『世界』メールマガジン/2019年10月号 【特集1:AI兵器と人類】【特集2:日韓関係の再構築へ】
2019/09/06 (Fri) 11:00
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■■ 『世界』メールマガジン/2019年10月号
■■ vol.#0052
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■『世界』2019年10月号(第925号)好評発売中
2019年9月6日発行
定価(本体850円+税)
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▼本号の目次
特集/世界の潮/注目記事/連載/グラビア/編集後記/
『世界』から生まれた本/「WEB世界」のご案内
┏━━━┓
┃特集1┃AI兵器と人類
┗━━━╋…────────────────────────────────
〈提起〉
この兵器と人類は共存できない――いま、なぜ自律型致死兵器システムを問題にするのか
中満 泉(国連事務次長・軍縮担当上級代表)
〈現段階〉
AI兵器――異次元の危険領域
津屋 尚(NHK解説委員)
〈対談〉
キラーロボット VS. 市民
長 有紀枝(難民を助ける会理事長),土井香苗(ヒューマン・ライツ・ウォッチ日本代表)
〈国際法の課題〉
AI兵器をどう規制するか
岩本誠吾(京都産業大学)
〈歯止めは?〉
進化するAI兵器――問われる科学者
千葉紀和(毎日新聞)
〈問われるヒューマニズム〉
ロボット兵器の倫理的問題――殺人の自動化というテクノロジー
久木田水生(名古屋大学)
┏━━━┓
┃特集2┃日韓関係の再構築へ
┗━━━╋…────────────────────────────────
〈日本外交への提言〉
総合的な視野に立った外交判断はなされているか――日韓の歴史的な構造問題から問う
田中 均(国際戦略研究所理事長)
〈寄稿〉
いま,金大中―小渕恵三共同宣言を考える
崔相龍(元駐日韓国大使),訳=青柳純一
〈インタビュー〉
徴用工問題は解決可能だ
姜昌一(韓日議員連盟会長)
〈韓国は「敵」か?〉
被害者と向き合う時――対話を求めて
内海愛子(恵泉女学園大学名誉教授)
〈実践から見えたこと〉
点ではなく,線として――戦争被害の謝罪と解決
梁澄子(希望のたね基金代表理事)
〈問題の原点〉
日韓・日朝関係をどう解きほぐすか――国交正常化交渉の歴史的経過から
吉澤文寿(新潟国際情報大学)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◆注目記事
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
〈報告〉
狭まる市民的自由の領域――グローバル社会の危機と市民社会スペースの危機の連環
谷山博史(日本ボランティアセンター理事)
〈これが現実〉
令和の夏の日米安保――歴史否認とトランプ式ディール
西谷 修(東京外国語大学名誉教授)
〈危機を回避するために〉
トランプ政権の対日政策はどこに進むのか――〈INF無条約時代〉に考えるべきこと
前田哲男(軍事ジャーナリスト)
〈構想〉
アメリカ依存を脱しアジア地域安保へ――軍縮アジェンダの復権
梅林宏道(ピースデポ特別顧問)
〈日米同盟の実態〉
オスプレイの銃口は日本に向けられている――アメリカの軍事的ニーズに支配される〈偽りの法治国家〉
吉田敏浩(ジャーナリスト)
〈対談〉
慰安婦問題と現代の性暴力 共通の「病根」を批判する
川田文子(ノンフィクション作家),石川優実(グラビア女優)
〈忘却の起源へ〉
隔たった記憶 日韓歴史認識問題の淵源を探る(上)――関東大震災「虐殺」の記憶はどこに消えたか
渡辺延志(ジャーナリスト)
〈インタビュー〉
京都大学でいま,何が起こっているのか――生きる場所と考える自由を求めて
駒込武(京都大学)×藤原辰史(京都大学)
〈現場から〉
私たちは何を失おうとしているのか?――あいちトリエンナーレ2019「表現の不自由展・その後」中止事件の当事者が見た風景
岡本有佳(表現の不自由展実行委員)
〈誌上再現〉
表現の不自由展・その後――作品の声を聞く
写真=安世鴻
〈アートと憲法〉
《芸術の空間》と共存社会
志田陽子(武蔵野美術大学)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◇世界の潮
