『世界』メールマガジン/2025年4月号【特集1:学校依存社会】 【特集2:もうひとつの韓国】
2025/03/07 (Fri) 11:00
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■■ 『世界』メールマガジン/2025年4月号
■■ vol.#0118
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■『世界』2025年4月号(第992号)好評発売中
2025年3月7日発行
定価1045円(税込)
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▼本号の目次
特集1/特集2/注目記事/世界の潮/本との出会い/連載/編集後記/
『世界』臨時増刊月号のご案内/『世界』から生まれた本/「WEB世界」のご案内
┏━━━┓
┃特集 1┃学校依存社会
┗━━━╋…────────────────────────────────
学校依存社会──シャドウ・ワークの行く末
内田 良(名古屋大学)
教員の長時間勤務をどう解決できるか?
広田照幸(日本大学)
学校─家庭の相互依存
福嶋尚子(千葉工業大学)
崖っぷちの保育を支える
氏家寛子(NHK)
学校の「当たり前」を再評価する
尾崎博美(東洋英和女学院大学)
┏━━━┓
┃特集 2┃もうひとつの韓国
┗━━━╋…────────────────────────────────
韓国ニューライトの戦略
ヤン・ミョンジ(ハワイ大学) 訳=秋元由紀(翻訳家)
「民主韓国」と日本─国交正常化六〇年、乙巳条約一二〇年を迎えて
権容ソク(一橋大学) ※「ソク」の字は、大の左右に百
〈「夜店」 特別編〉
呼び覚まされた「光州」の記憶──一二・三非常戒厳が問いかけるもの
佐藤雪絵(早稲田大学大学院博士後期課程)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◆注目記事
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
〈シリーズ〉
この社会の社会学 第3回 不登校をきちんと迷う
貴戸理恵(関西学院大学)
トランプのサディズムに臆するな
ジュディス・バトラー(哲学者) 訳=清水知子(東京藝術大学)
〈新連載〉
午前1時のメディアタイムズ 第1回 五〇年後のチャーチ委員会
若林 恵(編集者、黒鳥社)
〈新シリーズ〉
「戦後」解体 第1回 私化された怒りのゆくえ
古波藏契(歴史社会学)×福永玄弥(フェミニズム・クィア研究)
テレビ業界 ふたつの権力
北出真紀恵(東海学園大学)
男性議員へのハラスメント──ヒアリング調査から見えてきた実態
浜田真里(Stand by Women代表)※はまの字は、濱の異字体(いわゆる「まゆはま」)
〈対談〉
サステナビリティは菩提心から
松島 斉(東京大学)×金井政明(良品計画顧問)
自由民主主義と国際秩序 再構築の鍵
遠藤誠治(成蹊大学)
脳力のレッスン(274)第二次大戦後の日米中関係のバイオリズム
寺島実郎
〈スケッチ〉
浅草に出かけた
折坂悠太(シンガーソングライター)
〈連載最終回〉
アウシュヴィッツの焼却炉 第3回 「想起文化」をつなぐ
中村真人(フリーライター)
〈連載最終回〉
ファシズムは読書で、レイシズムは旅で治る 第3回 経験、そして物語
前川仁之(ノンフィクション作家)
〈ルポ〉
パレスチナ 「狂気」のなかの生──ヨルダン川西岸地区から
安田菜津紀(フォトジャーナリスト)
〈地下水汚染列島〉
水道水の汚染はなぜ 21世紀の公害PFOA
中川七海(Tansa)
〈地下水汚染列島〉
沖縄 PFAS汚染と基地政治
河村雅美(IPP代表)
反差別「地域からの革命」の一五年──「京都府人権条例」案の何が問題か
中村一成(ジャーナリスト)
いじめ後遺症 第2回 被害が後遺症へ至る過程──旭川市いじめ自殺(1)
斎藤 環(精神科医)
〈リレー連載〉
隣のジャーナリズム 義家氏へ……「リアルと向き合え!」
河野 啓(作家・映像制作者)
言葉と言葉のかくれんぼ 第12回 戦争が怖かった
斎藤真理子(翻訳家)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◇世界の潮
