『世界』メールマガジン/2025年5月号【特集1:憲法を取り戻す】 【特集2:ビッグテックと権力】
2025/04/08 (Tue) 11:00
■■---------------------------------------------------------
■■ 『世界』メールマガジン/2025年5月号
■■ vol.#0119
■■---------------------------------------------------------
=============================================================
■『世界』2025年5月号(第993号)好評発売中
2025年4月8日発行
定価1045円(税込)
=============================================================
▼本号の目次
特集1/特集2/注目記事/世界の潮/本との出会い/連載/編集後記/
『世界』臨時増刊月号のご案内/『世界』から生まれた本/「WEB世界」のご案内
┏━━━┓
┃特集 1┃憲法を取り戻す
┗━━━╋…────────────────────────────────
憲法「番外地」の拡大に抗して よみがえる「統帥権」独立問題
青井未帆(学習院大学)
夫婦同姓という人権問題
寺原真希子(弁護士)
脅かされる公民館と集会の自由
田島泰彦(元上智大学教授)
能動的サイバー防御と「通信の秘密」
實原隆志(南山大学)
┏━━━┓
┃特集 2┃ビッグテックと権力
┗━━━╋…────────────────────────────────
テック起業家たちのイデオロギー──イーロン・マスクとピーター・ティール
橋本 努(北海道大学)
イーロン・マスク 権力への階段
エリック・リプトン、セオドア・シュライファー(ニューヨークタイムズ記者) /訳=秋元由紀(翻訳家)
AI倫理 三つの波── “効率的な破壊”を防ぐために
横山広美(東京大学)
トランプと「テック・オリガルヒ」との危険な関係
小林泰明(読売新聞)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◆注目記事
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
〈対談〉
“力の時代”を直視せよ──ウクライナ戦争と「欧米の終わり」
遠藤 乾(東京大学)×田中 均(元外務審議官)
ドイツ 自由民主主義への内なる脅威──連邦議会選挙と極右政党AfDの躍進
板橋拓己(東京大学)
〈連載〉
「変わらない」を変える 第24回 狙われるエリート大学
三浦まり(上智大学)
〈連載〉
午前1時のメディアタイムズ 第2回 アメリカファーストの反対語
若林 恵(編集者/黒鳥社)
〈座談会〉
「大東亜共栄圏」から捉え直す日本の戦争
内海愛子(恵泉女学園大学名誉教授)×後藤乾一(早稲田大学名誉教授)×成田龍一(日本女子大学名誉教授)
「隣人」フィリピンとの80年──対日感情の変遷を読み解く
柴田直治(ジャーナリスト)
日銀にダンスはうまく踊れない──植田総裁、2年目の苦闘
西野智彦(ジャーナリスト)
著名人へのネットハラスメント──デジタル公共空間の責任と可能性
高野雅典(サイバーエージェント)、永田夏来(兵庫教育大学)
〈スケッチ〉
白に沈む街
石沢麻依(小説家)
〈夜店〉
ミシマ文学、米語圏をいく──『潮騒』の船出
片岡真伊(国際日本文化研究センター)
〈連載小説〉
不屈のひと 物語「女工哀史」 第1回 出会い
石田陽子(文筆業、編集者)
〈最終回〉
ひとりで暮らす私たち 第8回 「生きていかないとならないから」
和田靜香(ライター)
「見えない手錠」を今からでも外す──追悼 石川一雄さん
黒川みどり(静岡大学名誉教授)
子どもたちを脅かす意外な薬物
松本俊彦(精神科医)
隣のジャーナリズム 全盲の記者として
佐木理人(毎日新聞/点字毎日)
〈シリーズ〉
「戦後」解体 第2回 コメと原子力──〈東北〉と戦後八〇年
山内明美(宮城教育大学)
連続する「未曽有の水害」──水害統計調査の意味を問う
梶原健嗣(愛国学園大学)
〈連載〉
この社会の社会学 第4回 大風呂敷はみんなでつくる
齋藤直子(大阪教育大学)
〈連載〉
最後は教育なのか? 第9回「いじめ、カッコ悪い。」ではなく──真下麻里子さんに聞く武田砂鉄(ライター)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◇世界の潮
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◇ドゥテルテ前大統領逮捕 激化するマルコス家との対立
日下 渉(東京外国語大学)
◇高額療養費制度見直し 石破政権は何を誤ったか
岩永直子(医療記者)
