『世界』メールマガジン/2019年6月号 【特集:日本型監視社会】
2019/05/20 (Mon) 11:00
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■■ 『世界』メールマガジン/2019年6月号
■■ vol.#0048
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■『世界』2019年6月号(第921号)好評発売中
2019年5月9日発行
定価(本体850円+税)
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▼本号の目次
特集/世界の潮/注目記事/連載/グラビア/編集後記/
『世界』から生まれた本/「WEB世界」のご案内
┏━━━┓
┃ 特集 ┃日本型監視社会
┗━━━╋…────────────────────────────────
〈調査報道〉
丸裸にされる私生活――企業の個人情報と検察・警察
共同通信社会部取材班
〈近代への問いかけ〉
“C”の誘惑――スコア監視国家と「内心の自由」
山本龍彦(慶應義塾大学)
〈インタビュー〉
マイナンバー・リスク
白石 孝(プライバシーアクション)
〈「いいね!」の意味〉
政治のプライバシーとプライバシーの政治
宮下 紘(中央大学)
〈ビッグ・ブラザーを拒む〉
「快適で安全」な監視社会――個人の自由が保障されなくていいのか
小泉雄介(国際社会経済研究所)
〈監視されたいという欲望〉
自己撞着化する監視社会
朝田佳尚(京都府立大学)
〈もう一つの権力〉
公安警察――日本型監視社会の担い手
出口かおり(弁護士)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◆注目記事
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
〈脳力のレッスン(206)特別篇〉
平成の晩鐘が耳に残るうちに――体験的総括と冷静なる希望
寺島実郎
〈ルポ〉
気候変動対策を求める若者たち――16歳の少女グレタは世界を変えるか
八田浩輔(毎日新聞)
〈ロングインタビュー〉
私は沖縄と民主主義の尊厳を守る――辺野古問題は対話による政治解決を
玉城デニー(沖縄県知事)/聞き手=比屋根照夫(琉球大学名誉教授),外岡秀俊(ジャーナリスト)
〈ルポ〉
沖縄の新しいうねり――本土に向けて問う若者たちの「乞食行進」
辰濃哲郎(ノンフィクション作家)
〈調査と分析〉
県民投票と県民の意識――投票に行った人,行かなかった人,それぞれの選択
岡田勇(名古屋大学),久保慶明(琉球大学),柳至(琉球大学)
〈連載〉
沖縄(シマ)という窓--「令和ニッポン」の宗主国意識
親川志奈子(オキスタ107)
〈衝撃の事実〉
○「身体拘束」からみる日本の人権状況
長谷川利夫(杏林大学)
○対談 身体拘束から精神医療を問う
長谷川利夫×斎藤環(精神科医)
〈異色対談〉
「枠」をハミ出し,打って出る――(下)歴史篇 シベリア・朝鮮・沖縄・福島
安彦良和(漫画家)×蟻塚亮二(精神科医)
〈インタビュー〉
ようこそ,論争の「主戦場」へ――「慰安婦論争」に空前の大胆さで挑む――映画『主戦場』
ミキ・デザキ(映画監督)、聞き手・構成=岡本有佳(編集者)
〈不可欠の存在をめぐって〉
○公共サービスの再公営化がなぜ進んでいるのか――民営化の失敗を繰り返さないために
岸本聡子(トランスナショナル研究所)
○人類は「グローバルな水問題」に対処できるのか
レスター・ブラウン、訳・解説=枝廣淳子(大学院大学至善館)
〈講演〉
この労働組合つぶしは何を意味するか――関西生コン支部弾圧の現場から
熊沢 誠(甲南大学名誉教授)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◇世界の潮
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◇止まらぬ右傾化の歯車――イスラエル・ネタニヤフ勝利の背景
池田明史(東洋英和女学院大学学長)
◇NATO創設70年――錯綜するヨーロッパ加盟国の思惑
広瀬佳一(防衛大学校)
◇隠されていた無実の証拠――松橋事件の再審無罪判決
菅野良司(ジャーナリスト)
◇インドネシア大統領選――「社会の分断」と民主主義の緩慢な後退
見市 建(早稲田大学)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
●連載
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
●映像世界の冒険者たち【第13回・最終回】
アイスクリームと神の零落――ジョアン・セーザル・モンテイロ
四方田犬彦(比較文学・映画研究家)
