『世界』メールマガジン/2025年1月号【特集1:1995 終わりと始まり】 【特集2:そしてアメリカは去った】
2024/12/06 (Fri) 11:00
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■■ 『世界』メールマガジン/2025年1月号
■■ vol.#0115
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■『世界』2025年1月号(第989号)好評発売中
2024年12月6日発行
定価1045円(税込)
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▼本号の目次
特集1/特集2/注目記事/世界の潮/本との出会い/連載/編集後記/
『世界』臨時増刊月号のご案内/『世界』から生まれた本/「WEB世界」のご案内
┏━━━┓
┃特集 1┃1995 終わりと始まり
┗━━━╋…────────────────────────────────
この国の貌が見える特異点
赤坂真理(作家)
村山政権という問い
宮城大蔵(中央大学)
変わろうとした沖縄、変える気がなかった日米両政府
山本章子(琉球大学)
「オウムの村」の庭で──記録と記憶のレンズ
荒井由佳子(映像ディレクター)
性暴力と女性たちの声──日本軍「慰安婦」問題の三〇年
古橋 綾(岩手大学)
続く大地動乱の時代 「過剰文明」からの脱却を
石橋克彦(神戸大学名誉教授)
〈対談〉
「何も起こらない」はずの日本で
リチャード・ロイド・パリー(英ザ・タイムズ紙)×西村カリン(ジャーナリスト)
┏━━━┓
┃特集 2┃そしてアメリカは去った
┗━━━╋…────────────────────────────────
〈座談会〉
戦争を止められるか──「国際秩序」の果てから
川島 真(東京大学)×酒井啓子(千葉大学)×三牧聖子(同志社大学)
「力の支配」に向かう世界
藤原帰一(順天堂大学特任教授)
ナクバという《ジェノサイド》──抗すべきは「大量虐殺」だけではない
岡 真理(早稲田大学)
正義はどこに──イスラエル/パレスチナの声を訪ねて
鴨志田 郷(NHK解説主幹)
悪法と戦争──ロシア政府がチャイルドフリーを弾圧する背景
奈倉有里(ロシア文学研究者)
アメリカ最高裁と「生きた憲法」の黄昏
西崎文子(東京大学名誉教授)
誰が大統領を選ぶのか?──選挙人団の歴史的起源
上村 剛(関西学院大学)
ロングフォーム・ポッドキャストの勝利
若林 恵(編集者/黒鳥社)
ジェノサイドが生んだアイロニー──革命国家ルワンダの光と影
武内進一(東京外国語大学)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◆注目記事
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
作られた「逆転のストーリー」──ルポ 兵庫県知事選
松本 創(ノンフィクションライター)
〈対談〉
昭和の生、時代の傷
澤地久枝(ノンフィクション作家)×梯久美子(ノンフィクション作家)
〈スケッチ〉
物語の端っこ
角野栄子(児童文学作家)
〈シリーズ夜店〉
変化のなかの「本の街」──神保町という現象
スーザン・テイラー(人類学者)
〈ルポ〉
能登の書店
稲泉 連(ノンフィクション作家)
〈インタビュー〉
同じ災害はふたつとない── “紙のログハウス”から考えてきたこと
坂 茂(建築家)
地域社会の疲弊、マルチハザード化する災害
廣井 悠(東京大学)
〈新連載〉
アジアとアメリカのあいだ 第1回 それぞれの帰る場所
望月優大(ライター)
〈新連載〉
この社会の社会学 第1回 社会学は大風呂敷を「正しく」広げられるか
北田暁大(東京大学)
〈対談〉
気候再生のために 特別編 「トランプ時代」の科学の使命
高村ゆかり(東京大学)×江守正多(東京大学)
〈対談〉
「光る君へ」の時代と政治
山本淳子(京都先端科学大学)×宇野重規(東京大学)
〈リレー連載〉
隣のジャーナリズム 戦争を書く 自分を疑う
前田啓介(読売新聞)
〈最終回〉
「拉致問題」風化に抗して 第13回 日本人拉致被害者に与えられた「革命任務」(その4)
蓮池 薫(新潟産業大学)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◇世界の潮
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◇「一〇三万円の壁」引き上げは若者を救うか
宮本太郎(中央大学)
◇見過ごされた難民 インド国境のミャンマー人
丹村智子(西日本新聞)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◇本との出会い
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◇読んで、観て、聴いて
新城和博(編集者)
◇本とチェック 第20回 「本とチェック」の出会い
金承福(クオン代表)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
●連載
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
ひとりで暮らす私たち 第4回 いつまで働くのか?
