『世界』メールマガジン/2020年5月号 【特集1:人新世とグローバル・コモンズ】 【特集2:貧困と格差の緊急事態】
2021/04/15 (Thu) 11:00
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■■ 『世界』メールマガジン/2021年5月号
■■ vol.#0071
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■『世界』2021年5月号(第944号)好評発売中
2021年4月8日発行
定価935円(税込)
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▼本号の目次
特集/注目記事/世界の潮/Sekai Review of Books/連載/グラビア/編集後記/『世界』から生まれた本/「WEB世界」のご案内
┏━━━┓
┃特集1┃人新世とグローバル・コモンズ
┗━━━╋…────────────────────────────────
〈人類の新たな責務〉
グローバル・コモンズの責任ある管理
石井菜穂子(東京大学)
〈インタビュー〉
緊急事態の地球――今すぐ、科学にもとづく明確な行動を
サンドリン・ディクソン‐デクレーヴ(ローマクラブ共同代表)、国谷裕子(キャスター)
〈不可逆の変化が起きる前に〉
2021人類社会の課題
J.ロックストローム(ストックホルム大学)
〈科学と人文学の結集へ〉
人新世――新たな地質年代の科学と政治
J.A.トーマス(米ノートルダム大学)、M.ウィリアムズ(英レスター大学)、J.ザラシーヴィッチ(英レスター大学名誉教授)
┏━━━┓
┃特集2┃貧困と格差の緊急事態
┗━━━╋…────────────────────────────────
〈起きつつある転換〉
危機の中のパンデミック――ポスト近代への処方
水野和夫(法政大学)
〈新しい「普通」〉
コロナ禍は若者の窮状に何を加えたか
中西新太郎(横浜市立大学名誉教授)
〈座談会〉
逆境から社会を変える闘いへ!――コロナと女性労働
周燕飛(日本女子大学)、竹信三恵子(ジャーナリスト)、渡辺寛人(POSSE)、後藤道夫(都留文科大学名誉教授)
〈困難な時代の生き延び方〉
パンデミック下の大学生
大内裕和(中京大学)
〈特例から制度改革へ〉
コロナ禍へのドイツの対応――生活保障の側面から
布川日佐史(法政大学)
〈民間任せの内実〉
これが本当に住まいのセーフティネットなのか
平山洋介(神戸大学)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◆注目記事
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
〈脳力のレッスン 特別篇〉
中国と正対する筋道を求めて―― 尖閣問題の本質と外交的解決策の模索
寺島実郎
〈コロナ対応の諸相〉
大阪モデル? そんなものはない――大阪維新とメディア、“共依存”関係の現在
松本 創(ノンフィクションライター)
《学界の一大スキャンダルへ》
○ラムザイヤー論文はなぜ「事件」となったのか
茶谷さやか(シンガポール国立大学)
○ラムザイヤー論文の何が問題か――日本軍「慰安婦」をめぐる“契約論”を検証する
吉見義明(中央大学名誉教授)
《剥奪される民主主義》
○香港危機とは何か――名前のない運動と民主化の終わり
倉田 徹(立教大学)
○「暴力」のあとに――香港抗議活動参加者は何を思うか
葉健民(香港城市大学)、翻訳=小栗宏太
○香港の悲劇
練乙錚(香港「信報財經新聞」元編集長)、訳=石井大智
〈ポスト・オリンピックへ〉
人々のスポーツのために――五輪に振り回されず問い続ける
尾崎正峰(一橋大学)
〈現代の論点〉
兵士の強化改造 どこまで許される?――フランス軍事省倫理委員会の容認意見を読み解く
〓(ぬで)島次郎(生命倫理政策研究会)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◇世界の潮
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◇那覇孔子廟政教分離訴訟――最高裁違憲判決の意味
塚田穂高
◇ストーカー規制法改正――施行後二〇年で見えた課題
小早川明子
◇なぜ石炭火力が新設されるのか――環境アセス骨抜きの経過
浅岡美恵
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◇SEKAI Review of Books
