『世界』メールマガジン/2020年6月号 【特集1:生存のために――コロナ禍のもとの生活と生命】【特集2:大恐慌とグリーン・ニューディール】
2020/05/14 (Thu) 15:00
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■■ 『世界』メールマガジン/2020年6月号
■■ vol.#0060
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■『世界』2020年6月号(第933号)好評発売中
2020年5月8日発行
定価(本体850円+税)
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▼本号の目次
特集/注目記事/世界の潮/Sekai Review of Books/連載/グラビア/編集後記/『世界』から生まれた本/「WEB世界」のご案内
┏━━━┓
┃特集1┃生存のために――コロナ禍のもとの生活と生命
┗━━━╋…────────────────────────────────
〈危機において生とは何か〉
人間の顔をした野蛮がわたしたちの宿命なのか――コロナ下の世界
スラヴォイ・ジジェク(哲学者) 訳・解説=片岡大右
〈インタビュー〉
私たちが一カ月前にあとにした世界は二度と帰ってこない
ステファヌ・オードゥアン=ルゾー(社会科学高等研究院) 訳・解説=根本美作子
〈現局面における課題〉
COVID-19時代の反キャピタリズム運動
デヴィッド・ハーヴェイ 訳・解説=大屋定晴
〈わたしたちの未来か?〉
災時権威主義の完成――ハンガリーのCOVID-19対策
チェルシー・シーダー(青山学院大学)
〈国境封鎖という悪夢〉
孤闘するデニ・ムクウェゲ医師――感染症と国境閉鎖のなかで
華井和代(東京大学未来ビジョン研究センター)
〈インタビュー〉
非常事態下のマニラから――マリア・レッサに聞く
マリア・レッサ(ジャーナリスト)、聞き手=工藤律子
〈新たな国際社会像〉
危機の時代の協力・連携・対応力を考える――いま求められるグローバル開発協力とは
重田康博(宇都宮大学)
〈提言〉
○生存保障を徹底せよ――危機に際して何が求められているか
生存のためのコロナ対策ネットワーク…[休業・失業]今野晴貴、後藤道夫 [住まい]稲葉 剛 [生活保護]渡辺寛人、布川日佐史 [女性]竹信三恵子 [学生]大内裕和 [外国人]指宿昭一、岩橋 誠 [債務問題]新里宏二
○生存する権利を保障するための31の緊急提案
┏━━━┓
┃特集2┃大恐慌とグリーン・ニューディール
┗━━━╋…────────────────────────────────
〈新しい経済へ〉
日本資本主義とグリーン・ニューディール――パンデミックが促す構造転換
諸富 徹(京都大学)
〈コロナ後の展望〉
複合危機をどう乗り越えるか
飯田哲也(環境エネルギー政策研究所)
〈緑の波〉
欧州グリーンディールが描く未来のシナリオ
八田浩輔(毎日新聞)
〈二つの変革〉
気候変動と民主主義――欧州で広がる気候市民会議
三上直之(北海道大学)
〈行動変容を〉
気候非常事態宣言――自治体に何ができるか
山本良一(東京大学名誉教授)
〈知事選挙の論点〉
東京都の気候変動対策――到達点と新たな挑戦
大野輝之(自然エネルギー財団)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◆注目記事
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
〈政権に問う〉
誰がどのように「行動変容」すべきか――新型コロナウイルスと日本社会
岩田正美(日本女子大学名誉教授)
〈報告〉
イタリア 封鎖された街から
ピーター・ウィルソン(ジャーナリスト)、エリック・メッソーリ(フォトジャーナリスト)
〈本当の「危機」とは〉
コロナ禍と自衛隊・中東派遣――問われる安倍政権の「有事対応」
半田 滋(ジャーナリスト)
〈司法の良心はいま〉
安保法制違憲訴訟 五判決の何が問題か
伊藤 真(弁護士)
〈民主主義の新たな地平へ〉
韓国四・一五総選挙の歴史的意義――キャンドル市民革命の完成へ
李泳采(恵泉女学園大学)
〈隠された争点〉
自治の極北――スーパーシティ構想と国家戦略特区
内田聖子(PARC)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◇世界の潮
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◇気候変動対策に背を向ける日本政府
浅岡美恵(弁護士・気候ネットワーク)
◇滋賀・人工呼吸器事件再審判決――自白偏重主義の曲がり角
粟野仁雄(ジャーナリスト)
◇雇用社会の破壊への第一歩――高齢者雇用安定法改正
水野英樹(弁護士)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◇SEKAI Review of Books
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
☆〈著者インタビュー〉被ばく作業員を「使い捨て」にして廃炉ができるのか?