◇特定生殖補助医療法案と「出自を知る権利」
石塚幸子(ドナーリンク・ジャパン)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◇本との出会い
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◇言葉と言葉のかくれんぼ 第13回 私たちは、愛だから
チョン・スユン(翻訳家)
◇本とチェック 第24回 本の中の小道
金承福(クオン代表)
◇読書・観賞日記 読んで、観て、聴いて
新城和博(編集者)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
●連載
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
アジアとアメリカのあいだ 第5回 誰かがHマートで泣いてしまうのは
望月優大(ライター)
あたふたと身支度 第8回 オーラ服は古びない
高橋純子(朝日新聞)
彼女たちの「戦後」 第8回 ゴーマン美智子──走り方を変えた女
山本昭宏(神戸市外国語大学)
脳力のレッスン(275) 「台湾有事」と日米中トライアングル
寺島実郎
片山善博の「日本を診る」(186) あらためて知事の資質を問う
片山善博(大正大学)
気候再生のために 第32回 脱炭素化の「コスト」とトランプリスク
江守正多(東京大学)
いじめ後遺症 第3回 苦しみの足跡と症状を辿る──旭川市いじめ自殺(2)
斎藤 環(精神科医)
ドキュメント激動の南北朝鮮 第333回(25・2~3)
編集部
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
○記憶をもった鏡 時津 剛『Behind The Blue』
戸田昌子(写真史家)
○岩波俳句
選・文 池田澄子(俳人)
○アムネスティ通信
○読者談話室
○編集後記
○表紙画
土屋未久(表紙 芽ぐむ 2025、裏表紙 声 2025)
○キャラクター・扉絵
西村ツチカ
○アートディレクション
須田杏菜
○本文デザイン
大原由衣+安賀裕子
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
編集後記
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
装いから個として生きる自由を考える連載「あたふたと身支度」で、今月、高橋純子さんは、古着「沼」での発見を紹介している。私も実は、昨年ある古着屋さんと出会い、服とのつきあいが変わった。好きな服を着るときは汚さないようにと緊張していたが、もう経年劣化済みの古着は、気持ちがくつろいで着るたび親しみが増す。
「町の人たちはわたしたちのことをブタだ、ブタだと言います。……夜業上がりの日曜日に外出しても、疲れて半分居眠りをしながらブタのように歩いているからだと思います」
今年は『女工哀史』一〇〇年。今号から始まるノンフィクション・ノベル「不屈のひと」で、主人公の紡績労働者トシヲはこう語る。一九一六年の工場法施行後も女工たちの労働環境は過酷をきわめた。だが、誰にも気がねなく過ごせる時間がほしい、人間らしいものを食べたい──トシヲの願いに、時を超えた結びつきを感じる。
それから一世紀を経て、時代は前に進んでいるのだろうか。第二次トランプ政権での富と権力の集中、剥き出しのパワーゲームに、帝国主義という言葉を思わずにはいられない。
イーロン・マスクの所有する企業が米政府から得た利益は過去五年間で約二兆円に及び、そのマスクが同時に政府機関を動かす権力を手にしている(「イーロン・マスク 権力への階段」)。利益相反の規模に驚くが、マスクやトランプに忠誠を誓う人々が共有する「効率」への志向、官僚機構に対する蔑視は日本でも他人事とはいえない。
内政の問題を解決するために外交を利用してはならない。そう元外交官の田中均さんがかねて警鐘を鳴らす「外交の内政化」もかつてないほど深刻だ。
一月に発効したガザ停戦合意が崩壊の危機にある。新たに四〇〇人以上の生命を奪ったイスラエルによる大規模攻撃再開の理由は、ネタニヤフ政権の延命であったとの指摘がある。国家予算成立のため、停戦に反対する極右政党の協力が必要だったという。
三月二五日の朝、朝日新聞のガザ通信員だったムハンマド・マンスールさんがイスラエル軍のミサイル攻撃で亡くなったと知った。ガザに安全な場所などどこにもない、そう発し続けてきたすえのことだった。二三歳のアルジャジーラ記者ホッサム・シャバットさんも同じ日に命を奪われた。
ジャーナリストたちは巻き添えになったのではない、これは目撃者を消し去ることで報道や物語を支配しようとする戦略だ──とする声が改めて沸き起こり、不条理を暗闇に置き続ける西側メディアの責任が問われている(アフマド・イブサイス、Mondoweissより)。
