『世界』メールマガジン/2024年4月号【特集1:トランプふたたび】【特集2:人権を取り戻す】
2024/03/08 (Fri) 11:00
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■■ 『世界』メールマガジン/2024年4月号
■■ vol.#0106
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■『世界』2024年4月号(第980号)好評発売中
2024年3月8日発行
定価1045円(税込)
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▼本号の目次
特集1/特集2/注目記事/世界の潮/本との出会い/連載/編集後記/
『世界』臨時増刊月号のご案内/『世界』から生まれた本/「WEB世界」のご案内
┏━━━┓
┃特集 1┃トランプふたたび
┗━━━╋…────────────────────────────────
〈座談会〉
なぜトランプなのか──極端化と幻滅の果てに
遠藤 乾(東京大学)×渡辺将人(慶應義塾大学)×三牧聖子(同志社大学)
米中東政策の綻びはどこに向かうか──イスラエル もうひとつのトランプ旋風
鈴木啓之(東京大学)
米連邦最高裁 アメリカ政治の主戦場
秋元由紀(翻訳家・米国弁護士)
〈対談〉
「新冷戦」か混沌か──米大統領選と東アジア情勢
李鍾元(早稲田大学)×益尾知佐子(九州大学)
気候危機とトランプ2・0
八田浩輔(毎日新聞)
┏━━━┓
┃特集 2┃人権を取り戻す
┗━━━╋…────────────────────────────────
人権は「身近で小さな場所」から始まる──憲法と国際人権法の循環ダイナミズム
江島晶子(明治大学)
「ビジネスと人権」のいま
伊藤和子(弁護士)
〈対談〉
なかったことにされてきた声から──災害・避難・ジェンダー
清水奈名子(宇都宮大学)×吉田千亜(ライター)
なぜ沖縄は国連に訴えるのか
阿部 藹(琉球大学客員研究員)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◆注目記事
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
大学不信と多様性へのバックラッシュ
林香里(東京大学)
破壊された「戒め」──群馬県朝鮮人追悼碑撤去に抗して
朴順梨(ライター)
イスラエルによるガザでの戦争は、気候の破局にも「莫大な」影響を与える
ニーナ・ラカーニー(ジャーナリスト)、訳・解説=中村峻太郎
〈ルポ〉
ストーカー加害者治療は可能か 前編
内澤旬子(文筆家)
〈シリーズ 夜店〉
男性たちは、本当に哲学をしてきたのか?
小手川正二郎(國學院大学)
〈スケッチ〉
担当者
松田青子(作家)
災害とダイバーシティ
内田 賢(一橋大学修士課程)
能登半島地震がつきつけた原子力防災の破綻
満田夏花(FoE Japan)
〈ルポ〉
サパティスタ蜂起30年 暴力と利権に蝕まれるチアパス
文=工藤律子 撮影=篠田有史
性虐待を受けた子どもへワンストップなケアを
田上幸治(神奈川県立こども医療センター)
子どもに安心を、司法に付添犬を
山本真理子(帝京科学大学)
〈対談〉
新しいメディアと調査報道のかたち
辻 麻梨子(Tansa)×石田 健(The HEADLINE)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◇世界の潮
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◇イスラエルにジェノサイド防止の暫定措置命令
長 有紀枝(立教大学)
◇インドネシア大統領選 「最悪の選挙」はいかに戦われたか
見市 建(早稲田大学)
◇京アニ事件と甲府事件 ──ふたつの死刑判決が問うもの
後藤弘子(千葉大学)
◇PFAS汚染列島 規制強化に逆行する日本
諸永裕司(ジャーナリスト)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◇本との出会い
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
読書・観賞日記 読んで、観て、聴いて
酒井啓子(千葉大学)
本とチェック 第11回 スーザンと二人の老詩人
金承福(クオン代表)
いくつもの線のはざまで──エーリン・ペーション『アフガンの息子たち』
よこのなな(翻訳家)
PTSDという「未来への負債」──蟻塚亮二『悲しむことは生きること──原発事故とPTSD』
寺尾紗穂(シンガーソングライター)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
●連載
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
〈新連載〉
ルポ 軍事優先社会 第1回 ミサイル基地・弾薬庫と棄民政策に抗う
吉田敏浩(ジャーナリスト)
〈新連載 往復エッセイ〉
