『世界』メールマガジン/2019年2月号 【特集1:政治を変革する思想と方法】 【特集2:戦争の記憶と向き合いつづける】
2019/01/07 (Mon) 13:00
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■■ 『世界』メールマガジン/2019年2月号
■■ vol.#0044
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■『世界』2019年2月号(第917号)好評発売中
2019年1月8日発行
定価(本体850円+税)
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▼本号の目次
特集/世界の潮/注目記事/連載/グラビア/編集後記/
『世界』から生まれた本/「WEB世界」のご案内
┏━━━┓
┃特集1┃政治を変革する思想と方法
┗━━━╋…────────────────────────────────
〈基調〉
リベラル・デモクラシーの終焉?――新自由主義グローバリズムの奔流の中で
三宅芳夫(千葉大学)
〈演説〉
独裁と権威主義に立ち向かう世界的民主運動を構築する
バーニー・サンダース(米上院議員),訳・解題=宮前ゆかり(リサーチャー・翻訳家)
〈インターセクショナリティ〉
アメリカ政治を変える黒人女性たち
兼子 歩(明治大学)
〈提示される「新しい物語」〉
コービン労働党の歴史的位置
長谷川貴彦(北海道大学)
〈報告〉
チーム・コービンはイギリスを変える
藤澤みどり(ジャーナリスト)
〈行動の刷新〉
〈黄色いベスト〉運動――私たちの足もとで地面は大きく動いている
デヴィッド・グレーバー(ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス),訳・解題=片岡大右
〈新たな理念〉
ヨーロッパに幽霊が出ている――金融資本と移民
廣瀬 純(龍谷大学)
〈対談〉
社会のバランスをとりもどす--幸せの設計図(下)
ステファーノ・バルトリーニ(シエナ大学)×中野佳裕(早稲田大学)
〈闘いの系譜〉
韓国のろうそく革命を歴史に位置づける
キム・ホギ(延世大学),訳=矢野百合子
〈グローバルサウスの新自由主義〉
新自由主義アパルトヘイト
アンディ・クラーノ(イリノイ大学シカゴ校),訳・解題=小沢弘明(千葉大学)
┏━━━┓
┃特集2┃戦争の記憶と向き合いつづける
┗━━━╋…────────────────────────────────
〈戦争裁判〉
裁かれた者の「記憶」と「記録」
内海愛子(恵泉女学園大学名誉教授)
〈提言〉
強制労働問題の和解への道すじ――花岡,西松,三菱マテリアルの事例に学ぶ
内田雅敏(弁護士)
〈手記〉
戦後補償管見――記憶の承継と和解
新村正人(元東京高裁裁判官)
〈インタビュー〉
慰安婦問題の隘路をどう進むか
吳泰奎(駐大阪韓国総領事)
〈世代をつなぐ〉
チビチリガマを「壊す」と「作る」
下嶋哲朗(ノンフィクション作家)
〈否定派のもくろみに抗する〉
憎しみの連鎖を断ち切る――通州事件犠牲者姉妹の証言
笠原十九司(歴史家)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◆注目記事
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
〈考察〉
ゲノム編集した子の誕生と倫理問題
資料 ゲノム編集による子どもの誕生についての声明
島薗 進(上智大学)
〈国際報道では〉
ゴーン事件と人質司法の闇
桐山桂一(東京新聞)
〈緊急報告〉
大旱魃に襲われるアフガニスタン――気候変動が地域と生活を破壊している
中村 哲(医師)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◇世界の潮
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◇水道事業「民営化」 その問題点と対応策
橋本淳司(ジャーナリスト)
◇台湾・蔡政権を叩きのめした「韓流」の正体
本田善彦(ジャーナリスト)
◇ルールは定まった――COP24緊急報告
小西雅子(WWFジャパン)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
●連載
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
●【新連載】英国エッセイ選 お許しいただければ
「人の性格は何で判断できるか」(ミルン)
訳=行方昭夫(東京大学名誉教授)
●我が総括――体験的戦後メディア史【第2回】
思想的転回と逡巡
田原総一朗(ジャーナリスト)
●麻薬現代史【第2回】
犯罪組織との百年戦争
藤野 彰(元国連職員)
●アパレル興亡【第18回】
黒木 亮(作家)
●海の底から【第22回】
金石範(作家)
●自衛隊と災害救助【第3回】
人助けに走る人びと
島本慈子(ジャーナリスト)
●ハンセン病回復者の語り・家族の語り【第5回】
働き者だった父の人格崩壊
黒坂愛衣(東北学院大学),福岡安則(埼玉大学名誉教授)
●沖縄(シマ)という窓
仲本とみ先生と風疹聴覚障害児の交流
山城紀子(フリーライター)
●原発月報――(18・11~12)
福島原発事故記録チーム
●映像世界の冒険者たち【第10回】
記憶のための戦い――ジョスリーン・サアブ
四方田犬彦(比較文学・映画研究家)
●中国新建築文化論【第21回】
アトリエ・組織・外国人──中国建築家の生態系を読む
市川紘司(明治大学助教)
●メディア批評【第134回】
神保太郎(ジャーナリスト)
●片山善博の「日本を診る」【第111回】
「入管法」改正のお粗末――いい加減な対応で国の名誉を損なうことなかれ
片山善博(早稲田大学)
●脳力のレッスン【202】特別篇
荒れる世界と常温社会・日本の断層――二〇一九年への覚悟
寺島実郎
●世界論壇月評
朱建栄・竹田いさみ・吉田文彦・石郷岡建
●ドキュメント激動の南北朝鮮(258)(18・11~12)
編集部
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
○グラビア
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
○公募作品 172
BLINDFOLD--生活図画事件
高橋健太郎(写真家)
○ことわざの惑星
金井真紀(イラストレーター)
○表紙写真= モロッコ, 2018年4月4日(AP/アフロ)
デザイン= 赤崎正一+ 佐野裕哉
○グラビアについて(公募規定)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
○読者投句・岩波俳句
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
選・文 池田澄子(俳人)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
*読者談話室
*アムネスティ通信
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◇編集後記
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
現下日本の,とりわけその政治について考えると,眉間にしわが寄る.
