7月上旬に発売されます。英語・中国語・ベトナム語訳付きで、初級修了レベルから使用可能。コミュニケーションを円滑にする、一歩進んだ「丁寧な日本語」が身につく一冊です。


B5 216ページ
定価 2,640円(税込)
英語・中国語・ベトナム語訳付き
音声無料ダウンロード
◆ 場面で理解する「その場にふさわしい敬語」
10ユニット×2、合計20の場面を通して、「自己紹介をする」「伝言を頼む」「訪問する」「許可を求める」「依頼を断る」など、学校や職場、日常生活でのコミュニケーションに役立つ待遇表現が身につきます。

(1)基本
各場面のモデル会話に出てくる重要なやり取り部分を「基本」として取り上げ、流れを確認しながら敬語のポイントを学びます。重要表現はフォーマル・ニュートラル・カジュアルのバリエーションが一覧になっているので、相手との親疎レベルに合わせた使い分けが学べます。

(2)応用練習と豊富な会話例
学んだ表現の理解チェックと定着のためのセクション、「練習しよう」と「聞いてみよう」には、各場面の重要表現を使った練習問題と応用会話を掲載。会話の相手や場面が変わると丁寧度がどう変わるかを確認できます。

(3)まとめの練習
各ユニットの最後には穴埋め問題やペアワークを中心とした練習問題が付いています。

◆ 書き言葉への応用も学べる
「メールを書いてみよう」のセクションでは、そのユニットで学んだ会話表現を使ってメールを書く練習をします。

【2】Ask the Authors!! 著者に質問してみよう!『中級日本語カルテット』回答編

中級総合教材として好評をいただいている『 4技能でひろがる 中級日本語カルテット』は、4つのスキルをバランスよく伸ばしながら、上級への成長を目指すことができるテキストです。
前号で募集したご質問に対して、著者の先生方から回答をいただきました。ぜひ今後の授業やテキスト採用の参考にしてください!
【著者】    
坂本 正 監修 名古屋外国語大学特任教授
安井 朱美 著 名古屋外国語大学国際日本語教育インスティテュート准教授
井手 友里子 著 南山大学外国人留学生別科非常勤講師
土居 美有紀 著 南山大学外国人留学生別科非常勤講師
浜田 英紀 著 国際教養大学准教授
Q.他のテキストにはない「ブラッシュアップ」セクションや「読みのストラテジー」の効果的な活用法は?

A.「ブラッシュアップ」の「初級文法チェック(カルテット1)」では、初級文法をまとめて復習したり、発展練習をしたりできます。例えば、第2課の読み物には初級で勉強していない敬語表現が出てくるので、ブラッシュアップで確認してから読み物に進むと理解しやすいです。時間がない場合は、宿題にしたり、最初にある理解度チェック問題を行い、復習が必要な項目のみ取り上げてもいいでしょう。「上級へのチャレンジ(カルテット2)」にある「オノマトペ」「カタカナ語」は、言葉を日常生活の中から探して分類するプロジェクトにもできます。
 「漢字チャレンジ(カルテット1・2)」の既習漢字の復習はすきま時間に15分ほど口頭で確認だけして、残りを宿題にしてもいいでしょう。音符や部首などのストラテジーを紹介しておけば、忘れてしまった単語・漢字や、新出の単語・漢字の読み方や意味を推測させることができます。

 「読みのストラテジー」は、その課以降の読み物でも内容質問として繰り返し扱うことで定着を図ることができます。例えば、文構造(名詞修飾、強調構文など)や文と文のつながり(指示詞、順番を表す副詞・接続詞など)を理解するストラテジーを扱った質問をするといいでしょう。
Q.『カルテット1』から『カルテット2』へ移行する際の「読み」対策は?
A.『カルテット1』の読み物はすべて書き下ろしですが、『カルテット2』はほぼ生教材なので、難しいと感じる学習者が多いかもしれません。学習者が生教材にスムーズに対応できるように『カルテット1』の第4課ぐらいから生教材の段階的な導入を心掛けてください。第6課の読み物2を読んだ後、同じトピックの「早期英語教育」に関する新聞記事をグループで読ませるなどの活動が考えられます。その際、全体の概要をつかむためのスキミングや重要な情報を探すためのスキャニング、文脈から語彙の意味を推測させるなどの指導もあわせて行ってください。また、学習者が興味を持ちそうなトピックや背景知識があるものを取り上げることで、生教材へのハードルが下がります。そして、読ませた後は、学習者自身の言葉で読んで理解した内容を説明させたり、ディスカッションをさせたりするなどのアウトプットの時間を持つようにすると、モチベーションが上がります。
Q.技能別に授業担当者を分けていますが、うまく進めるコツは?
A.各教員が担当以外の技能セクションの内容も把握することが重要です。そのためには、コース主任がミーティングなどで他の技能との関連を伝えるとよいでしょう。例えば『カルテット1』第6課読み物1には「ゴミ分別」の話題が出てきますが、聴解1でも「ゴミ分別」を扱っているので、読み物の後に行う聴解担当者はウォームアップとして読み物の内容に触れると関連づけができ、単語強化やスキーマ活性にもなります。各セクションの関連は『教師用ガイド』の相関図(第3章各課最初のページ)をご参照ください。
 また、学習者にも、今行っている活動が今後の活動にどうつながるかや、前の活動からどうつながっているかを意識させることが大切です。例えば、「読みのストラテジー(9)」では意見述べの表現を学びますが、その時に後に「書く」で投書文を書く時に使えることを伝えたり、「書く」の「書くポイント」の項目は「読みのストラテジー」で学んだ表現であることに言及したりするとよいでしょう。