言葉と言葉のかくれんぼ 第1回 太陽の子、月の子
斎藤真理子(翻訳家)、 チョン・スユン(翻訳家)
●島に帰る 第3回 がらくたの歴史
榎本 空(エスノグラファー)
●〈小さな物語〉の復興 第4回 マンスプレイニング
小川公代(上智大学)
●隣のジャーナリズム──AIは文学を変えるか
樋口 薫(東京新聞文化芸能部)
●ボナエ・リテラエ──私の読書遍歴 第17回 『生きる勇気』
森本あんり(東京女子大学長)
●脳力のレッスン(262)二一世紀システムを日本はどう生きるか
寺島実郎
●片山善博の「日本を診る」(173)国民の信頼を回復することができる政治資金規正法改正に
片山善博(大正大学)
●「変わらない」を変える 第11回 3月8日は国際女性デー 今年は平和のためにこそ
三浦まり(上智大学)
●香港からの通信 第20回 香港人学者がみた台湾総統選挙
陳健民(台湾国立政治大学)
●気候再生のために 第23回 気候科学者の受難
江守正多(東京大学)
●ドキュメント激動の南北朝鮮 第320回(24・1~2)
編集部
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
○記憶をもった鏡──モハメド・ブーロイサ『Peripherique』 (Periphe のeにはアキュート・アクセントがつく)
戸田昌子(写真史家)
○岩波俳句
選・文 池田澄子(俳人)
○アムネスティ通信
○読者談話室
○表紙木版画
久保舎己(せんじょう 1981、裏表紙 二人で泣く 2018)
○キャラクター・扉絵
西村ツチカ
○アートディレクション
須田杏菜
○本文デザイン
大原由衣+安賀裕子
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
編集後記
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
武器輸出の緩和をめぐり、この間、自公の与党間協議が行なわれ、日英伊で共同開発する次期戦闘機の第三国への輸出が焦点となっている。戦闘機を日本が輸出する。苦々しさと一緒に、花森安治の言葉が心に沸き上がった。一九六八年の文章が『暮しの手帖』(二〇二四年早春号)に再録されている。
「全世界に向って、武器を捨てよう、ということができるのは、日本だけ」
花森はソロバンをはじいて世界の軍事費を計算し、人々がつらい思いをしてやっと稼いだ金、その使いみちを問いただしている。武器を捨てよう、日本は、それをいう権利がある。それをいわなければならぬ義務がある――九条にふれた文章はこう続く。
ジェノサイド条約の締約国は国際社会全体に義務を負う、ガザ地区における大規模攻撃を阻止しなければならない――昨年末、国際司法裁判所にイスラエルを提訴した南アフリカは、一〇月七日以前からの連続性の中でパレスチナ人に対するジェノサイドを捉えるべき、と裁判で主張した。長有紀枝さんが指摘するとおり、ヘイトスピーチなど「平時」の行為を看過しないためにも、日本の条約加入は必須だ。
二〇一七年からの大統領時代、F35戦闘機など米国製兵器の「爆買い」で安倍首相が歓心を買ったトランプ氏が、いま共和党予備選で勝利を重ねている。
再登場の文脈をさぐる特集1の記事で共通して示されるのは、トランプのほうがマシ、とまでいわれるバイデンのアメリカの脆さと欺瞞だ。司法によっても、選挙によっても、トランプ的なるものを打ち返すことができない――この状況はもちろん他人事ではない。
ポピュリズムと憎悪がこれ以上社会を覆えば、暮らしと声はますます抑圧されていく。特集2では人の生きる「身近で小さな場所」から(江島晶子さん)、社会を変える可能性を考えた。
性被害と加害、性的マイノリティの生、災害と避難、国境を越えた移動、死刑……今号でも扱う様々なテーマの底流にあり、異なる領域をつなぐ基礎となるのが人権だ。司法が差別や不条理に積極的に向き合うことに加えて、裁判以外の経路でも人権が保障されるシステムの構築が求められる。憲法と国際人権法、国民とそうでない者、国家と私人……従来の狭い枠組みを問い直し、人権を取り戻すときがきている。
一月末、群馬県が県立公園内の朝鮮人労働者追悼碑を撤去したことは、韓国や北朝鮮でも大きく報じられた(ドキュメント南北朝鮮)。
堂々と行なわれつつある武器輸出。過去の否定に加担する政府。これを歴史の終わりでなく、再建のための始まりにできるだろうか? ショベルカーで碑が砕かれる、その前日の追悼式に参加した朴順梨さんはこう声をあげた。「壊されたら、また碑を建てましょう」。そう、私たちは新しい言葉を紡いでいかなければならない。何度でも。
四月号、日韓の翻訳者、斎藤真理子さんとチョン・スユンさんによる新連載が始まりました。ぜひお読みください。
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~~『世界』臨時増刊号のご案内~~
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◎『世界』臨時増刊 ウクライナ侵略戦争――世界秩序の危機
『世界』編集部 編
2022年4月14日刊
