『世界』メールマガジン/2018年6月号 【特集:メディア─忖度か対峙か】
2018/05/08 (Tue) 18:00
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■■ 『世界』メールマガジン/2018年6月号
■■ vol.#0036
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■『世界』2018年6月号(第909号)好評発売中
2018年5月8日発行
定価(本体850円+税)
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▼本号の目次
特集/世界の潮/注目記事/連載/グラビア/編集後記/
『世界』から生まれた本/イベント情報
┏━━━┓
┃ 特集 ┃メディア──忖度か対峙か
┗━━━╋…────────────────────────────────
〈介入に屈せず〉
表現の自由が向かう先──メディアはこの時代をどう伝えるか
田島泰彦(元上智大学教授)
〈メディアの変化〉
劣化する政権とメディア
望月衣塑子(東京新聞)
〈“Abe TV ”?〉
民放解体を目指した安倍放送改革
原 真(共同通信)
〈探査ジャーナリズム〉
公共圏,アンタゴニズム,そしてジャーナリズム
花田達朗(早稲田大学ジャーナリズム研究所前所長)
〈市民がメディアを支える〉
公共放送を取り戻すための韓国放送人と市民たちの抵抗に学ぶ
岡本有佳(編集者)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◆注目記事
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
〈ゆがめられた教育〉
加計・森友・日報問題の本質と政治・行政の責任──モラルハザード・モラルジレンマと信頼基盤の解体
藤田英典(共栄大学)
〈危険な科目〉
学びの統制と人格の支配──新設科目「公共」に注目して
中嶋哲彦(名古屋大学)
〈先立つものは……〉
候補者の誕生(下)─―候補者と選挙資金
井戸まさえ(元衆議院議員)
〈座談会〉
移民国家・日本のいのちの差別──隠される外国人の労働問題
鳥井一平(移住連)×村山敏(神奈川シティユニオン)×飯田勝泰(東京労働安全衛生センター)×指宿昭一(弁護士)
〈イタリア政治,続く例外状況〉
「五つ星運動」の勝利は何を意味するのか
村上信一郎(神戸市外国語大学名誉教授)
〈隣国の表現の営み〉
記憶を鍛え,表現しつづける──済州島4・3事件から70年の美術
古川美佳(朝鮮美術文化研究者)
〈世界的潮流を知る〉
グリッドガール廃止をめぐるあれこれ──無意識の女性蔑視という罪
伊達軍曹(モータースポーツジャーナリスト)
〈すべて記録すべき?〉
差別とことば──国語辞典で差別語はどうあつかうべきか
ましこ・ひでのり(中京大学)
〈追悼〉
金子兜太のあゆみは永遠に
安西 篤(俳人)
〈立ち上がった六〇代〉
農村の原風景を守る酒造り──新政酒造が地域を醸す
小坂佳子(読売新聞)
〈改憲案批判〉
自民党の四七条改憲案と一票の価値
伊藤 真(弁護士)
〈「押しつけ」説の破綻〉
憲法九条は誰が発案したのか──幣原喜重郎と「平野文書」
笠原十九司(歴史学者)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◇世界の潮
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◇ヴィクトル・オルバーンの三選──EUの小国に君臨するポピュリストの実像
花田吉隆
◇東南アジアに広がる権威主義のドミノ
柴田直治
◇荒瀬ダム撤去でみたい川,人,海の環境回復
まさのあつこ
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
●連載
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
●【新連載】仮想通貨は幻想通貨?(第1回)
ビットコインの概要と仕組み
中島真志(麗澤大学)
●脳力のレッスン【194】特別篇
ジェロントロジーの新たな地平──異次元の高齢化社会に向き合う柔らかい構想力
寺島実郎
●新語解題【第4回】
相対音感──共に生きていくために身につく力
最相葉月(ノンフィクションライター)
●映像世界の冒険者たち【第2回】
廃墟の近傍──王兵
四方田犬彦(比較文学・映画研究家)
●アパレル興亡【第10回】
黒木 亮(作家)
●海の底から【第16回】
金石範(作家)
●私的小豆島名所【その35】
内澤旬子(イラストルポライター)
●トランプのアメリカに住む【第5回】
反転したアメリカンドリーム──労働者階級文化のゆくえ
吉見俊哉(東京大学)
●それぞれの出ウチナー記 海を越えるアイデンティティー【第9話】
――米兵花嫁が支えるアメリカ県人会
三山 喬(ジャーナリスト)
●神を捨て,神になった男 確定死刑囚・袴田巖【第16回】
――「自白した,傷がある,犯人だ」
青柳雄介(ジャーナリスト)
●〈周縁〉の「小さなアメリカ」【第6回】
「非合法移民」という現実──村田勝幸との対話
中村 寛(多摩美術大学)
●中国新建築文化論【第13回】
ラグジュアリーなラフ──上海のコンバージョン建築の潮流
市川紘司(東京藝術大学助手)
●読者投句・岩波俳句
選・文=池田澄子(俳人)
●メディア批評【第126回】
神保太郎(ジャーナリスト)
●原発月報――(18・2~4)
福島原発事故記録チーム
●片山善博の「日本を診る」(103)
議員年金復活論への大いなる違和感
片山善博(早稲田大学)
●世界論壇月評
朱建栄・竹田いさみ・吉田文彦・石郷岡建
●ドキュメント激動の南北朝鮮(250)――(18・3~4)
編集部
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
○グラビア
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
○公募作品【166】
Displaced: unknown hardship of Syrian refugees
川畑嘉文(写真家)
○A SHOT OF THE WORLD
○表紙の言葉
鈴木邦弘(写真家)
○表紙写真= 鈴木邦弘 デザイン= 赤崎正一+ 佐野裕哉
○グラビアについて(公募規定)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◇編集後記
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
森友・加計・日報・財務次官セクハラ問題などで国会が騒然とする
中,野党六党は四月一九日,今年度から廃止された「主要農作物種子
法」を復活させる法案を衆院に共同で提出した.
