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■■　岩波新書　新刊案内／2017年7月号
■■　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 vol.#0079
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●編集長からひと言
　本はあとがきから先に読む．いつの間にか，そんなひねくれた読み
方をするようになっていました．あとがきが面白い本は中味も面白い
はず．そういう勝手な思い込みがあるからかもしれません．あとがき
は，著者の人にとっては長く孤独な執筆の終着点です．ようやく書き
終えたという安堵とともに，お世話になった人たちや参考にさせても
らった文献や研究への感謝を述べて締めくくる，肩の力を抜いて自由
に思いを書ける唯一の場所．なので，本文のように細かなことまで指
摘や注文を出したり，ましてや駄目出しなどはしません．でも一方で
「あとがきこそ面白く読ませてほしい」という欲求のようなものを感
じたりもします．私なりの読書経験からくる直観のようなもので，こ
の本は面白いかどうか見極められるポイントのような気がするからで
す．そうであれば，終わりだからといって気は抜けません．著者の方
に「読者は見てますよ」と申し上げるときもあります．尻尾まであん
こが詰まっている鯛焼きを期待してしまうのです．編集者としても読
者としても「これは面白い！」と私が思ったあとがきは，ただひとつ．
志賀櫻先生が『タックス・ヘイブン――逃げていく税金』
（ http://iwnm.jp/431417 ）という新書で書かれたあとがきです．
このあとがきは，出来るまでに少し時間がかかりました．志賀先生は，
本文は一気に書き上げられたものの，あとがきを書く段になってハタ
と手が止まってしまったからです．「三木（義一先生）への謝辞くら
いしか書くことがないなあ」と言って書いてこられたのが，わずか５
行くらいの原稿……．短かすぎです．これには困りました．どうしよ
うかと考えあぐねているうちに思い出したのが，本文での入れどころ
がなくて宙に浮いていたエピソードの短文でした．志賀先生にとって
忘れがたい体験談で，話としては面白いのですが，どうにも収まりが
悪くて，そのままボツになりかけていたパーツです．先生の未練な気
持ちをひしひしと感じてもいたので「悪いなあ」と思っていたところ
でした．そこで苦肉の策ではありますが，「じゃあ先生，あれをあと
がきに入れてみたらどうですか？」と提案してみたら喜色満面，書き
手としても非常に勘の良い方だったので，あっという間に書けてしま
いました．それが，いま本に載っているあとがきです．著者も満足，
私も満足，そしてたぶん読者も満足．めでたし，めでたし．後にも先
にもこれ一度きりかもしれませんが，あとがきさえも面白い，そうい
うあとがきをまた読んでみたいものです．
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　岩波新書編集長　永沼浩一

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▼本号の目次
新刊情報／アンコール復刊情報／今月の電子書籍／今後の刊行予定
／月間売り上げランキング

※表示した価格はすべて本体価格です．定価はこの価格に消費税が
加算されます．

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◇◆新刊情報（7月20日・28日刊）◆◇
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岩波新書編集部だより（ http://iwnm.jp/sin ）にて，さらに詳し
い情報をご覧ください．

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■ゲノム編集を問う――作物からヒトまで
石井哲也　著
780円

「ゲノム編集」とは何で，何が問題なのか．狙った遺伝子を改変で
きるこの技術は，生命のありようをどう変え，そしてどこまで変え
ることが許されるのか．その可能性と課題をあぶり出す．

　http://iwnm.jp/431669

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■戦争をよむ　70冊の小説案内
中川成美　著
760円

克明な心理描写をまじえて戦争と人間の真実に分け入る小説作品は，
戦争のリアルを伝える大切な語り部だ．記憶の風化とともに失われ
ていく，かつての時代の手がかりを求めて，戦争の文学を再読する．

　http://iwnm.jp/431670

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■町を住みこなす――超高齢社会の居場所づくり【28日刊】
大月敏雄　著
860円

人口減少社会における居住は，個人にも，地域にも，社会にも今や
大問題．「一家族一住宅一敷地」という考え方はもはや古い．居場
所づくりのユニークな事例を多数紹介し，これからの住まいのあり
方を考える．

　http://iwnm.jp/431671

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■〈ひとり死〉時代のお葬式とお墓【28日刊】
小谷みどり　著
780円