結束すべき「国際社会」が分解するなかで、私たちはどんな平和を望んでいるのだろう。翻訳家のチョン・スユンさんが連載で挙げた詩が心にとどまっている。
今のあなたの暮しが平和だから/平和を守れ というな/今のあなたの暮しが/人々の貧困とうらみを土台にして/いる限り(石牟礼道子「花」)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
~~『世界』臨時増刊号のご案内~~
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◎『世界』臨時増刊 ウクライナ侵略戦争──世界秩序の危機
『世界』編集部 編
2022年4月14日刊
定価1,320円
https://iwnm.jp/022242
※書籍版はご好評につき品切れとなりましたが、電子書籍版を配信中です。
国際社会は冷戦終結以降、最大の危機を迎えた。核大国による侵略という事態をどう理解し、どう対峙するのか。多角的に検証する。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
~~『世界』から生まれた本~~
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◎ブラック・カルチャー──大西洋を旅する声と音(岩波新書)
中村 隆之
定価1056円
https://iwnm.jp/432061
ブラック・カルチャーを貫く、アフリカ帰還という主題。音楽、文学、アートからその歴史と現在を旅する。
2025年4月18日発売
*地域によって、書店店頭に並ぶまで数日かる場合がございます。ご理解をいただけますと幸いです。
◎魂の教育──よい本は時を超えて人を動かす
森本 あんり
定価3190円
https://iwnm.jp/061669
『世界』好評連載「ボナエ・リテラエ」で紡がれた、実存をかけた神学遍歴の先の、ある救済の物語。
◎プリズン・サークル
坂上 香
定価2,200円
https://iwnm.jp/061526
人は、ひとりでは罪と向き合えない。日本初となる刑務所内での長期撮影、一〇年超の取材がここに結実。
◎学問と政治 学術会議任命拒否問題とは何か(岩波新書)
芦名定道、宇野重規、岡田正則、小沢隆一、加藤陽子、松宮孝明
定価924円
https://iwnm.jp/431925
日本学術会議会員任命拒否には、日本社会の矛盾が象徴されている。当事者六名が、その背景と本質を問う。
◎読書会という幸福(岩波新書)
向井和美
定価946円
https://iwnm.jp/431932
本を語ることは人生を語ること。三十年以上続く、豊穣な「魂の交流の場」への想いをやわらかな文章で綴る。
◎沖縄という窓 クロニクル2008―2022
山城紀子、松元 剛、親川志奈子
定価2,420円
https://iwnm.jp/061541
三人の書き手が多角的に描き出す沖縄の同時代史。一四年にわたる雑誌『世界』好評リレー連載を単行本化。
◎いま、この惑星で起きていること 気象予報士の眼に映る世界
森さやか
定価902円
https://iwnm.jp/500954
世界各地で観測される異常気象を気象予報士の立場で解説し、今後について考察する。『世界』の大好評連載をまとめた一冊。
◎孤塁 双葉郡消防士たちの3・11(岩波現代文庫)
吉田千亜
定価1,100円
https://iwnm.jp/603333
死と隣り合わせで震災と原発災害に対応した消防士たちを丹念に取材。当時の緊迫を描き出した迫力作。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
~~「WEB世界」のご案内~~
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
雑誌『世界』のWEB版もぜひ、ご覧ください
https://tanemaki.iwanami.co.jp/
===============================================================
------------------------------------------------------------
登録情報の編集・解除は,こちらよりお願いいたします.
https://iwnm.jp/MM
---------------------------------------------------------------
□『世界』メールマガジン
〒101-8002 東京都千代田区一ツ橋2-5-5
E-Mail: sekai@iwanami.co.jp
WEB: https://iwnm.jp/sekai
X(旧Twitter): https://twitter.com/WEB_SEKAI
◇本誌のご注文はお近くの書店か小社営業部宛てにお願いいたします.