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◇女性差別撤廃条約と天皇・皇族の人権
南野 森(九州大学)
◇靖国合祀国賠訴訟 敗訴なれど輝く「反対意見」
内田雅敏(弁護士)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◇本との出会い
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◇中国SFの世界へようこそ
立原透耶(作家・翻訳家)
◇本とチェック 第23回 地域を育てる書店
金承福(クオン代表)
◇読書・観賞日記 読んで、観て、聴いて
酒井啓子(千葉大学)
◇「新自由主義+教育」の現在地を知る──児美川孝一郎『新自由主義教育の40年』
斎藤貴男(ジャーナリスト)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
●連載
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
ひとりで暮らす私たち 第7回 差と異の間の権利
和田靜香(ライター)
アジアとアメリカのあいだ 第4回 常識の革命、あるいは排斥の残りかす
望月優大(ライター)
彼女たちの「戦後」 第7回 角野栄子──青空の底の黒
山本昭宏(神戸市外国語大学)
あたふたと身支度 第7回 貧乏自慢
高橋純子(朝日新聞)
片山善博の「日本を診る」(185) 石破政権の「地方創生2・0」への期待と注文
片山善博(大正大学)
「変わらない」を変える 第23回 DEI「禁止令」仕掛けられたモラル・パニック
三浦まり(上智大学)
気候再生のために 第31回 トランプ2・0の気候変動対策
高村ゆかり(東京大学)
ドキュメント激動の南北朝鮮 第332回(25・1~2)
編集部
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
○記憶をもった鏡──マルティーヌ・フランク『Martine Franck』
戸田昌子(写真史家)
○岩波俳句
選・文 池田澄子(俳人)
○アムネスティ通信
○表紙作品について
○読者談話室
○編集後記
○表紙木版画
土屋未久(表紙 見つめる 2025、裏表紙 確かなもの 2025)
○キャラクター・扉絵
西村ツチカ
○アートディレクション
須田杏菜
○本文デザイン
大原由衣+安賀裕子
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
編集後記
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
教員の過重労働をはじめ公教育の疲弊が指摘されて久しい。社会と学校との関係性を依存の視点から捉え直した特集1で、内田良さんは、教育の労働問題の核心は長時間業務そのものではない、それが不可視化されたまま継続してきたことにある、という。
フルタイムで働く保護者の定時の前も後ろもカバーして子どもを受けいれる学校。教員の長時間業務が等閑視(とうかんし)されるために、保護者側の働き方も抜本的な見直しには至っていない。
週末のカフェで、スマホで子どもの塾の授業を眺める女性の姿をよくみかける。これは私化された教育の例だが、性別役割分業が根強い社会で、とくに母親に「質の高い教育の提供」が求められるとの指摘にも頷かされる。
教員が担ってきた不払い労働を家庭へ、女性へそのまま移すだけでいいのか。子どもが大きくなったら、子どもがいなければ、長時間労働でいいのか。「見えないところ」に依存するかぎり、持続可能性にはたどりつけない。
第二次トランプ政権が始まってまだ五〇日も経っていない。移民の強制送還や「性別は男女のみ」などと人間の生を直撃する大統領令が次々と示された。無意識に心に防御壁を築く日々のなか、ここに世界と対峙する言葉がある、と文学者の対話に力づけられた。
往復エッセイ「言葉と言葉のかくれんぼ」の前号、チョン・スユンさんは、韓国での非常戒厳、戦争が場を変え復活し続ける歴史をふまえて、こう質問した。これからの世界に戦争をなくすために何が必要だと思いますか?
