『世界』メールマガジン/2019年3月号 【特集:拡大する違憲状況】
2019/02/08 (Fri) 15:00
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■■ 『世界』メールマガジン/2019年3月号
■■ vol.#0045
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■『世界』2019年3月号(第918号)好評発売中
2019年2月8日発行
定価(本体850円+税)
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▼本号の目次
特集/世界の潮/注目記事/連載/グラビア/編集後記/
『世界』から生まれた本/「WEB世界」のご案内
┏━━━┓
┃ 特集 ┃拡大する違憲状況
┗━━━╋…────────────────────────────────
〈報告〉
国防軍化する自衛隊――無視される憲法の制約
石井 暁(共同通信)
〈配備計画〉
ルポ・軍事列島 第6回 南西諸島――知られざる複数の基地建設
池尾靖志(立命館大学)
〈座談会〉
軍事化される島々
清水早子(ミサイルいらない宮古島住民連絡会)・上原秀政(石垣島に軍事基地をつくらせない市民連絡会)・高橋千恵(与那国島の明るい未来を願うイソバの会)・上島 啓(奄美市在住)
〈検証〉
戦略なき軍拡――アメリカ製兵器「爆買い」の実態
東京新聞社会部取材班
〈安保マフィアのマニフェスト〉
第4次アーミテージ・ナイ報告分析――さらなる日米一体化への要求
猿田佐世(弁護士)
〈無用の長物〉
イージス・アショアは必要か――超高額兵器への多くの疑問
福好昌治(軍事評論家)
〈連載〉
自衛隊と災害救助 第4回 防衛予算の使い道
島本慈子(ジャーナリスト)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◆注目記事
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
〈国際社会の課題〉
イエメン国民への愚弄をやめよ――最悪の人道危機の原因と解決への道筋
佐藤 寛(JETROアジア経済研究所)
〈「日本」との別れへ〉
自律する沖縄――県民投票のその先へ
新城郁夫(琉球大学)
〈今こそ議論を〉
〈強さ〉の時代に抗う――天皇「代替わり」に際して
荒井 献(東京大学名誉教授)
〈提起〉
記者の連帯がなぜ必要か――一強化する権力と対抗するために
南 彰(新聞労連委員長)
〈対談〉
男を変えることはもう,できないのかもしれない――あるフォトジャーナリストの性暴力をめぐって
金子雅臣(労働ジャーナリスト)×北原みのり(作家)
〈ルポ〉
8年目の原発作業員――相次ぐ犠牲、補償はなにもない
片山夏子(東京新聞)
〈座談会〉
原発事故避難者を追いつめる「自立」の強制――住まいから見る事故八年目の現実
熊本美彌子(原発避難者)×松本徳子(原発避難者)×瀬戸大作(避難の協同センター)
〈座談会〉
ロシア革命の百年を問い直す――民主主義・戦争・権力
和田春樹(東京大学名誉教授)×長谷川毅(カリフォルニア大学サンタバーバラ校)×池田嘉郎(東京大学)
〈「歴史総合」の展望〉
転換期の歴史教育と東アジアの歴史対話
油井大三郎(東京大学名誉教授)
〈声明〉
村山談話,菅総理談話に基づき,植民地支配を反省謝罪することこそ日韓・日朝関係を続け,発展させる鍵である
〈裁判の行方は?〉
日産ゴーン事件の研究
細野祐二(会計評論家)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◇世界の潮
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◇コンゴ民主共和国における不正選挙と危機
J.C.マスワナ(国際経済学者)
◇ファーウェイ締め出しに見る米国の危機感
津上俊哉(現代中国研究家)
◇移民「元年」 課題と展望
毛受敏浩(日本国際交流センター)
◇IWCからの脱退――利益少なく,失うもの多い
井田徹治(共同通信記者)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
●連載
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
●【新連載】ルポ 孤塁
消防士たちの3・11
吉田千亜(ジャーナリスト)
●〈周縁〉の「小さなアメリカ」【 第10回・最終回】
いくつもの「周縁の小さなアメリカ」の連なりを見る
中村 寛(多摩美術大学)
●我が総括――体験的戦後メディア史【第3回】
宮澤喜一と竹下登の軍隊観
田原総一朗(ジャーナリスト)
●麻薬現代史【第3回】
国際オペレーション
藤野 彰(元国連職員)
●アパレル興亡【第19回】
黒木 亮(作家)
●海の底から【第23回】
金石範(作家)
●ハンセン病回復者の語り・家族の語り【第6回】
小学二年にして生き方の決断を迫られる
福岡安則(埼玉大学名誉教授),黒坂愛衣(東北学院大学)