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◇内なる優生思想と命のビジネス化の諸相――千葉紀和、上東麻子著『ルポ「命の選別」』
藤井克徳(日本障害者協議会)
◇読書の要諦――ノンフィクション ヘイトは出版を誘惑する
青木 理(ジャーナリスト)
◇【連載】読書会という幸福 第17回 読書会潜入ルポ3 『世界』を読む中高生たちの読書会
向井和美(翻訳家、司書)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
●連載
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
----〈短期集中連載〉-----------
●自治体としてパンデミックに立ち向かう――(中)社会的検査拡大への追求
保坂展人(世田谷区長)
----〈好評連載〉----------
●コロナ戦記 【第8回】
「死の谷」に落ちた国内ワクチン
山岡淳一郎(ノンフィクション作家)
●移民たちのパンデミック 【第2回】
移民女性の闘い
工藤律子(ジャーナリスト)、撮影=篠田有史
●県境の町【第3回】
目に見えぬ恐怖、強いられる選択
吉田千亜(ライター)
●ネグロスからの手紙――虐殺と弾圧の島で【第5回】
壁に飾れない「夢の卒業証書」
クラリッサ・シングソン(人権アクティビスト)、訳・構成=木村英昭・勅使川原香世子
------------------------
●メディア批評【第161回】
神保太郎(ジャーナリスト)
●片山善博の「日本を診る」【138】
官僚への接待を一律禁止すべき理由
片山善博(早稲田大学)
●いま、この惑星で起きていること【第17回】
新技術は地球を救うか?
森さやか(気象予報士)
●但馬日記【第25回】
女性に選ばれる町づくりへ――豊岡市のジェンダーギャップ解消戦略
平田オリザ(劇作家)
●亡所考 【第5回】
〈亡所〉の歴史哲学
北條勝貴(上智大学)
●沖縄(シマ)という窓――金城雅春さんの急逝におもうこと
山城紀子(ジャーナリスト)
●ドキュメント激動の南北朝鮮【285】(21・2~3)
編集部
●ことわざの惑星
金井真紀(イラストレーター)
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○読者投句・岩波俳句
選・文 池田澄子(俳人)
○アムネスティ通信
○読者談話室
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○表紙写真
内戦状態となって10年、ランタンを掲げる仮設テントの子どもたち。シリア・イドリブ。2021年3月11日。
(写真提供:Muhammed Said/Anadolu Agency ゲッティ/共同通信イメージズ)
○デザイン
赤崎正一 + 佐野裕哉 (協力=国府台さくら)
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編集後記
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好評をいただいている向井和美さんの連載「読書会という幸福」、今号は本誌読書会の「潜入レポート」である。向井さんも書かれているが、中学生・高校生の参加者の読みの確かさに驚く。
執筆者の方々に執筆依頼する際は、「一般的な大学生が理解できる」ようにお願いをしている。しかし、専門的な内容や新しい領域に踏み込むテーマにおいては、相談をしつつ試行錯誤するものの、専門的な厳密さを残しながら平易な記述を目指すのは容易ではない。
人類が直面しつつある環境危機の新局面をめぐる特集1「人新世とグローバル・コモンズ」も、新たな概念が多く出ている領域で、特に今回は翻訳原稿が多くなったこともあり、用語については、基調となる論考を執筆いただいた石井菜穂子氏や訳者の方々と相談させていただきながら作業を進めた。
苦労は少なくなかったが、国際的に第一線で議論を展開する論者の寄稿をお届けすることができた。若い読者のみなさんはどう読まれるだろうか。
二月号の読者談話室で本誌の読書会を呼びかけておられる須山敦行さんの主宰する会に、私と編集部の大山も参加させていただいた。用いた記事は三月号特集「二一世紀の公害」の高田秀重論文、それに第二特集「軍事化される琉球弧」の星川淳論文である。今回はオンライン開催ということで、東京・群馬・神奈川など各地から一〇名の方が参加されており、活発に議論を展開されていた。今回は校了間際であったので途中で失礼させていただいたが、ぜひまた議論に参加したい。
