『世界』メールマガジン/2017年11月号 【特集1:北朝鮮危機】 【特集2:誰のための働き方改革?】
2017/10/11 (Wed) 11:00
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■■ 『世界』メールマガジン/2017年11月号
■■ vol.#0029
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■『世界』2017年11月号(第901号)好評発売中
2017年10月7日発行
定価(本体850円+税)
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▼本号の目次
特集/世界の潮/注目記事/連載/グラビア/編集後記/
『世界』から生まれた本/イベント情報
┏━━━┓
┃特集1┃北朝鮮危機――解決策は対話しかない
┗━━━╋…────────────────────────────────
〈打開策を探る〉
持久戦覚悟の粘り強い対話しか道はない
平井久志(ジャーナリスト)
〈緊急討論会記録〉
北朝鮮危機と日本のなすべきこと
村山富市,小此木政夫,伊豆見元,美根慶樹,李鍾元,
吉田 進,小牧輝夫,木宮正史,和田春樹
〈韓国の苦悩〉
「リアルな問題」になった北朝鮮の核と韓国の選択
李南周(聖公会大学),訳=青柳純一
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◆注目記事1
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
〈10・22総選挙〉
「憲法蹂躙」政権への審判――解散の憲法問題をめぐって
高見勝利(上智大学名誉教授)
壊れる論戦――国会の「質」を問う選挙
南 彰(朝日新聞)
片山善博の「日本を診る」(96)
――臨時国会冒頭解散と「高度の政治性」への疑問
片山善博(早稲田大学)
〈ウソを見破れ〉
フェイクニュースとの闘い――ファクトチェックの現在
立岩陽一郎(ジャーナリスト)
〈脳力のレッスン187 特別篇〉
ウィーンから考える北朝鮮問題と中東・エネルギー地政学
寺島実郎
┏━━━┓
┃特集2┃誰のための働き方改革?
┗━━━╋…────────────────────────────────
〈時間の公共性〉
なんのための労働時間短縮なのか
浅倉むつ子(早稲田大学)
〈インタビュー〉
働く者の声を反映した改革こそ必要だ
神津里季生(連合会長)
〈奇妙な構図〉
「働き方改革」はなぜ若者に支持されるのか?
今野晴貴(POSSE 代表)
〈座談会〉
過重労働の現場から――運輸・建設業界の「働き方改革」は?
河山和夫(仮名・建設労働者),樋渡一巳(長距離トラックドライバー),
山田光一(仮名・元ヤマト運輸セールスドライバー), 横田増生(フリージャーナリスト)
〈むしろ規制緩和〉
この「改革」で過労死はなくならない
森岡孝二(関西大学名誉教授)
〈対談〉
過労に殺される医師たちを見つめて――労働者としての権利を考える
中原のり子(東京過労死を考える家族の会代表)×植山直人(全国医師ユニオン代表)
〈〈起業〉とは〉
「労働依存」からの解放――労働の多様化と多元化
新 雅史(東洋大学)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◇世界の潮
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◇ロヒンギャ難民を政治的に利用するプレイヤーたち
竹田いさみ
◇日本は主権を取り戻せるか――沖縄が迫る地位協定改定
前泊博盛
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◆注目記事2
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
〈「核のごみ」問題〉
最終処分地を住民参加で決める――模索してきたドイツの試み
ふくもとまさお(ジャーナリスト)
〈座談会〉
“命の大切さ”は,誰が教えるのか
藤井誠二(ルポライター)×名越康文(精神科医)×松原拓郎(弁護士)×武田さち子(教育評論家)
〈地べたからの報告〉
反緊縮を進める欧州左派――イギリスからの示唆
ブレイディみかこ(英国在住保育士)
〈揺らぐ権利〉
出版文化と著作権(上)――デジタル化とネットワーク化の進展の中で
吉田大輔(著作権情報センター)
〈インタビュー〉
どんな人の中にもある「人の強さ」を描きたい
――「慰安婦」問題を自分の問題として受けとめるために