片山夏子(東京新聞)、聞き手=七沢 潔(ジャーナリスト)
☆読書の要諦――文芸 鬼の虚言(そらごと)
藤沢 周(小説家)
☆新刊
○環境破壊の現場に寄り添った研究者の軌跡――石田紀郎著『消えゆくアラル海』
地田徹朗(名古屋外国語大学)
○事実に関心はあるのか?――安田純平、藤原亮司著『戦争取材と自己責任』
伊藤めぐみ(ジャーナリスト)
☆読書会という幸福【第6回】
学校の読書会(1)
向井和美(翻訳家・司書)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
●連載
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
●〈最終回〉
花粉症と人類【第6講】
花粉光環(コロナ)の先の世界
小塩海平(東京農業大学)
--- 演劇の危機 -----------------
●但馬日記【第14回】
見えない敵と戦う(2)
平田オリザ(劇作家)
●コロナ禍の中の演劇――このまま焼き尽くされるのか
谷 賢一(劇作家)
--- 好評連載 --------------------
●プリズン・サークル【第6回】
いじめという囚われ
坂上 香(ジャーナリスト、映画監督)
---------------------------------------
●メディア批評【第150回】
神保太郎(ジャーナリスト)
●いま、この惑星で起きていること【第6回】
コロナがもたらす人道危機
森さやか(気象予報士)
●片山善博の「日本を診る」【127】
コロナとの闘いから見える首相の言葉の“耐えられない軽さ”
片山善博(早稲田大学)
●脳力のレッスン【218】
明治維新とは何だったのか――17世紀オランダからの視界(その65)
寺島実郎
●沖縄(シマ)という窓
米軍基地とコロナウイルス
親川志奈子(沖縄大学非常勤講師)
●原発月報――(20・3~4)
福島原発事故記録チーム
●すぐそこにある世界【第15回】
タシケントの市場へ
師岡カリーマ・エルサムニー(文筆家)
●ドキュメント激動の南北朝鮮【274】(20・3~4)
編集部
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
○表紙写真
新型コロナウイルス患者に対応する救急病院でシフトを終えた看護師。イタリア北部リグーリア州。3月23日。
Sergio Ramazzotti/Parallelozero/INSTITUTE
○ことわざの惑星
金井真紀(イラストレーター)
デザイン= 赤崎正一 + 佐野裕哉
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○読者投句・岩波俳句
選・文 池田澄子(俳人)
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*読者談話室
*アムネスティ通信
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◇編集後記
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いま、本誌を手にとっていただけているとすれば、それは、この数週間にわたる綱渡りの編集作業が、どうにか途中で落下せずに済んだということを意味している。
会議や取材、対面のインタビューや座談会など、雑誌編集に必須の動線が確保できない中で、三桁にも達しようかという数の雑誌が刊行の休止や延期を決めた。
先月号の編集後記でも書いたことだが、今号の校了作業ほど、雑誌を編み、刊行する営みが、実に多くの人に支えられているということを実感したことはない。普段は小社の会議室に三日間にわたって詰めて作業する校正者の皆さんには今回、慣れない自宅での作業をお願いした。さまざまなツールを用いながらの試行錯誤が続き、担当の編集部員は「修理しながら走行するカーレース」と表現していた。印刷所の方々も、自宅勤務の号令が出ている中で最大の努力を注いでくださった。
医療関係者の尽力によって集中治療室から生還を果たした英ジョンソン首相の「コロナウイルス危機が証明してくれたのは、社会というものが存在するということだ」との実感には及ばないかもしれないが、同様の感慨を抱いている人は少なくないのではないか。
だが、その社会を構成する人々の生活が、いま、破綻に瀕している。かつてサッチャー首相が述べた「社会というものは存在しない」という言明、日本でいえば小泉純一郎首相の「民間でできることは民間で」という言葉に象徴されるネオリベラリズムは、私たちの生活の基盤となるセーフティネットを崩し、公共領域を解体してきた。コロナショックは、そうした社会の脆弱さを浮き彫りにした。