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◇台湾総統選の対立軸――国際情勢から読み解く
福田 円(法政大学)
◇児童虐待防止法の改正と変わらぬ対応現場の困難
川崎二三彦(子供の虹情報研修センター・センター長)
◇ジョンソン首相誕生は何を明らかにしたか――イギリス保守世論の選択
若松邦弘(東京外国語大学)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
●連載
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
●慰安婦がいた時代――新資料とともに改めてたどる【第3回】
伏線 戦争の影
佐藤 純(大阪経済法科大学 アジア太平洋研究センター)
●ルポ 保育園株式会社――職業としての保育2【第2回】
弾力運用という“抜け道”
小林美希(ジャーナリスト)
●戦友会狂騒曲(ラプソディ)――おじいさんと若者たちの日々【第3回】
老兵,戦争のホンネを語る
遠藤美幸(神田外語大学)
●メディア批評【第142回】
神保太郎(ジャーナリスト)
●脳力のレッスン【210】
仏教の日本伝来とは何か―一七世紀オランダからの視界 (その60)
寺島実郎
●片山善博の「日本を診る」【119】
首長の変節をどう抑止するか――横浜カジノ誘致問題と沖縄辺野古埋立て問題
片山善博(早稲田大学)
●我が総括――体験的戦後メディア史【第10回】
自民党政権の凋落 安倍・福田・麻生
田原総一朗(ジャーナリスト)
●戦闘機の政治経済史【第3回】
第三次F‐X選定――防衛庁主導のF-15導入
福好昌治(軍事評論家)
●すぐそこにある世界【第7回】
中東でいいの
師岡カリーマ・エルサムニー(文筆家)
●お許しいただければ
ある葬式(ルーカス)
訳=行方昭夫(英文学者)
●但馬日記【第6回】
芸術家にできること
平田オリザ(劇作家)
●沖縄(シマ)という窓
昭和天皇「拝謁記」 「一部の犠牲」続く沖縄
松元 剛(琉球新報)
●原発月報――(19・7~8)
福島原発事故記録チーム
●ドキュメント激動の南北朝鮮(266)(19・7~8)
編集部
●世界論壇月評
朱建栄・竹田いさみ・吉田文彦・石郷岡建
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
○グラビア
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
○特別招待作品
Crossing――国境とアイデンティティ
ロレンツォ・メローニ(写真家)
○ことわざの惑星
金井真紀(イラストレーター)
デザイン= 赤崎正一 + 佐野裕哉
○グラビアについて(公募規定)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
○読者投句・岩波俳句
選・文 池田澄子(俳人)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
*読者談話室
*アムネスティ通信
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◇編集後記
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
先月号では第二特集としてアフリカの現在を取り上げた.八月末に開催されるTICAD(アフリカ開発会議)で,おそらくは開発や投資といった経済的関心を軸にした話題が溢れるだろうから,そういう方向ではないテキストを読者と共有したいと考え,前々から勉強会を開くなどしつつ準備していたものである.
実際にTICADを迎え,関連報道などを見ていて,二つの点で予想が甘かったと感じた.ひとつは,「経済的関心を軸にした」などという生やさしいものではない,原初的なカネ儲けへの欲求ばかりが語られていたことで,ある新聞社系経済誌の「最後のフロンティア アフリカで儲ける」という特集見出しは象徴的であった.もう一つは,そうした方面以外には荒野の如き無関心が広がるばかりであったことだ.例外は朝日新聞がオピニオン面で「アフリカの未来と日本」を特集したこと(「経済的関心を軸」にしたものではあったが),それと産経新聞が「中国傾斜への警戒共有を」と掲げる社説を載せたことぐらいか.
ビジネスや経済投資が悪いというのではない.だが,カネ儲けと中国(と韓国)への警戒心ぐらいしか他者への関心を持たないのだとすれば,あまりに寒々しい風景ではないか.