石原燃(劇作家),聞き手=岡本有佳(編集者)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
●連載
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
●吉田調書を超えて【第4回】
――原発事故収束の限界性
太田昌克(共同通信)
●〈周縁〉の「小さなアメリカ」【第2回】
変わりゆく黒人たちの〈抵抗〉――藤永康政との対話
中村 寛(多摩美術大学)
●アパレル興亡【第3回】
黒木 亮(作家)
●日 没【第5回】
桐野夏生(作家)
●海の底から【第12回】
金石範(作家)
●私的小豆島名所【その29】
内澤旬子(イラストルポライター)
●神を捨て、神になった男 確定死刑囚・袴田巖【第9回】
――「警察の取調べは強引で,全部虚」
青柳雄介(ジャーナリスト)
●原発月報【第30回】
17・08~09
福島原発事故記録チーム
●それぞれの出ウチナー記 海を越えるアイデンティティー【第3話】
三山喬(ジャーナリスト)
●中国新建築文化論【第7回】
「保障性住宅」とは何か?――北京・呉家場住宅小区の実験
市川紘司(東京藝術大学)
●イングリッシュ・レッスン――お試し難民流英語学習伝【17】
――母語と母国語
中村和恵(明治大学)
●メディア批評【第119回】
神保太郎(ジャーナリスト)
●沖縄(シマ)という窓――記憶をつなぎ記録する伊江島LCT事件の検証
山城紀子(フリーライター)
●世界論壇月評
朱建栄・竹田いさみ・吉田文彦・石郷岡建
●ドキュメント激動の南北朝鮮(243)
編集部
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
○グラビア
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
○グラビア――公募作品161
わたしとは。―― who I am ――
松田嵩範(カメラマン)
○A SHOT OF THE WORLD
○表紙の言葉
鈴木邦弘(写真家)
○表紙写真= 鈴木邦弘 デザイン= 赤崎正一+ 佐野裕哉
○グラビアについて(公募規定)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◇編集後記
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
「首相による今回の解散権の行使は『非立憲』であるのみならず,
『違憲』だと言ってよい」(石川健治氏,『毎日新聞』九月二六日
朝刊.なお本号高見論文を参照されたい)
解散風が政界再編の巨大台風にみるみる成長して吹き荒れる中,校
了作業をしている.この後記も明日の政治状況が見通せないまま書い
ている.一日一日,フェーズが変わっていく.
小池百合子都知事(本号が店頭に並ぶ頃には,肩書が変わっている
かもしれない)について,いまでも思い出す強烈な記憶がある.二〇
〇四年四月,ボランティア活動家の高遠菜穂子さんら三人の日本人が
イラクで人質となったとき,小池環境相が記者たちにコメントを求め
られた.「自己責任でしょ」―こう言い放つ姿をテレビの画面で見て,
血の気が引いた.その後,「自己責任」という言葉はあっという間に
広がっていった.私にとって,小池氏とはそういう人だ.
「いまなら勝てるから解散」だったはずが,「自民vs.希望」「安
倍vs.小池」という構図にあっという間にもっていかれようとしてい
る.小池恐るべしである.結局は保守二大政党制に落ち着くのか,い
や右翼二大政党制とでもいうべきものになるのか(考えたくもないが).
政党政治が瓦解した,というより,政党が選挙互助会化したなれの果
てなのかもしれない.
校了作業中の時点で,民進党がどうなるかは不透明だ.人材も金も
不足している「希望」にのっとられるのだろうか.志ある議員には勝
ち残ってほしい,という気持ちである.二〇〇九年の政権交代でさっ
そうと誕生した民主党政権だったが,3・11という未曽有の事態に直
面したこともあり,稚拙な政権運営が批判され短命に終わった.だが,
事あるごとに「民主党政権のあの暗い時代に戻っていいのか」と安倍
氏に言われなければならないほどひどかったのか,と思い巡らすこと
も,もはや意味をなさないのか.
二〇〇九年の総選挙で,民主党の新人女性議員が二六人誕生した.
そのうち,二回の総選挙を経て生き残ったのは山尾志桜里氏ただ一人
だった(『世界』別冊〔No.881〕 所収の座談会「女性議員を増やそ
う!」における井戸まさえ氏の発言参照).スキャンダルで離党する
前の話である.二五人のうち,心ならずも政治の世界を離れ別の道
を歩んだ人も多い.再起を期して今回の総選挙に賭ける人もいるだろう.
