『世界』メールマガジン/2025年12月号【特集1:創刊一〇〇〇号 私たちはどう生きてきたか】 【特集2:高市以降の政治地図】
2025/11/08 (Sat) 11:00
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■■ 『世界』メールマガジン/2025年12月号
■■ vol.#0126
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■『世界』2025年12月号(第1000号)好評発売中
2025年11月8日発行
定価1045円(税込)
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▼本号の目次
特集1/特集2/注目記事/世界の潮/本との出会い/連載/編集後記/読者談話室・投稿募集/イベント情報/『世界』臨時増刊月号のご案内/『世界』から生まれた本/「WEB世界」のご案内
┏━━━┓
┃特集 1┃創刊一〇〇〇号 私たちはどう生きてきたか
┗━━━╋…────────────────────────────────
『世界』がみた世界──その持続と変容
山本昭宏(神戸市外国語大学)
安倍能成をめぐると『世界』だって少しずぼらになる
高田里惠子(桃山学院大学)
《これからの世界》
希望を叩き起こす
永井玲衣(哲学者/作家)
戦争と大内兵衛──失意の中で「息の長い努力」を続けること
掛貝祐太(茨城大学)
点と点を緩やかに
玉城愛(沖縄女性運動史研究)
実験のなかへ
森田和樹(同志社大学)
〈インタビュー〉
わたしたちの砥石
樋口陽一(憲法学者)
読者談話室の賑わい
福嶋聡(書店員)
「読む」が変わると人生も──精読と乱読の時代を経験して
三宮麻由子(エッセイスト)
〈対談〉読み手は書き手の鏡
松沢裕作(歴史学者)×三宅香帆(文芸評論家)
┏━━━┓
┃特集 2┃高市以降の政治地図
┗━━━╋…────────────────────────────────
〈対談〉
右傾化する政党政治──野党の存在意義とは
今井貴子(成蹊大学)×三浦まり(上智大学)
フェミニズムは何と闘っているのか──女性初の内閣総理大臣誕生の文脈
岡野八代(同志社大学)
宗教右派との距離──高市政権を読む
斉藤正美(富山大学非常勤講師)
〈インタビュー〉
高市政権という分岐点──道具と化した政策、数合わせの連立
御厨貴(東京大学名誉教授)
国会をレトリックで読み解く──政治的駆け引きの裏側
木下健(福岡工業大学)
野党多弱はなぜ止められないか──参議院という構造的要因
高宮秀典(拓殖大学)
史実と解釈──石破所感に寄せて
保阪正康(作家)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◆注目記事
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◇五年前の夏と今年の夏、核と音楽
古川日出男(作家)
◇「台湾有事」に突き進む日米同盟
石井暁(共同通信)
◇旧統一教会問題 韓総裁逮捕が露にした日韓の落差
櫻井義秀(北海道大学)
〈スケッチ〉
膠と油と液タブ
ぱらり(漫画家)
〈シリーズ夜店〉
トラウマを脱植民地化する──ジェノサイド後のルワンダから
大竹裕子(医療人類学)
ガザ、ニューヨーク、ハーグ 国連八〇年目の憂鬱
鴨志田郷(NHK解説主幹)
一世紀前のパレスチナ問題──現代に連なる問いとして
鶴見太郎(東京大学)
ふたつのジェノサイド──ドイツ 植民地主義の遺産
駒林歩美(ライター)
海の底から掘り起こされる記憶──長生炭鉱水没事故をめぐる市民運動
大和裕美子(九州共立大学)
人びとが織りなす社会戦争──あの戦争の戦争画を読む
益田肇(シンガポール国立大学)
民主主義の最後の砦──アメリカ公共図書館のいま
石山徳子(明治大学)
ストーカー対策最前線──(後編)被害体験が示す分かれ道
内澤旬子(文筆家)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◇世界の潮
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◇瀕死のマクロン政権──空洞化する民主主義
吉田徹(同志社大学)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◇本との出会い
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◇言葉の外の居心地──三宅唱監督『旅と日々』
中井菜央(写真家)
◇伝説的ルポライターの文体の強度──児玉隆也『一銭五厘たちの横丁』
稲泉連(ノンフィクション作家)
◇読書・観賞日記 読んで、観て、聴いて