●沖縄(シマ)という窓
空を飛ぶのは鳥だけでいい
親川志奈子(オキスタ107)
●原発月報――(18・12~19・1)
福島原発事故記録チーム
●映像世界の冒険者たち【第11回】
少年テロリストが監督になるまで――モフセン・マフマルバフ
四方田犬彦(比較文学・映画研究家)
●メディア批評【第135回】
神保太郎(ジャーナリスト)
●片山善博の「日本を診る」【第112回】
統一地方選挙改革論―― 一一月実施で再統一してはどうか
片山善博(早稲田大学)
●脳力のレッスン【203】
キリスト教の世界化とローマ帝国―― 一七世紀オランダからの視界(その54)
寺島実郎
●世界論壇月評
朱建栄・竹田いさみ・吉田文彦・石郷岡建
●ドキュメント激動の南北朝鮮(259)(18・12~19・1)
編集部
●お許しいただければ【第2回】
論争好き(リンド)
行方昭夫 訳(東京大学名誉教授)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
○グラビア
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
○公募作品 173
ヤズディの祈り――シンガルからネブラスカへ
林 典子(フォト・ジャーナリスト)
○ことわざの惑星
金井真紀(イラストレーター)
○表紙写真= アメリカ合州国テキサス州、二〇一八年一月一八日 (C) Mark Power/Magnum Photos
デザイン= 赤崎正一+ 佐野裕哉
○グラビアについて(公募規定)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
○読者投句・岩波俳句
選・文 池田澄子(俳人)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
*読者談話室
*アムネスティ通信
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◇編集後記
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
いただいた原稿を読みながら独り言を呟くことが少なくない.だいたいは
「なるほど」,あるいはそれに類する短い感嘆詞(「へえ」とか「ほう」とか)
だが,書かれている事態の深刻さに,それを聞いた人がいれば眉をしかめる
に違いない罵詈雑言が口をついて出ることもある.
たとえば,今号の南彰論文で紹介されている菅官房長官の,東京新聞・望月
衣塑子記者に対する「応答」を目にした時などである.コミュニケーションと
いうものの極北というべきか,一般的な人間関係の中であのような振る舞いを
する人がいれば,とうていまともな社会人として扱われることはないだろう.
これは,私たちが知りたいと思う質問を,私たちに代わって発している望月記
者を通じ,私たちが侮辱されているのである.
南氏には昨秋,朝日新聞記者として本誌に望月記者との連名で「安倍政権ファ
クトチェック100」を寄稿していただいた(昨年一〇月号.加筆のうえ集英
社新書として刊行).新聞労連の委員長に就任した南氏に,日本のジャーナリズ
ムにとり大きな宿題の一つである,記者の連帯について真正面から論じる原稿
を寄せていただいた.肥大しようとする行政権力に掣肘を加え,その権力行使
が適正に行なわれるようチェックすることが司法と議会とメディアの役割だろ
うが,司法は「政権の下部組織へと堕して」(今号,新城論文)おり,議会は,
自公は問題外として,野党も政権に対峙するのに必要なエネルギーを得ていな
い.ジャーナリズムの責任は重い.
今号読者投稿に,軍学共同の問題にかかわって,「全体として,やはり〈市民〉
は,誰かから差し出されないと得られない情報が多い」として,「総合雑誌」な
どのメディアに豊富な論題の提供を呼びかけられた方がおられる.私たちも襟
をただし,その呼びかけに応えていきたい.
今号では,あまり知られていないが,きわめて重要と思われる論題を特集の
中で取り上げた.南西諸島の軍事化である.鹿児島県に属する奄美大島,沖縄
本島からさらに西に位置する宮古島・石垣島・与那国島の住民として,急速に
進められる軍事化に声を上げている方々に,地域のリアルな状況を語り合って
いただいた.軍事基地がつくられ,小銃を持ち迷彩服を着た兵士たちが住民の
目前で訓練を行ない,ミサイルを積んだ軍用車が走る.こうした現実に声を上げ
ていくことからしか,九条を変えさせない力は培われないのではないかと思う.
座談会は,池尾靖志氏の尽力によって実現した.心より感謝申し上げたい.
もう一つ,あまり知られていないが重要な情報を伝える記事として,ときに
(著作権者の了解を得て)複写して配り歩きたいとさえ思わされる論考に接す
ることがある.今号でいえば,佐藤寛氏の論考である.これまでもイエメンの
深刻な状況について「世界の潮」欄で報告されていた佐藤氏が,「最悪の人道危
機」と表現される現在の同国の苦境について,その原因と,打開の道筋を,迫
力ある筆致で書いている.