政党が機能しないなら,個々の議員の力量と姿勢をみて選ぶほか
ないのではないか.この「暴風」の受けとめ方も,都市部と地方と
では違うだろう.国政と地元の政治課題にこつこつと誠実に取り組
んでいるのはどの候補か.今回の選挙ほど有権者が試される選挙は
ない.
政治改革が叫ばれて二〇年以上が経つが,民意を正しく反映しな
い選挙制度のもと,その時々の「風」によって決まるのではろくな
ことにならないのは明らかだ.小選挙区制に反対し続けた朝日新聞
の政治記者,石川真澄さん(二〇〇四年没)が小誌の連載担当編集者
に漏らした一言を思い出す.「二一世紀まで生きたが,いいことはひ
とつもなかったな」
***********
★二〇一八年一月号より「読者投句コーナー」を始めます.選者は
俳人の池田澄子さんです.二七五頁の要項をご覧のうえ,ふるって
ご参加ください.
★「世界」編集部では遅まきながらツイッターを始めました.まだ
試行錯誤中ですが,覗いてみてください.アカウントは @WEB_SEKAI です.
清宮美稚子(本誌編集長)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
~~『世界』から生まれた本~~
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◎海をわたる手紙 ノンフィクションの「身の内」
澤地久枝・ドウス昌代
定価(本体1700円+税)
http://iwnm.jp/022234
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
イベント情報
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
いまほど、ジャーナリズムの真価が問われている時代もありません。
小誌は、早稲田大学ジャーナリズム研究所、調査報道メディア・ワセ
ダクロニクルとの共催で、連続シンポジウム「ジャーナリズム考」を
開講いたします。年4回のシンポジウムを通して、ジャーナリズムの
現在を皆さんと考えます。初回にあたる10月15日は、「日本の報道は
何を伝えていないか――ジャーナリズムが殺される国からの報告」と
題し、メキシコと南スーダンに精通する2人の識者がご登壇。以下の
テーマで報告していただきます。「メキシコ麻薬戦争とジャーナリズ
ム」(工藤律子/ジャーナリスト)
詳細・お申し込みは下記のサイトをご覧ください。
https://form.os7.biz/f/c0562734/
○「日本の報道は何を伝えていないか――ジャーナリズムが殺される国からの報告」
10月15日(日)13時開会
早稲田大学14号館102教室
参加費無料
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登録情報の編集・解除は,こちらよりお願いいたします.
http://iwnm.jp/MM
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□『世界』メールマガジン
〒101-8002 東京都千代田区一ツ橋2-5-5
E-Mail: sekai@iwanami.co.jp
WEB: http://iwnm.jp/sekai
Twitter: https://twitter.com/WEB_SEKAI
◇本誌のご注文はお近くの書店か小社営業部宛てにお願いいたします.
岩波書店営業部読者係(TEL:03-5210-4111,FAX:03-3263-6999)
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■■ vol.#0029
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2017年10月7日発行
定価(本体850円+税)
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▼本号の目次
特集/世界の潮/注目記事/連載/グラビア/編集後記/
『世界』から生まれた本/イベント情報
┏━━━┓
┃特集1┃北朝鮮危機――解決策は対話しかない
┗━━━╋…────────────────────────────────
〈打開策を探る〉
持久戦覚悟の粘り強い対話しか道はない
平井久志(ジャーナリスト)
〈緊急討論会記録〉
北朝鮮危機と日本のなすべきこと
村山富市,小此木政夫,伊豆見元,美根慶樹,李鍾元,
吉田 進,小牧輝夫,木宮正史,和田春樹
〈韓国の苦悩〉
「リアルな問題」になった北朝鮮の核と韓国の選択
李南周(聖公会大学),訳=青柳純一
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◆注目記事1
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〈10・22総選挙〉
「憲法蹂躙」政権への審判――解散の憲法問題をめぐって
高見勝利(上智大学名誉教授)
壊れる論戦――国会の「質」を問う選挙
南 彰(朝日新聞)
片山善博の「日本を診る」(96)
――臨時国会冒頭解散と「高度の政治性」への疑問
片山善博(早稲田大学)
〈ウソを見破れ〉
フェイクニュースとの闘い――ファクトチェックの現在
立岩陽一郎(ジャーナリスト)
〈脳力のレッスン187 特別篇〉
ウィーンから考える北朝鮮問題と中東・エネルギー地政学
寺島実郎
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┃特集2┃誰のための働き方改革?
