『世界』メールマガジン/2024年7月号【特集1:スポーツと権力】【特集2:日本の中の外国人】
2024/06/07 (Fri) 11:00
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■■ 『世界』メールマガジン/2024年7月号
■■ vol.#0109
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■『世界』2024年7月号(第983号)好評発売中
2024年6月7日発行
定価1045円(税込)
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▼本号の目次
特集1/特集2/注目記事/世界の潮/本との出会い/連載/編集後記/
『世界』臨時増刊月号のご案内/『世界』から生まれた本/「WEB世界」のご案内
┏━━━┓
┃特集 1┃スポーツと権力
┗━━━╋…────────────────────────────────
「東京五輪のレガシーについて、話を聞かせてもらえないか?」
稲垣康介(朝日新聞)
スポーツとレイシズム
有賀ゆうアニース(大阪公立大学)
オリンピアンの涙
鈴木忠平(ノンフィクション作家)
トランス排除の潮流──脅かされているのは「女子スポーツ」ではない
井谷聡子(関西大学)
スポーツ賭博はいかにしてアメリカ文化の一部となったか
エリック・リプトン(ニューヨーク・タイムズ)、
聞き手=デイブ・デイヴィーズ、訳=秋元由紀
┏━━━┓
┃特集 2┃日本の中の外国人
┗━━━╋…────────────────────────────────
ルポ 埼玉クルド人コミュニティ
安田浩一(ノンフィクションライター)
「育成就労制度」でも継承される問題構造
鈴木江理子(国士舘大学)
マルチエスニック・ジャパンの特別永住者
林 晟一(中高一貫校教員)
「難民を受け入れる」ということ──線と面で考える
橋本直子(国際基督教大学)
原っぱのサッカー大会に吹く風は
熊崎敬(フリーライター)※「崎」は「立」となる崎
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◆注目記事
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
〈対談〉
神宮外苑再開発とスポーツ利権を問う
大方潤一郎(東京大学名誉教授)×佐々木実(ジャーナリスト)
中東を揺るがす「影の戦争」
溝渕正季(明治学院大学)
ライシ政権後のイラン
中西久枝(同志社大学)
ガザ反戦デモ 米学生新聞は大学当局とどう向き合ったか
アンナ・ベッツ、ジョナサン・ウルフ(ニューヨーク・タイムズ)、
訳=布施由紀子、解説=八田浩輔
帰ってきた「政権交代」と静かなる胎動
大川千寿(神奈川大学)
共同親権導入 改正民法スピード成立の背景
大野暢子(東京新聞)
〈スケッチ〉
何か甘いものを食べたい
千葉雅也(哲学者・作家)
〈シリーズ夜店〉
沖縄戦後史 故郷の喪失と創造
古波藏契(歴史社会学者)
HYBEvs. ミン・ヒジン──アイドル、アート、巨大ビジネス
DJ泡沫(KPOPライター)
〈インタビュー〉
ジェノサイドの記憶をめぐる旅
ヴェロニク・タジョ(作家)、聞き手・訳=中村隆之(早稲田大学)
上野英信と富山妙子の「出ブラジル記」
岡村 淳(記録映像作家)
隣のジャーナリズム──書店への旅のかたわらで
三宅玲子(ノンフィクションライター)
〈対談〉
日本語、英語、私小説
水村美苗(作家)×吉原真里(ハワイ大学)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◇世界の潮
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◇インド総選挙 「世界最大の民主主義国」のゆくえ
伊藤 融(防衛大学校)
◇レイシャル・プロファイリングはなぜ繰り返されるのか?
