『世界』メールマガジン/2025年7月号【特集1:憎悪の政治学 】 【特集2:私たちはなぜ不安なのか】
2025/06/06 (Fri) 11:00
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■■ 『世界』メールマガジン/2025年7月号
■■ vol.#0121
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■『世界』2025年7月号(第995号)好評発売中
2025年6月6日発行
定価1045円(税込)
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▼本号の目次
特集1/特集2/注目記事/世界の潮/本との出会い/連載/編集後記/読者談話室・投稿募集/『世界』臨時増刊月号のご案内/『世界』から生まれた本/「WEB世界」のご案内
┏━━━┓
┃特集 1┃憎悪の政治学
┗━━━╋…────────────────────────────────
誹謗中傷の洪水に立つ──「報道特集」兵庫県知事選検証から
チョ琴袖(TBS「報道特集」編集長) ※「チョ」の字は、縦棒が1本少ない「曹」の異体字
取り残された人々の財政ポピュリズム──財務省解体デモの論理と心情
伊藤昌亮(成蹊大学)
女性への制裁という「エンタメ」──ミソジニーの収益化とColabo攻撃
小川たまか(ライター)
どのような憎悪か?──ランシエールから考える
鈴木亘(東京大学)
排外主義を動かす政治──クルド人差別とヘイトの本質
倉橋耕平(創価大学)
┏━━━┓
┃特集 2┃私たちはなぜ不安なのか
┗━━━╋…────────────────────────────────
〈座談会〉
人は会話しながら生きている
小澤いぶき(児童精神科医)×名郷直樹(医師)×松山純子(社労士)×森川すいめい(精神科医)
SOSを出さない日本人──規範を優先する社会
石井敬子(名古屋大学)
〈インタビュー〉
雑談が人を救うこともある
松本俊彦(精神科医)
「自分疲れ」と社会──やさしく混じり合う場所がどこかにある
頭木弘樹(文学紹介者)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◆注目記事
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
米中対立はグローバルな自由貿易体制をどう変えるのか
梶谷 懐(神戸大学)
終末ファシズムの勃興
ナオミ・クライン(ジャーナリスト)、アストラ・テイラー(ドキュメンタリー作家)、訳=中村峻太郎(翻訳家)
〈連載〉
午前1時のメディアタイムズ 第4回 ニュースをめぐる分断線
若林 恵(編集者/黒鳥社)
日米「コメ密約」の闇─ミニマム・アクセス米と塩飽文書
山田 優(農業ジャーナリスト)
研究不正の蔓延──日本の科学はどのように蝕まれているか
田中智之(京都薬科大学)
〈連載〉
最後は教育なのか? 第10回 みんな受験を語りたがる──中村高康さんに聞く
武田砂鉄(ライター)
〈リレー連載〉
隣のジャーナリズム 「大谷バブル」と忖度報道
水谷竹秀(ノンフィクションライター)
〈スケッチ〉
ひらめきを書きとめる
古賀及子(エッセイスト)
〈シリーズ夜店〉
猟師の眼で見る 「熊問題」の人類学
北川真紀(東京大学)
〈連載〉
原発事故 検証の空白 第2回 隠された雨の汚染
添田孝史(科学ジャーナリスト)
拘禁刑で刑務所はどうなる──刑務官は変われるか
浜井浩一(龍谷大学)
市民的エネルギー管理の可能性──理想と現実のあいだから
古賀勇人(マンチェスター大学博士課程)
〈シリーズ〉
この社会の社会学 第6回 都市の「棲み分け」を可視化する
川野英二(大阪公立大学)
〈連載小説〉
不屈のひと 物語「女工哀史」 第3回(最終回) 敵、襲来
石田陽子(文筆業、編集者)
〈シリーズ〉
「戦後」解体 第4回 交差する暴力に抗う回路──在日朝鮮人の記憶とケアの倫理
李 杏理(東京経済大学)
〈インタビュー〉
「白人女性の闘いは、私たちの闘いではなかった」──『チャーチ・レディの秘密の生活』著者インタビー
ディーシャ・フィルヨー(作家)、聞き手=押野素子(翻訳家)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◇世界の潮
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◇「エルドアンのトルコ」の急展開
今井宏平(ジェトロ・アジア経済研究所)
