『世界』メールマガジン/2024年8月号【特集1:戦争をとめる】【特集2:看取りのあとで】
2024/07/08 (Mon) 11:00
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■■ 『世界』メールマガジン/2024年8月号
■■ vol.#0110
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■『世界』2024年8月号(第984号)好評発売中
2024年7月8日発行
定価1045円(税込)
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▼本号の目次
特集1/特集2/注目記事/世界の潮/本との出会い/連載/編集後記/
『世界』臨時増刊月号のご案内/『世界』から生まれた本/「WEB世界」のご案内
┏━━━┓
┃特集 1┃戦争をとめる
┗━━━╋…────────────────────────────────
〈対談〉
「残虐な限定戦争」の時代に
石田 淳(東京大学)×申惠ボン《シンヘボン》(青山学院大学)
なぜ国際刑事裁判所は、ネタニヤフ首相の逮捕状を請求したか
下谷内奈緒(津田塾大学)
カリム・カーンICC主任検察官インタビュー
法を平等に適用しなければ、種としての人類が崩壊する
訳=秋元由紀(翻訳家)、解説=高橋哲哉(東京大学名誉教授)
アメリカ、覇権の終わりと新たな戦後
吉田 徹(同志社大学)
永遠の属国体制か?──サンフランシスコ条約から七二年後の世界
ガバン・マコーマック(オーストラリア国立大学名誉教授)、訳=吉永ふさ子
┏━━━┓
┃特集 2┃看取りのあとで
┗━━━╋…────────────────────────────────
〈対談〉
別れは生の延長にある
磯野真穂(人類学者)×坂野悠己(総合ケアセンター駒場苑)
「終のすみか」はどこにある
小島美里(暮らしネット・えん)
孤立死、いまわかっていること─社会的孤立にどう向き合うか
斉藤雅茂(日本福祉大学)
デジタル故人情報リテラシー
瓜生大輔(芝浦工業大学)
震災霊性論──死者とともに生きる
金菱 清(関西学院大学)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◆注目記事
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
ネタニヤフの背後にあるもの──イスラエル世論はいま
浜中新吾(龍谷大学)
戦争をやめ、核兵器禁止条約に参加せよ
川崎 哲(ICAN)
改正されても自民党の裏金体質は変わらない
上脇博之(神戸学院大学)
非課税の聖域「政治資金」の迷走
市田 隆(朝日新聞)
〈ルポ〉
警察腐敗 内部告発者はなぜ逮捕されたのか
青木 理(ジャーナリスト)
〈スケッチ〉
ケアをちりばめて戦え
長島有里枝(アーティスト)
〈シリーズ夜店〉
いまは哲学の出番ではない──ジェノサイドを座視する世界でローティを読む
朱喜哲(大阪大学社会技術共創研究センター招へい准教授)
水俣 断ち切られた声
永野三智(相思社)
〈インタビュー〉
声優界も声をあげた──インボイス、生成AI、文化の未来
甲斐田裕子(声優)
合理的配慮にどう取り組むか──文脈を踏まえるところから
三井さよ(法政大学)
遊女はなぜ描かれたか──「大吉原展」を観て
辻 浩和(立命館大学)
机上の「流域治水」──水害対策は変わったか
まさのあつこ(ジャーナリスト)
日本学術会議 任命拒否の理由開示を求めて──裁判意見書より
加藤陽子(東京大学)、岡田正則(早稲田大学)、解説=福田 護(弁護士)
〈座談会〉
再審制度を動かす
村木厚子(元厚労次官)×村山浩昭(弁護士)×葛野尋之(青山学院大学)
〈最終回〉
香港からの通信 第24回 民主的レジリエンスの未来
李立峯(香港中文大学)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◇世界の潮
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◇沖縄県議選 玉城知事与党の大敗の要因と影響
与那嶺松一郎(琉球新報)
◇メキシコ初、女性大統領を誕生させた選挙の構図
馬場香織(北海道大学)
◇本当に「不適切」? 奈良教育大学附属小学校問題の実態
中嶋哲彦(愛知工業大学)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◇本との出会い
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◇読書・観賞日記 読んで、観て、聴いて
酒井啓子(千葉大学)
◇歴史家の心が乱れるとき──ワッサースタイン『ウクライナの小さな町』
野村真理(金沢大学名誉教授)
◇自衛隊もまた靖国というナラティブを必要とするのか──角田燎『陸軍将校たちの戦後史』