年のはじめぐらいは親しい人たちと気持ちを朗らかにして過ごしたいもの
だが,どうにも心が晴れない.
第一に,沖縄・辺野古への土砂投入である.美しい海に軍事基地を建
設するという愚行ももちろんだが,その後景に,基地を拒む沖縄の民意
に対して,むしろそれを嘲笑する政権担当者たちの傲慢さがかいま見え
る.それが許せない.神保太郎氏が今号「メディア批評」で伝えるよう
に,沖縄防衛局の幹部が,「一四日にどうしても(土砂投入を)やる.デ
ニーの鼻をへし折る」という趣旨の発言をしていたという.ここにはあ
らゆる種類の愚劣さがパッケージで示されている.
前号掲載の目取真俊氏の小説「闘魚」を読み返してほしい.辺野古と
いう土地に積み重ねられてきた人々の営み,記憶,そうしたもののかけ
がえのなさをどうしても理解できない人々が政治の中心におり,行政と
司法に携わる人々の多くがそれにただ付き従うのみだ.
議論や対話ということの成立しない,権威主義的傾向を強める政府を
相手に,どのような態度が考えられるのか.年頭の大特集として,政治
を変革しようとする海外事例から考える特集を組んだ.
眉間にしわが寄る理由の第二は,新しい防衛大綱をめぐって連日のよ
うに報道される軍事費の大盤振る舞いだ.「兆」という単位で空母や戦闘
機などの「爆買い」だ.このテーマでは,東京新聞社会部が取材班をつ
くって積極的な調査報道を継続している.つぶさに見ると,トランプ政
権の歓心をかうことなど,本来の「安全保障」といったものとも異なる
文脈で軍拡に突き進んでいるようだ.その意味では「戦略なき軍拡」,
つまりは税金の無駄遣いだが,問題は,それが近隣諸国との対立を煽る
「逆安全保障」,「反安全保障」となっていることだ.
今号に掲載したサンダース上院議員の演説を読んで,とくに赤々と傍
線を引いたのは,次の部分だ.
「わたしたちがやるべきことは,人々を殺すために考えられた武器に資
源を使うよりも,人々を支えるためにもっと多くの資源を注ぐようにす
ることです.……世界中の国々で一年につき数兆ドルもの金額が破壊兵
器に費やされている一方で,何百万人もの子ども達が簡単に予防できる
病気で死亡しているのです」
日本の政治が軍縮というアジェンダに向き合わない背景の一つに,
近隣諸国との「非和解状況」がある.そして,その状況の最大要因は,
過去の戦争をめぐる軋轢である.
本号の二つ目の特集は,当初「和解は可能か」というタイトルを考え
た.しかし,これはおかしい,と思い直した.和解は可能だ.もしそれ
が不可能だというなら,なんとしても可能にしなければならない.「どう
しても取り返しのつかないことをどうしても取り返す」(木下順二)こと
をしなければならない.そのための努力は積み重ねられ,貴重な先行事
例も築かれてきたことが,新村正人氏や内田雅敏氏の論考からわかる.
さて,新年から深まった眉間のしわをほどくのは,新連載の「お許し
いただければ」.かねて,行方昭夫氏の訳出によるエッセイ集『たいし
た問題じゃないが』(岩波文庫)を愛読していた一人として,この連載
をお引き受けいただけたのは,お年玉をいただいたような気持ちだ.