◇憲法問題としての教員の働き方改革──給特法等改正は学校を救えるか
高橋 哲(大阪大学)※「高」の字はいわゆる梯子高
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◇本との出会い
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◇読書・鑑賞日記 読んで、観て、聴いて
中村佑子(作家/映像作家)
◇本とチェック 第26回 神保町の隣人たち
金承福(クオン代表)
◇言葉と言葉のかくれんぼ 第15回 隣国語の森
チョン・スユン(翻訳家)
◇戦後の悪人正機説──大澤真幸『西洋近代の罪』
藤沢 周(小説家)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
●連載
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
アジアとアメリカのあいだ 第7回 人間を消す国、記憶も消す国
望月優大(ライター)
あたふたと身支度 第10回 いつかはグレイヘア
高橋純子(朝日新聞)
彼女たちの「戦後」 第10回 平野レミ──自由と歓待
山本昭宏(神戸市外国語大学)
「変わらない」を変える 第26回 バックラッシュとミソジニー
三浦まり(上智大学)
脳力のレッスン(277) ウクライナの影 ロシア革命そして満州国へ
寺島実郎
片山善博の「日本を診る」(188) これまでのコメ政策はミッションを間違えている
片山善博(大正大学)
気候再生のために 第34回 気候と社会の悪循環
江守正多(東京大学)
いじめ後遺症 第5回 「否認」という病理
斎藤 環(精神科医)
ドキュメント激動の南北朝鮮 第335回(25・4~5)
編集部
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
○記憶をもった鏡 西野壮平『Short Stories: Beppu』
戸田昌子(写真史家)
○岩波俳句
選・文 池田澄子(俳人)
○アムネスティ通信
○読者談話室
○編集後記
○表紙画
土屋未久(表紙 問う、 2025、裏表紙 夜になる 2025)
○キャラクター・扉絵
西村ツチカ
○アートディレクション
須田杏菜
○本文デザイン
大原由衣+安賀裕子+都井美穂子
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
編集後記
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
本誌を開くと、はじめに写真作品と種まくクマのイラストがある。
口絵連載「記憶をもった鏡」筆者で写真史家の戸田昌子さんは以前、本の扉について、インターネットのトップページにはない、違う世界への窓としての役割があると話していた。
移動中に、寝る前に、喫茶店で、本を開いて読む時間の静けさを意識することが増えた。スマホから切り離されることのない日常、その裏返しだろう。
斎藤元彦兵庫県知事に対する内部告発を巡り、知事自ら告発者の私的情報を外部と共有するよう指示した疑いが指摘された。告発者である県民局長、百条委員会で知事のパワハラ疑惑等を調査していた元県議の男性は、攻撃、誹謗中傷に晒されるなか命を絶った。県知事選に立候補しながらも斎藤氏を応援、虚偽情報を拡散した立花孝志NHK党党首は参院選にも出馬するという。
Xを離脱する人も増えているが、SNS上での様々な標的への攻撃はとどまるところを知らない。兵庫での「二馬力選挙」の実態、元県議の死の背景を伝え反響を呼んだ「報道特集」のチョ琴袖(※「チョ」の字は、縦棒が1本少ない「曹」の異体字)編集長は、番組を準備する過程で、様々な取材者の本音にも触れたという。「『犬笛』を吹かれた人に近づけば次は自分が『犬笛』の対象になるかもしれない」。この嵐はどのように生まれたのだろう。メディアの消極姿勢を前に、女性への制裁を消費する動きは、司法の場での敗北をよそに収益を得て続いていく(特集1小川たまかさん)。
短い新緑の季節、連休中に映画『太陽(ティダ)の運命』(佐古忠彦監督)を観た。「沖縄は日本か」「日本は本当に民主主義国なのか」。生涯をかけてそう迫った元沖縄県知事の大田昌秀、翁長雄志両氏の歩みと交錯点を振り返るドキュメンタリーで、大田さんがジュークボックスで繰り返し聴いていた沖縄民謡が紹介されている。「うんじゅん 我んにん いゃーん 我んにん 艦砲ぬ喰ぇー残さー」。艦砲射撃の生き残りという表現は見聞きしてきたが、「あなたも、わたしも、おまえも、おれも」生き残りである。共同体の記憶として、歌が堆積する時間の中に響いていると知った。