定価1,320円
https://iwnm.jp/022242
※書籍版はご好評につき品切れとなりましたが、電子書籍版を配信中です。
国際社会は冷戦終結以降、最大の危機を迎えた。核大国による侵略という事態をどう理解し、どう対峙するのか。多角的に検証する。
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~~『世界』から生まれた本~~
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◎プリズン・サークル
坂上 香
定価2,200円
https://iwnm.jp/061526
人は、ひとりでは罪と向き合えない。日本初となる刑務所内での長期撮影、一〇年超の取材がここに結実。
◎学問と政治 学術会議任命拒否問題とは何か(岩波新書)
芦名定道、宇野重規、岡田正則、小沢隆一、加藤陽子、松宮孝明
定価924円
https://iwnm.jp/431925
日本学術会議会員任命拒否には、日本社会の矛盾が象徴されている。当事者六名が、その背景と本質を問う。
◎読書会という幸福(岩波新書)
向井和美
定価946円
https://iwnm.jp/431932
本を語ることは人生を語ること。三十年以上続く、豊穣な「魂の交流の場」への想いをやわらかな文章で綴る。
◎沖縄という窓 クロニクル2008―2022
山城紀子、松元 剛、親川志奈子
定価2,420円
https://iwnm.jp/061541
三人の書き手が多角的に描き出す沖縄の同時代史。一四年にわたる雑誌『世界』好評リレー連載を単行本化。
◎いま、この惑星で起きていること 気象予報士の眼に映る世界
森さやか
定価902円
https://iwnm.jp/500954
世界各地で観測される異常気象を気象予報士の立場で解説し、今後について考察する。『世界』の大好評連載をまとめた一冊。
◎孤塁 双葉郡消防士たちの3・11
吉田千亜
定価1,100円
https://iwnm.jp/603333
死と隣り合わせで震災と原発災害に対応した消防士たちを丹念に取材。当時の緊迫を描き出した迫力作。
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~~「WEB世界」のご案内~~
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雑誌『世界』のWEB版もぜひ、ご覧ください
https://tanemaki.iwanami.co.jp/
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■『世界』2024年4月号(第980号)好評発売中
2024年3月8日発行
定価1045円(税込)
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▼本号の目次
特集1/特集2/注目記事/世界の潮/本との出会い/連載/編集後記/
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┃特集 1┃トランプふたたび
┗━━━╋…────────────────────────────────
〈座談会〉
なぜトランプなのか──極端化と幻滅の果てに
遠藤 乾(東京大学)×渡辺将人(慶應義塾大学)×三牧聖子(同志社大学)
米中東政策の綻びはどこに向かうか──イスラエル もうひとつのトランプ旋風
鈴木啓之(東京大学)
米連邦最高裁 アメリカ政治の主戦場
秋元由紀(翻訳家・米国弁護士)
〈対談〉
「新冷戦」か混沌か──米大統領選と東アジア情勢
李鍾元(早稲田大学)×益尾知佐子(九州大学)
気候危機とトランプ2・0
八田浩輔(毎日新聞)
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┃特集 2┃人権を取り戻す
┗━━━╋…────────────────────────────────
人権は「身近で小さな場所」から始まる──憲法と国際人権法の循環ダイナミズム
江島晶子(明治大学)
「ビジネスと人権」のいま
伊藤和子(弁護士)
〈対談〉
なかったことにされてきた声から──災害・避難・ジェンダー
清水奈名子(宇都宮大学)×吉田千亜(ライター)
なぜ沖縄は国連に訴えるのか
阿部 藹(琉球大学客員研究員)
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◆注目記事
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大学不信と多様性へのバックラッシュ
林香里(東京大学)
破壊された「戒め」──群馬県朝鮮人追悼碑撤去に抗して
朴順梨(ライター)
イスラエルによるガザでの戦争は、気候の破局にも「莫大な」影響を与える
ニーナ・ラカーニー(ジャーナリスト)、訳・解説=中村峻太郎
〈ルポ〉
ストーカー加害者治療は可能か 前編
内澤旬子(文筆家)
〈シリーズ 夜店〉
男性たちは、本当に哲学をしてきたのか?