岩波書店営業部読者係(TEL:03-5210-4111,FAX:03-3263-6999)
===============================================================
■■ 『世界』メールマガジン/2025年5月号
■■ vol.#0119
■■---------------------------------------------------------
=============================================================
■『世界』2025年5月号(第993号)好評発売中
2025年4月8日発行
定価1045円(税込)
=============================================================
▼本号の目次
特集1/特集2/注目記事/世界の潮/本との出会い/連載/編集後記/
『世界』臨時増刊月号のご案内/『世界』から生まれた本/「WEB世界」のご案内
┏━━━┓
┃特集 1┃憲法を取り戻す
┗━━━╋…────────────────────────────────
憲法「番外地」の拡大に抗して よみがえる「統帥権」独立問題
青井未帆(学習院大学)
夫婦同姓という人権問題
寺原真希子(弁護士)
脅かされる公民館と集会の自由
田島泰彦(元上智大学教授)
能動的サイバー防御と「通信の秘密」
實原隆志(南山大学)
┏━━━┓
┃特集 2┃ビッグテックと権力
┗━━━╋…────────────────────────────────
テック起業家たちのイデオロギー──イーロン・マスクとピーター・ティール
橋本 努(北海道大学)
イーロン・マスク 権力への階段
エリック・リプトン、セオドア・シュライファー(ニューヨークタイムズ記者) /訳=秋元由紀(翻訳家)
AI倫理 三つの波── “効率的な破壊”を防ぐために
横山広美(東京大学)
トランプと「テック・オリガルヒ」との危険な関係
小林泰明(読売新聞)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◆注目記事
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
〈対談〉
“力の時代”を直視せよ──ウクライナ戦争と「欧米の終わり」
遠藤 乾(東京大学)×田中 均(元外務審議官)
ドイツ 自由民主主義への内なる脅威──連邦議会選挙と極右政党AfDの躍進
板橋拓己(東京大学)
〈連載〉
「変わらない」を変える 第24回 狙われるエリート大学
三浦まり(上智大学)
〈連載〉
午前1時のメディアタイムズ 第2回 アメリカファーストの反対語
若林 恵(編集者/黒鳥社)
〈座談会〉
「大東亜共栄圏」から捉え直す日本の戦争
内海愛子(恵泉女学園大学名誉教授)×後藤乾一(早稲田大学名誉教授)×成田龍一(日本女子大学名誉教授)
「隣人」フィリピンとの80年──対日感情の変遷を読み解く
柴田直治(ジャーナリスト)
日銀にダンスはうまく踊れない──植田総裁、2年目の苦闘
西野智彦(ジャーナリスト)
著名人へのネットハラスメント──デジタル公共空間の責任と可能性
高野雅典(サイバーエージェント)、永田夏来(兵庫教育大学)
〈スケッチ〉
白に沈む街
石沢麻依(小説家)
〈夜店〉
ミシマ文学、米語圏をいく──『潮騒』の船出
片岡真伊(国際日本文化研究センター)
〈連載小説〉
不屈のひと 物語「女工哀史」 第1回 出会い
石田陽子(文筆業、編集者)
〈最終回〉
ひとりで暮らす私たち 第8回 「生きていかないとならないから」
和田靜香(ライター)
「見えない手錠」を今からでも外す──追悼 石川一雄さん
黒川みどり(静岡大学名誉教授)
子どもたちを脅かす意外な薬物
松本俊彦(精神科医)
隣のジャーナリズム 全盲の記者として
佐木理人(毎日新聞/点字毎日)
〈シリーズ〉
「戦後」解体 第2回 コメと原子力──〈東北〉と戦後八〇年
山内明美(宮城教育大学)
連続する「未曽有の水害」──水害統計調査の意味を問う
梶原健嗣(愛国学園大学)
〈連載〉
この社会の社会学 第4回 大風呂敷はみんなでつくる
齋藤直子(大阪教育大学)
〈連載〉
最後は教育なのか? 第9回「いじめ、カッコ悪い。」ではなく──真下麻里子さんに聞く武田砂鉄(ライター)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◇世界の潮
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◇ドゥテルテ前大統領逮捕 激化するマルコス家との対立
日下 渉(東京外国語大学)
◇高額療養費制度見直し 石破政権は何を誤ったか
岩永直子(医療記者)
◇特定生殖補助医療法案と「出自を知る権利」