内田雅敏(弁護士)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
●連載
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
言葉と言葉のかくれんぼ 第5回 白い小惑星との衝突
チョン・スユン(翻訳家)
島に帰る 第7回 銃剣とブルドーザーの二つの記録
榎本 空(エスノグラファー)
本とチェック 第15回 私を育ててくれたのは八割が風だった
金承福(クオン代表)
「変わらない」を変える 第15回 ジェンダーギャップ指数狂想曲
三浦まり(上智大学)
隣のジャーナリズム──ジャーナリストです ニカッ
土方宏史(東海テレビ) ※「ひじ」の字は「土」に点が入る字体
〈小さな物語〉の復興 『フランケンシュタイン』をよむ 第7回 ポリアモリー
小川公代(上智大学)
脳力のレッスン(266) 台湾という存在と、日本人の中国観
寺島実郎
片山善博の「日本を診る」(177) ポスター掲示板の異変を機に公職選挙法の総見直しを
片山善博(大正大学)
気候再生のために 第27回 立ち上がれ! 日本の気候メディア
江守正多(東京大学)
ドキュメント激動の南北朝鮮 第324回(24・5~6)
編集部
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
○記憶をもった鏡──石川竜一『いのちのうちがわ』
戸田昌子(写真史家)
○岩波俳句
選・文 池田澄子(俳人)
○アムネスティ通信
○読者談話室
○編集後記
○表紙木版画
久保舎己(本当に心が痛むんだよ1999、裏表紙 れきし 1981)
○キャラクター・扉絵
西村ツチカ
○アートディレクション
須田杏菜
○本文デザイン
大原由衣+安賀裕子
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
編集後記
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
沖縄戦が終わった直後から、女性にとっての「新たな戦争」が始まった。 昨年刊行の『沖縄・米兵による女性への性犯罪』第一三版を手にすればそれがわかる、と山城紀子さんは書いていた(本誌二〇二三年一一月号)。
昨年一二月に起きた在沖米軍兵長の未成年に対する性的暴行事件について、外務省は今年三月の起訴当日、駐日米大使に抗議していたが、県には事件を知らせなかった。
日米合同委員会では一九九七年、米軍の事件・事故の通報体制改善を合意していたが、地元への連絡手続きは無視された(与那嶺松一郎さん)。改版を重ね六九頁に及ぶ年表、その歴史にもかかわらず、なぜ、との憤りが消えない。
事件の裁判日程が決まり報道各社が事態をつかんだ翌日、一面でそれを伝えた全国紙は一紙のみだった。メディアの姿勢が、政府対応の問題性から目を逸らさせることに加担していないか。
現職警官による性犯罪が相次ぐ鹿児島県警は、不祥事を追及するオンラインメディア『ハンター』に家宅捜索を行なった。青木理さんのルポは、権力に斬り込む『ハンター』の歩みと同時に、大手メディアが情報提供先に選ばれなかった意味を問う。
目の前の被害者が口を塞(ふさ)がれた、水俣病センター相思社の永野三智さんはこれまで何度もそう感じてきたという。五月、水俣病犠牲者慰霊式のあと、環境省は自ら設けた懇談の場で、患者団体の人たちの発言を遮った。松崎重光(※「崎」の字はつくりが「立」となる字体)さんの音声が切られたとき、隣にいた永野さんは、マイクはないけど最後までしゃべっていいですよ、と話しかけ、環境相には届かなかった声を聞いた。重光さん、昨年痛みの中で亡くなった妻の悦子さん。永野さんが記したふたりの言葉に、何度でも耳を傾けたい。
法を平等に適用しなければ人類は崩壊する──国際刑事裁判所の主任検察官は、ネタニヤフ首相らへの逮捕状請求の理由を率直に語った(特集1)。「人類」と同時に、子の命が奪われ「宇宙がずたずたに引き裂かれた」家族、ひとりの人間への眼差しがみえる。
この逮捕状請求にはアメリカも強く反発しているが、大国に依存しない国際正義の追求について、下谷内奈緒さんは、中央集権的な法の支配ではなく、水平な形を目指すものと指摘している。
国際秩序の動揺や再構築を考える際、ともすれば秩序を形成してきた強国の論理に乗ってしまいかねない。矢野久美子さんは著書『アーレントから読む』で、それがもつ「行動を制限する垂直の構造」の響きに触れたうえで、こう投げかける。「『秩序』という言葉を支配者たちの道具箱からとり戻して、手元に引き寄せることは可能だろうか」
建築家の槇文彦さんはかつて小誌連載で、私たちの都市社会に、もっと尊厳のあるひとりの場所を、と語った。不特定多数の人が集まる空間の価値は、それぞれが孤独を愉(たの)しむことができるかにある。槇さんが日本の都市に見出した穏やかさを持ち続けられるだろうか。公園前の選挙掲示板で立ち止まる。