●中国新建築文化論【第24回・最終回】
震災遺構と黒色・赤色ツーリズム──四川大地震被災地の保存と現在
市川紘司(明治大学助教)
●ルポ 孤塁――消防士たちの3・11【第4回】
「さよなら会議」
吉田千亜(ジャーナリスト)
●すぐそこにある世界【第3回】
地獄で見た光
師岡カリーマ・エルサムニー(文筆家)
●アパレル興亡【第22回】
黒木 亮(作家)
●但馬日記【第2回】
お荷物施設の変身
平田オリザ(劇作家)
●ハンセン病回復者の語り・家族の語り【第9回】
ハンセン病と国籍の二重の差別
福岡安則(埼玉大学名誉教授),黒坂愛衣(東北学院大学)
●我が総括――体験的戦後メディア史【第6回】
竹下・宮澤の興隆と衰退
田原総一朗(ジャーナリスト)
●お許しいただければ【イギリス エッセイ選】
「自分で自分を石像化」(ルーカス)
訳=行方昭夫(東京大学名誉教授)
●麻薬現代史【第5回】
時を超えて――国際麻薬規制のさまざまな側面
藤野 彰(元国連職員)
●原発月報――(19・3~4)
福島原発事故記録チーム
●メディア批評【第138回】
神保太郎(ジャーナリスト)
●片山善博の「日本を診る」【115】
大臣・副大臣の辞任劇から読み取るべき教訓
片山善博(早稲田大学)
●世界論壇月評
朱建栄・竹田いさみ・吉田文彦・石郷岡建
●ドキュメント激動の南北朝鮮【261】(一九・三~四)
編集部
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
○グラビア
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
○公募作品175
Operation Iceberg Sites 沖縄戦の地
山市直佑(写真家)
○ことわざの惑星
金井真紀(イラストレーター)
○表紙写真=イラン,洪水で冠水した道路を家族を載せて走る.
二〇一九年三月二二日(ロイター/アフロ)
デザイン= 赤崎正一+ 佐野裕哉
○グラビアについて(公募規定)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
○読者投句・岩波俳句
選・文 池田澄子(俳人)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
*読者談話室
*アムネスティ通信
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◇編集後記
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
前号に続いての身辺雑記となるが,三人いる子どものうちの真ん中の娘が,
今春,近所の公立小学校に入学した.長男に続いて二人目であるから分かっ
てはいたものの,やはり今回も人間らしさの感じられない入学式であった.
司会による開会の発声とともに私たちは起立させられ,無人の壇上に向かっ
て「礼」させられ,そのまま「君が代」斉唱に進む.いったん起立させるこ
とで,私のような人間について,「座ったまま不起立」ではなく,「わざわざ
着席」へとハードルを上げているのだ,と聞いた.踏み絵的発想というべきか.
すべてが細部にわたって定式化され,現場教員や在校生徒たちの創意工夫,
あるいはユーモアなどの入り込む余地はない.腹立たしく思うのは,小さな
新入学生たちが幾度も起立と着席をさせられることだ.壇上に来賓などが向
かうたびに,子どもたちが,ぴょこたんぴょこたん,立ったり座ったりさせ
られる.全員が壇上に向かって座らされているので,私は娘の後ろ姿しか見
えないが,この社会の未来を担う我々の子どもたちにむかって,立て,だの,
頭を下げろ,だの,何様のつもりだ,と思う.そして,閉会で再び無人の壇
上,すなわち旗というモノに向かって頭を下げろ,と言われるあたりでは,
現下日本の公教育への失望と違和感は強まるばかりであった.
そして「元号決定狂騒曲」である(本号「メディア批評」参照).NHKの
四時間半特番に象徴されるお祭り騒ぎには「改元.何がめでたい」としか言
いようがないが,マスメディアの思考停止の現段階を見て,暗然とした気持ち
にもなった.失速と衰亡の果てに,排外的なナショナリズムやアメリカへの
過剰同調(本号寺島論文参照)へと突き進んでいったこの国の,「平成」なる
三〇年間の総決算と言うべき光景であった.
前回の改元の際に広く見られた天皇制への批判的考察が,今回,ほとんど
まったく欠落したのは,平成天皇を「平和主義者」として持ち上げ,民主制
との緊張関係や,近現代日本において天皇制が果たしてきた役割への,原則
的な思索と発言を弱めてきたジャーナリズムとアカデミズムの帰結でもあろ
う.ただでさえ同調圧力の強い社会で,批判的言説の不在がさらなる「言い
にくさ」を生み出す「負のスパイラル」に陥らぬよう,本誌も努めたい.