和田靜香(ライター)
あたふたと身支度 第4回 どんな服を着ていても
高橋純子(朝日新聞)
彼女たちの「戦後」 第5回 田辺聖子──恋愛の思想と「戦中派」
山本昭宏(神戸市外国語大学)
最後は教育なのか? 第7回 学校は自腹で成り立っていた──福嶋尚子さんに聞く
武田砂鉄(ライター)
脳力のレッスン(271) 特別篇 二四年衆院選・米大統領選と二〇年代日本の運命
寺島実郎
片山善博の「日本を診る」(182) 「一〇三万円の壁」から見える政治の病理
片山善博(大正大学)
「変わらない」を変える 第20回 「ガラスの天井論」の罠
三浦まり(上智大学)
ドキュメント激動の南北朝鮮 第329回(24・10~11)
編集部
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
○記憶をもった鏡──アレック・ソス『I Know How Furiously Your Heart is Beating』
戸田昌子(写真史家)
○岩波俳句
選・文 池田澄子(俳人)
○アムネスティ通信
○読者談話室
○編集後記
○表紙木版画
久保舎己(表紙 もえる人、裏表紙 妻のねがお 1980)
○キャラクター・扉絵
西村ツチカ
○アートディレクション
須田杏菜
○本文デザイン
大原由衣+安賀裕子
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
編集後記
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
選挙の喧騒、衝撃を呑み込もうとするたび、思い出す一節がある。「選挙戦はやってきてまた去っていく。だが、社会を変えようとする政治変革は決して終わらない」。二〇一六年米大統領選で、民主党のバーニー・サンダース上院議員が残した言葉だ。
政治変革はその後どうなったか。11月の選挙結果を受け、同氏は労働者たちに見捨てられる事態を自ら招いたと党を厳しく批判した。人々の目の前の暮らし、現実に語りかけたか? トランプ陣営には、それがどんなバカげたものでも、憤りを受けとめ現状を変える説明があった、と。
日本の総選挙では「手取りを増やす」と掲げた国民民主党が躍進した。この間、いくつもの「壁」について学ぶなか、世帯を重視し、多様な個人に対応しない社会保障・税制度の課題が改めてみえてきた。政党間協議で「落としどころ」が探られているが、社会保障全体をどう編みなおすか、一歩踏み込んだ政策論を続けていきたい。
「近所のおばあちゃんたちとベローチェでコーヒー飲むのが唯一の楽しみ」
歩く呼吸で書かれた和田靜香さんの連載のなかで、当時八四歳の末松さんがこう話していた。私もよく近所のベローチェで作業している。たのしそうに趣味の話題に花を咲かせる人も多く、聞くともなしに聞いてしまう。
二〇五〇年には全世帯の四割以上をひとり暮らしが占め、高齢単身世帯は二割を超えるという。介護・年金など課題は多岐にわたるが、住まいの支援さえあれば、という声は根強い。賃貸住宅から戸建てへ、そんな「住宅すごろく」が成立しない時代に、ひとりでゆたかに暮らせる住環境を整えてゆけたら、超高齢化社会は「災難」でなくなる(リチャード・ロイド・パリーさん×西村カリンさん対談)。
戦後五〇年、一九九五年の景色は心にさまざま残っていたが、特集を編んでみて、「忘れもの」の多さ、そして大きさに気づかずにはいられなかった。
日本では終わったとされる「慰安婦」問題は、日本以外の場所ではまったく終わっていない──古橋綾さんの指摘もそのひとつだ。一九九〇年代、世界は女性への暴力に対して注目し始めた。だが、河野談話など日本政治で進展がみられたのはこの頃までだった。
声を上げる女性たちを貶め、歴史を否定する動きが強まるなか、報道機関が政治に屈する場面もあった。それは今日のメディア不信にいたる底流のひとつではないか。
動画やPodcastが主流になったいま、本は、書店は、どんな意味をもつだろう。人類学者のスーザン・テイラーさんは、「物理的な本は他のメディアにはない強靭さを備えている」と指摘する。
「本」に出会う機会があるかないかによって、町の人が受ける心の刺激は違う。花がたくさん咲いている場所に暮らしている人と、花のないところに生活している人が違うように──。
珠洲(すず)市の「いろは書店」店主・八木久さんの言葉だ(稲泉連さんルポ)。
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~~『世界』臨時増刊号のご案内~~
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◎『世界』臨時増刊 ウクライナ侵略戦争──世界秩序の危機
『世界』編集部 編
2022年4月14日刊
定価1,320円
https://iwnm.jp/022242