この危機をどう乗り越えるか。まず政治が保障すべきものが生存の権利であることは論をまたない。第一特集では、生活や労働の相談現場で日々寄せられる声に向き合う方々と研究者・ジャーナリストの方々による緊急提言を掲載した。
現政権が繰り出す行き当たりばったりの施策からは、政治の劣化を感じるばかりだった。一方で国家戦略特区改正法のような社会の脆弱化をいっそう進める「不要不急の法案」(今号、内田聖子氏)が、ほとんど報道されることもなく審議されていることは看過できない。
前号では次期首相として名前の挙がる石破茂氏のインタビューを掲載した。立場の違う者との対話姿勢、生活困窮者への目線といった点で、現政権の政治スタイルとは異次元とさえ思われたが、やはり中長期の政治的展望という点では、突破力のある革新的議論を聞くことはできなかったように思う(保守政治家なのだから当然とも言えるが)。
今号第二特集で取り上げたグリーン・ニューディールは、もともとアメリカ大統領選挙で、草の根の社会運動から提起されてきた政治課題が論点となっているということから準備してきたものだが、気候変動とコロナ恐慌という複合的な危機に対する「我々の側のショック・ドクトリン」として、今こそ積極的に検討されるべきと思う。第一特集の提言の中でも、社会運動の強化の必要性が指摘されているが、まったく同感である。
新しいウイルスは、私たちが出会い、集い、学びあい、討議するという、かけがえのない機会を奪っている。だがその一方で、私たちの共通課題、連帯の契機として立ち現れているとも言えるかもしれない。次号でも引き続き掘り下げていきたい。
熊谷伸一郎(本誌編集長)
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~~『世界』から生まれた本~~
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◎孤塁 双葉郡消防士たちの3.11
吉田千亜
定価(本体1800円+税)
http://iwnm.jp/022969
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岩波書店営業部読者係(TEL:03-5210-4111,FAX:03-3263-6999)
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特集/注目記事/世界の潮/Sekai Review of Books/連載/グラビア/編集後記/『世界』から生まれた本/「WEB世界」のご案内
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┃特集1┃生存のために――コロナ禍のもとの生活と生命
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〈危機において生とは何か〉
人間の顔をした野蛮がわたしたちの宿命なのか――コロナ下の世界
スラヴォイ・ジジェク(哲学者) 訳・解説=片岡大右
〈インタビュー〉
私たちが一カ月前にあとにした世界は二度と帰ってこない
ステファヌ・オードゥアン=ルゾー(社会科学高等研究院) 訳・解説=根本美作子
〈現局面における課題〉
COVID-19時代の反キャピタリズム運動
デヴィッド・ハーヴェイ 訳・解説=大屋定晴
〈わたしたちの未来か?〉
災時権威主義の完成――ハンガリーのCOVID-19対策
チェルシー・シーダー(青山学院大学)
〈国境封鎖という悪夢〉
孤闘するデニ・ムクウェゲ医師――感染症と国境閉鎖のなかで
華井和代(東京大学未来ビジョン研究センター)
〈インタビュー〉
非常事態下のマニラから――マリア・レッサに聞く
マリア・レッサ(ジャーナリスト)、聞き手=工藤律子
〈新たな国際社会像〉
危機の時代の協力・連携・対応力を考える――いま求められるグローバル開発協力とは
重田康博(宇都宮大学)
〈提言〉
○生存保障を徹底せよ――危機に際して何が求められているか
生存のためのコロナ対策ネットワーク…[休業・失業]今野晴貴、後藤道夫 [住まい]稲葉 剛 [生活保護]渡辺寛人、布川日佐史 [女性]竹信三恵子 [学生]大内裕和 [外国人]指宿昭一、岩橋 誠 [債務問題]新里宏二
○生存する権利を保障するための31の緊急提案
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┃特集2┃大恐慌とグリーン・ニューディール
┗━━━╋…────────────────────────────────
〈新しい経済へ〉
日本資本主義とグリーン・ニューディール――パンデミックが促す構造転換