映画を観た翌日、埼玉県の丸木美術館に出かけた。丸木位里・俊夫妻の共同制作作品が四方を囲む展示空間で前野健太さんが演奏した一曲に、対馬丸記念館への訪問を機につくった「戦争が夏でよかった」があった。おおきな歌声を聴きながら、間近の《アウシュビッツの図》を見ると、殺された女性たちの身体のあいだに、小さな赤ちゃんがひとり、ふたりと描かれていた。
望月優大さんは今号連載で、アルゼンチン軍政時代の拷問・虐殺の実態を展示する博物館を歩き、人間を消し、記憶も消す国としての日本に言及している。身勝手な「自由」のために記憶を弄ぶ現在の政治によって、かれらが通過した「歴史」は、どれほど深く否定されるのだろうか、と。
次号は戦後八〇年の特集号をお届けします。
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読者談話室・投稿募集
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投稿要項:800字以内
身近な話題や本誌へのご意見、ご感想などをお寄せください。
住所・氏名・年齢・職業・電話番号を明記の上、「世界」編集部読者談話室係まで。
掲載者には「世界」オリジナル図書カードを進呈。
投稿原稿の返却、採否の連絡はいたしません。二重投稿はお断りします。
また、文意を損なわない範囲で手を加えさせていただくことがあります。
どうぞご了承ください。
WEB投稿:https://www.iwanami.co.jp/sekai_lounge/
メール投稿:sekai@iwanami.co.jp
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~~『世界』臨時増刊号のご案内~~
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◎『世界』臨時増刊 ウクライナ侵略戦争──世界秩序の危機
『世界』編集部 編
2022年4月14日刊
定価1,320円
https://iwnm.jp/022242
※書籍版はご好評につき品切れとなりましたが、電子書籍版を配信中です。
国際社会は冷戦終結以降、最大の危機を迎えた。核大国による侵略という事態をどう理解し、どう対峙するのか。多角的に検証する。
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~~『世界』から生まれた本~~
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◎ブラック・カルチャー──大西洋を旅する声と音(岩波新書)
中村 隆之
定価1056円
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ブラック・カルチャーを貫く、アフリカ帰還という主題。音楽、文学、アートからその歴史と現在を旅する。
◎魂の教育──よい本は時を超えて人を動かす
森本 あんり
定価3190円
https://iwnm.jp/061669
『世界』好評連載「ボナエ・リテラエ」で紡がれた、実存をかけた神学遍歴の先の、ある救済の物語。
◎プリズン・サークル
坂上 香
定価2,200円
https://iwnm.jp/061526
人は、ひとりでは罪と向き合えない。日本初となる刑務所内での長期撮影、一〇年超の取材がここに結実。
◎学問と政治 学術会議任命拒否問題とは何か(岩波新書)
芦名定道、宇野重規、岡田正則、小沢隆一、加藤陽子、松宮孝明
定価924円
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日本学術会議会員任命拒否には、日本社会の矛盾が象徴されている。当事者六名が、その背景と本質を問う。
◎読書会という幸福(岩波新書)
向井和美
定価946円
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本を語ることは人生を語ること。三十年以上続く、豊穣な「魂の交流の場」への想いをやわらかな文章で綴る。
◎沖縄という窓 クロニクル2008―2022
山城紀子、松元 剛、親川志奈子
定価2,420円
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三人の書き手が多角的に描き出す沖縄の同時代史。一四年にわたる雑誌『世界』好評リレー連載を単行本化。
◎いま、この惑星で起きていること 気象予報士の眼に映る世界