※書籍版はご好評につき品切れとなりましたが、電子書籍版を配信中です。
国際社会は冷戦終結以降、最大の危機を迎えた。核大国による侵略という事態をどう理解し、どう対峙するのか。多角的に検証する。
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~~『世界』から生まれた本~~
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◎プリズン・サークル
坂上 香
定価2,200円
https://iwnm.jp/061526
人は、ひとりでは罪と向き合えない。日本初となる刑務所内での長期撮影、一〇年超の取材がここに結実。
◎学問と政治 学術会議任命拒否問題とは何か(岩波新書)
芦名定道、宇野重規、岡田正則、小沢隆一、加藤陽子、松宮孝明
定価924円
https://iwnm.jp/431925
日本学術会議会員任命拒否には、日本社会の矛盾が象徴されている。当事者六名が、その背景と本質を問う。
◎読書会という幸福(岩波新書)
向井和美
定価946円
https://iwnm.jp/431932
本を語ることは人生を語ること。三十年以上続く、豊穣な「魂の交流の場」への想いをやわらかな文章で綴る。
◎沖縄という窓 クロニクル2008―2022
山城紀子、松元 剛、親川志奈子
定価2,420円
https://iwnm.jp/061541
三人の書き手が多角的に描き出す沖縄の同時代史。一四年にわたる雑誌『世界』好評リレー連載を単行本化。
◎いま、この惑星で起きていること 気象予報士の眼に映る世界
森さやか
定価902円
https://iwnm.jp/500954
世界各地で観測される異常気象を気象予報士の立場で解説し、今後について考察する。『世界』の大好評連載をまとめた一冊。
◎孤塁 双葉郡消防士たちの3・11
吉田千亜
定価1,100円
https://iwnm.jp/603333
死と隣り合わせで震災と原発災害に対応した消防士たちを丹念に取材。当時の緊迫を描き出した迫力作。
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~~「WEB世界」のご案内~~
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雑誌『世界』のWEB版もぜひ、ご覧ください
https://tanemaki.iwanami.co.jp/
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■『世界』2025年1月号(第989号)好評発売中
2024年12月6日発行
定価1045円(税込)
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▼本号の目次
特集1/特集2/注目記事/世界の潮/本との出会い/連載/編集後記/
『世界』臨時増刊月号のご案内/『世界』から生まれた本/「WEB世界」のご案内
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┃特集 1┃1995 終わりと始まり
┗━━━╋…────────────────────────────────
この国の貌が見える特異点
赤坂真理(作家)
村山政権という問い
宮城大蔵(中央大学)
変わろうとした沖縄、変える気がなかった日米両政府
山本章子(琉球大学)
「オウムの村」の庭で──記録と記憶のレンズ
荒井由佳子(映像ディレクター)
性暴力と女性たちの声──日本軍「慰安婦」問題の三〇年
古橋 綾(岩手大学)
続く大地動乱の時代 「過剰文明」からの脱却を
石橋克彦(神戸大学名誉教授)
〈対談〉
「何も起こらない」はずの日本で
リチャード・ロイド・パリー(英ザ・タイムズ紙)×西村カリン(ジャーナリスト)
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┃特集 2┃そしてアメリカは去った
┗━━━╋…────────────────────────────────
〈座談会〉
戦争を止められるか──「国際秩序」の果てから
川島 真(東京大学)×酒井啓子(千葉大学)×三牧聖子(同志社大学)
「力の支配」に向かう世界
藤原帰一(順天堂大学特任教授)
ナクバという《ジェノサイド》──抗すべきは「大量虐殺」だけではない
岡 真理(早稲田大学)
正義はどこに──イスラエル/パレスチナの声を訪ねて
鴨志田 郷(NHK解説主幹)
悪法と戦争──ロシア政府がチャイルドフリーを弾圧する背景
奈倉有里(ロシア文学研究者)
アメリカ最高裁と「生きた憲法」の黄昏
西崎文子(東京大学名誉教授)
誰が大統領を選ぶのか?──選挙人団の歴史的起源