國崎万智(ハフポスト日本版)※「ざき」は「立」となる崎
◇EV競争からDV競争へと向かう自動車産業
鶴原吉郎(技術ジャーナリスト)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◇本との出会い
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◇読書・観賞日記 読んで、観て、聴いて
中村佑子(作家・映像作家)
◇本とチェック──第14回 日韓文化交歓
金承福(クオン代表)
◇分断を深める/乗り越える「ナラティブ」
渡辺祐真(書評家)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
●連載
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
〈連載〉
最後は教育なのか?──第4回 「先生=大変」までの20年──佐久間亜紀さんに聞く 武田砂鉄(ライター)
ルポ 軍事優先社会──第4回(最終回)佐賀空港にオスプレイはいらない
吉田敏浩(ジャーナリスト)
「拉致問題」風化に抗して 第10回 日本人拉致被害者に与えられた「革命任務」(1)
蓮池 薫(新潟産業大学)
ボナエ・リテラエ──私の読書遍歴 第20回(最終回) 『聖なる天蓋』
森本あんり(東京女子大学長)
〈往復エッセイ〉
言葉と言葉のかくれんぼ 第4回 済州島と沖縄
斎藤真理子(翻訳家)
〈小さな物語〉の復興 『フランケンシュタイン』をよむ 第6回 インターセクショナリティ
小川公代(上智大学)
島に帰る 第6回 長い聞き取り
榎本 空(エスノグラファー)
「変わらない」を変える 第14回 民主政治の発展にむけ税金はどう使われるべきか
三浦まり(上智大学)
脳力のレッスン(265) 帰国後のケンペル、そしてピョートル大帝とプーチン
寺島実郎
片山善博の「日本を診る」(176) 教員「定額働かせ放題」問題の本質を探る
片山善博(大正大学)
香港からの通信 第23回 香港新国家安全法の顛末
エリック・ライ
気候再生のために 第26回 日本の帰趨を決める一年
高村ゆかり(東京大学)
ドキュメント激動の南北朝鮮 第323回(24・4~5)
編集部
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
○記憶をもった鏡──岡村昭彦『The Memories of Others』
戸田昌子(写真史家)
○岩波俳句
選・文 池田澄子(俳人)
○アムネスティ通信
○読者談話室
○編集後記
○表紙木版画
久保舎己(故郷のシルエット 1990、裏表紙 6本の木と人 2011)
○キャラクター・扉絵
西村ツチカ
○アートディレクション
須田杏菜
○本文デザイン
大原由衣+安賀裕子
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
編集後記
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
壁一面の大きなスクリーンを背景に、姿見のような縦長のパネルがいくつかおかれている。その前に立ち、映し出された「サンタナ学園」の生徒である少年、少女としばし向きあった。あちこちのスクリーンから対話の声がする。
ブラジルにルーツのある子どもたちが通う滋賀県のサンタナ学園、そのコミュニティのすがたが、複数の映像とビデオポートレートから立ち上がっていた(金仁淑(キムインスク)《Eye to Eye》、東京都現代美術館「翻訳できないわたしの言葉」展)。
こんなふうに、ただの人間として、お互いを見つめあえたら。
「外国人」「性的マイノリティ」など、誰かをカテゴリでしかとらえないやりとりは、そのひとの人間性を削りとっていく。園遊会での「岸田文雄夫人」の名札は論外だが、色眼鏡を自ら取り去るのは決して簡単なことではない。具体的な発言や行為として噴出するだけでなく、差別は心の内側にも社会の構造にも根づいているからだ。
いま法制度上でも、より露骨な差別がなされようとしている。「育成就労」制度導入に伴い、税金の支払い状況などを理由に永住権の取り消しを容易にする規定を含む法案が提出された。
日本に来たこと、間違ったかもしれない――安田浩一さんのルポは、迫害を逃れて埼玉南部にたどりついた人が漏らした言葉を伝える(特集2)。
法による差別とヘイトには、明確にノーと言い続けなければならない。そして、摩擦も含めた、共にある経験から学び、隣人と未来を探っていきたい。
異国に「わけがわからないまま行き、否が応でも言語の壁にぶつかる」。そこから小説の世界へ向かった水村美苗さんのお話から、言語がもつ導きの力を感じた。また別のかたちで言語と向き合わざるを得なかった人もいる。
蓮池薫さんは二〇〇二年の帰国後、生きるため身につけた朝鮮語を用いて翻訳の仕事を始めた。今号では、蓮池さんが日本語教育にあたった一二人の記録が記されている。拉致され「革命任務」を強いられた、その葛藤の大きさははかりしれない。同時に、言語を教える/学ぶ時間には、互いの人間としての表情が表れる場面もある。秘密工作の不条理が人々の生をどのように歪めたか、改めて思いを巡らせている。