元号や「君が代」に限らないが,強制は,それを拒む市民への監視と表裏
一体である.本号特集は,デジタル技術の進展=監視技術の進化ということ
を中心的なテーマとして監視社会化の現段階を取り上げたが,企業の持つ個
人情報の扱いに関する法的規制の乏しさや,公安警察の存在といった日本特
有の状況から「日本型監視社会」とした.公立学校の卒業式できちんと「君
が代」を歌っているか,教職員の口もとまで監視するという事例が近年あっ
たが,この「歌わせたい男たち」のような滑稽さが折にふれ姿を見せるのも,
「日本型」かもしれない.
* * *
本誌が書店店頭で見当たらない,という声が多く寄せられます.お近くに
書店がないなどの場合には,お手もとに毎号確実に届く定期購読をお勧めし
ます.昨年度は,おかげさまで多くの購読者をお迎えし,本年三月号には,
近年で最多となるお申込みがありました.心より御礼を申し上げるとともに,
さらなる誌面の充実に取り組んでまいります.
熊谷伸一郎(本誌編集長)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
~~『世界』から生まれた本~~
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◎ひとはなぜ戦争をするのか 脳力のレッスンV
寺島 実郎
定価(本体1700円+税)
http://iwnm.jp/024533
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~~「WEB世界」のご案内~~
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雑誌『世界』のウェブマガジン、「WEB世界」をはじめました
https://tanemaki.iwanami.co.jp/
*WEB版もぜひ、ご覧ください
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◇「webいわなみ たねをまく」(岩波書店のウェブマガジン)もはじめました
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◇本誌のご注文はお近くの書店か小社営業部宛てにお願いいたします.
岩波書店営業部読者係(TEL:03-5210-4111,FAX:03-3263-6999)
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┃ 特集 ┃日本型監視社会
┗━━━╋…────────────────────────────────
〈調査報道〉
丸裸にされる私生活――企業の個人情報と検察・警察
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“C”の誘惑――スコア監視国家と「内心の自由」
山本龍彦(慶應義塾大学)
〈インタビュー〉
マイナンバー・リスク
白石 孝(プライバシーアクション)
〈「いいね!」の意味〉
政治のプライバシーとプライバシーの政治
宮下 紘(中央大学)
〈ビッグ・ブラザーを拒む〉
「快適で安全」な監視社会――個人の自由が保障されなくていいのか
小泉雄介(国際社会経済研究所)
〈監視されたいという欲望〉
自己撞着化する監視社会
朝田佳尚(京都府立大学)
〈もう一つの権力〉
公安警察――日本型監視社会の担い手
出口かおり(弁護士)
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◆注目記事
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〈脳力のレッスン(206)特別篇〉
平成の晩鐘が耳に残るうちに――体験的総括と冷静なる希望
寺島実郎
〈ルポ〉
気候変動対策を求める若者たち――16歳の少女グレタは世界を変えるか
八田浩輔(毎日新聞)
〈ロングインタビュー〉
私は沖縄と民主主義の尊厳を守る――辺野古問題は対話による政治解決を
玉城デニー(沖縄県知事)/聞き手=比屋根照夫(琉球大学名誉教授),外岡秀俊(ジャーナリスト)
〈ルポ〉
沖縄の新しいうねり――本土に向けて問う若者たちの「乞食行進」
辰濃哲郎(ノンフィクション作家)
〈調査と分析〉
県民投票と県民の意識――投票に行った人,行かなかった人,それぞれの選択
岡田勇(名古屋大学),久保慶明(琉球大学),柳至(琉球大学)
〈連載〉
沖縄(シマ)という窓--「令和ニッポン」の宗主国意識
親川志奈子(オキスタ107)
〈衝撃の事実〉
○「身体拘束」からみる日本の人権状況
長谷川利夫(杏林大学)
○対談 身体拘束から精神医療を問う
長谷川利夫×斎藤環(精神科医)
〈異色対談〉
「枠」をハミ出し,打って出る――(下)歴史篇 シベリア・朝鮮・沖縄・福島
安彦良和(漫画家)×蟻塚亮二(精神科医)
〈インタビュー〉
ようこそ,論争の「主戦場」へ――「慰安婦論争」に空前の大胆さで挑む――映画『主戦場』
ミキ・デザキ(映画監督)、聞き手・構成=岡本有佳(編集者)
〈不可欠の存在をめぐって〉
○公共サービスの再公営化がなぜ進んでいるのか――民営化の失敗を繰り返さないために
岸本聡子(トランスナショナル研究所)
○人類は「グローバルな水問題」に対処できるのか
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〈講演〉
この労働組合つぶしは何を意味するか――関西生コン支部弾圧の現場から
熊沢 誠(甲南大学名誉教授)
