『世界』メールマガジン/2019年1月号 【特集:世論のつくりかた】
2018/12/10 (Mon) 15:00
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■■ 『世界』メールマガジン/2019年1月号
■■ vol.#0043
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■『世界』2019年1月号(第916号)好評発売中
2019年12月7日発行
定価(本体850円+税)
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▼本号の目次
特集/世界の潮/注目記事/連載/グラビア/編集後記/
『世界』から生まれた本/「WEB世界」のご案内
┏━━━┓
┃ 特集 ┃世論のつくりかた
┗━━━╋…────────────────────────────────
〈基調〉
信頼喪失社会とソーシャルメディア――アメリカ中間選挙から未来を考える
遠藤 薫(学習院大学)
〈たたかう民主主義〉
SNSと言論の自由――EUの事例から
福田直子(ジャーナリスト)
〈検証〉
大衆動員の社会実験としての東京五輪――翼賛報道と無償ボランティア
本間 龍(著述家)
〈対談〉
「当たり前」化する政治――祝賀資本主義と東京オリンピック
坂上康博(一橋大学)×鈴木直文(一橋大学)
〈対談〉
報道の未来は,「弱さを見せる強さ」にかかっている――『さよならテレビ』からの再出発
林 香里(東京大学)×永田浩三(武蔵大学)
〈インタビュー〉
独立した公共放送は可能か――映画『共犯者たち』とその後
チェ・スンホ(韓国MBC社長) 聞き手=岡本有佳(編集者)
〈考察〉
韓国の政権と公共メディア――その関係を読み解く
チェ・ヨンゼ(翰林大学) 訳=矢野百合子
〈報告〉
熟議民主主義めぐる韓国の実験――文在寅政権の脱原発公論化政策とメディア報道
高野 聡(ソウル大学)
〈対談〉
消費社会とポスト・デモクラシーのゆくえ――幸せの設計図(上)
ステファーノ・バルトリーニ(シエナ大学)×中野佳裕(早稲田大学)
〈嘘を見抜く〉
歴史的デマゴギーへの対処法――関東大震災「朝鮮人虐殺否定論」から考える
加藤直樹(著述家)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◆注目記事
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
〈対談〉
紛争地を取材する――フリージャーナリストとはどういう存在か
安田純平(ジャーナリスト)×野中章弘(早稲田大学)
〈「第二の核時代」の到来〉
核の「水平冷戦」と「垂直冷戦」――INF条約消滅が促す軍拡・軍縮新時代
吉田文彦(長崎大学核兵器廃絶研究センター)
〈民族教育の権利を求めて〉
○「不当な支配」論による〈不当な支配〉――朝鮮高校無償化訴訟における不条理
成嶋 隆(獨協大学)
○官製ヘイトに屈する司法
中村一成(ジャーナリスト)
〈小説〉
闘 魚
目取真 俊(小説家)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◇世界の潮
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◇韓国・徴用工判決 「解釈」を変えたのは誰か?
山本晴太(弁護士)
◇トランプ・ザ・パニック――アメリカ中間選挙の読み方
北丸雄二(ジャーナリスト)
◇ブラジル・ボルソナロ大統領当選――”市民の憲法”から三〇年後の選択
近田亮平(JETRO,アジア経済研究所,海外調査員)
◇メルケル首相の引退宣言と緑の党の躍進
梶村太一郎(ジャーナリスト)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
●連載
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
●【新連載】我が総括――体験的戦後メディア史
大人たちの変節
田原総一朗(ジャーナリスト)
●【新連載】麻薬現代史
近代世界を動かした物質
藤野 彰(元国連職員)
●自衛隊と災害救助【第2回】
過疎の地域は問いかける
島本慈子(ジャーナリスト)
●映像世界の冒険者たち【第9回】
死を実在させることの自由――ネメーシュ・ラースロー
四方田犬彦(比較文学・映画研究家)
●〈周縁〉の「小さなアメリカ」【第9回】
人種,ジェンダー,階層の交差――吉原真里との対話
中村 寛(多摩美術大学)
●アパレル興亡【第17回】
黒木 亮(作家)
●日 没【第12回】
桐野夏生(作家)
●海の底から【第21回】
金石範(作家)
●中国新建築文化論【第20回】
「山水」のような建築を目指して――ハルビン大劇院とMADアーキテクツ
市川紘司(明治大学助教)