本年もどうぞよろしくお願いします.
* * *
小社では編集業務経験者を募集しております.書籍および雑誌の編集業務経験者,
特に経済・法律分野,数学・物理分野(第二新卒を含む)を募集します.詳細は
2019年1月下旬にかけて,小社のウェブサイト「採用情報」に掲示いたしますので,
ご覧ください.
熊谷伸一郎(本誌編集長)
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~~『世界』から生まれた本~~
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◎ひとはなぜ戦争をするのか 脳力のレッスンV
寺島 実郎
定価(本体1700円+税)
http://iwnm.jp/024533
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https://tanemaki.iwanami.co.jp/
*WEB版もぜひ、ご覧ください
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▼本号の目次
特集/世界の潮/注目記事/連載/グラビア/編集後記/
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┃特集1┃政治を変革する思想と方法
┗━━━╋…────────────────────────────────
〈基調〉
リベラル・デモクラシーの終焉?――新自由主義グローバリズムの奔流の中で
三宅芳夫(千葉大学)
〈演説〉
独裁と権威主義に立ち向かう世界的民主運動を構築する
バーニー・サンダース(米上院議員),訳・解題=宮前ゆかり(リサーチャー・翻訳家)
〈インターセクショナリティ〉
アメリカ政治を変える黒人女性たち
兼子 歩(明治大学)
〈提示される「新しい物語」〉
コービン労働党の歴史的位置
長谷川貴彦(北海道大学)
〈報告〉
チーム・コービンはイギリスを変える
藤澤みどり(ジャーナリスト)
〈行動の刷新〉
〈黄色いベスト〉運動――私たちの足もとで地面は大きく動いている
デヴィッド・グレーバー(ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス),訳・解題=片岡大右
〈新たな理念〉
ヨーロッパに幽霊が出ている――金融資本と移民
廣瀬 純(龍谷大学)
〈対談〉
社会のバランスをとりもどす--幸せの設計図(下)
ステファーノ・バルトリーニ(シエナ大学)×中野佳裕(早稲田大学)
〈闘いの系譜〉
韓国のろうそく革命を歴史に位置づける
キム・ホギ(延世大学),訳=矢野百合子
〈グローバルサウスの新自由主義〉
新自由主義アパルトヘイト
アンディ・クラーノ(イリノイ大学シカゴ校),訳・解題=小沢弘明(千葉大学)
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┃特集2┃戦争の記憶と向き合いつづける
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〈戦争裁判〉
裁かれた者の「記憶」と「記録」
内海愛子(恵泉女学園大学名誉教授)
〈提言〉
強制労働問題の和解への道すじ――花岡,西松,三菱マテリアルの事例に学ぶ
内田雅敏(弁護士)
〈手記〉
戦後補償管見――記憶の承継と和解
新村正人(元東京高裁裁判官)
〈インタビュー〉
慰安婦問題の隘路をどう進むか
吳泰奎(駐大阪韓国総領事)
〈世代をつなぐ〉
チビチリガマを「壊す」と「作る」
下嶋哲朗(ノンフィクション作家)
〈否定派のもくろみに抗する〉
憎しみの連鎖を断ち切る――通州事件犠牲者姉妹の証言
笠原十九司(歴史家)
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◆注目記事
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〈考察〉
ゲノム編集した子の誕生と倫理問題
資料 ゲノム編集による子どもの誕生についての声明
島薗 進(上智大学)
〈国際報道では〉
ゴーン事件と人質司法の闇
桐山桂一(東京新聞)
〈緊急報告〉
大旱魃に襲われるアフガニスタン――気候変動が地域と生活を破壊している
中村 哲(医師)
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◇世界の潮
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◇水道事業「民営化」 その問題点と対応策
橋本淳司(ジャーナリスト)
◇台湾・蔡政権を叩きのめした「韓流」の正体
本田善彦(ジャーナリスト)
◇ルールは定まった――COP24緊急報告
小西雅子(WWFジャパン)
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●連載
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●【新連載】英国エッセイ選 お許しいただければ
「人の性格は何で判断できるか」(ミルン)
訳=行方昭夫(東京大学名誉教授)
●我が総括――体験的戦後メディア史【第2回】
思想的転回と逡巡
田原総一朗(ジャーナリスト)
●麻薬現代史【第2回】
犯罪組織との百年戦争
藤野 彰(元国連職員)
●アパレル興亡【第18回】
黒木 亮(作家)
●海の底から【第22回】
金石範(作家)
●自衛隊と災害救助【第3回】
人助けに走る人びと
島本慈子(ジャーナリスト)
●ハンセン病回復者の語り・家族の語り【第5回】
