『世界』メールマガジン/2018年10月号 【特集1:安全神話,ふたたび】 【特集2:沖縄 持続する意志】
2018/09/10 (Mon) 11:00
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■■ 『世界』メールマガジン/2018年10月号
■■ vol.#0040
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■『世界』2018年10月号(第913号)好評発売中
2018年9月7日発行
定価(本体850円+税)
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▼本号の目次
特集/世界の潮/注目記事/連載/グラビア/編集後記/
『世界』から生まれた本/イベント情報
┏━━━┓
┃特集1┃安全神話,ふたたび
┗━━━╋…────────────────────────────────
〈手記〉
原発訴訟と裁判官の責任――3・11後の司法をめぐって
樋口英明(元裁判官)
〈証言〉
歪められた地震予測――3・11の犠牲をもたらした構造
島崎邦彦(東京大学名誉教授)
〈くり返させないために〉
福島原発刑事裁判の意味――生きる尊厳を取り戻したい
武藤類子(福島原発告訴団団長)
〈報告〉
原発事故の責任は明らかにされつつある――東京電力刑事公判の現段階
海渡雄一(弁護士)
〈ルポ〉
語りにくさと子どもたち――原発事故の時,私は小学生だった
吉田千亜(フリーライター)
〈検証〉
事故検証を続行する新潟県技術委員会――そして,原子力規制委員会は何をしているのか?
田中三彦(科学ジャーナリスト)
〈逃げられない〉
東海第二原発に緊急事態が起きたら首都圏は?
上岡直見(環境経済研究所)
┏━━━┓
┃特集2┃沖縄 持続する意志
┗━━━╋…────────────────────────────────
〈追悼〉
県民の代表者,翁長知事を悼む――意志を継ぎ,分断を越えていく
呉屋守將(金秀グループ会長)
〈「あきらめ」を拒むために〉
マヨネーズなみの地盤の上に軍事基地?――辺野古新基地の不可能性,さらに
北上田 毅(元土木技術者)
〈「座り込み」の権利〉
基地建設反対運動の正義――沖縄における人権侵害を国際社会に訴える
星野英一(琉球大学)
〈辺野古へ!〉
930に問われるのは誰か
目取真 俊(小説家)
〈沖縄(シマ)という窓 特別篇〉
魂の政治家が遺したもの――翁長雄志知事と沖縄の尊厳
松元 剛(琉球新報)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◆注目記事
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
〈五年九カ月の言葉〉
安倍政権ファクトチェック100
南 彰(朝日新聞)・望月衣塑子(東京新聞)
〈ある道徳教科書〉
「私たち日本人」はトキが自由に飛び回る日の夢を見るか
早川タダノリ(編集者)
〈論壇のゆくえ〉
右派論壇の流通構造とメディアの責任
倉橋耕平(社会学者)
〈杉田水脈問題〉
差別発言と,政治的文脈の重要性
岡野八代(同志社大学)
〈LGBTへのバックラッシュ〉
「非政治化」されるプライド・パレード
川坂和義(デュッセルドルフ大学学術研究員)
〈ルポ〉
シリア内戦・兵器供与の闇(下)――兵器のバルカンルート
村瀬健介(TBS)
〈構想〉
いかなる南北連合をつくるのか――キャンドル革命時代の朝鮮半島
白楽晴(『創作と批評』名誉編集人)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◇世界の潮
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◇「ユダヤ人国家法」制定――成文法化された植民地主義
岡 真理(京都大学)
◇トランプの貿易戦争――最後の保護主義モンスター?