┗━━━╋…────────────────────────────────
〈時間の公共性〉
なんのための労働時間短縮なのか
浅倉むつ子(早稲田大学)
〈インタビュー〉
働く者の声を反映した改革こそ必要だ
神津里季生(連合会長)
〈奇妙な構図〉
「働き方改革」はなぜ若者に支持されるのか?
今野晴貴(POSSE 代表)
〈座談会〉
過重労働の現場から――運輸・建設業界の「働き方改革」は?
河山和夫(仮名・建設労働者),樋渡一巳(長距離トラックドライバー),
山田光一(仮名・元ヤマト運輸セールスドライバー), 横田増生(フリージャーナリスト)
〈むしろ規制緩和〉
この「改革」で過労死はなくならない
森岡孝二(関西大学名誉教授)
〈対談〉
過労に殺される医師たちを見つめて――労働者としての権利を考える
中原のり子(東京過労死を考える家族の会代表)×植山直人(全国医師ユニオン代表)
〈〈起業〉とは〉
「労働依存」からの解放――労働の多様化と多元化
新 雅史(東洋大学)
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◇世界の潮
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◇ロヒンギャ難民を政治的に利用するプレイヤーたち
竹田いさみ
◇日本は主権を取り戻せるか――沖縄が迫る地位協定改定
前泊博盛
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◆注目記事2
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〈「核のごみ」問題〉
最終処分地を住民参加で決める――模索してきたドイツの試み
ふくもとまさお(ジャーナリスト)
〈座談会〉
“命の大切さ”は,誰が教えるのか
藤井誠二(ルポライター)×名越康文(精神科医)×松原拓郎(弁護士)×武田さち子(教育評論家)
〈地べたからの報告〉
反緊縮を進める欧州左派――イギリスからの示唆
ブレイディみかこ(英国在住保育士)
〈揺らぐ権利〉
出版文化と著作権(上)――デジタル化とネットワーク化の進展の中で
吉田大輔(著作権情報センター)
〈インタビュー〉
どんな人の中にもある「人の強さ」を描きたい
――「慰安婦」問題を自分の問題として受けとめるために
石原燃(劇作家),聞き手=岡本有佳(編集者)
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●連載
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●吉田調書を超えて【第4回】
――原発事故収束の限界性
太田昌克(共同通信)
●〈周縁〉の「小さなアメリカ」【第2回】
変わりゆく黒人たちの〈抵抗〉――藤永康政との対話
中村 寛(多摩美術大学)
●アパレル興亡【第3回】
黒木 亮(作家)
●日 没【第5回】
桐野夏生(作家)
●海の底から【第12回】
金石範(作家)
●私的小豆島名所【その29】
内澤旬子(イラストルポライター)
●神を捨て、神になった男 確定死刑囚・袴田巖【第9回】
――「警察の取調べは強引で,全部虚」
青柳雄介(ジャーナリスト)
●原発月報【第30回】
17・08~09
福島原発事故記録チーム
●それぞれの出ウチナー記 海を越えるアイデンティティー【第3話】
三山喬(ジャーナリスト)
●中国新建築文化論【第7回】
「保障性住宅」とは何か?――北京・呉家場住宅小区の実験
市川紘司(東京藝術大学)
●イングリッシュ・レッスン――お試し難民流英語学習伝【17】
――母語と母国語
中村和恵(明治大学)
●メディア批評【第119回】
神保太郎(ジャーナリスト)
●沖縄(シマ)という窓――記憶をつなぎ記録する伊江島LCT事件の検証
山城紀子(フリーライター)
●世界論壇月評
朱建栄・竹田いさみ・吉田文彦・石郷岡建
●ドキュメント激動の南北朝鮮(243)
編集部
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○グラビア
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○グラビア――公募作品161
わたしとは。―― who I am ――
松田嵩範(カメラマン)
○A SHOT OF THE WORLD
○表紙の言葉
鈴木邦弘(写真家)
○表紙写真= 鈴木邦弘 デザイン= 赤崎正一+ 佐野裕哉
○グラビアについて(公募規定)
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◇編集後記
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「首相による今回の解散権の行使は『非立憲』であるのみならず,
『違憲』だと言ってよい」(石川健治氏,『毎日新聞』九月二六日
朝刊.なお本号高見論文を参照されたい)
解散風が政界再編の巨大台風にみるみる成長して吹き荒れる中,校
了作業をしている.この後記も明日の政治状況が見通せないまま書い
ている.一日一日,フェーズが変わっていく.