私たちが他者や見知らぬ出来事,外の世界を知ろうとするのは,なぜなのだろうか.その動機は人によっていくつもあるだろうが,好奇心という要素を別にして(往々にしてそれが圧倒的な要因なのだが)言えば,一つには,複雑さを増す現在のリスク社会で,個として,あるいは集団として,生きのびるため,ということが挙げられるだろう.
原子力発電や気候変動という人類的課題から,抗生物質耐性菌やサイバー・セキュリティといった新奇な領域に至るまで,どこに落とし穴があるかわからないような社会である.労働基本権について知っているか否かが人生を左右することもあるだろうし,クジラの肉が重金属やPCB汚染と無関係でないという知識が身を救うこともあるかもしれない.
今月号第一特集のAI兵器は,まさに人類が直面する新たなリスクと言っていいだろう.特集の中で繰り返し語られているように,その定義はまだ共有と確立の段階に至ってはいない.異次元の殺傷システムが完成する,その前に規制しようという努力であればこその難点だろう.今後,関心が高まり,法的規制が確立することを期待したい.
今号のもう一つの特集に引き寄せて,他者や世界を知ろうとする私自身の動機を挙げるならば,煽られる他者への憎しみに流されるような真似は演じたくない,ということがある.
日本の植民地支配のもとで「徴用工」とされた人はどのような人なのか.どのような被害を受けたのか.その被害の責めを負うべき加害者は誰なのか.なぜ戦後七十余年,その被害は埋め合わされなかったのか.どのような論理で韓国の大法院は日本企業に損害賠償を命じたのか.基本的と思われるこうした情報が,日本のメディアでほとんど紹介されないまま,攻撃性を競い合うかのような言説が飛び交っている.今号でインタビューした姜(カン)昌一(チャンイル)議員の建設的な提言も,毎日新聞が詳しく報じた程度である.
韓国は,まして韓国の市民は,決して「敵」ではない.共存共栄すべきパートナーである.ひきつづき,他者への開かれた関心を,誌面にしていきたい.
熊谷伸一郎(本誌編集長)
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~~『世界』から生まれた本~~
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◎ひとはなぜ戦争をするのか 脳力のレッスンV
寺島 実郎
定価(本体1700円+税)
http://iwnm.jp/024533
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~~「WEB世界」のご案内~~
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*WEB版もぜひ、ご覧ください
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▼本号の目次
特集/世界の潮/注目記事/連載/グラビア/編集後記/
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┃特集1┃AI兵器と人類
┗━━━╋…────────────────────────────────
〈提起〉
この兵器と人類は共存できない――いま、なぜ自律型致死兵器システムを問題にするのか
中満 泉(国連事務次長・軍縮担当上級代表)
〈現段階〉
AI兵器――異次元の危険領域
津屋 尚(NHK解説委員)
〈対談〉
キラーロボット VS. 市民
長 有紀枝(難民を助ける会理事長),土井香苗(ヒューマン・ライツ・ウォッチ日本代表)
〈国際法の課題〉
AI兵器をどう規制するか
岩本誠吾(京都産業大学)
〈歯止めは?〉
進化するAI兵器――問われる科学者
千葉紀和(毎日新聞)
〈問われるヒューマニズム〉
ロボット兵器の倫理的問題――殺人の自動化というテクノロジー
久木田水生(名古屋大学)
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┃特集2┃日韓関係の再構築へ
┗━━━╋…────────────────────────────────
〈日本外交への提言〉
総合的な視野に立った外交判断はなされているか――日韓の歴史的な構造問題から問う
田中 均(国際戦略研究所理事長)
〈寄稿〉
いま,金大中―小渕恵三共同宣言を考える
崔相龍(元駐日韓国大使),訳=青柳純一
〈インタビュー〉
徴用工問題は解決可能だ
姜昌一(韓日議員連盟会長)
〈韓国は「敵」か?〉
被害者と向き合う時――対話を求めて
内海愛子(恵泉女学園大学名誉教授)
〈実践から見えたこと〉
点ではなく,線として――戦争被害の謝罪と解決
梁澄子(希望のたね基金代表理事)
〈問題の原点〉
日韓・日朝関係をどう解きほぐすか――国交正常化交渉の歴史的経過から
吉澤文寿(新潟国際情報大学)
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◆注目記事
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〈報告〉
狭まる市民的自由の領域――グローバル社会の危機と市民社会スペースの危機の連環