諸富 徹(京都大学)
〈コロナ後の展望〉
複合危機をどう乗り越えるか
飯田哲也(環境エネルギー政策研究所)
〈緑の波〉
欧州グリーンディールが描く未来のシナリオ
八田浩輔(毎日新聞)
〈二つの変革〉
気候変動と民主主義――欧州で広がる気候市民会議
三上直之(北海道大学)
〈行動変容を〉
気候非常事態宣言――自治体に何ができるか
山本良一(東京大学名誉教授)
〈知事選挙の論点〉
東京都の気候変動対策――到達点と新たな挑戦
大野輝之(自然エネルギー財団)
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◆注目記事
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〈政権に問う〉
誰がどのように「行動変容」すべきか――新型コロナウイルスと日本社会
岩田正美(日本女子大学名誉教授)
〈報告〉
イタリア 封鎖された街から
ピーター・ウィルソン(ジャーナリスト)、エリック・メッソーリ(フォトジャーナリスト)
〈本当の「危機」とは〉
コロナ禍と自衛隊・中東派遣――問われる安倍政権の「有事対応」
半田 滋(ジャーナリスト)
〈司法の良心はいま〉
安保法制違憲訴訟 五判決の何が問題か
伊藤 真(弁護士)
〈民主主義の新たな地平へ〉
韓国四・一五総選挙の歴史的意義――キャンドル市民革命の完成へ
李泳采(恵泉女学園大学)
〈隠された争点〉
自治の極北――スーパーシティ構想と国家戦略特区
内田聖子(PARC)
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◇世界の潮
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◇気候変動対策に背を向ける日本政府
浅岡美恵(弁護士・気候ネットワーク)
◇滋賀・人工呼吸器事件再審判決――自白偏重主義の曲がり角
粟野仁雄(ジャーナリスト)
◇雇用社会の破壊への第一歩――高齢者雇用安定法改正
水野英樹(弁護士)
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◇SEKAI Review of Books
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☆〈著者インタビュー〉被ばく作業員を「使い捨て」にして廃炉ができるのか?
片山夏子(東京新聞)、聞き手=七沢 潔(ジャーナリスト)
☆読書の要諦――文芸 鬼の虚言(そらごと)
藤沢 周(小説家)
☆新刊
○環境破壊の現場に寄り添った研究者の軌跡――石田紀郎著『消えゆくアラル海』
地田徹朗(名古屋外国語大学)
○事実に関心はあるのか?――安田純平、藤原亮司著『戦争取材と自己責任』
伊藤めぐみ(ジャーナリスト)
☆読書会という幸福【第6回】
学校の読書会(1)
向井和美(翻訳家・司書)
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●連載
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●〈最終回〉
花粉症と人類【第6講】
花粉光環(コロナ)の先の世界
小塩海平(東京農業大学)
--- 演劇の危機 -----------------
●但馬日記【第14回】
見えない敵と戦う(2)
平田オリザ(劇作家)
●コロナ禍の中の演劇――このまま焼き尽くされるのか
谷 賢一(劇作家)
--- 好評連載 --------------------
●プリズン・サークル【第6回】
いじめという囚われ
坂上 香(ジャーナリスト、映画監督)
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●メディア批評【第150回】
神保太郎(ジャーナリスト)
●いま、この惑星で起きていること【第6回】
コロナがもたらす人道危機
森さやか(気象予報士)
●片山善博の「日本を診る」【127】
コロナとの闘いから見える首相の言葉の“耐えられない軽さ”
片山善博(早稲田大学)
●脳力のレッスン【218】
明治維新とは何だったのか――17世紀オランダからの視界(その65)
寺島実郎
●沖縄(シマ)という窓
米軍基地とコロナウイルス
親川志奈子(沖縄大学非常勤講師)
●原発月報――(20・3~4)
福島原発事故記録チーム
●すぐそこにある世界【第15回】
タシケントの市場へ
師岡カリーマ・エルサムニー(文筆家)
●ドキュメント激動の南北朝鮮【274】(20・3~4)
編集部
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○表紙写真