Q.大学以外の教育機関やプライベートレッスンでも使えますか。
A.読み物は学習者全般が関心を持てる内容になっているため、対象は大学生に限りません。会話は学生生活の場面のものが多いですが、学習者に合わせてロールプレイの状況設定を変更することができます。
 授業時間数が限られる教育機関では、文型・表現や単語・漢字が導入される「読む」は必ず行い、それと同時に学習した項目をアウトプットにつなげる機会を設けてください。
 プライベートレッスンでは、授業で教師とのやり取りの時間を多く取るために、読み物や文型・表現は予習ベースで進めると効率的です。予習した読み物の内容を確認した後に教師とディスカッションしたり、文型・表現の意味や使い方を確認した後にその文型・表現を使って教師とアウトプット練習を行ったりするとよいでしょう。アウトプットには『ワークブック』の「文型・表現ワークBまとめの練習」の作文や「文型・表現ワーク C口頭練習(『カルテット1』のみ)」が役立ちます。

▼その他「カルテット」 よくある質問
▼「 ジャパンタイムズ出版デジタルストア」書籍の下のボタンより試し読みができます

【3】教材説明会開催! 日本語教育学会春季大会|賛助団体会員出展ブース
5月25日(土)・26日(日)にオンラインで行われる「2024年度 日本語教育学会春季大会」でジャパンタイムズ出版は、賛助会員として出展いたします。
動画配信では、4月に発売された最新刊『文法Buddy JLPT日本語能力試験N3』のご紹介、Zoomセミナーでは、コミュニケーションを積み上げるタスク型教材『きょうから話せる! にほんごだいじょうぶ』の著者、梶川明子先生(サンアカデミー日本語センター)による教材説明会を行います。春季大会にご参加予定の先生方、ぜひ動画・Zoomのオンラインブースにお越しください。

日時:5月25日(土)16:10~16:40(第3会場)
※事前申込不要・参加費無料

【4】NIHONGO教室だより~イギリス・ブライトン編~
日本、そして世界各地で日本語を教える先生にお話を伺って、最新事情をお届けします!
今回は、 イギリスの南海岸の町ブライトンで、継承日本語教育、小学校の日本語クラブ等に携わるほか、小噺を取り入れた日本語教育、アニメーテッドラーニングなど、多彩な実践をされている加村彩先生にお話を伺いました。
◆ 小噺(こばなし)× 日本語教育
 今回は小噺を取り入れた教室活動について、そして継承日本語教育の活動についてお伝えしたいと思います。
 まず、小噺について。私は大阪出身なので、漫才やお笑いが大好きなのですが、小噺は知りませんでした。小噺とは、落語家が本編に入る前に行う短い冗談話です。例えば、こんな感じです。

女:本を読むのは好きですか。
男:はい、大好きです。
女:ロミオとジュリエットを読みましたか。
男:はい、ロミオは読みましたが、ジュリエットはまだです。

 2020年に国際交流基金ロンドン日本文化センターが主催した「教師のための小噺ワークショップ」に参加し、短くてユーモアがある小噺を日本語授業に取り入れる可能性を感じました。話すことに気恥ずかしさはありますが、みんなでやると楽しく、同じ話でも演者によって全然違うのも魅力的でした。
◆ 小噺でつながる世界
 このワークショップは、パンデミックの影響でオンライン開催だったため、ヨーロッパ各地の日本語教師が参加していました。そして、対面で集まることができない期間だったからこそ「つながろう!」と参加者同士で意気投合し、小噺の発表の場を作ることになりました。それが、 国際小噺合同発表会(KKGH)です。発表会では、参加者が作った小噺動画を配信し、Zoomで鑑賞会をします。動画だと大勢の前で話すより気が楽です。またカメラに寄ったりなどと、動画ならではの表現をする人もいて、対面とは違った魅力があります。そして、動画に1位、2位といった順位はつけず、みんなが発表して、みんなが笑って楽しんでいます。
 発表会は、2021年の第1回開催以降、毎年行っています。今年は4月28日に第4回国際小噺合同発表会を行いました。今ではヨーロッパを中心に多くの国から教師や学習者が参加しています。これまでの小噺は、 こちらのリンクから見られますので、ぜひご覧ください。

