小学生の子どもが夏休みに入り，いろいろな理由をこしらえては宿題にとりかかるのを一日延ばしにしているのを見ると，昔の自分，いや今も変わらない自分を見ているようです．

　夏休みといえば，NHKラジオの「子ども科学電話相談」を楽しみにしていた，あるいは今も聞いている，という方もいらっしゃることでしょう．私は子どものころ家でラジオをつける習慣がなかったので聞いたことがなかったのですが，最近，岩波書店自然科学書ツイッター（@IwanamiNatura）の新メンバーがさかんに「子ども科学電話相談」ネタを投稿するので，気になって去年の質問と回答を書籍化した本を読んで，放送も聞いてみました．
 

　……いやはや，こんなに面白いとは．子どもからの素朴な質問をきっかけに回答者の先生が聞かせてくれる話は「へぇ～そうだったの！」ということがたくさん．去年の質問で一番印象に残ったのは「走ると横腹が痛くなるのはどうしてですか？」痛くなるのが右か左かで原因が違うと知って，走ってどちらが痛くなるか実験してみたくなりました．そして「走ると横腹が痛くなるのはなぜか，突き止めよう！」と考えて研究した人が過去にいたんだなと思うと，なんともいえず楽しい気分になったのでした．（H）

《一般書》

1. 分かちあう心の進化（松沢哲郎）
2. 無 限（イアン・スチュアート／川辺治之 訳）
3. 学ぶ脳 ――ぼんやりにこそ意味がある（虫明 元）
4. 江戸の骨は語る――甦った宣教師シドッチのDNA（篠田謙一）
5. ちいさい言語学者の冒険 ――子どもに学ぶことばの秘密（広瀬友紀）

┃７月の新刊

• なぜ蚊は人を襲うのか【岩波科学ライブラリー】（嘉糠洋陸）

• 離散群（大鹿 健一 ）
• 特異摂動の代数解析学（河合隆裕，竹井義次）
• 信頼の条件  ――原発事故をめぐることば 【岩波科学ライブラリー】（影浦 峡）
• 原発事故と科学的方法【岩波科学ライブラリー】（牧野淳一郎）
• 計算統計 I ――確率計算の新しい手法 【統計科学のフロンティア11】（汪金芳，田栗正章，手塚 集，樺島祥介，上田修功）
• 計算統計 II ――確率計算の新しい手法 【統計科学のフロンティア12】（伊庭幸人，種村正美，大森裕浩，和合 肇，佐藤整尚，高橋明彦）

　ひときわ暑い日が続いています．こんなときには運動もなかなか出来ませんし，緑陰での読書が精々のところ．自然科学の仕事に戻ってきたので，この休みには久しぶりに物理の本を読んでみようと思っています．

　とはいえ「緑陰で物理の読書」などという優雅でお洒落な記憶は，はるか昔までたどり返してもとんと浮かんで来ず，せいぜいが学期末試験のためにランニングシャツ姿で汗をかきかき計算していたことが思い出されるくらいですが．それでも何とか目標の式が導出できたときには，扇風機からだけではない多少の涼風を感じたように思います．

　そういうわけで，ここ３，４年ほどの間に刊行した単行本と現代文庫から特徴のある物理の本を選んでみました．

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