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世界各地で観測される異常気象を気象予報士の立場で解説し、今後について考察する。『世界』の大好評連載をまとめた一冊。
◎孤塁 双葉郡消防士たちの3・11(岩波現代文庫)
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死と隣り合わせで震災と原発災害に対応した消防士たちを丹念に取材。当時の緊迫を描き出した迫力作。
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▼本号の目次
特集1/特集2/注目記事/世界の潮/本との出会い/連載/編集後記/読者談話室・投稿募集/『世界』臨時増刊月号のご案内/『世界』から生まれた本/「WEB世界」のご案内
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┃特集 1┃憎悪の政治学
┗━━━╋…────────────────────────────────
誹謗中傷の洪水に立つ──「報道特集」兵庫県知事選検証から
チョ琴袖(TBS「報道特集」編集長) ※「チョ」の字は、縦棒が1本少ない「曹」の異体字
取り残された人々の財政ポピュリズム──財務省解体デモの論理と心情
伊藤昌亮(成蹊大学)
女性への制裁という「エンタメ」──ミソジニーの収益化とColabo攻撃
小川たまか(ライター)
どのような憎悪か?──ランシエールから考える
鈴木亘(東京大学)
排外主義を動かす政治──クルド人差別とヘイトの本質
倉橋耕平(創価大学)
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┃特集 2┃私たちはなぜ不安なのか
┗━━━╋…────────────────────────────────
〈座談会〉
人は会話しながら生きている
小澤いぶき(児童精神科医)×名郷直樹(医師)×松山純子(社労士)×森川すいめい(精神科医)
SOSを出さない日本人──規範を優先する社会
石井敬子(名古屋大学)
〈インタビュー〉
雑談が人を救うこともある
松本俊彦(精神科医)
「自分疲れ」と社会──やさしく混じり合う場所がどこかにある
頭木弘樹(文学紹介者)
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◆注目記事
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米中対立はグローバルな自由貿易体制をどう変えるのか
梶谷 懐(神戸大学)
終末ファシズムの勃興
ナオミ・クライン(ジャーナリスト)、アストラ・テイラー(ドキュメンタリー作家)、訳=中村峻太郎(翻訳家)
〈連載〉
午前1時のメディアタイムズ 第4回 ニュースをめぐる分断線
若林 恵(編集者/黒鳥社)
日米「コメ密約」の闇─ミニマム・アクセス米と塩飽文書
山田 優(農業ジャーナリスト)
研究不正の蔓延──日本の科学はどのように蝕まれているか
田中智之(京都薬科大学)
〈連載〉
最後は教育なのか? 第10回 みんな受験を語りたがる──中村高康さんに聞く
武田砂鉄(ライター)
〈リレー連載〉
隣のジャーナリズム 「大谷バブル」と忖度報道
水谷竹秀(ノンフィクションライター)
〈スケッチ〉
ひらめきを書きとめる
古賀及子(エッセイスト)
〈シリーズ夜店〉
猟師の眼で見る 「熊問題」の人類学
北川真紀(東京大学)
〈連載〉
原発事故 検証の空白 第2回 隠された雨の汚染
添田孝史(科学ジャーナリスト)
拘禁刑で刑務所はどうなる──刑務官は変われるか
浜井浩一(龍谷大学)
市民的エネルギー管理の可能性──理想と現実のあいだから
古賀勇人(マンチェスター大学博士課程)
〈シリーズ〉
この社会の社会学 第6回 都市の「棲み分け」を可視化する
川野英二(大阪公立大学)
〈連載小説〉
不屈のひと 物語「女工哀史」 第3回(最終回) 敵、襲来
石田陽子(文筆業、編集者)
〈シリーズ〉
「戦後」解体 第4回 交差する暴力に抗う回路──在日朝鮮人の記憶とケアの倫理
李 杏理(東京経済大学)
〈インタビュー〉
「白人女性の闘いは、私たちの闘いではなかった」──『チャーチ・レディの秘密の生活』著者インタビー
ディーシャ・フィルヨー(作家)、聞き手=押野素子(翻訳家)
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◇世界の潮
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◇「エルドアンのトルコ」の急展開