谷山博史(日本ボランティアセンター理事)
〈これが現実〉
令和の夏の日米安保――歴史否認とトランプ式ディール
西谷 修(東京外国語大学名誉教授)
〈危機を回避するために〉
トランプ政権の対日政策はどこに進むのか――〈INF無条約時代〉に考えるべきこと
前田哲男(軍事ジャーナリスト)
〈構想〉
アメリカ依存を脱しアジア地域安保へ――軍縮アジェンダの復権
梅林宏道(ピースデポ特別顧問)
〈日米同盟の実態〉
オスプレイの銃口は日本に向けられている――アメリカの軍事的ニーズに支配される〈偽りの法治国家〉
吉田敏浩(ジャーナリスト)
〈対談〉
慰安婦問題と現代の性暴力 共通の「病根」を批判する
川田文子(ノンフィクション作家),石川優実(グラビア女優)
〈忘却の起源へ〉
隔たった記憶 日韓歴史認識問題の淵源を探る(上)――関東大震災「虐殺」の記憶はどこに消えたか
渡辺延志(ジャーナリスト)
〈インタビュー〉
京都大学でいま,何が起こっているのか――生きる場所と考える自由を求めて
駒込武(京都大学)×藤原辰史(京都大学)
〈現場から〉
私たちは何を失おうとしているのか?――あいちトリエンナーレ2019「表現の不自由展・その後」中止事件の当事者が見た風景
岡本有佳(表現の不自由展実行委員)
〈誌上再現〉
表現の不自由展・その後――作品の声を聞く
写真=安世鴻
〈アートと憲法〉
《芸術の空間》と共存社会
志田陽子(武蔵野美術大学)
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◇世界の潮
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◇台湾総統選の対立軸――国際情勢から読み解く
福田 円(法政大学)
◇児童虐待防止法の改正と変わらぬ対応現場の困難
川崎二三彦(子供の虹情報研修センター・センター長)
◇ジョンソン首相誕生は何を明らかにしたか――イギリス保守世論の選択
若松邦弘(東京外国語大学)
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●連載
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●慰安婦がいた時代――新資料とともに改めてたどる【第3回】
伏線 戦争の影
佐藤 純(大阪経済法科大学 アジア太平洋研究センター)
●ルポ 保育園株式会社――職業としての保育2【第2回】
弾力運用という“抜け道”
小林美希(ジャーナリスト)
●戦友会狂騒曲(ラプソディ)――おじいさんと若者たちの日々【第3回】
老兵,戦争のホンネを語る
遠藤美幸(神田外語大学)
●メディア批評【第142回】
神保太郎(ジャーナリスト)
●脳力のレッスン【210】
仏教の日本伝来とは何か―一七世紀オランダからの視界 (その60)
寺島実郎
●片山善博の「日本を診る」【119】
首長の変節をどう抑止するか――横浜カジノ誘致問題と沖縄辺野古埋立て問題
片山善博(早稲田大学)
●我が総括――体験的戦後メディア史【第10回】
自民党政権の凋落 安倍・福田・麻生
田原総一朗(ジャーナリスト)
●戦闘機の政治経済史【第3回】
第三次F‐X選定――防衛庁主導のF-15導入
福好昌治(軍事評論家)
●すぐそこにある世界【第7回】
中東でいいの
師岡カリーマ・エルサムニー(文筆家)
●お許しいただければ
ある葬式(ルーカス)
訳=行方昭夫(英文学者)
●但馬日記【第6回】
芸術家にできること
平田オリザ(劇作家)
●沖縄(シマ)という窓
昭和天皇「拝謁記」 「一部の犠牲」続く沖縄
松元 剛(琉球新報)
●原発月報――(19・7~8)
福島原発事故記録チーム
●ドキュメント激動の南北朝鮮(266)(19・7~8)
編集部
●世界論壇月評
朱建栄・竹田いさみ・吉田文彦・石郷岡建
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○グラビア
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○特別招待作品
Crossing――国境とアイデンティティ
ロレンツォ・メローニ(写真家)
○ことわざの惑星
金井真紀(イラストレーター)
デザイン= 赤崎正一 + 佐野裕哉
○グラビアについて(公募規定)
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○読者投句・岩波俳句
選・文 池田澄子(俳人)
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*読者談話室
*アムネスティ通信
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◇編集後記
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先月号では第二特集としてアフリカの現在を取り上げた.八月末に開催されるTICAD(アフリカ開発会議)で,おそらくは開発や投資といった経済的関心を軸にした話題が溢れるだろうから,そういう方向ではないテキストを読者と共有したいと考え,前々から勉強会を開くなどしつつ準備していたものである.