●ハンセン病回復者の語り・家族の語り【第4回】
「家の中」で踏みにじられた尊厳
黒坂愛衣(東北学院大学),福岡安則(埼玉大学名誉教授)
●沖縄(シマ)という窓
「主席公選」と「B52墜落」――半世紀経て何が変わったのか
松元 剛(琉球新報)
●原発月報――(18・10~11)
福島原発事故記録チーム
●メディア批評【第133回】
神保太郎(ジャーナリスト)
●片山善博の「日本を診る」【第110回】
地方自治の仕組みから辺野古の混乱を検証する
片山善博(早稲田大学)
●脳力のレッスン【201】
世界宗教の誕生とその同時性――一七世紀オランダからの視界(その53)
寺島実郎
●世界論壇月評
朱建栄・竹田いさみ・吉田文彦・石郷岡建
●ドキュメント激動の南北朝鮮(257)(18・10~11)
編集部
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
○グラビア
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
○公募作品 171
ウイグル,その後
川嶋久人(写真家)
○ことわざの惑星
金井真紀(イラストレーター)
○表紙写真= アフガニスタン,2018年10月15日(ロイター/アフロ)
デザイン= 赤崎正一+ 佐野裕哉
○グラビアについて(公募規定)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
○読者投句・岩波俳句
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
選・文 池田澄子(俳人)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◇編集後記
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
先月号の本欄で,韓国・光州事件の資料館への寄贈のため,1980年の本誌
バックナンバーをお持ちの方にお願いを記したところ,北海道から九州まで,
10名の読者の方からありがたいお申し出をいただいた.刊行日に神保町の小
社までお持ちくださった方は,「バックナンバーに欠けが出ることになるけれ
ど……」と言われつつ預けていかれた.40年近く前の月刊誌をこれだけ多く
の方が保管してくださっていることに,感謝の思いを抱く一方で,あらためて
本誌編集に携わる重みを感じる次第である.私たちもまた,半世紀後にも参照
され,読者の方々の手もとに置かれる『世界』であるよう,編集に力を尽くし
ていきたい.ご寄贈をお申し出くださった皆様に心より感謝申し上げます.
さて,雑誌の顔である表紙を,新年にあたって刷新した.2014年4月号か
ら前号まで5年近くにわたり,写真家の鈴木邦弘氏による「福島のいま」,被
災地の浜通りの光景を本誌の顔としてきた.原発事故が現在進行中である事実
を毎号の写真が伝えていた.避難によってヒトの存在が後景に退く中,「原発ル
ネサンス」の愚行とその結果のすべてを覆わんばかりに繁茂する自然の生命力
と,しかしその中に漂う不穏な雰囲気を伝える一枚に,毎号,心を揺さぶられ
てきた.
新しい表紙は,この雑誌が“世界”に開かれた窓であることをイメージした.
2019年の今年,改憲への動きや「代替わり」に際して,また来年のオリンピッ
クに向けても,「日本すごい」の合唱や独言の中で内向きの傾向が強まるならば,
日本社会から,世界との間の「あるべき距離感」が,さらに見失われていくの
ではないかと思われてならない.韓国の元徴用工裁判をめぐる報道や政治家の
発言,あるいは沖縄の辺野古新基地やイエメン危機などをめぐっても痛感するが,
なぜこうまで,アジアに対して傲慢,アメリカに対して卑屈,それ以外に対して
無関心なのか.
世界の多様な美しさや豊かさ,人々の喜びや笑い,あるいは苦境や厳しさを伝
える一枚を通じて,世界につながっていくための想像力を,自ら鍛えていきたい.
同じ思いで,表紙をめくって最初に目にするカラーページも本号から変わり,
金井真紀さんのイラストと文による「ことわざの惑星」が始まった.人間の同じ
ところと違うところ,その両方の面白さを,金井さんのあたたかい1枚のイラス
トを通じて感じてもらえれば,と思う.
今号からは田原総一朗氏と藤野彰氏の連載も開始した.田原氏は田中角栄以降,
宇野宗佑氏以外のすべての歴代首相と一対一で会ってきた.これまで書かずにき
たそれらの内容も回想するとのことなので,ご期待いただきたい.
さらに今号では,目取真俊氏のご寄稿を得られた.翁長知事による埋立承認撤回
と沖縄県知事選挙の間,辺野古の基地工事が止まった.その間に書いていただけた.
年来の読者としてありがたい思いだが,工事が中止されたわけではない.氏が海上
での抗議活動に出ずとも済む状況を作らなければならないと思う.