「この人道危機を終わらせるためには戦争をやめればいい,それだけである.
なぜ終わらないのか.やめたくない人がいて,それに無関心な人がいるから,
である.そのほとんどがイエメンの外にいる人々である」
他にも触れたいことが多くあるが,紙幅が尽きた.インフルエンザの流行る
折,読者の皆様のご健勝を祈ります.
熊谷伸一郎(本誌編集長)
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~~『世界』から生まれた本~~
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◎ひとはなぜ戦争をするのか 脳力のレッスンV
寺島 実郎
定価(本体1700円+税)
http://iwnm.jp/024533
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定価(本体850円+税)
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▼本号の目次
特集/世界の潮/注目記事/連載/グラビア/編集後記/
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┃ 特集 ┃拡大する違憲状況
┗━━━╋…────────────────────────────────
〈報告〉
国防軍化する自衛隊――無視される憲法の制約
石井 暁(共同通信)
〈配備計画〉
ルポ・軍事列島 第6回 南西諸島――知られざる複数の基地建設
池尾靖志(立命館大学)
〈座談会〉
軍事化される島々
清水早子(ミサイルいらない宮古島住民連絡会)・上原秀政(石垣島に軍事基地をつくらせない市民連絡会)・高橋千恵(与那国島の明るい未来を願うイソバの会)・上島 啓(奄美市在住)
〈検証〉
戦略なき軍拡――アメリカ製兵器「爆買い」の実態
東京新聞社会部取材班
〈安保マフィアのマニフェスト〉
第4次アーミテージ・ナイ報告分析――さらなる日米一体化への要求
猿田佐世(弁護士)
〈無用の長物〉
イージス・アショアは必要か――超高額兵器への多くの疑問
福好昌治(軍事評論家)
〈連載〉
自衛隊と災害救助 第4回 防衛予算の使い道
島本慈子(ジャーナリスト)
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◆注目記事
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〈国際社会の課題〉
イエメン国民への愚弄をやめよ――最悪の人道危機の原因と解決への道筋
佐藤 寛(JETROアジア経済研究所)
〈「日本」との別れへ〉
自律する沖縄――県民投票のその先へ
新城郁夫(琉球大学)
〈今こそ議論を〉
〈強さ〉の時代に抗う――天皇「代替わり」に際して
荒井 献(東京大学名誉教授)
〈提起〉
記者の連帯がなぜ必要か――一強化する権力と対抗するために
南 彰(新聞労連委員長)
〈対談〉
男を変えることはもう,できないのかもしれない――あるフォトジャーナリストの性暴力をめぐって
金子雅臣(労働ジャーナリスト)×北原みのり(作家)
〈ルポ〉
8年目の原発作業員――相次ぐ犠牲、補償はなにもない
片山夏子(東京新聞)
〈座談会〉
原発事故避難者を追いつめる「自立」の強制――住まいから見る事故八年目の現実
熊本美彌子(原発避難者)×松本徳子(原発避難者)×瀬戸大作(避難の協同センター)
〈座談会〉
ロシア革命の百年を問い直す――民主主義・戦争・権力
和田春樹(東京大学名誉教授)×長谷川毅(カリフォルニア大学サンタバーバラ校)×池田嘉郎(東京大学)
〈「歴史総合」の展望〉
転換期の歴史教育と東アジアの歴史対話
油井大三郎(東京大学名誉教授)
〈声明〉
村山談話,菅総理談話に基づき,植民地支配を反省謝罪することこそ日韓・日朝関係を続け,発展させる鍵である
〈裁判の行方は?〉
日産ゴーン事件の研究
細野祐二(会計評論家)
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◇世界の潮
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◇コンゴ民主共和国における不正選挙と危機
J.C.マスワナ(国際経済学者)
◇ファーウェイ締め出しに見る米国の危機感
津上俊哉(現代中国研究家)
◇移民「元年」 課題と展望
毛受敏浩(日本国際交流センター)
◇IWCからの脱退――利益少なく,失うもの多い
井田徹治(共同通信記者)
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●連載
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●【新連載】ルポ 孤塁
消防士たちの3・11
吉田千亜(ジャーナリスト)
●〈周縁〉の「小さなアメリカ」【 第10回・最終回】
いくつもの「周縁の小さなアメリカ」の連なりを見る
中村 寛(多摩美術大学)
●我が総括――体験的戦後メディア史【第3回】
宮澤喜一と竹下登の軍隊観
田原総一朗(ジャーナリスト)
●麻薬現代史【第3回】
国際オペレーション
藤野 彰(元国連職員)
●アパレル興亡【第19回】
黒木 亮(作家)
●海の底から【第23回】
金石範(作家)
●ハンセン病回復者の語り・家族の語り【第6回】
小学二年にして生き方の決断を迫られる