小池百合子都知事(本号が店頭に並ぶ頃には,肩書が変わっている
かもしれない)について,いまでも思い出す強烈な記憶がある.二〇
〇四年四月,ボランティア活動家の高遠菜穂子さんら三人の日本人が
イラクで人質となったとき,小池環境相が記者たちにコメントを求め
られた.「自己責任でしょ」―こう言い放つ姿をテレビの画面で見て,
血の気が引いた.その後,「自己責任」という言葉はあっという間に
広がっていった.私にとって,小池氏とはそういう人だ.
「いまなら勝てるから解散」だったはずが,「自民vs.希望」「安
倍vs.小池」という構図にあっという間にもっていかれようとしてい
る.小池恐るべしである.結局は保守二大政党制に落ち着くのか,い
や右翼二大政党制とでもいうべきものになるのか(考えたくもないが).
政党政治が瓦解した,というより,政党が選挙互助会化したなれの果
てなのかもしれない.
校了作業中の時点で,民進党がどうなるかは不透明だ.人材も金も
不足している「希望」にのっとられるのだろうか.志ある議員には勝
ち残ってほしい,という気持ちである.二〇〇九年の政権交代でさっ
そうと誕生した民主党政権だったが,3・11という未曽有の事態に直
面したこともあり,稚拙な政権運営が批判され短命に終わった.だが,
事あるごとに「民主党政権のあの暗い時代に戻っていいのか」と安倍
氏に言われなければならないほどひどかったのか,と思い巡らすこと
も,もはや意味をなさないのか.
二〇〇九年の総選挙で,民主党の新人女性議員が二六人誕生した.
そのうち,二回の総選挙を経て生き残ったのは山尾志桜里氏ただ一人
だった(『世界』別冊〔No.881〕 所収の座談会「女性議員を増やそ
う!」における井戸まさえ氏の発言参照).スキャンダルで離党する
前の話である.二五人のうち,心ならずも政治の世界を離れ別の道
を歩んだ人も多い.再起を期して今回の総選挙に賭ける人もいるだろう.
政党が機能しないなら,個々の議員の力量と姿勢をみて選ぶほか
ないのではないか.この「暴風」の受けとめ方も,都市部と地方と
では違うだろう.国政と地元の政治課題にこつこつと誠実に取り組
んでいるのはどの候補か.今回の選挙ほど有権者が試される選挙は
ない.
政治改革が叫ばれて二〇年以上が経つが,民意を正しく反映しな
い選挙制度のもと,その時々の「風」によって決まるのではろくな
ことにならないのは明らかだ.小選挙区制に反対し続けた朝日新聞
の政治記者,石川真澄さん(二〇〇四年没)が小誌の連載担当編集者
に漏らした一言を思い出す.「二一世紀まで生きたが,いいことはひ
とつもなかったな」
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★二〇一八年一月号より「読者投句コーナー」を始めます.選者は
俳人の池田澄子さんです.二七五頁の要項をご覧のうえ,ふるって
ご参加ください.
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清宮美稚子(本誌編集長)
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小誌は、早稲田大学ジャーナリズム研究所、調査報道メディア・ワセ
ダクロニクルとの共催で、連続シンポジウム「ジャーナリズム考」を
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何を伝えていないか――ジャーナリズムが殺される国からの報告」と
題し、メキシコと南スーダンに精通する2人の識者がご登壇。以下の
テーマで報告していただきます。「メキシコ麻薬戦争とジャーナリズ
ム」(工藤律子/ジャーナリスト)
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○「日本の報道は何を伝えていないか――ジャーナリズムが殺される国からの報告」
10月15日(日)13時開会
早稲田大学14号館102教室
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