* * *
小社では編集業務経験者を募集しております.書籍および雑誌の編集業務経験者,
特に経済・法律分野,数学・物理分野(第二新卒を含む)を募集します.詳細は
2019年1月下旬にかけて,小社のウェブサイト「採用情報」に掲示いたしますので,
ご覧ください.
熊谷伸一郎(本誌編集長)
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~~『世界』から生まれた本~~
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◎ひとはなぜ戦争をするのか 脳力のレッスンV
寺島 実郎
定価(本体1700円+税)
http://iwnm.jp/024533
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2019年12月7日発行
定価(本体850円+税)
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▼本号の目次
特集/世界の潮/注目記事/連載/グラビア/編集後記/
『世界』から生まれた本/「WEB世界」のご案内
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┃ 特集 ┃世論のつくりかた
┗━━━╋…────────────────────────────────
〈基調〉
信頼喪失社会とソーシャルメディア――アメリカ中間選挙から未来を考える
遠藤 薫(学習院大学)
〈たたかう民主主義〉
SNSと言論の自由――EUの事例から
福田直子(ジャーナリスト)
〈検証〉
大衆動員の社会実験としての東京五輪――翼賛報道と無償ボランティア
本間 龍(著述家)
〈対談〉
「当たり前」化する政治――祝賀資本主義と東京オリンピック
坂上康博(一橋大学)×鈴木直文(一橋大学)
〈対談〉
報道の未来は,「弱さを見せる強さ」にかかっている――『さよならテレビ』からの再出発
林 香里(東京大学)×永田浩三(武蔵大学)
〈インタビュー〉
独立した公共放送は可能か――映画『共犯者たち』とその後
チェ・スンホ(韓国MBC社長) 聞き手=岡本有佳(編集者)
〈考察〉
韓国の政権と公共メディア――その関係を読み解く
チェ・ヨンゼ(翰林大学) 訳=矢野百合子
〈報告〉
熟議民主主義めぐる韓国の実験――文在寅政権の脱原発公論化政策とメディア報道
高野 聡(ソウル大学)
〈対談〉
消費社会とポスト・デモクラシーのゆくえ――幸せの設計図(上)
ステファーノ・バルトリーニ(シエナ大学)×中野佳裕(早稲田大学)
〈嘘を見抜く〉
歴史的デマゴギーへの対処法――関東大震災「朝鮮人虐殺否定論」から考える
加藤直樹(著述家)
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◆注目記事
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〈対談〉
紛争地を取材する――フリージャーナリストとはどういう存在か
安田純平(ジャーナリスト)×野中章弘(早稲田大学)
〈「第二の核時代」の到来〉
核の「水平冷戦」と「垂直冷戦」――INF条約消滅が促す軍拡・軍縮新時代
吉田文彦(長崎大学核兵器廃絶研究センター)
〈民族教育の権利を求めて〉
○「不当な支配」論による〈不当な支配〉――朝鮮高校無償化訴訟における不条理
成嶋 隆(獨協大学)
○官製ヘイトに屈する司法
中村一成(ジャーナリスト)
〈小説〉
闘 魚
目取真 俊(小説家)
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◇世界の潮
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◇韓国・徴用工判決 「解釈」を変えたのは誰か?