今井宏平(ジェトロ・アジア経済研究所)
◇憲法問題としての教員の働き方改革──給特法等改正は学校を救えるか
高橋 哲(大阪大学)※「高」の字はいわゆる梯子高
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◇本との出会い
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◇読書・鑑賞日記 読んで、観て、聴いて
中村佑子(作家/映像作家)
◇本とチェック 第26回 神保町の隣人たち
金承福(クオン代表)
◇言葉と言葉のかくれんぼ 第15回 隣国語の森
チョン・スユン(翻訳家)
◇戦後の悪人正機説──大澤真幸『西洋近代の罪』
藤沢 周(小説家)
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●連載
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アジアとアメリカのあいだ 第7回 人間を消す国、記憶も消す国
望月優大(ライター)
あたふたと身支度 第10回 いつかはグレイヘア
高橋純子(朝日新聞)
彼女たちの「戦後」 第10回 平野レミ──自由と歓待
山本昭宏(神戸市外国語大学)
「変わらない」を変える 第26回 バックラッシュとミソジニー
三浦まり(上智大学)
脳力のレッスン(277) ウクライナの影 ロシア革命そして満州国へ
寺島実郎
片山善博の「日本を診る」(188) これまでのコメ政策はミッションを間違えている
片山善博(大正大学)
気候再生のために 第34回 気候と社会の悪循環
江守正多(東京大学)
いじめ後遺症 第5回 「否認」という病理
斎藤 環(精神科医)
ドキュメント激動の南北朝鮮 第335回(25・4~5)
編集部
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○記憶をもった鏡 西野壮平『Short Stories: Beppu』
戸田昌子(写真史家)
○岩波俳句
選・文 池田澄子(俳人)
○アムネスティ通信
○読者談話室
○編集後記
○表紙画
土屋未久(表紙 問う、 2025、裏表紙 夜になる 2025)
○キャラクター・扉絵
西村ツチカ
○アートディレクション
須田杏菜
○本文デザイン
大原由衣+安賀裕子+都井美穂子
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編集後記
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本誌を開くと、はじめに写真作品と種まくクマのイラストがある。
口絵連載「記憶をもった鏡」筆者で写真史家の戸田昌子さんは以前、本の扉について、インターネットのトップページにはない、違う世界への窓としての役割があると話していた。
移動中に、寝る前に、喫茶店で、本を開いて読む時間の静けさを意識することが増えた。スマホから切り離されることのない日常、その裏返しだろう。
斎藤元彦兵庫県知事に対する内部告発を巡り、知事自ら告発者の私的情報を外部と共有するよう指示した疑いが指摘された。告発者である県民局長、百条委員会で知事のパワハラ疑惑等を調査していた元県議の男性は、攻撃、誹謗中傷に晒されるなか命を絶った。県知事選に立候補しながらも斎藤氏を応援、虚偽情報を拡散した立花孝志NHK党党首は参院選にも出馬するという。
Xを離脱する人も増えているが、SNS上での様々な標的への攻撃はとどまるところを知らない。兵庫での「二馬力選挙」の実態、元県議の死の背景を伝え反響を呼んだ「報道特集」のチョ琴袖(※「チョ」の字は、縦棒が1本少ない「曹」の異体字)編集長は、番組を準備する過程で、様々な取材者の本音にも触れたという。「『犬笛』を吹かれた人に近づけば次は自分が『犬笛』の対象になるかもしれない」。この嵐はどのように生まれたのだろう。メディアの消極姿勢を前に、女性への制裁を消費する動きは、司法の場での敗北をよそに収益を得て続いていく(特集1小川たまかさん)。
短い新緑の季節、連休中に映画『太陽(ティダ)の運命』(佐古忠彦監督)を観た。「沖縄は日本か」「日本は本当に民主主義国なのか」。生涯をかけてそう迫った元沖縄県知事の大田昌秀、翁長雄志両氏の歩みと交錯点を振り返るドキュメンタリーで、大田さんがジュークボックスで繰り返し聴いていた沖縄民謡が紹介されている。「うんじゅん 我んにん いゃーん 我んにん 艦砲ぬ喰ぇー残さー」。艦砲射撃の生き残りという表現は見聞きしてきたが、「あなたも、わたしも、おまえも、おれも」生き残りである。共同体の記憶として、歌が堆積する時間の中に響いていると知った。