特集1では、国家の威信を背景に行なわれる祭典、五輪を切り口にスポーツの現在を考えた。「平和」「多様性」「アスリート・ファースト」といった理念と現実の差が長く指摘されながら、巨大スポーツイベントの勢いはとどまるところを知らず、七月には一〇〇年ぶりのパリ五輪が開幕する。
栄光と権力の磁場のもと、アスリート個人にかかる負担の大きさを、メディアは伝えているだろうか。米国のスポーツ賭博が象徴するように、デジタル技術や資本の力で、根底から変わりつつある文化のありようを直視したい。
「運命をもつ者だけが自由をもつ」。森本あんりさんの連載「ボナエ・リテラエ」は今号で最終回です。読書遍歴の終着駅に位置づけられた「小さな自己発見」、ぜひお読みください。
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~~『世界』臨時増刊号のご案内~~
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◎『世界』臨時増刊 ウクライナ侵略戦争――世界秩序の危機
『世界』編集部 編
2022年4月14日刊
定価1,320円
https://iwnm.jp/022242
※書籍版はご好評につき品切れとなりましたが、電子書籍版を配信中です。
国際社会は冷戦終結以降、最大の危機を迎えた。核大国による侵略という事態をどう理解し、どう対峙するのか。多角的に検証する。
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~~『世界』から生まれた本~~
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◎プリズン・サークル
坂上 香
定価2,200円
https://iwnm.jp/061526
人は、ひとりでは罪と向き合えない。日本初となる刑務所内での長期撮影、一〇年超の取材がここに結実。
◎学問と政治 学術会議任命拒否問題とは何か(岩波新書)
芦名定道、宇野重規、岡田正則、小沢隆一、加藤陽子、松宮孝明
定価924円
https://iwnm.jp/431925
日本学術会議会員任命拒否には、日本社会の矛盾が象徴されている。当事者六名が、その背景と本質を問う。
◎読書会という幸福(岩波新書)
向井和美
定価946円
https://iwnm.jp/431932
本を語ることは人生を語ること。三十年以上続く、豊穣な「魂の交流の場」への想いをやわらかな文章で綴る。
◎沖縄という窓 クロニクル2008―2022
山城紀子、松元 剛、親川志奈子
定価2,420円
https://iwnm.jp/061541
三人の書き手が多角的に描き出す沖縄の同時代史。一四年にわたる雑誌『世界』好評リレー連載を単行本化。
◎いま、この惑星で起きていること 気象予報士の眼に映る世界
森さやか
定価902円
https://iwnm.jp/500954
世界各地で観測される異常気象を気象予報士の立場で解説し、今後について考察する。『世界』の大好評連載をまとめた一冊。
◎孤塁 双葉郡消防士たちの3・11
吉田千亜
定価1,100円
https://iwnm.jp/603333
死と隣り合わせで震災と原発災害に対応した消防士たちを丹念に取材。当時の緊迫を描き出した迫力作。
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~~「WEB世界」のご案内~~
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雑誌『世界』のWEB版もぜひ、ご覧ください
https://tanemaki.iwanami.co.jp/
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■『世界』2024年7月号(第983号)好評発売中
2024年6月7日発行
定価1045円(税込)
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▼本号の目次
特集1/特集2/注目記事/世界の潮/本との出会い/連載/編集後記/
『世界』臨時増刊月号のご案内/『世界』から生まれた本/「WEB世界」のご案内
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┃特集 1┃スポーツと権力
┗━━━╋…────────────────────────────────
「東京五輪のレガシーについて、話を聞かせてもらえないか?」
稲垣康介(朝日新聞)
スポーツとレイシズム
有賀ゆうアニース(大阪公立大学)
オリンピアンの涙
鈴木忠平(ノンフィクション作家)
トランス排除の潮流──脅かされているのは「女子スポーツ」ではない
井谷聡子(関西大学)
スポーツ賭博はいかにしてアメリカ文化の一部となったか
エリック・リプトン(ニューヨーク・タイムズ)、
聞き手=デイブ・デイヴィーズ、訳=秋元由紀
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┃特集 2┃日本の中の外国人
┗━━━╋…────────────────────────────────
ルポ 埼玉クルド人コミュニティ
安田浩一(ノンフィクションライター)
「育成就労制度」でも継承される問題構造
鈴木江理子(国士舘大学)