◆ 小噺を気軽に楽しむ「 こばなしDojo!
 「 こばなしDojo!」は、月に1回、オンラインで小噺を練習するサロンのような場です。毎回一つの小噺をみんなで練習し、最後に発表したい人だけが小噺を披露します。小噺の上手なアレンジに、大笑いすることも!40分ですので気軽に参加でき、最後には笑顔になります。日本語教師、学習者はもちろん、小噺が好きな人なら誰でも参加できますし、ヨーロッパだけでなくマレーシアやフィリピンなど世界各地からの参加者がいて、顔ぶれが豊かです。
◆ 日本語コミュニティグループ「 おひさまあはは
 次に、継承日本語教育について。ブライトンは日本人が多いのですが、日本語補習授業校(*1 以下、補習校)がなく、補習校に行こうとすると電車か車で1時間ぐらいかかります。そこで、ブライトンの日本人コミュニティで何とかしようと、継承日本語教育のグループが二つできました。そのうちの一つが私たちのグループ「 おひさまあはは」です。およそ25家族が参加していて、 赤ちゃんグループ 小学生グループ、そして GCSEという中等教育段階の学位認定試験対策グループの三つに分かれて活動しています。
◆ 楽しいことをやろう!
 「おひさまあはは」は、親が日本人ではない子供でも参加でき、誰が来ても楽しめるようにしています。活動も楽しいことをやろうという方針で、小学生グループでは子供たちの会議を開いて何をしたいか話し合い、それをもとに活動を決めています。

 先日は、「船に乗る」という意見が出たので、みんなで船に乗るドラマを作りました。実際には船がありませんが、「みんな、船に乗って」と呼びかけて船に乗るアクションをし、「今から漕ぎます」と言ってみんなで漕ぐかと思ったら、漕ぐのは古いと言われてモーターボートになりました。そして「波が来た!」と言ってはみんなで揺れ、最後は子供が「サメが来た!」と言うので、「逃げよう」とボートから降りたのですが、「あれ?これじゃ、みんな、食べられたよね」というオチで終わりました。
◆ 小噺 × 継承日本語教育
 「おひさまあはは」でも、小噺を取り入れています。まず最初にお辞儀をし、扇子を使った仕草でクイズをしたりしてから、みんなで簡単な小噺を練習します。その後、グループに分かれて自分の好きな小噺を練習し、その場で発表します。恥ずかしがる子には、ニ人並んで掛け合いで発表させると、緊張がほぐれるようです。扇子や手ぬぐいが初めてという子供がたくさんいますし、お辞儀をしたりなど日本文化に触れる機会になっています。

◆ 継承日本語教育でつながる
 最近、 英国日本語教育学会(BATJ)の勉強会(*2)として、「 つながる◯英国継承日本語ネットワーク」を立ち上げ、イギリスで継承日本語教育に取り組んでいる人々のネットワークを作ろうとしています。将来的には、イギリスに留まらず、継承語教育に関わっている方や興味のある方をつなげていけたらと考えています。
*1 海外において現地校等に通う子供たちが、主に週末に国語や算数などを日本語で学ぶ学校。
*2 Special Interest Groups, SIGs

大好評「げんき多読ブックス」で、読む力をアップ!
発売以来好評をいただいている、初級レベル日本語多読教材「げんき多読ブックス」。
ユーモアあふれる話、こわい話、日本の昔話、日本各地の紹介など、さまざまな読み物が揃っています。文法や語彙は、初級日本語の定番テキスト『げんき』の学習項目にも対応。やさしい日本語で書かれていて文法もシンプルなので、辞書なしで楽しく読むことができます。ぜひクラスに1セット、また図書館導入もご検討ください。


■編集後記
4月から日本語教師の国家資格「登録日本語教員」制度が始まりました。夏から現職者用講習も始まり、11月には初回の試験が行われるとのこと。私含め、日本国内で教える日本語教師の多くが、この「登録日本語教員」に向けて準備することになると思います。まだわからないことも多いですが、スタートラインは同じ。皆さん頑張りましょう!
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THE NIHONGO TIMES 第10号 
2024年05月20日発行
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