「ひとり死」の時代になりつつある今，火葬のみのお葬式や，共同
墓，無縁墓などがさらに広まっている．死後を誰に託したらいいの
か．自治体が直面している難題とは．具体的な事例とともに，これ
からを考える．

　http://iwnm.jp/431672

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◇◆アンコール復刊情報（7月20日出来）◆◇
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◆幻の声――NHK広島8月6日
白井久夫　著
840円

八月六日，壊滅状態の広島で，交信を求める悲しげな女性の声がラ
ジオから流れた……． NHKに舞込んだ一通の手紙から，“幻の声”
の主を追う著者の旅は始まる．巨大な悲劇の下の人間たちのドラマ
とは――

　http://iwnm.jp/430236

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◆朝鮮通信使――江戸日本の誠信外交
仲尾　宏　著
820円

1607年，江戸時代に初めての通信使が来日してから410年．多彩な
文化交流や，雨森芳洲，新井白石等外交関係を支えた人々を描き，
12回に及ぶ通信使の今日的意義を考える．

　http://iwnm.jp/431093

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◆漱石　母に愛されなかった子
三浦雅士　著
820円

漱石を生涯苦しめたのは「近代の不安」などではなかった．それは
母親の愛を疑うという，ありふれた，しかし人間にとって根原的な
苦悩であった．現代を代表する文芸評論家がまったく新たな視点か
ら漱石作品を読みなおす．

　http://iwnm.jp/431129

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復刊リクエストを募集しています．こちらよりご要望をお聞かせ下
さい．

　http://www.iwanami.co.jp/contact/

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◇◆今月の電子書籍（7月20日配信開始）◆◇
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◆科学の目　科学のこころ
長谷川眞理子　著
780円

　http://iwnm.jp/430623

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◆日本の近代とは何であったか――問題史的考察
三谷太一郎　著
880円

　http://iwnm.jp/431650

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◆モラルの起源――実験社会科学からの問い
亀田達也　著
760円

　http://iwnm.jp/431654

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◆ミクロ経済学入門の入門
坂井豊貴　著
740円

　http://iwnm.jp/431657

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※電子書籍版は電子書店からご購入いただけます．
※ご利用にあたって，各電子書店への登録が必要です．詳細は各
電子書店サイトをご覧ください．

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◇◆今後の刊行予定◆◇
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▼8月

『中原中也』（佐々木幹郎　著）
『一茶の相続争い』（高橋　敏　著）
『日本文化をよむ　5つのキーワード』（藤田正勝　著）

（※書目，刊行時期は変更される場合があります．）

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▼9月

『日本の歴史を旅する』（五味文彦　著）
『イギリス現代史』（長谷川貴彦　著）
『60歳からの外国語修行　メキシコに学ぶ』（青山　南　著）
『ポスト抗生物質時代』（山本太郎　著）

（※書目，刊行時期は変更される場合があります．）

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◇◆月間売り上げランキング◆◇　（集計期間：6/19～7/16）
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1. 夏目漱石と西田幾多郎――共鳴する明治の精神（小林敏明　著）
　http://iwnm.jp/431667
2. 矢内原忠雄　戦争と知識人の使命（赤江達也　著）
　http://iwnm.jp/431665
3. 在日米軍　変貌する日米安保体制（梅林宏道　著）
　http://iwnm.jp/431666
4. 偽りの経済政策――格差と停滞のアベノミクス（服部茂幸　著）
　http://iwnm.jp/431661
5. 中国の近現代史をどう見るか〈シリーズ中国近現代史6〉（西村成雄　著）
　http://iwnm.jp/431254
6. 日本の近代とは何であったか――問題史的考察（三谷太一郎　著）
　http://iwnm.jp/431650
7. 親権と子ども（榊原富士子，池田清貴　著）
　http://iwnm.jp/431668
8. キャスターという仕事（国谷裕子　著）
　http://iwnm.jp/431636
9. 裁判の非情と人情（原田國男　著）
　http://iwnm.jp/431646
10. 作家的覚書（高村　薫　著）
　http://iwnm.jp/431656

（※ランキングは全国の協力書店様の売上データによるものです．）

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