「国会崩壊」が言われる中,このような地道な立法活動が行われて
いることは評価できる.法案提出の背景には,「都道府県による種子
生産が後退するとの不安が現場で大きい」ことがあるという.種子法
廃止に対して,各自治体レベルの公共種子事業を守るために,県独自
の条例や要綱で対応する動きや請願書を採択するところもすでに出始
めていた.
種子法廃止の問題点と影響については,印鑰論考(五月号)を参照
していただきたいが,種子法のもとで支えられてきた種子の多様性が
危うくなるのは大問題だ.
本号小坂論考には,地域の再生をかけ,土地に適した酒米の作付け
に挑戦する秋田県の中高年の取組みが紹介されている.これからの日
本酒ブームでは杜氏や蔵元だけでなく「酒を生む土地そのもの」がフォ
ーカスされる,そして「農業なくして日本酒は成り立たない」という
認識,日本酒を愛するすべての人が共有できたらと心から願う.その
根幹である「種子の権利」を守ることは大事な闘いである.
なぜこのことを字数を費やして紹介したかというと,安倍政権下,
私たちの社会や暮らしの基本である公共的領域の基盤が一つひとつ切
り崩されているからだ.水道民営化への道を開くと言われる水道法改
正案も去る三月に閣議決定していた.
アメリカの運動家・思想家のジェイン・ジェイコブズは,亡くなる
直前の二〇〇六年,「アメリカにおける公共領域の劣化が,この国を
『暗黒時代』に導く」,そしてその暗黒化はもう始まっていると警告
した(本号,吉見氏.なお,森まゆみ氏によるジェイコブズに関する
ドキュメンタリー映画評〔「WEB世界」〕も参照).
安倍政権はいま,「政権末期的な総崩れ現象」の中にある(本号,
神保氏).嘘に嘘の上塗りのつじつま合わせがついに破綻し決壊した
かのようだ.強調しなければならないのは,嘘の上塗りの元凶はもっ
ぱら安倍首相とその周辺であることだ.公的資源の究極の私物化を進
めるために必要な嘘と忖度,それが官僚を含む周囲を巻き込み,国会
の議論も吹っ飛ばす劣化の暴風となった.
内閣支持率が急下降する中,九月の自民党総裁選での三選が危うく
なってきたという声も一部に聞かれる.もしそうなった場合も,安倍
政治の「暗黒の五(あるいは六)年」がやっと終わるとただ安堵して
いるわけにはいかない.「負の遺産」からの脱却,法律や経済はじめ
色々な領域で不可逆的とも思えるほどに変えられてしまったものを回
復するには,時間と努力が必要だと思うからだ.「暗黒化」としてジェ
イコブズが挙げた高等教育,科学,政府,専門倫理の劣化なども,こ
わいほどあてはまる.
もともとヘイトと「外敵の脅威」を煽り,分断した社会を足場に成
り立ってきた政権である.社会の亀裂を直し,公共的領域を立て直す
ための長い闘いが待っているとみなければならない.
今月の特集は,このところ活気づいているメディアへの咤激励企画
でもある.忖度から脱する,事実を掘り起し報道する,当たり前のこ
との強さを再認識した.
これら大手メディアはほとんど報じなかったが,公共的領域を取り
戻す小さな,しかし大事な一歩として,「種子法」復活に向けた動き
を位置づけたい.