上村 剛(関西学院大学)
ロングフォーム・ポッドキャストの勝利
若林 恵(編集者/黒鳥社)
ジェノサイドが生んだアイロニー──革命国家ルワンダの光と影
武内進一(東京外国語大学)
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◆注目記事
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作られた「逆転のストーリー」──ルポ 兵庫県知事選
松本 創(ノンフィクションライター)
〈対談〉
昭和の生、時代の傷
澤地久枝(ノンフィクション作家)×梯久美子(ノンフィクション作家)
〈スケッチ〉
物語の端っこ
角野栄子(児童文学作家)
〈シリーズ夜店〉
変化のなかの「本の街」──神保町という現象
スーザン・テイラー(人類学者)
〈ルポ〉
能登の書店
稲泉 連(ノンフィクション作家)
〈インタビュー〉
同じ災害はふたつとない── “紙のログハウス”から考えてきたこと
坂 茂(建築家)
地域社会の疲弊、マルチハザード化する災害
廣井 悠(東京大学)
〈新連載〉
アジアとアメリカのあいだ 第1回 それぞれの帰る場所
望月優大(ライター)
〈新連載〉
この社会の社会学 第1回 社会学は大風呂敷を「正しく」広げられるか
北田暁大(東京大学)
〈対談〉
気候再生のために 特別編 「トランプ時代」の科学の使命
高村ゆかり(東京大学)×江守正多(東京大学)
〈対談〉
「光る君へ」の時代と政治
山本淳子(京都先端科学大学)×宇野重規(東京大学)
〈リレー連載〉
隣のジャーナリズム 戦争を書く 自分を疑う
前田啓介(読売新聞)
〈最終回〉
「拉致問題」風化に抗して 第13回 日本人拉致被害者に与えられた「革命任務」(その4)
蓮池 薫(新潟産業大学)
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◇世界の潮
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◇「一〇三万円の壁」引き上げは若者を救うか
宮本太郎(中央大学)
◇見過ごされた難民 インド国境のミャンマー人
丹村智子(西日本新聞)
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◇本との出会い
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◇読んで、観て、聴いて
新城和博(編集者)
◇本とチェック 第20回 「本とチェック」の出会い
金承福(クオン代表)
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●連載
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ひとりで暮らす私たち 第4回 いつまで働くのか?
和田靜香(ライター)
あたふたと身支度 第4回 どんな服を着ていても
高橋純子(朝日新聞)
彼女たちの「戦後」 第5回 田辺聖子──恋愛の思想と「戦中派」
山本昭宏(神戸市外国語大学)
最後は教育なのか? 第7回 学校は自腹で成り立っていた──福嶋尚子さんに聞く
武田砂鉄(ライター)
脳力のレッスン(271) 特別篇 二四年衆院選・米大統領選と二〇年代日本の運命
寺島実郎
片山善博の「日本を診る」(182) 「一〇三万円の壁」から見える政治の病理
片山善博(大正大学)
「変わらない」を変える 第20回 「ガラスの天井論」の罠
三浦まり(上智大学)
ドキュメント激動の南北朝鮮 第329回(24・10~11)
編集部
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○記憶をもった鏡──アレック・ソス『I Know How Furiously Your Heart is Beating』
戸田昌子(写真史家)
○岩波俳句
選・文 池田澄子(俳人)
○アムネスティ通信
○読者談話室
○編集後記
○表紙木版画
久保舎己(表紙 もえる人、裏表紙 妻のねがお 1980)
○キャラクター・扉絵
西村ツチカ
○アートディレクション
須田杏菜
○本文デザイン
大原由衣+安賀裕子
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編集後記
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選挙の喧騒、衝撃を呑み込もうとするたび、思い出す一節がある。「選挙戦はやってきてまた去っていく。だが、社会を変えようとする政治変革は決して終わらない」。二〇一六年米大統領選で、民主党のバーニー・サンダース上院議員が残した言葉だ。