内田聖子(PARC共同代表)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
●連載
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
●ルポ・スペイン発「もうひとつの世界」を創る【第2回】
補完通貨が生む「つながり」
工藤律子(ジャーナリスト)
●ルポ・軍事列島【第5回】
横田――軍事拠点化する首都の米軍基地
半田 滋(東京新聞)
●パチンコ哀歌(エレジー)【第7回】
〈マシン・ゾーン〉
古川美穂(フリーライター)
●神を捨て,神になった男 確定死刑囚・袴田巖【第20回】
「神はお見通しなんだね」
青柳雄介(ジャーナリスト)
●新語解題【第8回】
「生原稿」――最初の世界を見つめる
荒川洋治(現代詩作家)
●アパレル興亡【第14回】
黒木 亮(作家)
●海の底から【第18回】
金石範(作家)
●私的小豆島名所【その39】
内澤旬子(イラストルポライター)
●映像世界の冒険者たち【第6回】
家のなかの死--マルコ・ベロッキオ
四方田犬彦(比較文学・映画研究家)
●中国新建築文化論【第17回】
龍美術館――「批判的プラグマティズム」としての大舎建築
市川紘司(明治大学助教)
●ハンセン病回復者の語り・家族の語り【第2回】
受胎七カ月の妹を堕ろされて
黒坂愛衣(東北学院大学),福岡安則(埼玉大学名誉教授)
●メディア批評【第130回】
神保太郎(ジャーナリスト)
●原発月報――(18・7~8)
福島原発事故記録チーム
●片山善博の「日本を診る」【第107回】
自民党総裁選の見どころ--正々堂々と政策論争ができるかどうか
片山善博(早稲田大学)
●脳力のレッスン【198】
アイスマンの衝撃--一七世紀オランダからの視界(その五一)
寺島実郎
●世界論壇月評
朱建栄・竹田いさみ・吉田文彦・石郷岡建
●ドキュメント激動の南北朝鮮(254)(18・7~8)
編集部
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
○グラビア
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
○特別招待作品
Colombia's FARC Guerrillas
ニューシャ・タヴァコリアン(写真家)
○A SHOT OF THE WORLD
○表紙の言葉
鈴木邦弘(写真家)
○表紙写真= 鈴木邦弘 デザイン= 赤崎正一+ 佐野裕哉
○グラビアについて(公募規定)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
○読者投句・岩波俳句
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
選・文 池田澄子(俳人)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◇編集後記
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
前号に引き続き,二カ月つづいて沖縄の状況をめぐる特集をお送り
することになった.言うまでもなく情勢の急転を受けてのものだ.
翁長知事には,前号特集「人びとの沖縄」でインタビューをお願い
していた.本誌としては三度目(一度は寺島実郎氏との対談)となる
登場を,知事選挙の前に,生活と経済と米軍基地とを語っていただく
ことで実現したかったが,ご体調のこともあり延期せざるを得なかっ
た.それから間もなくの訃報であった.
インタビューは実現しなかったが,七月二七日,埋立承認の撤回を
表明した記者会見での発言全文を読むと,翁長知事がどれほどの深い
憤りと未来への展望をもって撤回の決断をしたかが伝わってくる.
その一部は今号特集の扉に記載したが,翁長知事は次のようにも述べ
ている.
「何が何でも沖縄に新辺野古基地を造る(という)私からするとと
んでもない固い決意で……土砂を投げ入れようとしたり,あるいは四
メートルの壁を造って歩行者道路を縮めたり,あるいは直接新辺野古
ではない場合も,この重機などを住民の上,村民の上から運んでいく.
私は,こういうことを政府がやることについて,日本国民などがまっ
たく違和感のない中で,『沖縄に造るのは当たり前だ』というようなも
のがあるのではないかということで,大変,私,個人的には憤りを持っ
て見ている」
翁長氏がインタビューで小社に初めて来訪された折,応接室のソファ
に深く座り,笑顔で「ここは落ち着く」と冗談めかして話されていた
ことが思い出される.二〇一五年一〇月三一日のことだ.その前日,
政府は辺野古新基地建設の「本体工事着工」を大々的に喧伝していた.
今号の松元剛氏によれば,東京滞在中「公安当局とおぼしき一群から
公務外で会う人物を探られ,知事は何度も尾行された」という.どこ
の独裁国家か,と思うが,厳しい重圧の中で翁長氏が闘いつづけてい
たことがうかがわれ,粛然とする.
九月三〇日の県知事選挙はどのような結果であれ重大な画期となろ
う.その選択を注視しつつ,本土の住民の一人としては自分の足もと
を見つめたい.今号の読者談話室で,沖縄に機動隊を派遣している東
京都の違法公金支出を問う訴訟について,中村利也氏が報告されてい
る.都はヘイトスピーチまがいの弁明をしているという.また,辺野
古の新基地建設にともなって必要となる大量の土砂について,その搬
出元となる各地で土砂を搬出させない取り組みも進む(本誌二〇一七
年五月号で湯浅一郎氏が詳細に報告している).加害に荷担することを
拒む市民の動きを今後も紹介していこうと思う.
第一特集についても触れておきたい.持続する意志が求められるの
は原発問題も同じだ.八月になると戦争の記事でにぎわうことを指し
た「八月ジャーナリズム」という言葉がある.年間を通じて何もしない
完全な忘却よりはマシだと思うが,近年,原発や3・11についても「三
月ジャーナリズム」という傾向が感じられる.だが,再稼働の危険な動
きが三月に限って進められるわけではないし,原発事故のリスクも三月
だけが高いわけではない.大飯原発再稼働を差し止める判断を下した元
裁判官の樋口英明氏や,3・11以前の地震予測について反省をこめた発
言をされている島崎邦彦氏をはじめ,真摯な知性のありかたについて考
えさせられるご寄稿を多く得た.心から感謝を申し上げたい.