酒井啓子(千葉大学)
◇言葉と言葉のかくれんぼ 第20回 オマージュ
斎藤真理子(翻訳家)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
●連載最終回
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
ハンセン病詩人 韓何雲の素顔 第3回 理想郷と定着村の終焉
吉川凪(作家、翻訳家)
原発事故 検証の空白 第6回 眠る資料を呼び覚ます
添田孝史(科学ジャーナリスト)
「戦後」解体 第9回 日本で脱植民地化を論じるために
福永玄弥(東京大学)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
●連載
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
隣のジャーナリズム 戦後、解放、そして「分断」
徐台教(「コリア・フォーカス」編集長)
脳力のレッスン(281)〈特別篇〉 新しい「政治の季節」への予感(前篇)
寺島実郎
親愛なる身体へ 第4回 ザクセンハウゼンに想う(後編)
李琴峰(作家)
午前1時のメディアタイムズ 第9回 ボブ・マーリーはシオニストか
若林 恵(編集者/黒鳥社)
アジアとアメリカのあいだ 第11回 湿地の記憶、内戦の始まり
望月優大(ライター)
あたふたと身支度 第14回 日常こそドラマ
高橋純子(朝日新聞)
片山善博の「日本を診る」(193) 市長の不祥事をきっかけに、なぜ議員選挙なのか
片山善博(大正大学)
ドキュメント激動の南北朝鮮 第340回(25・9~10)
編集部
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
○記憶をもった鏡 長沢慎一郎『Mary Had a Little Lamb』
戸田昌子(写真史家)
○岩波俳句
選・文 池田澄子(俳人)
○アムネスティ通信
○読者談話室
○編集後記
○表紙画
土屋未久(表紙 風 2025、裏表紙 ひらく 2025)
○キャラクター・扉絵
西村ツチカ
○表紙デザイン
大原由衣
○アートディレクション
須田杏菜
○本文デザイン
大原由衣+都井美穂子+國分 陽
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
編集後記
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
初めて「世界」編集部に配属となった一五年前、当時の岡本厚編集長にいわれた心得の一つが「二四時間編集者であれ」だった。生活のすべてが企画に結びついている、というのがその主旨ではあったが、時が経つにつれ「二四時間仕事をする」状態を支えるのは何か? とモヤモヤしてきた。
創刊一〇〇〇号に向け、編集部OBの方ともやりとりするなか、その言葉は初代編集長・吉野源三郎によるものと知った。一九七〇年代、岩波書店の編集顧問だった吉野さんから「ジャーナリストは二四時間仕事」と声をかけられ、当時の安江良介編集長にその心をきいたところ、「夜中に思いついたことをメモしておくってことだよ」と答えたとか。言葉で編集部が繫がっていたことに気づかされた。
雑誌のこれまでを振り返るうえで、吉野さんが残した著作も道標になった。東大の安田講堂事件を経て一九六九年に書かれた「山本君に言いたかったこと」は、東大全共闘議長だった山本義隆さんが、吉野さんの娘の家庭教師でもあったことから個人的な手記として「世界」に掲載された。そこで吉野さんは学生運動の暴力を強く批判しながら、「襲撃する機動隊の若者も、これに投石する学生も、共に日本の青年であるということが、私には辛かった」と書いている。対立するラインの両側にいる一人ひとりに人間の姿をみる姿勢がそこにあった。
今号特集では、福嶋聡さんに、これまでの膨大な読者投稿欄に目を通して執筆いただいた。それを読んで、雑誌は読者のもの、つまり人々の営みの中にあり、読まれたり、また読まれなかったりする――と知った。記事でも紹介されている一九五九年掲載、二三歳の主婦の方は、四歳の子が朝食をとるあいだ「世界」を本棚からとりだしてみた、でも目が活字の上を走ってしまう、と書き始める。「全神経を机の上に集中して、さてこれから読むぞと構えなければ」読みとるのが難しい。いまもいただくことの多い指摘である。
二四時間の仕事といえば、こちらは仕事論というより仕事量を示唆したものだったが、「ワークライフバランスという言葉を捨てる」と自民党総裁選出後に語った高市早苗氏が首相に就任、新内閣は高支持率で迎えられている。
「政策が近い」。首班指名に向け各党に協力を働きかけるなか、高市氏は国民民主、維新、参政党党首にこう述べた。維新との連立にあたって議員定数削減が急浮上、論点のすり替えと同時に、右派政権が手を組む選択肢が多数ある現実を目の当たりにしている。