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◇世界の潮
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◇止まらぬ右傾化の歯車――イスラエル・ネタニヤフ勝利の背景
池田明史(東洋英和女学院大学学長)
◇NATO創設70年――錯綜するヨーロッパ加盟国の思惑
広瀬佳一(防衛大学校)
◇隠されていた無実の証拠――松橋事件の再審無罪判決
菅野良司(ジャーナリスト)
◇インドネシア大統領選――「社会の分断」と民主主義の緩慢な後退
見市 建(早稲田大学)
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●連載
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●映像世界の冒険者たち【第13回・最終回】
アイスクリームと神の零落――ジョアン・セーザル・モンテイロ
四方田犬彦(比較文学・映画研究家)
●中国新建築文化論【第24回・最終回】
震災遺構と黒色・赤色ツーリズム──四川大地震被災地の保存と現在
市川紘司(明治大学助教)
●ルポ 孤塁――消防士たちの3・11【第4回】
「さよなら会議」
吉田千亜(ジャーナリスト)
●すぐそこにある世界【第3回】
地獄で見た光
師岡カリーマ・エルサムニー(文筆家)
●アパレル興亡【第22回】
黒木 亮(作家)
●但馬日記【第2回】
お荷物施設の変身
平田オリザ(劇作家)
●ハンセン病回復者の語り・家族の語り【第9回】
ハンセン病と国籍の二重の差別
福岡安則(埼玉大学名誉教授),黒坂愛衣(東北学院大学)
●我が総括――体験的戦後メディア史【第6回】
竹下・宮澤の興隆と衰退
田原総一朗(ジャーナリスト)
●お許しいただければ【イギリス エッセイ選】
「自分で自分を石像化」(ルーカス)
訳=行方昭夫(東京大学名誉教授)
●麻薬現代史【第5回】
時を超えて――国際麻薬規制のさまざまな側面
藤野 彰(元国連職員)
●原発月報――(19・3~4)
福島原発事故記録チーム
●メディア批評【第138回】
神保太郎(ジャーナリスト)
●片山善博の「日本を診る」【115】
大臣・副大臣の辞任劇から読み取るべき教訓
片山善博(早稲田大学)
●世界論壇月評
朱建栄・竹田いさみ・吉田文彦・石郷岡建
●ドキュメント激動の南北朝鮮【261】(一九・三~四)
編集部
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○グラビア
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○公募作品175
Operation Iceberg Sites 沖縄戦の地
山市直佑(写真家)
○ことわざの惑星
金井真紀(イラストレーター)
○表紙写真=イラン,洪水で冠水した道路を家族を載せて走る.
二〇一九年三月二二日(ロイター/アフロ)
デザイン= 赤崎正一+ 佐野裕哉
○グラビアについて(公募規定)
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○読者投句・岩波俳句
選・文 池田澄子(俳人)
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*読者談話室
*アムネスティ通信
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◇編集後記
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前号に続いての身辺雑記となるが,三人いる子どものうちの真ん中の娘が,
今春,近所の公立小学校に入学した.長男に続いて二人目であるから分かっ
てはいたものの,やはり今回も人間らしさの感じられない入学式であった.
司会による開会の発声とともに私たちは起立させられ,無人の壇上に向かっ
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とで,私のような人間について,「座ったまま不起立」ではなく,「わざわざ
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すべてが細部にわたって定式化され,現場教員や在校生徒たちの創意工夫,
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頭を下げろ,だの,何様のつもりだ,と思う.そして,閉会で再び無人の壇
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う.ただでさえ同調圧力の強い社会で,批判的言説の不在がさらなる「言い
にくさ」を生み出す「負のスパイラル」に陥らぬよう,本誌も努めたい.
元号や「君が代」に限らないが,強制は,それを拒む市民への監視と表裏
一体である.本号特集は,デジタル技術の進展=監視技術の進化ということ
を中心的なテーマとして監視社会化の現段階を取り上げたが,企業の持つ個
人情報の扱いに関する法的規制の乏しさや,公安警察の存在といった日本特
有の状況から「日本型監視社会」とした.公立学校の卒業式できちんと「君
が代」を歌っているか,教職員の口もとまで監視するという事例が近年あっ
たが,この「歌わせたい男たち」のような滑稽さが折にふれ姿を見せるのも,
「日本型」かもしれない.
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