熊谷伸一郎(本誌編集長)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
~~『世界』から生まれた本~~
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◎ひとはなぜ戦争をするのか 脳力のレッスンV
寺島 実郎
定価(本体1700円+税)
http://iwnm.jp/024533
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登録情報の編集・解除は,こちらよりお願いいたします.
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◇本誌のご注文はお近くの書店か小社営業部宛てにお願いいたします.
岩波書店営業部読者係(TEL:03-5210-4111,FAX:03-3263-6999)
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2018年9月7日発行
定価(本体850円+税)
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▼本号の目次
特集/世界の潮/注目記事/連載/グラビア/編集後記/
『世界』から生まれた本/イベント情報
┏━━━┓
┃特集1┃安全神話,ふたたび
┗━━━╋…────────────────────────────────
〈手記〉
原発訴訟と裁判官の責任――3・11後の司法をめぐって
樋口英明(元裁判官)
〈証言〉
歪められた地震予測――3・11の犠牲をもたらした構造
島崎邦彦(東京大学名誉教授)
〈くり返させないために〉
福島原発刑事裁判の意味――生きる尊厳を取り戻したい
武藤類子(福島原発告訴団団長)
〈報告〉
原発事故の責任は明らかにされつつある――東京電力刑事公判の現段階
海渡雄一(弁護士)
〈ルポ〉
語りにくさと子どもたち――原発事故の時,私は小学生だった
吉田千亜(フリーライター)
〈検証〉
事故検証を続行する新潟県技術委員会――そして,原子力規制委員会は何をしているのか?
田中三彦(科学ジャーナリスト)
〈逃げられない〉
東海第二原発に緊急事態が起きたら首都圏は?
上岡直見(環境経済研究所)
┏━━━┓
┃特集2┃沖縄 持続する意志
┗━━━╋…────────────────────────────────
〈追悼〉
県民の代表者,翁長知事を悼む――意志を継ぎ,分断を越えていく
呉屋守將(金秀グループ会長)
〈「あきらめ」を拒むために〉
マヨネーズなみの地盤の上に軍事基地?――辺野古新基地の不可能性,さらに
北上田 毅(元土木技術者)
〈「座り込み」の権利〉
基地建設反対運動の正義――沖縄における人権侵害を国際社会に訴える
星野英一(琉球大学)
〈辺野古へ!〉
930に問われるのは誰か
目取真 俊(小説家)
〈沖縄(シマ)という窓 特別篇〉
魂の政治家が遺したもの――翁長雄志知事と沖縄の尊厳
松元 剛(琉球新報)
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◆注目記事
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〈五年九カ月の言葉〉
安倍政権ファクトチェック100
南 彰(朝日新聞)・望月衣塑子(東京新聞)
〈ある道徳教科書〉
「私たち日本人」はトキが自由に飛び回る日の夢を見るか
早川タダノリ(編集者)
〈論壇のゆくえ〉
右派論壇の流通構造とメディアの責任
倉橋耕平(社会学者)
〈杉田水脈問題〉
差別発言と,政治的文脈の重要性
岡野八代(同志社大学)
〈LGBTへのバックラッシュ〉
「非政治化」されるプライド・パレード
川坂和義(デュッセルドルフ大学学術研究員)
〈ルポ〉
シリア内戦・兵器供与の闇(下)――兵器のバルカンルート
村瀬健介(TBS)
〈構想〉
いかなる南北連合をつくるのか――キャンドル革命時代の朝鮮半島
白楽晴(『創作と批評』名誉編集人)
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◇世界の潮
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◇「ユダヤ人国家法」制定――成文法化された植民地主義
岡 真理(京都大学)
◇トランプの貿易戦争――最後の保護主義モンスター?