いっそう近視眼的になる政治、そしてメディアの姿勢は、旧統一教会問題で改めて浮かび上がっている。韓国では政権交代後、前大統領夫人への疑惑追及から政治と教団との癒着が明るみに出た。自民党と旧統一教会との約半世紀にわたる関係の実態はなお未解明だ。韓総裁逮捕は日本に浴びせられた冷や水――安倍元首相殺害事件の公判を前に、櫻井義秀さんの指摘は重い。
次号で小紙は創刊八〇年を迎えます。
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読者談話室・投稿募集
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投稿要項:800字以内
身近な話題や本誌へのご意見、ご感想などをお寄せください。
住所・氏名・年齢・職業・電話番号を明記の上、「世界」編集部読者談話室係まで。
掲載者には「世界」オリジナル図書カードを進呈。
投稿原稿の返却、採否の連絡はいたしません。二重投稿はお断りします。
また、文意を損なわない範囲で手を加えさせていただくことがあります。
どうぞご了承ください。
WEB投稿:https://www.iwanami.co.jp/sekai_lounge/
メール投稿:sekai@iwanami.co.jp
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~~『世界』から生まれた本~~
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◎ケアの物語 フランケンシュタインからはじめる(岩波新書)
小川 公代
定価1100円
https://iwnm.jp/432071
強者が押しつける「正義」の物語ではなく、尊厳を踏みにじられた人々が紡ぐ〈小さな物語〉を求めて。
◎ブラック・カルチャー──大西洋を旅する声と音(岩波新書)
中村 隆之
定価1056円
https://iwnm.jp/432061
ブラック・カルチャーを貫く、アフリカ帰還という主題。音楽、文学、アートからその歴史と現在を旅する。
◎魂の教育──よい本は時を超えて人を動かす
森本 あんり
定価3190円
https://iwnm.jp/061669
『世界』好評連載「ボナエ・リテラエ」で紡がれた、実存をかけた神学遍歴の先の、ある救済の物語。
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~~「WEB世界」のご案内~~
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雑誌『世界』のWEB版もぜひ、ご覧ください
https://websekai.iwanami.co.jp/
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岩波書店ブックオーダー係(TEL:04-2951-5032,FAX:04-2951-5034)
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2025年11月8日発行
定価1045円(税込)
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特集1/特集2/注目記事/世界の潮/本との出会い/連載/編集後記/読者談話室・投稿募集/イベント情報/『世界』臨時増刊月号のご案内/『世界』から生まれた本/「WEB世界」のご案内
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┃特集 1┃創刊一〇〇〇号 私たちはどう生きてきたか
┗━━━╋…────────────────────────────────
『世界』がみた世界──その持続と変容
山本昭宏(神戸市外国語大学)
安倍能成をめぐると『世界』だって少しずぼらになる
高田里惠子(桃山学院大学)
《これからの世界》
希望を叩き起こす
永井玲衣(哲学者/作家)
戦争と大内兵衛──失意の中で「息の長い努力」を続けること
掛貝祐太(茨城大学)
点と点を緩やかに
玉城愛(沖縄女性運動史研究)
実験のなかへ
森田和樹(同志社大学)
〈インタビュー〉
わたしたちの砥石
樋口陽一(憲法学者)
読者談話室の賑わい
福嶋聡(書店員)
「読む」が変わると人生も──精読と乱読の時代を経験して
三宮麻由子(エッセイスト)
〈対談〉読み手は書き手の鏡
松沢裕作(歴史学者)×三宅香帆(文芸評論家)
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┃特集 2┃高市以降の政治地図