福岡安則(埼玉大学名誉教授),黒坂愛衣(東北学院大学)
●沖縄(シマ)という窓
空を飛ぶのは鳥だけでいい
親川志奈子(オキスタ107)
●原発月報――(18・12~19・1)
福島原発事故記録チーム
●映像世界の冒険者たち【第11回】
少年テロリストが監督になるまで――モフセン・マフマルバフ
四方田犬彦(比較文学・映画研究家)
●メディア批評【第135回】
神保太郎(ジャーナリスト)
●片山善博の「日本を診る」【第112回】
統一地方選挙改革論―― 一一月実施で再統一してはどうか
片山善博(早稲田大学)
●脳力のレッスン【203】
キリスト教の世界化とローマ帝国―― 一七世紀オランダからの視界(その54)
寺島実郎
●世界論壇月評
朱建栄・竹田いさみ・吉田文彦・石郷岡建
●ドキュメント激動の南北朝鮮(259)(18・12~19・1)
編集部
●お許しいただければ【第2回】
論争好き(リンド)
行方昭夫 訳(東京大学名誉教授)
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○グラビア
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○公募作品 173
ヤズディの祈り――シンガルからネブラスカへ
林 典子(フォト・ジャーナリスト)
○ことわざの惑星
金井真紀(イラストレーター)
○表紙写真= アメリカ合州国テキサス州、二〇一八年一月一八日 (C) Mark Power/Magnum Photos
デザイン= 赤崎正一+ 佐野裕哉
○グラビアについて(公募規定)
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○読者投句・岩波俳句
選・文 池田澄子(俳人)
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*読者談話室
*アムネスティ通信
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◇編集後記
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
いただいた原稿を読みながら独り言を呟くことが少なくない.だいたいは
「なるほど」,あるいはそれに類する短い感嘆詞(「へえ」とか「ほう」とか)
だが,書かれている事態の深刻さに,それを聞いた人がいれば眉をしかめる
に違いない罵詈雑言が口をついて出ることもある.
たとえば,今号の南彰論文で紹介されている菅官房長官の,東京新聞・望月
衣塑子記者に対する「応答」を目にした時などである.コミュニケーションと
いうものの極北というべきか,一般的な人間関係の中であのような振る舞いを
する人がいれば,とうていまともな社会人として扱われることはないだろう.
これは,私たちが知りたいと思う質問を,私たちに代わって発している望月記
者を通じ,私たちが侮辱されているのである.
南氏には昨秋,朝日新聞記者として本誌に望月記者との連名で「安倍政権ファ
クトチェック100」を寄稿していただいた(昨年一〇月号.加筆のうえ集英
社新書として刊行).新聞労連の委員長に就任した南氏に,日本のジャーナリズ
ムにとり大きな宿題の一つである,記者の連帯について真正面から論じる原稿
を寄せていただいた.肥大しようとする行政権力に掣肘を加え,その権力行使
が適正に行なわれるようチェックすることが司法と議会とメディアの役割だろ
うが,司法は「政権の下部組織へと堕して」(今号,新城論文)おり,議会は,
自公は問題外として,野党も政権に対峙するのに必要なエネルギーを得ていな
い.ジャーナリズムの責任は重い.
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をただし,その呼びかけに応えていきたい.
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本島からさらに西に位置する宮古島・石垣島・与那国島の住民として,急速に
進められる軍事化に声を上げている方々に,地域のリアルな状況を語り合って
いただいた.軍事基地がつくられ,小銃を持ち迷彩服を着た兵士たちが住民の
目前で訓練を行ない,ミサイルを積んだ軍用車が走る.こうした現実に声を上げ
ていくことからしか,九条を変えさせない力は培われないのではないかと思う.
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もう一つ,あまり知られていないが重要な情報を伝える記事として,ときに
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ることがある.今号でいえば,佐藤寛氏の論考である.これまでもイエメンの
深刻な状況について「世界の潮」欄で報告されていた佐藤氏が,「最悪の人道危
機」と表現される現在の同国の苦境について,その原因と,打開の道筋を,迫
力ある筆致で書いている.
「この人道危機を終わらせるためには戦争をやめればいい,それだけである.
なぜ終わらないのか.やめたくない人がいて,それに無関心な人がいるから,
である.そのほとんどがイエメンの外にいる人々である」
他にも触れたいことが多くあるが,紙幅が尽きた.インフルエンザの流行る
折,読者の皆様のご健勝を祈ります.
熊谷伸一郎(本誌編集長)
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