今号で斎藤真理子さんは、やはりやさしい言葉づかいながら、その問いを受けとめ、戦争をする人間が、「子どもさえも殺さなければと思うほどの恐怖、その恐怖を底の底まで見つめること」、と答えている。日本を侵略、植民地支配へと駆り立ててきた恐怖とは何だったのか。反動の嵐に呑み込まれず権力の作用を見定め、そして「私たち自身の情熱」(ジュディス・バトラー)を見出す──そんな時を迎えている。
二〇二四年のリニューアル以来、久保舎己(すてみ)さんの木版画は、種まくクマと一緒に、本誌の「顔」をつくってきた(今号二九三頁「表紙作品について」もあわせてご覧ください)。
昨年八月、三重県の津市で行なわれた「津平和のための戦争展」の際、ご家族にお目にかかり、自室兼アトリエにもお邪魔した。家具職人やタクシー運転手の仕事を続けながら、約五〇年にわたり版画を制作してきた久保さん。古民家喫茶で読書会を開いていたほか、市内の本の会にも参加し、若い人たちとの意見交換を楽しみにしていたという。
女性が横たわる後ろ姿の輪郭が印象的な版画(昨年九月号表紙)の作品名は「何もしなくていいんだよ」。誰にかけた言葉だったのだろうか。
今号より画家・土屋未久(みく)さんの作品を掲載いたします。また、リレー連載「『戦後』解体」、若林恵(けい)さん「午前1時のメディアタイムズ」が始まります。
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~~『世界』臨時増刊号のご案内~~
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◎『世界』臨時増刊 ウクライナ侵略戦争──世界秩序の危機
『世界』編集部 編
2022年4月14日刊
定価1,320円
https://iwnm.jp/022242
※書籍版はご好評につき品切れとなりましたが、電子書籍版を配信中です。
国際社会は冷戦終結以降、最大の危機を迎えた。核大国による侵略という事態をどう理解し、どう対峙するのか。多角的に検証する。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
~~『世界』から生まれた本~~
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◎ブラック・カルチャー──大西洋を旅する声と音(岩波新書)
中村 隆之
定価1056円
https://iwnm.jp/432061
ブラック・カルチャーを貫く、アフリカ帰還という主題。音楽、文学、アートからその歴史と現在を旅する。
2025年4月18日発売
*地域によって、書店店頭に並ぶまで数日かる場合がございます。ご理解をいただけますと幸いです。
◎魂の教育──よい本は時を超えて人を動かす
森本 あんり
定価3190円
https://iwnm.jp/061669
『世界』好評連載「ボナエ・リテラエ」で紡がれた、実存をかけた神学遍歴の先の、ある救済の物語。
◎プリズン・サークル
坂上 香
定価2,200円
https://iwnm.jp/061526
人は、ひとりでは罪と向き合えない。日本初となる刑務所内での長期撮影、一〇年超の取材がここに結実。
◎学問と政治 学術会議任命拒否問題とは何か(岩波新書)
芦名定道、宇野重規、岡田正則、小沢隆一、加藤陽子、松宮孝明
定価924円
https://iwnm.jp/431925
日本学術会議会員任命拒否には、日本社会の矛盾が象徴されている。当事者六名が、その背景と本質を問う。
◎読書会という幸福(岩波新書)
向井和美
定価946円
https://iwnm.jp/431932
本を語ることは人生を語ること。三十年以上続く、豊穣な「魂の交流の場」への想いをやわらかな文章で綴る。
◎沖縄という窓 クロニクル2008―2022
山城紀子、松元 剛、親川志奈子
定価2,420円
https://iwnm.jp/061541
三人の書き手が多角的に描き出す沖縄の同時代史。一四年にわたる雑誌『世界』好評リレー連載を単行本化。
◎いま、この惑星で起きていること 気象予報士の眼に映る世界
森さやか
定価902円
https://iwnm.jp/500954
世界各地で観測される異常気象を気象予報士の立場で解説し、今後について考察する。『世界』の大好評連載をまとめた一冊。
◎孤塁 双葉郡消防士たちの3・11(岩波現代文庫)
吉田千亜
定価1,100円
https://iwnm.jp/603333
死と隣り合わせで震災と原発災害に対応した消防士たちを丹念に取材。当時の緊迫を描き出した迫力作。
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~~「WEB世界」のご案内~~
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雑誌『世界』のWEB版もぜひ、ご覧ください
https://tanemaki.iwanami.co.jp/
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■『世界』2025年4月号(第992号)好評発売中
2025年3月7日発行
定価1045円(税込)
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▼本号の目次
特集1/特集2/注目記事/世界の潮/本との出会い/連載/編集後記/
『世界』臨時増刊月号のご案内/『世界』から生まれた本/「WEB世界」のご案内
┏━━━┓
┃特集 1┃学校依存社会
┗━━━╋…────────────────────────────────
学校依存社会──シャドウ・ワークの行く末
内田 良(名古屋大学)
教員の長時間勤務をどう解決できるか?