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~~『世界』臨時増刊号のご案内~~
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◎『世界』臨時増刊 ウクライナ侵略戦争――世界秩序の危機
『世界』編集部 編
2022年4月14日刊
定価1,320円
https://iwnm.jp/022242
※書籍版はご好評につき品切れとなりましたが、電子書籍版を配信中です。
国際社会は冷戦終結以降、最大の危機を迎えた。核大国による侵略という事態をどう理解し、どう対峙するのか。多角的に検証する。
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~~『世界』から生まれた本~~
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◎プリズン・サークル
坂上 香
定価2,200円
https://iwnm.jp/061526
人は、ひとりでは罪と向き合えない。日本初となる刑務所内での長期撮影、一〇年超の取材がここに結実。
◎学問と政治 学術会議任命拒否問題とは何か(岩波新書)
芦名定道、宇野重規、岡田正則、小沢隆一、加藤陽子、松宮孝明
定価924円
https://iwnm.jp/431925
日本学術会議会員任命拒否には、日本社会の矛盾が象徴されている。当事者六名が、その背景と本質を問う。
◎読書会という幸福(岩波新書)
向井和美
定価946円
https://iwnm.jp/431932
本を語ることは人生を語ること。三十年以上続く、豊穣な「魂の交流の場」への想いをやわらかな文章で綴る。
◎沖縄という窓 クロニクル2008―2022
山城紀子、松元 剛、親川志奈子
定価2,420円
https://iwnm.jp/061541
三人の書き手が多角的に描き出す沖縄の同時代史。一四年にわたる雑誌『世界』好評リレー連載を単行本化。
◎いま、この惑星で起きていること 気象予報士の眼に映る世界
森さやか
定価902円
https://iwnm.jp/500954
世界各地で観測される異常気象を気象予報士の立場で解説し、今後について考察する。『世界』の大好評連載をまとめた一冊。
◎孤塁 双葉郡消防士たちの3・11
吉田千亜
定価1,100円
https://iwnm.jp/603333
死と隣り合わせで震災と原発災害に対応した消防士たちを丹念に取材。当時の緊迫を描き出した迫力作。
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~~「WEB世界」のご案内~~
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雑誌『世界』のWEB版もぜひ、ご覧ください
https://tanemaki.iwanami.co.jp/
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◇本誌のご注文はお近くの書店か小社営業部宛てにお願いいたします.
岩波書店営業部読者係(TEL:03-5210-4111,FAX:03-3263-6999)
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定価1045円(税込)
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┃特集 1┃戦争をとめる
┗━━━╋…────────────────────────────────
〈対談〉
「残虐な限定戦争」の時代に
石田 淳(東京大学)×申惠ボン《シンヘボン》(青山学院大学)
なぜ国際刑事裁判所は、ネタニヤフ首相の逮捕状を請求したか
下谷内奈緒(津田塾大学)
カリム・カーンICC主任検察官インタビュー
法を平等に適用しなければ、種としての人類が崩壊する
訳=秋元由紀(翻訳家)、解説=高橋哲哉(東京大学名誉教授)
アメリカ、覇権の終わりと新たな戦後
吉田 徹(同志社大学)
永遠の属国体制か?──サンフランシスコ条約から七二年後の世界
ガバン・マコーマック(オーストラリア国立大学名誉教授)、訳=吉永ふさ子
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┃特集 2┃看取りのあとで
┗━━━╋…────────────────────────────────
〈対談〉
別れは生の延長にある
磯野真穂(人類学者)×坂野悠己(総合ケアセンター駒場苑)
「終のすみか」はどこにある
小島美里(暮らしネット・えん)
孤立死、いまわかっていること─社会的孤立にどう向き合うか
斉藤雅茂(日本福祉大学)
デジタル故人情報リテラシー
瓜生大輔(芝浦工業大学)
震災霊性論──死者とともに生きる
金菱 清(関西学院大学)