内田聖子(PARC共同代表)
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●連載
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●ルポ・スペイン発「もうひとつの世界」を創る【第2回】
補完通貨が生む「つながり」
工藤律子(ジャーナリスト)
●ルポ・軍事列島【第5回】
横田――軍事拠点化する首都の米軍基地
半田 滋(東京新聞)
●パチンコ哀歌(エレジー)【第7回】
〈マシン・ゾーン〉
古川美穂(フリーライター)
●神を捨て,神になった男 確定死刑囚・袴田巖【第20回】
「神はお見通しなんだね」
青柳雄介(ジャーナリスト)
●新語解題【第8回】
「生原稿」――最初の世界を見つめる
荒川洋治(現代詩作家)
●アパレル興亡【第14回】
黒木 亮(作家)
●海の底から【第18回】
金石範(作家)
●私的小豆島名所【その39】
内澤旬子(イラストルポライター)
●映像世界の冒険者たち【第6回】
家のなかの死--マルコ・ベロッキオ
四方田犬彦(比較文学・映画研究家)
●中国新建築文化論【第17回】
龍美術館――「批判的プラグマティズム」としての大舎建築
市川紘司(明治大学助教)
●ハンセン病回復者の語り・家族の語り【第2回】
受胎七カ月の妹を堕ろされて
黒坂愛衣(東北学院大学),福岡安則(埼玉大学名誉教授)
●メディア批評【第130回】
神保太郎(ジャーナリスト)
●原発月報――(18・7~8)
福島原発事故記録チーム
●片山善博の「日本を診る」【第107回】
自民党総裁選の見どころ--正々堂々と政策論争ができるかどうか
片山善博(早稲田大学)
●脳力のレッスン【198】
アイスマンの衝撃--一七世紀オランダからの視界(その五一)
寺島実郎
●世界論壇月評
朱建栄・竹田いさみ・吉田文彦・石郷岡建
●ドキュメント激動の南北朝鮮(254)(18・7~8)
編集部
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○グラビア
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○特別招待作品
Colombia's FARC Guerrillas
ニューシャ・タヴァコリアン(写真家)
○A SHOT OF THE WORLD
○表紙の言葉
鈴木邦弘(写真家)
○表紙写真= 鈴木邦弘 デザイン= 赤崎正一+ 佐野裕哉
○グラビアについて(公募規定)
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○読者投句・岩波俳句
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選・文 池田澄子(俳人)
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◇編集後記
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前号に引き続き,二カ月つづいて沖縄の状況をめぐる特集をお送り
することになった.言うまでもなく情勢の急転を受けてのものだ.
翁長知事には,前号特集「人びとの沖縄」でインタビューをお願い
していた.本誌としては三度目(一度は寺島実郎氏との対談)となる
登場を,知事選挙の前に,生活と経済と米軍基地とを語っていただく
ことで実現したかったが,ご体調のこともあり延期せざるを得なかっ
た.それから間もなくの訃報であった.
インタビューは実現しなかったが,七月二七日,埋立承認の撤回を
表明した記者会見での発言全文を読むと,翁長知事がどれほどの深い
憤りと未来への展望をもって撤回の決断をしたかが伝わってくる.
その一部は今号特集の扉に記載したが,翁長知事は次のようにも述べ
ている.
「何が何でも沖縄に新辺野古基地を造る(という)私からするとと
んでもない固い決意で……土砂を投げ入れようとしたり,あるいは四
メートルの壁を造って歩行者道路を縮めたり,あるいは直接新辺野古
ではない場合も,この重機などを住民の上,村民の上から運んでいく.
私は,こういうことを政府がやることについて,日本国民などがまっ
たく違和感のない中で,『沖縄に造るのは当たり前だ』というようなも
のがあるのではないかということで,大変,私,個人的には憤りを持っ
て見ている」
翁長氏がインタビューで小社に初めて来訪された折,応接室のソファ
に深く座り,笑顔で「ここは落ち着く」と冗談めかして話されていた
ことが思い出される.二〇一五年一〇月三一日のことだ.その前日,
政府は辺野古新基地建設の「本体工事着工」を大々的に喧伝していた.
今号の松元剛氏によれば,東京滞在中「公安当局とおぼしき一群から
公務外で会う人物を探られ,知事は何度も尾行された」という.どこ
の独裁国家か,と思うが,厳しい重圧の中で翁長氏が闘いつづけてい
たことがうかがわれ,粛然とする.
九月三〇日の県知事選挙はどのような結果であれ重大な画期となろ
う.その選択を注視しつつ,本土の住民の一人としては自分の足もと
を見つめたい.今号の読者談話室で,沖縄に機動隊を派遣している東
京都の違法公金支出を問う訴訟について,中村利也氏が報告されてい
る.都はヘイトスピーチまがいの弁明をしているという.また,辺野
古の新基地建設にともなって必要となる大量の土砂について,その搬
出元となる各地で土砂を搬出させない取り組みも進む(本誌二〇一七
年五月号で湯浅一郎氏が詳細に報告している).加害に荷担することを
拒む市民の動きを今後も紹介していこうと思う.
第一特集についても触れておきたい.持続する意志が求められるの
は原発問題も同じだ.八月になると戦争の記事でにぎわうことを指し
た「八月ジャーナリズム」という言葉がある.年間を通じて何もしない
完全な忘却よりはマシだと思うが,近年,原発や3・11についても「三
月ジャーナリズム」という傾向が感じられる.だが,再稼働の危険な動
きが三月に限って進められるわけではないし,原発事故のリスクも三月
だけが高いわけではない.大飯原発再稼働を差し止める判断を下した元
裁判官の樋口英明氏や,3・11以前の地震予測について反省をこめた発
言をされている島崎邦彦氏をはじめ,真摯な知性のありかたについて考
えさせられるご寄稿を多く得た.心から感謝を申し上げたい.
熊谷伸一郎(本誌編集長)
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WEB: http://iwnm.jp/sekai
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