清宮美稚子(本誌編集長)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
~~『世界』から生まれた本~~
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◎ひとはなぜ戦争をするのか 脳力のレッスンV
寺島 実郎
定価(本体1700円+税)
http://iwnm.jp/024533
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2018年5月8日発行
定価(本体850円+税)
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▼本号の目次
特集/世界の潮/注目記事/連載/グラビア/編集後記/
『世界』から生まれた本/イベント情報
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┃ 特集 ┃メディア──忖度か対峙か
┗━━━╋…────────────────────────────────
〈介入に屈せず〉
表現の自由が向かう先──メディアはこの時代をどう伝えるか
田島泰彦(元上智大学教授)
〈メディアの変化〉
劣化する政権とメディア
望月衣塑子(東京新聞)
〈“Abe TV ”?〉
民放解体を目指した安倍放送改革
原 真(共同通信)
〈探査ジャーナリズム〉
公共圏,アンタゴニズム,そしてジャーナリズム
花田達朗(早稲田大学ジャーナリズム研究所前所長)
〈市民がメディアを支える〉
公共放送を取り戻すための韓国放送人と市民たちの抵抗に学ぶ
岡本有佳(編集者)
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◆注目記事
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〈ゆがめられた教育〉
加計・森友・日報問題の本質と政治・行政の責任──モラルハザード・モラルジレンマと信頼基盤の解体
藤田英典(共栄大学)
〈危険な科目〉
学びの統制と人格の支配──新設科目「公共」に注目して
中嶋哲彦(名古屋大学)
〈先立つものは……〉
候補者の誕生(下)─―候補者と選挙資金
井戸まさえ(元衆議院議員)
〈座談会〉
移民国家・日本のいのちの差別──隠される外国人の労働問題
鳥井一平(移住連)×村山敏(神奈川シティユニオン)×飯田勝泰(東京労働安全衛生センター)×指宿昭一(弁護士)
〈イタリア政治,続く例外状況〉
「五つ星運動」の勝利は何を意味するのか
村上信一郎(神戸市外国語大学名誉教授)
〈隣国の表現の営み〉
記憶を鍛え,表現しつづける──済州島4・3事件から70年の美術
古川美佳(朝鮮美術文化研究者)
〈世界的潮流を知る〉
グリッドガール廃止をめぐるあれこれ──無意識の女性蔑視という罪
伊達軍曹(モータースポーツジャーナリスト)
〈すべて記録すべき?〉
差別とことば──国語辞典で差別語はどうあつかうべきか
ましこ・ひでのり(中京大学)
〈追悼〉
金子兜太のあゆみは永遠に
安西 篤(俳人)
〈立ち上がった六〇代〉
農村の原風景を守る酒造り──新政酒造が地域を醸す
小坂佳子(読売新聞)
〈改憲案批判〉
自民党の四七条改憲案と一票の価値
伊藤 真(弁護士)
〈「押しつけ」説の破綻〉
憲法九条は誰が発案したのか──幣原喜重郎と「平野文書」
笠原十九司(歴史学者)
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◇世界の潮
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◇ヴィクトル・オルバーンの三選──EUの小国に君臨するポピュリストの実像
花田吉隆
◇東南アジアに広がる権威主義のドミノ
柴田直治
◇荒瀬ダム撤去でみたい川,人,海の環境回復
まさのあつこ
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●連載
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●【新連載】仮想通貨は幻想通貨?(第1回)
ビットコインの概要と仕組み
中島真志(麗澤大学)
●脳力のレッスン【194】特別篇
ジェロントロジーの新たな地平──異次元の高齢化社会に向き合う柔らかい構想力
寺島実郎
●新語解題【第4回】
相対音感──共に生きていくために身につく力
最相葉月(ノンフィクションライター)
●映像世界の冒険者たち【第2回】
廃墟の近傍──王兵
四方田犬彦(比較文学・映画研究家)
●アパレル興亡【第10回】
黒木 亮(作家)
●海の底から【第16回】
金石範(作家)
●私的小豆島名所【その35】
内澤旬子(イラストルポライター)
●トランプのアメリカに住む【第5回】
反転したアメリカンドリーム──労働者階級文化のゆくえ
吉見俊哉(東京大学)
●それぞれの出ウチナー記 海を越えるアイデンティティー【第9話】
――米兵花嫁が支えるアメリカ県人会
三山 喬(ジャーナリスト)
●神を捨て,神になった男 確定死刑囚・袴田巖【第16回】
――「自白した,傷がある,犯人だ」
青柳雄介(ジャーナリスト)
●〈周縁〉の「小さなアメリカ」【第6回】
「非合法移民」という現実──村田勝幸との対話
中村 寛(多摩美術大学)
●中国新建築文化論【第13回】
ラグジュアリーなラフ──上海のコンバージョン建築の潮流
市川紘司(東京藝術大学助手)
●読者投句・岩波俳句
選・文=池田澄子(俳人)
●メディア批評【第126回】
神保太郎(ジャーナリスト)
●原発月報――(18・2~4)
福島原発事故記録チーム
●片山善博の「日本を診る」(103)
議員年金復活論への大いなる違和感
片山善博(早稲田大学)
●世界論壇月評
朱建栄・竹田いさみ・吉田文彦・石郷岡建
●ドキュメント激動の南北朝鮮(250)――(18・3~4)
編集部
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○グラビア
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○公募作品【166】
Displaced: unknown hardship of Syrian refugees
川畑嘉文(写真家)
○A SHOT OF THE WORLD
○表紙の言葉
鈴木邦弘(写真家)
○表紙写真= 鈴木邦弘 デザイン= 赤崎正一+ 佐野裕哉
○グラビアについて(公募規定)
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◇編集後記
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森友・加計・日報・財務次官セクハラ問題などで国会が騒然とする
中,野党六党は四月一九日,今年度から廃止された「主要農作物種子
法」を復活させる法案を衆院に共同で提出した.