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◆注目記事
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ネタニヤフの背後にあるもの──イスラエル世論はいま
浜中新吾(龍谷大学)
戦争をやめ、核兵器禁止条約に参加せよ
川崎 哲(ICAN)
改正されても自民党の裏金体質は変わらない
上脇博之(神戸学院大学)
非課税の聖域「政治資金」の迷走
市田 隆(朝日新聞)
〈ルポ〉
警察腐敗 内部告発者はなぜ逮捕されたのか
青木 理(ジャーナリスト)
〈スケッチ〉
ケアをちりばめて戦え
長島有里枝(アーティスト)
〈シリーズ夜店〉
いまは哲学の出番ではない──ジェノサイドを座視する世界でローティを読む
朱喜哲(大阪大学社会技術共創研究センター招へい准教授)
水俣 断ち切られた声
永野三智(相思社)
〈インタビュー〉
声優界も声をあげた──インボイス、生成AI、文化の未来
甲斐田裕子(声優)
合理的配慮にどう取り組むか──文脈を踏まえるところから
三井さよ(法政大学)
遊女はなぜ描かれたか──「大吉原展」を観て
辻 浩和(立命館大学)
机上の「流域治水」──水害対策は変わったか
まさのあつこ(ジャーナリスト)
日本学術会議 任命拒否の理由開示を求めて──裁判意見書より
加藤陽子(東京大学)、岡田正則(早稲田大学)、解説=福田 護(弁護士)
〈座談会〉
再審制度を動かす
村木厚子(元厚労次官)×村山浩昭(弁護士)×葛野尋之(青山学院大学)
〈最終回〉
香港からの通信 第24回 民主的レジリエンスの未来
李立峯(香港中文大学)
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◇世界の潮
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◇沖縄県議選 玉城知事与党の大敗の要因と影響
与那嶺松一郎(琉球新報)
◇メキシコ初、女性大統領を誕生させた選挙の構図
馬場香織(北海道大学)
◇本当に「不適切」? 奈良教育大学附属小学校問題の実態
中嶋哲彦(愛知工業大学)
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◇本との出会い
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◇読書・観賞日記 読んで、観て、聴いて
酒井啓子(千葉大学)
◇歴史家の心が乱れるとき──ワッサースタイン『ウクライナの小さな町』
野村真理(金沢大学名誉教授)
◇自衛隊もまた靖国というナラティブを必要とするのか──角田燎『陸軍将校たちの戦後史』
内田雅敏(弁護士)
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●連載
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言葉と言葉のかくれんぼ 第5回 白い小惑星との衝突
チョン・スユン(翻訳家)
島に帰る 第7回 銃剣とブルドーザーの二つの記録
榎本 空(エスノグラファー)
本とチェック 第15回 私を育ててくれたのは八割が風だった
金承福(クオン代表)
「変わらない」を変える 第15回 ジェンダーギャップ指数狂想曲
三浦まり(上智大学)
隣のジャーナリズム──ジャーナリストです ニカッ
土方宏史(東海テレビ) ※「ひじ」の字は「土」に点が入る字体
〈小さな物語〉の復興 『フランケンシュタイン』をよむ 第7回 ポリアモリー
小川公代(上智大学)
脳力のレッスン(266) 台湾という存在と、日本人の中国観
寺島実郎
片山善博の「日本を診る」(177) ポスター掲示板の異変を機に公職選挙法の総見直しを
片山善博(大正大学)
気候再生のために 第27回 立ち上がれ! 日本の気候メディア
江守正多(東京大学)
ドキュメント激動の南北朝鮮 第324回(24・5~6)
編集部
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○記憶をもった鏡──石川竜一『いのちのうちがわ』
戸田昌子(写真史家)
○岩波俳句
選・文 池田澄子(俳人)
○アムネスティ通信
○読者談話室
○編集後記
○表紙木版画
久保舎己(本当に心が痛むんだよ1999、裏表紙 れきし 1981)
○キャラクター・扉絵
西村ツチカ
○アートディレクション
須田杏菜
○本文デザイン
大原由衣+安賀裕子
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編集後記
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沖縄戦が終わった直後から、女性にとっての「新たな戦争」が始まった。 昨年刊行の『沖縄・米兵による女性への性犯罪』第一三版を手にすればそれがわかる、と山城紀子さんは書いていた(本誌二〇二三年一一月号)。