┗━━━╋…────────────────────────────────
〈対談〉
右傾化する政党政治──野党の存在意義とは
今井貴子(成蹊大学)×三浦まり(上智大学)
フェミニズムは何と闘っているのか──女性初の内閣総理大臣誕生の文脈
岡野八代(同志社大学)
宗教右派との距離──高市政権を読む
斉藤正美(富山大学非常勤講師)
〈インタビュー〉
高市政権という分岐点──道具と化した政策、数合わせの連立
御厨貴(東京大学名誉教授)
国会をレトリックで読み解く──政治的駆け引きの裏側
木下健(福岡工業大学)
野党多弱はなぜ止められないか──参議院という構造的要因
高宮秀典(拓殖大学)
史実と解釈──石破所感に寄せて
保阪正康(作家)
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◆注目記事
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◇五年前の夏と今年の夏、核と音楽
古川日出男(作家)
◇「台湾有事」に突き進む日米同盟
石井暁(共同通信)
◇旧統一教会問題 韓総裁逮捕が露にした日韓の落差
櫻井義秀(北海道大学)
〈スケッチ〉
膠と油と液タブ
ぱらり(漫画家)
〈シリーズ夜店〉
トラウマを脱植民地化する──ジェノサイド後のルワンダから
大竹裕子(医療人類学)
ガザ、ニューヨーク、ハーグ 国連八〇年目の憂鬱
鴨志田郷(NHK解説主幹)
一世紀前のパレスチナ問題──現代に連なる問いとして
鶴見太郎(東京大学)
ふたつのジェノサイド──ドイツ 植民地主義の遺産
駒林歩美(ライター)
海の底から掘り起こされる記憶──長生炭鉱水没事故をめぐる市民運動
大和裕美子(九州共立大学)
人びとが織りなす社会戦争──あの戦争の戦争画を読む
益田肇(シンガポール国立大学)
民主主義の最後の砦──アメリカ公共図書館のいま
石山徳子(明治大学)
ストーカー対策最前線──(後編)被害体験が示す分かれ道
内澤旬子(文筆家)
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◇世界の潮
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◇瀕死のマクロン政権──空洞化する民主主義
吉田徹(同志社大学)
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◇本との出会い
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◇言葉の外の居心地──三宅唱監督『旅と日々』
中井菜央(写真家)
◇伝説的ルポライターの文体の強度──児玉隆也『一銭五厘たちの横丁』
稲泉連(ノンフィクション作家)
◇読書・観賞日記 読んで、観て、聴いて
酒井啓子(千葉大学)
◇言葉と言葉のかくれんぼ 第20回 オマージュ
斎藤真理子(翻訳家)
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●連載最終回
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ハンセン病詩人 韓何雲の素顔 第3回 理想郷と定着村の終焉
吉川凪(作家、翻訳家)
原発事故 検証の空白 第6回 眠る資料を呼び覚ます
添田孝史(科学ジャーナリスト)
「戦後」解体 第9回 日本で脱植民地化を論じるために
福永玄弥(東京大学)
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●連載
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隣のジャーナリズム 戦後、解放、そして「分断」
徐台教(「コリア・フォーカス」編集長)
脳力のレッスン(281)〈特別篇〉 新しい「政治の季節」への予感(前篇)
寺島実郎
親愛なる身体へ 第4回 ザクセンハウゼンに想う(後編)
李琴峰(作家)
午前1時のメディアタイムズ 第9回 ボブ・マーリーはシオニストか
若林 恵(編集者/黒鳥社)
アジアとアメリカのあいだ 第11回 湿地の記憶、内戦の始まり
望月優大(ライター)
あたふたと身支度 第14回 日常こそドラマ
高橋純子(朝日新聞)
片山善博の「日本を診る」(193) 市長の不祥事をきっかけに、なぜ議員選挙なのか
片山善博(大正大学)
ドキュメント激動の南北朝鮮 第340回(25・9~10)
編集部
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○記憶をもった鏡 長沢慎一郎『Mary Had a Little Lamb』
戸田昌子(写真史家)
○岩波俳句
選・文 池田澄子(俳人)
○アムネスティ通信
○読者談話室