マルチエスニック・ジャパンの特別永住者
林 晟一(中高一貫校教員)
「難民を受け入れる」ということ──線と面で考える
橋本直子(国際基督教大学)
原っぱのサッカー大会に吹く風は
熊崎敬(フリーライター)※「崎」は「立」となる崎
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◆注目記事
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〈対談〉
神宮外苑再開発とスポーツ利権を問う
大方潤一郎(東京大学名誉教授)×佐々木実(ジャーナリスト)
中東を揺るがす「影の戦争」
溝渕正季(明治学院大学)
ライシ政権後のイラン
中西久枝(同志社大学)
ガザ反戦デモ 米学生新聞は大学当局とどう向き合ったか
アンナ・ベッツ、ジョナサン・ウルフ(ニューヨーク・タイムズ)、
訳=布施由紀子、解説=八田浩輔
帰ってきた「政権交代」と静かなる胎動
大川千寿(神奈川大学)
共同親権導入 改正民法スピード成立の背景
大野暢子(東京新聞)
〈スケッチ〉
何か甘いものを食べたい
千葉雅也(哲学者・作家)
〈シリーズ夜店〉
沖縄戦後史 故郷の喪失と創造
古波藏契(歴史社会学者)
HYBEvs. ミン・ヒジン──アイドル、アート、巨大ビジネス
DJ泡沫(KPOPライター)
〈インタビュー〉
ジェノサイドの記憶をめぐる旅
ヴェロニク・タジョ(作家)、聞き手・訳=中村隆之(早稲田大学)
上野英信と富山妙子の「出ブラジル記」
岡村 淳(記録映像作家)
隣のジャーナリズム──書店への旅のかたわらで
三宅玲子(ノンフィクションライター)
〈対談〉
日本語、英語、私小説
水村美苗(作家)×吉原真里(ハワイ大学)
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◇世界の潮
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◇インド総選挙 「世界最大の民主主義国」のゆくえ
伊藤 融(防衛大学校)
◇レイシャル・プロファイリングはなぜ繰り返されるのか?
國崎万智(ハフポスト日本版)※「ざき」は「立」となる崎
◇EV競争からDV競争へと向かう自動車産業
鶴原吉郎(技術ジャーナリスト)
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◇本との出会い
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◇読書・観賞日記 読んで、観て、聴いて
中村佑子(作家・映像作家)
◇本とチェック──第14回 日韓文化交歓
金承福(クオン代表)
◇分断を深める/乗り越える「ナラティブ」
渡辺祐真(書評家)
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●連載
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〈連載〉
最後は教育なのか?──第4回 「先生=大変」までの20年──佐久間亜紀さんに聞く 武田砂鉄(ライター)
ルポ 軍事優先社会──第4回(最終回)佐賀空港にオスプレイはいらない
吉田敏浩(ジャーナリスト)
「拉致問題」風化に抗して 第10回 日本人拉致被害者に与えられた「革命任務」(1)
蓮池 薫(新潟産業大学)
ボナエ・リテラエ──私の読書遍歴 第20回(最終回) 『聖なる天蓋』
森本あんり(東京女子大学長)
〈往復エッセイ〉
言葉と言葉のかくれんぼ 第4回 済州島と沖縄
斎藤真理子(翻訳家)
〈小さな物語〉の復興 『フランケンシュタイン』をよむ 第6回 インターセクショナリティ
小川公代(上智大学)
島に帰る 第6回 長い聞き取り
榎本 空(エスノグラファー)
「変わらない」を変える 第14回 民主政治の発展にむけ税金はどう使われるべきか
三浦まり(上智大学)
脳力のレッスン(265) 帰国後のケンペル、そしてピョートル大帝とプーチン
寺島実郎
片山善博の「日本を診る」(176) 教員「定額働かせ放題」問題の本質を探る
片山善博(大正大学)
香港からの通信 第23回 香港新国家安全法の顛末
エリック・ライ
気候再生のために 第26回 日本の帰趨を決める一年
高村ゆかり(東京大学)
ドキュメント激動の南北朝鮮 第323回(24・4~5)
編集部
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○記憶をもった鏡──岡村昭彦『The Memories of Others』
戸田昌子(写真史家)
○岩波俳句
選・文 池田澄子(俳人)
○アムネスティ通信
○読者談話室
○編集後記
○表紙木版画
久保舎己(故郷のシルエット 1990、裏表紙 6本の木と人 2011)
○キャラクター・扉絵
西村ツチカ
○アートディレクション
須田杏菜
○本文デザイン
大原由衣+安賀裕子
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編集後記
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壁一面の大きなスクリーンを背景に、姿見のような縦長のパネルがいくつかおかれている。その前に立ち、映し出された「サンタナ学園」の生徒である少年、少女としばし向きあった。あちこちのスクリーンから対話の声がする。