広田照幸(日本大学)
学校─家庭の相互依存
福嶋尚子(千葉工業大学)
崖っぷちの保育を支える
氏家寛子(NHK)
学校の「当たり前」を再評価する
尾崎博美(東洋英和女学院大学)
┏━━━┓
┃特集 2┃もうひとつの韓国
┗━━━╋…────────────────────────────────
韓国ニューライトの戦略
ヤン・ミョンジ(ハワイ大学) 訳=秋元由紀(翻訳家)
「民主韓国」と日本─国交正常化六〇年、乙巳条約一二〇年を迎えて
権容ソク(一橋大学) ※「ソク」の字は、大の左右に百
〈「夜店」 特別編〉
呼び覚まされた「光州」の記憶──一二・三非常戒厳が問いかけるもの
佐藤雪絵(早稲田大学大学院博士後期課程)
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◆注目記事
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〈シリーズ〉
この社会の社会学 第3回 不登校をきちんと迷う
貴戸理恵(関西学院大学)
トランプのサディズムに臆するな
ジュディス・バトラー(哲学者) 訳=清水知子(東京藝術大学)
〈新連載〉
午前1時のメディアタイムズ 第1回 五〇年後のチャーチ委員会
若林 恵(編集者、黒鳥社)
〈新シリーズ〉
「戦後」解体 第1回 私化された怒りのゆくえ
古波藏契(歴史社会学)×福永玄弥(フェミニズム・クィア研究)
テレビ業界 ふたつの権力
北出真紀恵(東海学園大学)
男性議員へのハラスメント──ヒアリング調査から見えてきた実態
浜田真里(Stand by Women代表)※はまの字は、濱の異字体(いわゆる「まゆはま」)
〈対談〉
サステナビリティは菩提心から
松島 斉(東京大学)×金井政明(良品計画顧問)
自由民主主義と国際秩序 再構築の鍵
遠藤誠治(成蹊大学)
脳力のレッスン(274)第二次大戦後の日米中関係のバイオリズム
寺島実郎
〈スケッチ〉
浅草に出かけた
折坂悠太(シンガーソングライター)
〈連載最終回〉
アウシュヴィッツの焼却炉 第3回 「想起文化」をつなぐ
中村真人(フリーライター)
〈連載最終回〉
ファシズムは読書で、レイシズムは旅で治る 第3回 経験、そして物語
前川仁之(ノンフィクション作家)
〈ルポ〉
パレスチナ 「狂気」のなかの生──ヨルダン川西岸地区から
安田菜津紀(フォトジャーナリスト)
〈地下水汚染列島〉
水道水の汚染はなぜ 21世紀の公害PFOA
中川七海(Tansa)
〈地下水汚染列島〉
沖縄 PFAS汚染と基地政治
河村雅美(IPP代表)
反差別「地域からの革命」の一五年──「京都府人権条例」案の何が問題か
中村一成(ジャーナリスト)
いじめ後遺症 第2回 被害が後遺症へ至る過程──旭川市いじめ自殺(1)
斎藤 環(精神科医)
〈リレー連載〉
隣のジャーナリズム 義家氏へ……「リアルと向き合え!」
河野 啓(作家・映像制作者)
言葉と言葉のかくれんぼ 第12回 戦争が怖かった
斎藤真理子(翻訳家)
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◇世界の潮
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◇女性差別撤廃条約と天皇・皇族の人権
南野 森(九州大学)
◇靖国合祀国賠訴訟 敗訴なれど輝く「反対意見」
内田雅敏(弁護士)
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◇本との出会い
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◇中国SFの世界へようこそ