小手川正二郎(國學院大学)
〈スケッチ〉
担当者
松田青子(作家)
災害とダイバーシティ
内田 賢(一橋大学修士課程)
能登半島地震がつきつけた原子力防災の破綻
満田夏花(FoE Japan)
〈ルポ〉
サパティスタ蜂起30年 暴力と利権に蝕まれるチアパス
文=工藤律子 撮影=篠田有史
性虐待を受けた子どもへワンストップなケアを
田上幸治(神奈川県立こども医療センター)
子どもに安心を、司法に付添犬を
山本真理子(帝京科学大学)
〈対談〉
新しいメディアと調査報道のかたち
辻 麻梨子(Tansa)×石田 健(The HEADLINE)
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◇世界の潮
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◇イスラエルにジェノサイド防止の暫定措置命令
長 有紀枝(立教大学)
◇インドネシア大統領選 「最悪の選挙」はいかに戦われたか
見市 建(早稲田大学)
◇京アニ事件と甲府事件 ──ふたつの死刑判決が問うもの
後藤弘子(千葉大学)
◇PFAS汚染列島 規制強化に逆行する日本
諸永裕司(ジャーナリスト)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◇本との出会い
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読書・観賞日記 読んで、観て、聴いて
酒井啓子(千葉大学)
本とチェック 第11回 スーザンと二人の老詩人
金承福(クオン代表)
いくつもの線のはざまで──エーリン・ペーション『アフガンの息子たち』
よこのなな(翻訳家)
PTSDという「未来への負債」──蟻塚亮二『悲しむことは生きること──原発事故とPTSD』
寺尾紗穂(シンガーソングライター)
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●連載
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〈新連載〉
ルポ 軍事優先社会 第1回 ミサイル基地・弾薬庫と棄民政策に抗う
吉田敏浩(ジャーナリスト)
〈新連載 往復エッセイ〉
言葉と言葉のかくれんぼ 第1回 太陽の子、月の子
斎藤真理子(翻訳家)、 チョン・スユン(翻訳家)
●島に帰る 第3回 がらくたの歴史
榎本 空(エスノグラファー)
●〈小さな物語〉の復興 第4回 マンスプレイニング
小川公代(上智大学)
●隣のジャーナリズム──AIは文学を変えるか
樋口 薫(東京新聞文化芸能部)
●ボナエ・リテラエ──私の読書遍歴 第17回 『生きる勇気』
森本あんり(東京女子大学長)
●脳力のレッスン(262)二一世紀システムを日本はどう生きるか
寺島実郎
●片山善博の「日本を診る」(173)国民の信頼を回復することができる政治資金規正法改正に
片山善博(大正大学)
●「変わらない」を変える 第11回 3月8日は国際女性デー 今年は平和のためにこそ
三浦まり(上智大学)
●香港からの通信 第20回 香港人学者がみた台湾総統選挙
陳健民(台湾国立政治大学)
●気候再生のために 第23回 気候科学者の受難
江守正多(東京大学)
●ドキュメント激動の南北朝鮮 第320回(24・1~2)
編集部
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○記憶をもった鏡──モハメド・ブーロイサ『Peripherique』 (Periphe のeにはアキュート・アクセントがつく)
戸田昌子(写真史家)
○岩波俳句
選・文 池田澄子(俳人)
○アムネスティ通信
○読者談話室
○表紙木版画
久保舎己(せんじょう 1981、裏表紙 二人で泣く 2018)
○キャラクター・扉絵
西村ツチカ
○アートディレクション
須田杏菜
○本文デザイン
大原由衣+安賀裕子
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編集後記
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武器輸出の緩和をめぐり、この間、自公の与党間協議が行なわれ、日英伊で共同開発する次期戦闘機の第三国への輸出が焦点となっている。戦闘機を日本が輸出する。苦々しさと一緒に、花森安治の言葉が心に沸き上がった。一九六八年の文章が『暮しの手帖』(二〇二四年早春号)に再録されている。
「全世界に向って、武器を捨てよう、ということができるのは、日本だけ」
花森はソロバンをはじいて世界の軍事費を計算し、人々がつらい思いをしてやっと稼いだ金、その使いみちを問いただしている。武器を捨てよう、日本は、それをいう権利がある。それをいわなければならぬ義務がある――九条にふれた文章はこう続く。