政治変革はその後どうなったか。11月の選挙結果を受け、同氏は労働者たちに見捨てられる事態を自ら招いたと党を厳しく批判した。人々の目の前の暮らし、現実に語りかけたか? トランプ陣営には、それがどんなバカげたものでも、憤りを受けとめ現状を変える説明があった、と。
日本の総選挙では「手取りを増やす」と掲げた国民民主党が躍進した。この間、いくつもの「壁」について学ぶなか、世帯を重視し、多様な個人に対応しない社会保障・税制度の課題が改めてみえてきた。政党間協議で「落としどころ」が探られているが、社会保障全体をどう編みなおすか、一歩踏み込んだ政策論を続けていきたい。
「近所のおばあちゃんたちとベローチェでコーヒー飲むのが唯一の楽しみ」
歩く呼吸で書かれた和田靜香さんの連載のなかで、当時八四歳の末松さんがこう話していた。私もよく近所のベローチェで作業している。たのしそうに趣味の話題に花を咲かせる人も多く、聞くともなしに聞いてしまう。
二〇五〇年には全世帯の四割以上をひとり暮らしが占め、高齢単身世帯は二割を超えるという。介護・年金など課題は多岐にわたるが、住まいの支援さえあれば、という声は根強い。賃貸住宅から戸建てへ、そんな「住宅すごろく」が成立しない時代に、ひとりでゆたかに暮らせる住環境を整えてゆけたら、超高齢化社会は「災難」でなくなる(リチャード・ロイド・パリーさん×西村カリンさん対談)。
戦後五〇年、一九九五年の景色は心にさまざま残っていたが、特集を編んでみて、「忘れもの」の多さ、そして大きさに気づかずにはいられなかった。
日本では終わったとされる「慰安婦」問題は、日本以外の場所ではまったく終わっていない──古橋綾さんの指摘もそのひとつだ。一九九〇年代、世界は女性への暴力に対して注目し始めた。だが、河野談話など日本政治で進展がみられたのはこの頃までだった。
声を上げる女性たちを貶め、歴史を否定する動きが強まるなか、報道機関が政治に屈する場面もあった。それは今日のメディア不信にいたる底流のひとつではないか。
動画やPodcastが主流になったいま、本は、書店は、どんな意味をもつだろう。人類学者のスーザン・テイラーさんは、「物理的な本は他のメディアにはない強靭さを備えている」と指摘する。
「本」に出会う機会があるかないかによって、町の人が受ける心の刺激は違う。花がたくさん咲いている場所に暮らしている人と、花のないところに生活している人が違うように──。
珠洲(すず)市の「いろは書店」店主・八木久さんの言葉だ(稲泉連さんルポ)。
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◎『世界』臨時増刊 ウクライナ侵略戦争──世界秩序の危機
『世界』編集部 編
2022年4月14日刊
定価1,320円
https://iwnm.jp/022242
※書籍版はご好評につき品切れとなりましたが、電子書籍版を配信中です。
国際社会は冷戦終結以降、最大の危機を迎えた。核大国による侵略という事態をどう理解し、どう対峙するのか。多角的に検証する。
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◎プリズン・サークル
坂上 香
定価2,200円
https://iwnm.jp/061526
人は、ひとりでは罪と向き合えない。日本初となる刑務所内での長期撮影、一〇年超の取材がここに結実。
◎学問と政治 学術会議任命拒否問題とは何か(岩波新書)
芦名定道、宇野重規、岡田正則、小沢隆一、加藤陽子、松宮孝明
定価924円
https://iwnm.jp/431925
日本学術会議会員任命拒否には、日本社会の矛盾が象徴されている。当事者六名が、その背景と本質を問う。
◎読書会という幸福(岩波新書)
向井和美
定価946円
https://iwnm.jp/431932
本を語ることは人生を語ること。三十年以上続く、豊穣な「魂の交流の場」への想いをやわらかな文章で綴る。
◎沖縄という窓 クロニクル2008―2022
山城紀子、松元 剛、親川志奈子
定価2,420円
https://iwnm.jp/061541
三人の書き手が多角的に描き出す沖縄の同時代史。一四年にわたる雑誌『世界』好評リレー連載を単行本化。
◎いま、この惑星で起きていること 気象予報士の眼に映る世界
森さやか
定価902円
https://iwnm.jp/500954
世界各地で観測される異常気象を気象予報士の立場で解説し、今後について考察する。『世界』の大好評連載をまとめた一冊。
◎孤塁 双葉郡消防士たちの3・11
吉田千亜
定価1,100円
https://iwnm.jp/603333
死と隣り合わせで震災と原発災害に対応した消防士たちを丹念に取材。当時の緊迫を描き出した迫力作。
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