立原透耶(作家・翻訳家)
◇本とチェック 第23回 地域を育てる書店
金承福(クオン代表)
◇読書・観賞日記 読んで、観て、聴いて
酒井啓子(千葉大学)
◇「新自由主義+教育」の現在地を知る──児美川孝一郎『新自由主義教育の40年』
斎藤貴男(ジャーナリスト)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
●連載
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
ひとりで暮らす私たち 第7回 差と異の間の権利
和田靜香(ライター)
アジアとアメリカのあいだ 第4回 常識の革命、あるいは排斥の残りかす
望月優大(ライター)
彼女たちの「戦後」 第7回 角野栄子──青空の底の黒
山本昭宏(神戸市外国語大学)
あたふたと身支度 第7回 貧乏自慢
高橋純子(朝日新聞)
片山善博の「日本を診る」(185) 石破政権の「地方創生2・0」への期待と注文
片山善博(大正大学)
「変わらない」を変える 第23回 DEI「禁止令」仕掛けられたモラル・パニック
三浦まり(上智大学)
気候再生のために 第31回 トランプ2・0の気候変動対策
高村ゆかり(東京大学)
ドキュメント激動の南北朝鮮 第332回(25・1~2)
編集部
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○記憶をもった鏡──マルティーヌ・フランク『Martine Franck』
戸田昌子(写真史家)
○岩波俳句
選・文 池田澄子(俳人)
○アムネスティ通信
○表紙作品について
○読者談話室
○編集後記
○表紙木版画
土屋未久(表紙 見つめる 2025、裏表紙 確かなもの 2025)
○キャラクター・扉絵
西村ツチカ
○アートディレクション
須田杏菜
○本文デザイン
大原由衣+安賀裕子
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編集後記
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教員の過重労働をはじめ公教育の疲弊が指摘されて久しい。社会と学校との関係性を依存の視点から捉え直した特集1で、内田良さんは、教育の労働問題の核心は長時間業務そのものではない、それが不可視化されたまま継続してきたことにある、という。
フルタイムで働く保護者の定時の前も後ろもカバーして子どもを受けいれる学校。教員の長時間業務が等閑視(とうかんし)されるために、保護者側の働き方も抜本的な見直しには至っていない。
週末のカフェで、スマホで子どもの塾の授業を眺める女性の姿をよくみかける。これは私化された教育の例だが、性別役割分業が根強い社会で、とくに母親に「質の高い教育の提供」が求められるとの指摘にも頷かされる。
教員が担ってきた不払い労働を家庭へ、女性へそのまま移すだけでいいのか。子どもが大きくなったら、子どもがいなければ、長時間労働でいいのか。「見えないところ」に依存するかぎり、持続可能性にはたどりつけない。
第二次トランプ政権が始まってまだ五〇日も経っていない。移民の強制送還や「性別は男女のみ」などと人間の生を直撃する大統領令が次々と示された。無意識に心に防御壁を築く日々のなか、ここに世界と対峙する言葉がある、と文学者の対話に力づけられた。
往復エッセイ「言葉と言葉のかくれんぼ」の前号、チョン・スユンさんは、韓国での非常戒厳、戦争が場を変え復活し続ける歴史をふまえて、こう質問した。これからの世界に戦争をなくすために何が必要だと思いますか?