昨年一二月に起きた在沖米軍兵長の未成年に対する性的暴行事件について、外務省は今年三月の起訴当日、駐日米大使に抗議していたが、県には事件を知らせなかった。
日米合同委員会では一九九七年、米軍の事件・事故の通報体制改善を合意していたが、地元への連絡手続きは無視された(与那嶺松一郎さん)。改版を重ね六九頁に及ぶ年表、その歴史にもかかわらず、なぜ、との憤りが消えない。
事件の裁判日程が決まり報道各社が事態をつかんだ翌日、一面でそれを伝えた全国紙は一紙のみだった。メディアの姿勢が、政府対応の問題性から目を逸らさせることに加担していないか。
現職警官による性犯罪が相次ぐ鹿児島県警は、不祥事を追及するオンラインメディア『ハンター』に家宅捜索を行なった。青木理さんのルポは、権力に斬り込む『ハンター』の歩みと同時に、大手メディアが情報提供先に選ばれなかった意味を問う。
目の前の被害者が口を塞(ふさ)がれた、水俣病センター相思社の永野三智さんはこれまで何度もそう感じてきたという。五月、水俣病犠牲者慰霊式のあと、環境省は自ら設けた懇談の場で、患者団体の人たちの発言を遮った。松崎重光(※「崎」の字はつくりが「立」となる字体)さんの音声が切られたとき、隣にいた永野さんは、マイクはないけど最後までしゃべっていいですよ、と話しかけ、環境相には届かなかった声を聞いた。重光さん、昨年痛みの中で亡くなった妻の悦子さん。永野さんが記したふたりの言葉に、何度でも耳を傾けたい。
法を平等に適用しなければ人類は崩壊する──国際刑事裁判所の主任検察官は、ネタニヤフ首相らへの逮捕状請求の理由を率直に語った(特集1)。「人類」と同時に、子の命が奪われ「宇宙がずたずたに引き裂かれた」家族、ひとりの人間への眼差しがみえる。
この逮捕状請求にはアメリカも強く反発しているが、大国に依存しない国際正義の追求について、下谷内奈緒さんは、中央集権的な法の支配ではなく、水平な形を目指すものと指摘している。
国際秩序の動揺や再構築を考える際、ともすれば秩序を形成してきた強国の論理に乗ってしまいかねない。矢野久美子さんは著書『アーレントから読む』で、それがもつ「行動を制限する垂直の構造」の響きに触れたうえで、こう投げかける。「『秩序』という言葉を支配者たちの道具箱からとり戻して、手元に引き寄せることは可能だろうか」
建築家の槇文彦さんはかつて小誌連載で、私たちの都市社会に、もっと尊厳のあるひとりの場所を、と語った。不特定多数の人が集まる空間の価値は、それぞれが孤独を愉(たの)しむことができるかにある。槇さんが日本の都市に見出した穏やかさを持ち続けられるだろうか。公園前の選挙掲示板で立ち止まる。
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◎『世界』臨時増刊 ウクライナ侵略戦争――世界秩序の危機
『世界』編集部 編
2022年4月14日刊
定価1,320円
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国際社会は冷戦終結以降、最大の危機を迎えた。核大国による侵略という事態をどう理解し、どう対峙するのか。多角的に検証する。
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◎プリズン・サークル
坂上 香
定価2,200円
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芦名定道、宇野重規、岡田正則、小沢隆一、加藤陽子、松宮孝明
定価924円
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◎読書会という幸福(岩波新書)
向井和美
定価946円
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本を語ることは人生を語ること。三十年以上続く、豊穣な「魂の交流の場」への想いをやわらかな文章で綴る。
◎沖縄という窓 クロニクル2008―2022
山城紀子、松元 剛、親川志奈子
定価2,420円
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三人の書き手が多角的に描き出す沖縄の同時代史。一四年にわたる雑誌『世界』好評リレー連載を単行本化。
◎いま、この惑星で起きていること 気象予報士の眼に映る世界
森さやか
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世界各地で観測される異常気象を気象予報士の立場で解説し、今後について考察する。『世界』の大好評連載をまとめた一冊。
◎孤塁 双葉郡消防士たちの3・11
吉田千亜
定価1,100円
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