映画を観た翌日、埼玉県の丸木美術館に出かけた。丸木位里・俊夫妻の共同制作作品が四方を囲む展示空間で前野健太さんが演奏した一曲に、対馬丸記念館への訪問を機につくった「戦争が夏でよかった」があった。おおきな歌声を聴きながら、間近の《アウシュビッツの図》を見ると、殺された女性たちの身体のあいだに、小さな赤ちゃんがひとり、ふたりと描かれていた。
望月優大さんは今号連載で、アルゼンチン軍政時代の拷問・虐殺の実態を展示する博物館を歩き、人間を消し、記憶も消す国としての日本に言及している。身勝手な「自由」のために記憶を弄ぶ現在の政治によって、かれらが通過した「歴史」は、どれほど深く否定されるのだろうか、と。
次号は戦後八〇年の特集号をお届けします。
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読者談話室・投稿募集
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投稿要項:800字以内
身近な話題や本誌へのご意見、ご感想などをお寄せください。
住所・氏名・年齢・職業・電話番号を明記の上、「世界」編集部読者談話室係まで。
掲載者には「世界」オリジナル図書カードを進呈。
投稿原稿の返却、採否の連絡はいたしません。二重投稿はお断りします。
また、文意を損なわない範囲で手を加えさせていただくことがあります。
どうぞご了承ください。
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メール投稿:sekai@iwanami.co.jp
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◎『世界』臨時増刊 ウクライナ侵略戦争──世界秩序の危機
『世界』編集部 編
2022年4月14日刊
定価1,320円
https://iwnm.jp/022242
※書籍版はご好評につき品切れとなりましたが、電子書籍版を配信中です。
国際社会は冷戦終結以降、最大の危機を迎えた。核大国による侵略という事態をどう理解し、どう対峙するのか。多角的に検証する。
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◎ブラック・カルチャー──大西洋を旅する声と音(岩波新書)
中村 隆之
定価1056円
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ブラック・カルチャーを貫く、アフリカ帰還という主題。音楽、文学、アートからその歴史と現在を旅する。
◎魂の教育──よい本は時を超えて人を動かす
森本 あんり
定価3190円
https://iwnm.jp/061669
『世界』好評連載「ボナエ・リテラエ」で紡がれた、実存をかけた神学遍歴の先の、ある救済の物語。
◎プリズン・サークル
坂上 香
定価2,200円
https://iwnm.jp/061526
人は、ひとりでは罪と向き合えない。日本初となる刑務所内での長期撮影、一〇年超の取材がここに結実。
◎学問と政治 学術会議任命拒否問題とは何か(岩波新書)
芦名定道、宇野重規、岡田正則、小沢隆一、加藤陽子、松宮孝明
定価924円
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日本学術会議会員任命拒否には、日本社会の矛盾が象徴されている。当事者六名が、その背景と本質を問う。
◎読書会という幸福(岩波新書)
向井和美
定価946円
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本を語ることは人生を語ること。三十年以上続く、豊穣な「魂の交流の場」への想いをやわらかな文章で綴る。
◎沖縄という窓 クロニクル2008―2022
山城紀子、松元 剛、親川志奈子
定価2,420円
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三人の書き手が多角的に描き出す沖縄の同時代史。一四年にわたる雑誌『世界』好評リレー連載を単行本化。
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死と隣り合わせで震災と原発災害に対応した消防士たちを丹念に取材。当時の緊迫を描き出した迫力作。
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