実際にTICADを迎え,関連報道などを見ていて,二つの点で予想が甘かったと感じた.ひとつは,「経済的関心を軸にした」などという生やさしいものではない,原初的なカネ儲けへの欲求ばかりが語られていたことで,ある新聞社系経済誌の「最後のフロンティア アフリカで儲ける」という特集見出しは象徴的であった.もう一つは,そうした方面以外には荒野の如き無関心が広がるばかりであったことだ.例外は朝日新聞がオピニオン面で「アフリカの未来と日本」を特集したこと(「経済的関心を軸」にしたものではあったが),それと産経新聞が「中国傾斜への警戒共有を」と掲げる社説を載せたことぐらいか.
ビジネスや経済投資が悪いというのではない.だが,カネ儲けと中国(と韓国)への警戒心ぐらいしか他者への関心を持たないのだとすれば,あまりに寒々しい風景ではないか.
私たちが他者や見知らぬ出来事,外の世界を知ろうとするのは,なぜなのだろうか.その動機は人によっていくつもあるだろうが,好奇心という要素を別にして(往々にしてそれが圧倒的な要因なのだが)言えば,一つには,複雑さを増す現在のリスク社会で,個として,あるいは集団として,生きのびるため,ということが挙げられるだろう.
原子力発電や気候変動という人類的課題から,抗生物質耐性菌やサイバー・セキュリティといった新奇な領域に至るまで,どこに落とし穴があるかわからないような社会である.労働基本権について知っているか否かが人生を左右することもあるだろうし,クジラの肉が重金属やPCB汚染と無関係でないという知識が身を救うこともあるかもしれない.
今月号第一特集のAI兵器は,まさに人類が直面する新たなリスクと言っていいだろう.特集の中で繰り返し語られているように,その定義はまだ共有と確立の段階に至ってはいない.異次元の殺傷システムが完成する,その前に規制しようという努力であればこその難点だろう.今後,関心が高まり,法的規制が確立することを期待したい.
今号のもう一つの特集に引き寄せて,他者や世界を知ろうとする私自身の動機を挙げるならば,煽られる他者への憎しみに流されるような真似は演じたくない,ということがある.
日本の植民地支配のもとで「徴用工」とされた人はどのような人なのか.どのような被害を受けたのか.その被害の責めを負うべき加害者は誰なのか.なぜ戦後七十余年,その被害は埋め合わされなかったのか.どのような論理で韓国の大法院は日本企業に損害賠償を命じたのか.基本的と思われるこうした情報が,日本のメディアでほとんど紹介されないまま,攻撃性を競い合うかのような言説が飛び交っている.今号でインタビューした姜(カン)昌一(チャンイル)議員の建設的な提言も,毎日新聞が詳しく報じた程度である.
韓国は,まして韓国の市民は,決して「敵」ではない.共存共栄すべきパートナーである.ひきつづき,他者への開かれた関心を,誌面にしていきたい.
熊谷伸一郎(本誌編集長)
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