今号で斎藤真理子さんは、やはりやさしい言葉づかいながら、その問いを受けとめ、戦争をする人間が、「子どもさえも殺さなければと思うほどの恐怖、その恐怖を底の底まで見つめること」、と答えている。日本を侵略、植民地支配へと駆り立ててきた恐怖とは何だったのか。反動の嵐に呑み込まれず権力の作用を見定め、そして「私たち自身の情熱」(ジュディス・バトラー)を見出す──そんな時を迎えている。
二〇二四年のリニューアル以来、久保舎己(すてみ)さんの木版画は、種まくクマと一緒に、本誌の「顔」をつくってきた(今号二九三頁「表紙作品について」もあわせてご覧ください)。
昨年八月、三重県の津市で行なわれた「津平和のための戦争展」の際、ご家族にお目にかかり、自室兼アトリエにもお邪魔した。家具職人やタクシー運転手の仕事を続けながら、約五〇年にわたり版画を制作してきた久保さん。古民家喫茶で読書会を開いていたほか、市内の本の会にも参加し、若い人たちとの意見交換を楽しみにしていたという。
女性が横たわる後ろ姿の輪郭が印象的な版画(昨年九月号表紙)の作品名は「何もしなくていいんだよ」。誰にかけた言葉だったのだろうか。
今号より画家・土屋未久(みく)さんの作品を掲載いたします。また、リレー連載「『戦後』解体」、若林恵(けい)さん「午前1時のメディアタイムズ」が始まります。
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◎『世界』臨時増刊 ウクライナ侵略戦争──世界秩序の危機
『世界』編集部 編
2022年4月14日刊
定価1,320円
https://iwnm.jp/022242
※書籍版はご好評につき品切れとなりましたが、電子書籍版を配信中です。
国際社会は冷戦終結以降、最大の危機を迎えた。核大国による侵略という事態をどう理解し、どう対峙するのか。多角的に検証する。
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~~『世界』から生まれた本~~
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◎ブラック・カルチャー──大西洋を旅する声と音(岩波新書)
中村 隆之
定価1056円
https://iwnm.jp/432061
ブラック・カルチャーを貫く、アフリカ帰還という主題。音楽、文学、アートからその歴史と現在を旅する。
2025年4月18日発売
*地域によって、書店店頭に並ぶまで数日かる場合がございます。ご理解をいただけますと幸いです。
◎魂の教育──よい本は時を超えて人を動かす
森本 あんり
定価3190円
https://iwnm.jp/061669
『世界』好評連載「ボナエ・リテラエ」で紡がれた、実存をかけた神学遍歴の先の、ある救済の物語。
◎プリズン・サークル
坂上 香
定価2,200円
https://iwnm.jp/061526
人は、ひとりでは罪と向き合えない。日本初となる刑務所内での長期撮影、一〇年超の取材がここに結実。
◎学問と政治 学術会議任命拒否問題とは何か(岩波新書)
芦名定道、宇野重規、岡田正則、小沢隆一、加藤陽子、松宮孝明
定価924円
https://iwnm.jp/431925
日本学術会議会員任命拒否には、日本社会の矛盾が象徴されている。当事者六名が、その背景と本質を問う。
◎読書会という幸福(岩波新書)
向井和美
定価946円
https://iwnm.jp/431932
本を語ることは人生を語ること。三十年以上続く、豊穣な「魂の交流の場」への想いをやわらかな文章で綴る。
◎沖縄という窓 クロニクル2008―2022
山城紀子、松元 剛、親川志奈子
定価2,420円
https://iwnm.jp/061541
三人の書き手が多角的に描き出す沖縄の同時代史。一四年にわたる雑誌『世界』好評リレー連載を単行本化。
◎いま、この惑星で起きていること 気象予報士の眼に映る世界
森さやか
定価902円
https://iwnm.jp/500954
世界各地で観測される異常気象を気象予報士の立場で解説し、今後について考察する。『世界』の大好評連載をまとめた一冊。
◎孤塁 双葉郡消防士たちの3・11(岩波現代文庫)
吉田千亜
定価1,100円
https://iwnm.jp/603333
死と隣り合わせで震災と原発災害に対応した消防士たちを丹念に取材。当時の緊迫を描き出した迫力作。
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