働き者だった父の人格崩壊
黒坂愛衣(東北学院大学),福岡安則(埼玉大学名誉教授)
●沖縄(シマ)という窓
仲本とみ先生と風疹聴覚障害児の交流
山城紀子(フリーライター)
●原発月報――(18・11~12)
福島原発事故記録チーム
●映像世界の冒険者たち【第10回】
記憶のための戦い――ジョスリーン・サアブ
四方田犬彦(比較文学・映画研究家)
●中国新建築文化論【第21回】
アトリエ・組織・外国人──中国建築家の生態系を読む
市川紘司(明治大学助教)
●メディア批評【第134回】
神保太郎(ジャーナリスト)
●片山善博の「日本を診る」【第111回】
「入管法」改正のお粗末――いい加減な対応で国の名誉を損なうことなかれ
片山善博(早稲田大学)
●脳力のレッスン【202】特別篇
荒れる世界と常温社会・日本の断層――二〇一九年への覚悟
寺島実郎
●世界論壇月評
朱建栄・竹田いさみ・吉田文彦・石郷岡建
●ドキュメント激動の南北朝鮮(258)(18・11~12)
編集部
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○グラビア
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○公募作品 172
BLINDFOLD--生活図画事件
高橋健太郎(写真家)
○ことわざの惑星
金井真紀(イラストレーター)
○表紙写真= モロッコ, 2018年4月4日(AP/アフロ)
デザイン= 赤崎正一+ 佐野裕哉
○グラビアについて(公募規定)
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○読者投句・岩波俳句
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選・文 池田澄子(俳人)
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*読者談話室
*アムネスティ通信
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◇編集後記
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現下日本の,とりわけその政治について考えると,眉間にしわが寄る.
年のはじめぐらいは親しい人たちと気持ちを朗らかにして過ごしたいもの
だが,どうにも心が晴れない.
第一に,沖縄・辺野古への土砂投入である.美しい海に軍事基地を建
設するという愚行ももちろんだが,その後景に,基地を拒む沖縄の民意
に対して,むしろそれを嘲笑する政権担当者たちの傲慢さがかいま見え
る.それが許せない.神保太郎氏が今号「メディア批評」で伝えるよう
に,沖縄防衛局の幹部が,「一四日にどうしても(土砂投入を)やる.デ
ニーの鼻をへし折る」という趣旨の発言をしていたという.ここにはあ
らゆる種類の愚劣さがパッケージで示されている.
前号掲載の目取真俊氏の小説「闘魚」を読み返してほしい.辺野古と
いう土地に積み重ねられてきた人々の営み,記憶,そうしたもののかけ
がえのなさをどうしても理解できない人々が政治の中心におり,行政と
司法に携わる人々の多くがそれにただ付き従うのみだ.
議論や対話ということの成立しない,権威主義的傾向を強める政府を
相手に,どのような態度が考えられるのか.年頭の大特集として,政治
を変革しようとする海外事例から考える特集を組んだ.
眉間にしわが寄る理由の第二は,新しい防衛大綱をめぐって連日のよ
うに報道される軍事費の大盤振る舞いだ.「兆」という単位で空母や戦闘
機などの「爆買い」だ.このテーマでは,東京新聞社会部が取材班をつ
くって積極的な調査報道を継続している.つぶさに見ると,トランプ政
権の歓心をかうことなど,本来の「安全保障」といったものとも異なる
文脈で軍拡に突き進んでいるようだ.その意味では「戦略なき軍拡」,
つまりは税金の無駄遣いだが,問題は,それが近隣諸国との対立を煽る
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病気で死亡しているのです」
日本の政治が軍縮というアジェンダに向き合わない背景の一つに,
近隣諸国との「非和解状況」がある.そして,その状況の最大要因は,
過去の戦争をめぐる軋轢である.
本号の二つ目の特集は,当初「和解は可能か」というタイトルを考え
た.しかし,これはおかしい,と思い直した.和解は可能だ.もしそれ
が不可能だというなら,なんとしても可能にしなければならない.「どう
しても取り返しのつかないことをどうしても取り返す」(木下順二)こと
をしなければならない.そのための努力は積み重ねられ,貴重な先行事
例も築かれてきたことが,新村正人氏や内田雅敏氏の論考からわかる.
さて,新年から深まった眉間のしわをほどくのは,新連載の「お許し
いただければ」.かねて,行方昭夫氏の訳出によるエッセイ集『たいし
た問題じゃないが』(岩波文庫)を愛読していた一人として,この連載
をお引き受けいただけたのは,お年玉をいただいたような気持ちだ.
本年もどうぞよろしくお願いします.
* * *
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特に経済・法律分野,数学・物理分野(第二新卒を含む)を募集します.詳細は
2019年1月下旬にかけて,小社のウェブサイト「採用情報」に掲示いたしますので,
ご覧ください.
熊谷伸一郎(本誌編集長)
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