○編集後記
○表紙画
土屋未久(表紙 風 2025、裏表紙 ひらく 2025)
○キャラクター・扉絵
西村ツチカ
○表紙デザイン
大原由衣
○アートディレクション
須田杏菜
○本文デザイン
大原由衣+都井美穂子+國分 陽
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編集後記
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初めて「世界」編集部に配属となった一五年前、当時の岡本厚編集長にいわれた心得の一つが「二四時間編集者であれ」だった。生活のすべてが企画に結びついている、というのがその主旨ではあったが、時が経つにつれ「二四時間仕事をする」状態を支えるのは何か? とモヤモヤしてきた。
創刊一〇〇〇号に向け、編集部OBの方ともやりとりするなか、その言葉は初代編集長・吉野源三郎によるものと知った。一九七〇年代、岩波書店の編集顧問だった吉野さんから「ジャーナリストは二四時間仕事」と声をかけられ、当時の安江良介編集長にその心をきいたところ、「夜中に思いついたことをメモしておくってことだよ」と答えたとか。言葉で編集部が繫がっていたことに気づかされた。
雑誌のこれまでを振り返るうえで、吉野さんが残した著作も道標になった。東大の安田講堂事件を経て一九六九年に書かれた「山本君に言いたかったこと」は、東大全共闘議長だった山本義隆さんが、吉野さんの娘の家庭教師でもあったことから個人的な手記として「世界」に掲載された。そこで吉野さんは学生運動の暴力を強く批判しながら、「襲撃する機動隊の若者も、これに投石する学生も、共に日本の青年であるということが、私には辛かった」と書いている。対立するラインの両側にいる一人ひとりに人間の姿をみる姿勢がそこにあった。
今号特集では、福嶋聡さんに、これまでの膨大な読者投稿欄に目を通して執筆いただいた。それを読んで、雑誌は読者のもの、つまり人々の営みの中にあり、読まれたり、また読まれなかったりする――と知った。記事でも紹介されている一九五九年掲載、二三歳の主婦の方は、四歳の子が朝食をとるあいだ「世界」を本棚からとりだしてみた、でも目が活字の上を走ってしまう、と書き始める。「全神経を机の上に集中して、さてこれから読むぞと構えなければ」読みとるのが難しい。いまもいただくことの多い指摘である。
二四時間の仕事といえば、こちらは仕事論というより仕事量を示唆したものだったが、「ワークライフバランスという言葉を捨てる」と自民党総裁選出後に語った高市早苗氏が首相に就任、新内閣は高支持率で迎えられている。
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いっそう近視眼的になる政治、そしてメディアの姿勢は、旧統一教会問題で改めて浮かび上がっている。韓国では政権交代後、前大統領夫人への疑惑追及から政治と教団との癒着が明るみに出た。自民党と旧統一教会との約半世紀にわたる関係の実態はなお未解明だ。韓総裁逮捕は日本に浴びせられた冷や水――安倍元首相殺害事件の公判を前に、櫻井義秀さんの指摘は重い。
次号で小紙は創刊八〇年を迎えます。
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読者談話室・投稿募集
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投稿要項:800字以内
身近な話題や本誌へのご意見、ご感想などをお寄せください。
住所・氏名・年齢・職業・電話番号を明記の上、「世界」編集部読者談話室係まで。
掲載者には「世界」オリジナル図書カードを進呈。
投稿原稿の返却、採否の連絡はいたしません。二重投稿はお断りします。
また、文意を損なわない範囲で手を加えさせていただくことがあります。
どうぞご了承ください。
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小川 公代
定価1100円
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強者が押しつける「正義」の物語ではなく、尊厳を踏みにじられた人々が紡ぐ〈小さな物語〉を求めて。
◎ブラック・カルチャー──大西洋を旅する声と音(岩波新書)
中村 隆之
定価1056円
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ブラック・カルチャーを貫く、アフリカ帰還という主題。音楽、文学、アートからその歴史と現在を旅する。
◎魂の教育──よい本は時を超えて人を動かす
森本 あんり
定価3190円
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