山本晴太(弁護士)
◇トランプ・ザ・パニック――アメリカ中間選挙の読み方
北丸雄二(ジャーナリスト)
◇ブラジル・ボルソナロ大統領当選――”市民の憲法”から三〇年後の選択
近田亮平(JETRO,アジア経済研究所,海外調査員)
◇メルケル首相の引退宣言と緑の党の躍進
梶村太一郎(ジャーナリスト)
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●連載
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●【新連載】我が総括――体験的戦後メディア史
大人たちの変節
田原総一朗(ジャーナリスト)
●【新連載】麻薬現代史
近代世界を動かした物質
藤野 彰(元国連職員)
●自衛隊と災害救助【第2回】
過疎の地域は問いかける
島本慈子(ジャーナリスト)
●映像世界の冒険者たち【第9回】
死を実在させることの自由――ネメーシュ・ラースロー
四方田犬彦(比較文学・映画研究家)
●〈周縁〉の「小さなアメリカ」【第9回】
人種,ジェンダー,階層の交差――吉原真里との対話
中村 寛(多摩美術大学)
●アパレル興亡【第17回】
黒木 亮(作家)
●日 没【第12回】
桐野夏生(作家)
●海の底から【第21回】
金石範(作家)
●中国新建築文化論【第20回】
「山水」のような建築を目指して――ハルビン大劇院とMADアーキテクツ
市川紘司(明治大学助教)
●ハンセン病回復者の語り・家族の語り【第4回】
「家の中」で踏みにじられた尊厳
黒坂愛衣(東北学院大学),福岡安則(埼玉大学名誉教授)
●沖縄(シマ)という窓
「主席公選」と「B52墜落」――半世紀経て何が変わったのか
松元 剛(琉球新報)
●原発月報――(18・10~11)
福島原発事故記録チーム
●メディア批評【第133回】
神保太郎(ジャーナリスト)
●片山善博の「日本を診る」【第110回】
地方自治の仕組みから辺野古の混乱を検証する
片山善博(早稲田大学)
●脳力のレッスン【201】
世界宗教の誕生とその同時性――一七世紀オランダからの視界(その53)
寺島実郎
●世界論壇月評
朱建栄・竹田いさみ・吉田文彦・石郷岡建
●ドキュメント激動の南北朝鮮(257)(18・10~11)
編集部
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○グラビア
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○公募作品 171
ウイグル,その後
川嶋久人(写真家)
○ことわざの惑星
金井真紀(イラストレーター)
○表紙写真= アフガニスタン,2018年10月15日(ロイター/アフロ)
デザイン= 赤崎正一+ 佐野裕哉
○グラビアについて(公募規定)
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○読者投句・岩波俳句
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選・文 池田澄子(俳人)
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◇編集後記
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先月号の本欄で,韓国・光州事件の資料館への寄贈のため,1980年の本誌
バックナンバーをお持ちの方にお願いを記したところ,北海道から九州まで,
10名の読者の方からありがたいお申し出をいただいた.刊行日に神保町の小
社までお持ちくださった方は,「バックナンバーに欠けが出ることになるけれ
ど……」と言われつつ預けていかれた.40年近く前の月刊誌をこれだけ多く
の方が保管してくださっていることに,感謝の思いを抱く一方で,あらためて
本誌編集に携わる重みを感じる次第である.私たちもまた,半世紀後にも参照
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を毎号の写真が伝えていた.避難によってヒトの存在が後景に退く中,「原発ル
ネサンス」の愚行とその結果のすべてを覆わんばかりに繁茂する自然の生命力
と,しかしその中に漂う不穏な雰囲気を伝える一枚に,毎号,心を揺さぶられ
てきた.
新しい表紙は,この雑誌が“世界”に開かれた窓であることをイメージした.
2019年の今年,改憲への動きや「代替わり」に際して,また来年のオリンピッ
クに向けても,「日本すごい」の合唱や独言の中で内向きの傾向が強まるならば,
日本社会から,世界との間の「あるべき距離感」が,さらに見失われていくの
ではないかと思われてならない.韓国の元徴用工裁判をめぐる報道や政治家の
発言,あるいは沖縄の辺野古新基地やイエメン危機などをめぐっても痛感するが,
なぜこうまで,アジアに対して傲慢,アメリカに対して卑屈,それ以外に対して
無関心なのか.
世界の多様な美しさや豊かさ,人々の喜びや笑い,あるいは苦境や厳しさを伝
える一枚を通じて,世界につながっていくための想像力を,自ら鍛えていきたい.
同じ思いで,表紙をめくって最初に目にするカラーページも本号から変わり,
金井真紀さんのイラストと文による「ことわざの惑星」が始まった.人間の同じ
ところと違うところ,その両方の面白さを,金井さんのあたたかい1枚のイラス
トを通じて感じてもらえれば,と思う.
今号からは田原総一朗氏と藤野彰氏の連載も開始した.田原氏は田中角栄以降,
宇野宗佑氏以外のすべての歴代首相と一対一で会ってきた.これまで書かずにき
たそれらの内容も回想するとのことなので,ご期待いただきたい.
さらに今号では,目取真俊氏のご寄稿を得られた.翁長知事による埋立承認撤回
と沖縄県知事選挙の間,辺野古の基地工事が止まった.その間に書いていただけた.
年来の読者としてありがたい思いだが,工事が中止されたわけではない.氏が海上
での抗議活動に出ずとも済む状況を作らなければならないと思う.
* * *
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特に経済・法律分野,数学・物理分野(第二新卒を含む)を募集します.詳細は
2019年1月下旬にかけて,小社のウェブサイト「採用情報」に掲示いたしますので,
ご覧ください.
熊谷伸一郎(本誌編集長)
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