「国会崩壊」が言われる中,このような地道な立法活動が行われて
いることは評価できる.法案提出の背景には,「都道府県による種子
生産が後退するとの不安が現場で大きい」ことがあるという.種子法
廃止に対して,各自治体レベルの公共種子事業を守るために,県独自
の条例や要綱で対応する動きや請願書を採択するところもすでに出始
めていた.
種子法廃止の問題点と影響については,印鑰論考(五月号)を参照
していただきたいが,種子法のもとで支えられてきた種子の多様性が
危うくなるのは大問題だ.
本号小坂論考には,地域の再生をかけ,土地に適した酒米の作付け
に挑戦する秋田県の中高年の取組みが紹介されている.これからの日
本酒ブームでは杜氏や蔵元だけでなく「酒を生む土地そのもの」がフォ
ーカスされる,そして「農業なくして日本酒は成り立たない」という
認識,日本酒を愛するすべての人が共有できたらと心から願う.その
根幹である「種子の権利」を守ることは大事な闘いである.
なぜこのことを字数を費やして紹介したかというと,安倍政権下,
私たちの社会や暮らしの基本である公共的領域の基盤が一つひとつ切
り崩されているからだ.水道民営化への道を開くと言われる水道法改
正案も去る三月に閣議決定していた.
アメリカの運動家・思想家のジェイン・ジェイコブズは,亡くなる
直前の二〇〇六年,「アメリカにおける公共領域の劣化が,この国を
『暗黒時代』に導く」,そしてその暗黒化はもう始まっていると警告
した(本号,吉見氏.なお,森まゆみ氏によるジェイコブズに関する
ドキュメンタリー映画評〔「WEB世界」〕も参照).
安倍政権はいま,「政権末期的な総崩れ現象」の中にある(本号,
神保氏).嘘に嘘の上塗りのつじつま合わせがついに破綻し決壊した
かのようだ.強調しなければならないのは,嘘の上塗りの元凶はもっ
ぱら安倍首相とその周辺であることだ.公的資源の究極の私物化を進
めるために必要な嘘と忖度,それが官僚を含む周囲を巻き込み,国会
の議論も吹っ飛ばす劣化の暴風となった.
内閣支持率が急下降する中,九月の自民党総裁選での三選が危うく
なってきたという声も一部に聞かれる.もしそうなった場合も,安倍
政治の「暗黒の五(あるいは六)年」がやっと終わるとただ安堵して
いるわけにはいかない.「負の遺産」からの脱却,法律や経済はじめ
色々な領域で不可逆的とも思えるほどに変えられてしまったものを回
復するには,時間と努力が必要だと思うからだ.「暗黒化」としてジェ
イコブズが挙げた高等教育,科学,政府,専門倫理の劣化なども,こ
わいほどあてはまる.
もともとヘイトと「外敵の脅威」を煽り,分断した社会を足場に成
り立ってきた政権である.社会の亀裂を直し,公共的領域を立て直す
ための長い闘いが待っているとみなければならない.
今月の特集は,このところ活気づいているメディアへの咤激励企画
でもある.忖度から脱する,事実を掘り起し報道する,当たり前のこ
との強さを再認識した.
これら大手メディアはほとんど報じなかったが,公共的領域を取り
戻す小さな,しかし大事な一歩として,「種子法」復活に向けた動き
を位置づけたい.
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