石塚幸子(ドナーリンク・ジャパン)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◇本との出会い
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◇言葉と言葉のかくれんぼ 第13回 私たちは、愛だから
チョン・スユン(翻訳家)
◇本とチェック 第24回 本の中の小道
金承福(クオン代表)
◇読書・観賞日記 読んで、観て、聴いて
新城和博(編集者)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
●連載
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
アジアとアメリカのあいだ 第5回 誰かがHマートで泣いてしまうのは
望月優大(ライター)
あたふたと身支度 第8回 オーラ服は古びない
高橋純子(朝日新聞)
彼女たちの「戦後」 第8回 ゴーマン美智子──走り方を変えた女
山本昭宏(神戸市外国語大学)
脳力のレッスン(275) 「台湾有事」と日米中トライアングル
寺島実郎
片山善博の「日本を診る」(186) あらためて知事の資質を問う
片山善博(大正大学)
気候再生のために 第32回 脱炭素化の「コスト」とトランプリスク
江守正多(東京大学)
いじめ後遺症 第3回 苦しみの足跡と症状を辿る──旭川市いじめ自殺(2)
斎藤 環(精神科医)
ドキュメント激動の南北朝鮮 第333回(25・2~3)
編集部
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
○記憶をもった鏡 時津 剛『Behind The Blue』
戸田昌子(写真史家)
○岩波俳句
選・文 池田澄子(俳人)
○アムネスティ通信
○読者談話室
○編集後記
○表紙画
土屋未久(表紙 芽ぐむ 2025、裏表紙 声 2025)
○キャラクター・扉絵
西村ツチカ
○アートディレクション
須田杏菜
○本文デザイン
大原由衣+安賀裕子
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
編集後記
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
装いから個として生きる自由を考える連載「あたふたと身支度」で、今月、高橋純子さんは、古着「沼」での発見を紹介している。私も実は、昨年ある古着屋さんと出会い、服とのつきあいが変わった。好きな服を着るときは汚さないようにと緊張していたが、もう経年劣化済みの古着は、気持ちがくつろいで着るたび親しみが増す。
「町の人たちはわたしたちのことをブタだ、ブタだと言います。……夜業上がりの日曜日に外出しても、疲れて半分居眠りをしながらブタのように歩いているからだと思います」
今年は『女工哀史』一〇〇年。今号から始まるノンフィクション・ノベル「不屈のひと」で、主人公の紡績労働者トシヲはこう語る。一九一六年の工場法施行後も女工たちの労働環境は過酷をきわめた。だが、誰にも気がねなく過ごせる時間がほしい、人間らしいものを食べたい──トシヲの願いに、時を超えた結びつきを感じる。
それから一世紀を経て、時代は前に進んでいるのだろうか。第二次トランプ政権での富と権力の集中、剥き出しのパワーゲームに、帝国主義という言葉を思わずにはいられない。
イーロン・マスクの所有する企業が米政府から得た利益は過去五年間で約二兆円に及び、そのマスクが同時に政府機関を動かす権力を手にしている(「イーロン・マスク 権力への階段」)。利益相反の規模に驚くが、マスクやトランプに忠誠を誓う人々が共有する「効率」への志向、官僚機構に対する蔑視は日本でも他人事とはいえない。
内政の問題を解決するために外交を利用してはならない。そう元外交官の田中均さんがかねて警鐘を鳴らす「外交の内政化」もかつてないほど深刻だ。
一月に発効したガザ停戦合意が崩壊の危機にある。新たに四〇〇人以上の生命を奪ったイスラエルによる大規模攻撃再開の理由は、ネタニヤフ政権の延命であったとの指摘がある。国家予算成立のため、停戦に反対する極右政党の協力が必要だったという。
三月二五日の朝、朝日新聞のガザ通信員だったムハンマド・マンスールさんがイスラエル軍のミサイル攻撃で亡くなったと知った。ガザに安全な場所などどこにもない、そう発し続けてきたすえのことだった。二三歳のアルジャジーラ記者ホッサム・シャバットさんも同じ日に命を奪われた。
ジャーナリストたちは巻き添えになったのではない、これは目撃者を消し去ることで報道や物語を支配しようとする戦略だ──とする声が改めて沸き起こり、不条理を暗闇に置き続ける西側メディアの責任が問われている(アフマド・イブサイス、Mondoweissより)。
結束すべき「国際社会」が分解するなかで、私たちはどんな平和を望んでいるのだろう。翻訳家のチョン・スユンさんが連載で挙げた詩が心にとどまっている。