ブラジルにルーツのある子どもたちが通う滋賀県のサンタナ学園、そのコミュニティのすがたが、複数の映像とビデオポートレートから立ち上がっていた(金仁淑(キムインスク)《Eye to Eye》、東京都現代美術館「翻訳できないわたしの言葉」展)。
こんなふうに、ただの人間として、お互いを見つめあえたら。
「外国人」「性的マイノリティ」など、誰かをカテゴリでしかとらえないやりとりは、そのひとの人間性を削りとっていく。園遊会での「岸田文雄夫人」の名札は論外だが、色眼鏡を自ら取り去るのは決して簡単なことではない。具体的な発言や行為として噴出するだけでなく、差別は心の内側にも社会の構造にも根づいているからだ。
いま法制度上でも、より露骨な差別がなされようとしている。「育成就労」制度導入に伴い、税金の支払い状況などを理由に永住権の取り消しを容易にする規定を含む法案が提出された。
日本に来たこと、間違ったかもしれない――安田浩一さんのルポは、迫害を逃れて埼玉南部にたどりついた人が漏らした言葉を伝える(特集2)。
法による差別とヘイトには、明確にノーと言い続けなければならない。そして、摩擦も含めた、共にある経験から学び、隣人と未来を探っていきたい。
異国に「わけがわからないまま行き、否が応でも言語の壁にぶつかる」。そこから小説の世界へ向かった水村美苗さんのお話から、言語がもつ導きの力を感じた。また別のかたちで言語と向き合わざるを得なかった人もいる。
蓮池薫さんは二〇〇二年の帰国後、生きるため身につけた朝鮮語を用いて翻訳の仕事を始めた。今号では、蓮池さんが日本語教育にあたった一二人の記録が記されている。拉致され「革命任務」を強いられた、その葛藤の大きさははかりしれない。同時に、言語を教える/学ぶ時間には、互いの人間としての表情が表れる場面もある。秘密工作の不条理が人々の生をどのように歪めたか、改めて思いを巡らせている。
特集1では、国家の威信を背景に行なわれる祭典、五輪を切り口にスポーツの現在を考えた。「平和」「多様性」「アスリート・ファースト」といった理念と現実の差が長く指摘されながら、巨大スポーツイベントの勢いはとどまるところを知らず、七月には一〇〇年ぶりのパリ五輪が開幕する。
栄光と権力の磁場のもと、アスリート個人にかかる負担の大きさを、メディアは伝えているだろうか。米国のスポーツ賭博が象徴するように、デジタル技術や資本の力で、根底から変わりつつある文化のありようを直視したい。
「運命をもつ者だけが自由をもつ」。森本あんりさんの連載「ボナエ・リテラエ」は今号で最終回です。読書遍歴の終着駅に位置づけられた「小さな自己発見」、ぜひお読みください。
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◎『世界』臨時増刊 ウクライナ侵略戦争――世界秩序の危機
『世界』編集部 編
2022年4月14日刊
定価1,320円
https://iwnm.jp/022242
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国際社会は冷戦終結以降、最大の危機を迎えた。核大国による侵略という事態をどう理解し、どう対峙するのか。多角的に検証する。
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◎プリズン・サークル
坂上 香
定価2,200円
https://iwnm.jp/061526
人は、ひとりでは罪と向き合えない。日本初となる刑務所内での長期撮影、一〇年超の取材がここに結実。
◎学問と政治 学術会議任命拒否問題とは何か(岩波新書)
芦名定道、宇野重規、岡田正則、小沢隆一、加藤陽子、松宮孝明
定価924円
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日本学術会議会員任命拒否には、日本社会の矛盾が象徴されている。当事者六名が、その背景と本質を問う。
◎読書会という幸福(岩波新書)
向井和美
定価946円
https://iwnm.jp/431932
本を語ることは人生を語ること。三十年以上続く、豊穣な「魂の交流の場」への想いをやわらかな文章で綴る。
◎沖縄という窓 クロニクル2008―2022
山城紀子、松元 剛、親川志奈子
定価2,420円
https://iwnm.jp/061541
三人の書き手が多角的に描き出す沖縄の同時代史。一四年にわたる雑誌『世界』好評リレー連載を単行本化。
◎いま、この惑星で起きていること 気象予報士の眼に映る世界
森さやか
定価902円
https://iwnm.jp/500954
世界各地で観測される異常気象を気象予報士の立場で解説し、今後について考察する。『世界』の大好評連載をまとめた一冊。
◎孤塁 双葉郡消防士たちの3・11
吉田千亜
定価1,100円
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死と隣り合わせで震災と原発災害に対応した消防士たちを丹念に取材。当時の緊迫を描き出した迫力作。
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