新型コロナウイルス患者に対応する救急病院でシフトを終えた看護師。イタリア北部リグーリア州。3月23日。
Sergio Ramazzotti/Parallelozero/INSTITUTE
○ことわざの惑星
金井真紀(イラストレーター)
デザイン= 赤崎正一 + 佐野裕哉
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○読者投句・岩波俳句
選・文 池田澄子(俳人)
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*読者談話室
*アムネスティ通信
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◇編集後記
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いま、本誌を手にとっていただけているとすれば、それは、この数週間にわたる綱渡りの編集作業が、どうにか途中で落下せずに済んだということを意味している。
会議や取材、対面のインタビューや座談会など、雑誌編集に必須の動線が確保できない中で、三桁にも達しようかという数の雑誌が刊行の休止や延期を決めた。
先月号の編集後記でも書いたことだが、今号の校了作業ほど、雑誌を編み、刊行する営みが、実に多くの人に支えられているということを実感したことはない。普段は小社の会議室に三日間にわたって詰めて作業する校正者の皆さんには今回、慣れない自宅での作業をお願いした。さまざまなツールを用いながらの試行錯誤が続き、担当の編集部員は「修理しながら走行するカーレース」と表現していた。印刷所の方々も、自宅勤務の号令が出ている中で最大の努力を注いでくださった。
医療関係者の尽力によって集中治療室から生還を果たした英ジョンソン首相の「コロナウイルス危機が証明してくれたのは、社会というものが存在するということだ」との実感には及ばないかもしれないが、同様の感慨を抱いている人は少なくないのではないか。
だが、その社会を構成する人々の生活が、いま、破綻に瀕している。かつてサッチャー首相が述べた「社会というものは存在しない」という言明、日本でいえば小泉純一郎首相の「民間でできることは民間で」という言葉に象徴されるネオリベラリズムは、私たちの生活の基盤となるセーフティネットを崩し、公共領域を解体してきた。コロナショックは、そうした社会の脆弱さを浮き彫りにした。
この危機をどう乗り越えるか。まず政治が保障すべきものが生存の権利であることは論をまたない。第一特集では、生活や労働の相談現場で日々寄せられる声に向き合う方々と研究者・ジャーナリストの方々による緊急提言を掲載した。
現政権が繰り出す行き当たりばったりの施策からは、政治の劣化を感じるばかりだった。一方で国家戦略特区改正法のような社会の脆弱化をいっそう進める「不要不急の法案」(今号、内田聖子氏)が、ほとんど報道されることもなく審議されていることは看過できない。
前号では次期首相として名前の挙がる石破茂氏のインタビューを掲載した。立場の違う者との対話姿勢、生活困窮者への目線といった点で、現政権の政治スタイルとは異次元とさえ思われたが、やはり中長期の政治的展望という点では、突破力のある革新的議論を聞くことはできなかったように思う(保守政治家なのだから当然とも言えるが)。
今号第二特集で取り上げたグリーン・ニューディールは、もともとアメリカ大統領選挙で、草の根の社会運動から提起されてきた政治課題が論点となっているということから準備してきたものだが、気候変動とコロナ恐慌という複合的な危機に対する「我々の側のショック・ドクトリン」として、今こそ積極的に検討されるべきと思う。第一特集の提言の中でも、社会運動の強化の必要性が指摘されているが、まったく同感である。
新しいウイルスは、私たちが出会い、集い、学びあい、討議するという、かけがえのない機会を奪っている。だがその一方で、私たちの共通課題、連帯の契機として立ち現れているとも言えるかもしれない。次号でも引き続き掘り下げていきたい。
熊谷伸一郎(本誌編集長)
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◎孤塁 双葉郡消防士たちの3.11
吉田千亜
定価(本体1800円+税)
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E-Mail: sekai@iwanami.co.jp
WEB: http://iwnm.jp/sekai
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