今のあなたの暮しが平和だから/平和を守れ というな/今のあなたの暮しが/人々の貧困とうらみを土台にして/いる限り(石牟礼道子「花」)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
~~『世界』臨時増刊号のご案内~~
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◎『世界』臨時増刊 ウクライナ侵略戦争──世界秩序の危機
『世界』編集部 編
2022年4月14日刊
定価1,320円
https://iwnm.jp/022242
※書籍版はご好評につき品切れとなりましたが、電子書籍版を配信中です。
国際社会は冷戦終結以降、最大の危機を迎えた。核大国による侵略という事態をどう理解し、どう対峙するのか。多角的に検証する。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
~~『世界』から生まれた本~~
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◎ブラック・カルチャー──大西洋を旅する声と音(岩波新書)
中村 隆之
定価1056円
https://iwnm.jp/432061
ブラック・カルチャーを貫く、アフリカ帰還という主題。音楽、文学、アートからその歴史と現在を旅する。
2025年4月18日発売
*地域によって、書店店頭に並ぶまで数日かる場合がございます。ご理解をいただけますと幸いです。
◎魂の教育──よい本は時を超えて人を動かす
森本 あんり
定価3190円
https://iwnm.jp/061669
『世界』好評連載「ボナエ・リテラエ」で紡がれた、実存をかけた神学遍歴の先の、ある救済の物語。
◎プリズン・サークル
坂上 香
定価2,200円
https://iwnm.jp/061526
人は、ひとりでは罪と向き合えない。日本初となる刑務所内での長期撮影、一〇年超の取材がここに結実。
◎学問と政治 学術会議任命拒否問題とは何か(岩波新書)
芦名定道、宇野重規、岡田正則、小沢隆一、加藤陽子、松宮孝明
定価924円
https://iwnm.jp/431925
日本学術会議会員任命拒否には、日本社会の矛盾が象徴されている。当事者六名が、その背景と本質を問う。
◎読書会という幸福(岩波新書)
向井和美
定価946円
https://iwnm.jp/431932
本を語ることは人生を語ること。三十年以上続く、豊穣な「魂の交流の場」への想いをやわらかな文章で綴る。
◎沖縄という窓 クロニクル2008―2022
山城紀子、松元 剛、親川志奈子
定価2,420円
https://iwnm.jp/061541
三人の書き手が多角的に描き出す沖縄の同時代史。一四年にわたる雑誌『世界』好評リレー連載を単行本化。
◎いま、この惑星で起きていること 気象予報士の眼に映る世界
森さやか
定価902円
https://iwnm.jp/500954
世界各地で観測される異常気象を気象予報士の立場で解説し、今後について考察する。『世界』の大好評連載をまとめた一冊。
◎孤塁 双葉郡消防士たちの3・11(岩波現代文庫)
吉田千亜
定価1,100円
https://iwnm.jp/603333
死と隣り合わせで震災と原発災害に対応した消防士たちを丹念に取材。当時の緊迫を描き出した迫力作。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
~~「WEB世界」のご案内~~
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
雑誌『世界』のWEB版もぜひ、ご覧ください
https://tanemaki.iwanami.co.jp/
===============================================================
------------------------------------------------------------
登録情報の編集・解除は,こちらよりお願いいたします.
https://iwnm.jp/MM
---------------------------------------------------------------
□『世界』メールマガジン
〒101-8002 東京都千代田区一ツ橋2-5-5
E-Mail: sekai@iwanami.co.jp
WEB: https://iwnm.jp/sekai
X(旧Twitter): https://twitter.com/WEB_SEKAI
◇本誌のご注文はお近くの書店か小社営業部宛てにお願いいたします.
岩波書店営業部読者係(TEL:03-5210-4111,FAX:03-3263-6999)
===============================================================