ジェノサイド条約の締約国は国際社会全体に義務を負う、ガザ地区における大規模攻撃を阻止しなければならない――昨年末、国際司法裁判所にイスラエルを提訴した南アフリカは、一〇月七日以前からの連続性の中でパレスチナ人に対するジェノサイドを捉えるべき、と裁判で主張した。長有紀枝さんが指摘するとおり、ヘイトスピーチなど「平時」の行為を看過しないためにも、日本の条約加入は必須だ。
二〇一七年からの大統領時代、F35戦闘機など米国製兵器の「爆買い」で安倍首相が歓心を買ったトランプ氏が、いま共和党予備選で勝利を重ねている。
再登場の文脈をさぐる特集1の記事で共通して示されるのは、トランプのほうがマシ、とまでいわれるバイデンのアメリカの脆さと欺瞞だ。司法によっても、選挙によっても、トランプ的なるものを打ち返すことができない――この状況はもちろん他人事ではない。
ポピュリズムと憎悪がこれ以上社会を覆えば、暮らしと声はますます抑圧されていく。特集2では人の生きる「身近で小さな場所」から(江島晶子さん)、社会を変える可能性を考えた。
性被害と加害、性的マイノリティの生、災害と避難、国境を越えた移動、死刑……今号でも扱う様々なテーマの底流にあり、異なる領域をつなぐ基礎となるのが人権だ。司法が差別や不条理に積極的に向き合うことに加えて、裁判以外の経路でも人権が保障されるシステムの構築が求められる。憲法と国際人権法、国民とそうでない者、国家と私人……従来の狭い枠組みを問い直し、人権を取り戻すときがきている。
一月末、群馬県が県立公園内の朝鮮人労働者追悼碑を撤去したことは、韓国や北朝鮮でも大きく報じられた(ドキュメント南北朝鮮)。
堂々と行なわれつつある武器輸出。過去の否定に加担する政府。これを歴史の終わりでなく、再建のための始まりにできるだろうか? ショベルカーで碑が砕かれる、その前日の追悼式に参加した朴順梨さんはこう声をあげた。「壊されたら、また碑を建てましょう」。そう、私たちは新しい言葉を紡いでいかなければならない。何度でも。
四月号、日韓の翻訳者、斎藤真理子さんとチョン・スユンさんによる新連載が始まりました。ぜひお読みください。
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◎『世界』臨時増刊 ウクライナ侵略戦争――世界秩序の危機
『世界』編集部 編
2022年4月14日刊
定価1,320円
https://iwnm.jp/022242
※書籍版はご好評につき品切れとなりましたが、電子書籍版を配信中です。
国際社会は冷戦終結以降、最大の危機を迎えた。核大国による侵略という事態をどう理解し、どう対峙するのか。多角的に検証する。
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◎プリズン・サークル
坂上 香
定価2,200円
https://iwnm.jp/061526
人は、ひとりでは罪と向き合えない。日本初となる刑務所内での長期撮影、一〇年超の取材がここに結実。
◎学問と政治 学術会議任命拒否問題とは何か(岩波新書)
芦名定道、宇野重規、岡田正則、小沢隆一、加藤陽子、松宮孝明
定価924円
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日本学術会議会員任命拒否には、日本社会の矛盾が象徴されている。当事者六名が、その背景と本質を問う。
◎読書会という幸福(岩波新書)
向井和美
定価946円
https://iwnm.jp/431932
本を語ることは人生を語ること。三十年以上続く、豊穣な「魂の交流の場」への想いをやわらかな文章で綴る。
◎沖縄という窓 クロニクル2008―2022
山城紀子、松元 剛、親川志奈子
定価2,420円
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三人の書き手が多角的に描き出す沖縄の同時代史。一四年にわたる雑誌『世界』好評リレー連載を単行本化。
◎いま、この惑星で起きていること 気象予報士の眼に映る世界
森さやか
定価902円
https://iwnm.jp/500954
世界各地で観測される異常気象を気象予報士の立場で解説し、今後について考察する。『世界』の大好評連載をまとめた一冊。
◎孤塁 双葉郡消防士たちの3・11
吉田千亜
定価1,100円
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死と隣り合わせで震災と原発災害に対応した消防士たちを丹念に取材。当時の緊迫を描き出した迫力作。
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