実際、記事をめぐって語り合いたいことはたくさんある。たとえば今号の特集以外の論考でも、科学技術による兵士の強化改造をめぐるフランスの動向を踏まえて倫理的側面を論じる〓(ぬで)島論文、オリンピック後のスポーツのありかたを考察する尾崎論文、大阪のパンデミックの状況を在阪メディアへの批判を含めて報告する松本論文、安全保障をめぐる最重要テーマとなっている尖閣問題をめぐる寺島論文など、読者と議論を交わしたい記事ばかりだ。
いわんや特集の論考においてをや。グローバル・コモンズも、貧困・格差をめぐる現在の状況も、香港の民主主義や日本軍「慰安婦」問題をめぐる動向も、いずれも時代が提起している重要テーマであり、討議を通じて自分の認識を深めていきたい問題である。
従来のいわゆる「論壇」というものの解体が指摘され、また実際それを担ってきた月刊誌の改廃も続いているのだが、論考という形で提示されるまとまった思索と、公共的なテーマをめぐる市民の討論と、どちらも現在の民主主義社会において不足しがちな必須ミネラルではないかと思う。パンデミックのもとで困難の少なくない中、読書会のような営みを続けておられる方々に心より敬意を表するとともに、編集部としてもどのような連携が可能か、検討していきたい。
もちろん、編集部としての第一の仕事は、パブリックな討議のテキストとして取り上げてもらえる内容と質の雑誌を編んでいくことである。次号も充実した号をお届けする所存である。
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~~『世界』から生まれた本~~
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◎孤塁 双葉郡消防士たちの3.11
吉田千亜
定価1,980円
http://iwnm.jp/022969
☆第63回日本ジャーナリスト会議賞(JCJ賞)(2020年)
☆第42回講談社本田靖春ノンフィクション賞(2020年)受賞
☆日隅一雄・情報流通促進賞2020大賞受賞
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~~「WEB世界」のご案内~~
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雑誌『世界』のWEB版もぜひ、ご覧ください
https://tanemaki.iwanami.co.jp/
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◇「webいわなみ たねをまく」(岩波書店のウェブマガジン)
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〒101-8002 東京都千代田区一ツ橋2-5-5
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◇本誌のご注文はお近くの書店か小社営業部宛てにお願いいたします.
岩波書店営業部読者係(TEL:03-5210-4111,FAX:03-3263-6999)
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〈不可逆の変化が起きる前に〉
2021人類社会の課題
J.ロックストローム(ストックホルム大学)
〈科学と人文学の結集へ〉
人新世――新たな地質年代の科学と政治
J.A.トーマス(米ノートルダム大学)、M.ウィリアムズ(英レスター大学)、J.ザラシーヴィッチ(英レスター大学名誉教授)
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┗━━━╋…────────────────────────────────
〈起きつつある転換〉
危機の中のパンデミック――ポスト近代への処方
水野和夫(法政大学)
〈新しい「普通」〉
コロナ禍は若者の窮状に何を加えたか
中西新太郎(横浜市立大学名誉教授)
〈座談会〉
逆境から社会を変える闘いへ!――コロナと女性労働
周燕飛(日本女子大学)、竹信三恵子(ジャーナリスト)、渡辺寛人(POSSE)、後藤道夫(都留文科大学名誉教授)
〈困難な時代の生き延び方〉
パンデミック下の大学生
大内裕和(中京大学)
〈特例から制度改革へ〉
コロナ禍へのドイツの対応――生活保障の側面から
布川日佐史(法政大学)
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これが本当に住まいのセーフティネットなのか
平山洋介(神戸大学)
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〈脳力のレッスン 特別篇〉
中国と正対する筋道を求めて―― 尖閣問題の本質と外交的解決策の模索
寺島実郎
〈コロナ対応の諸相〉
大阪モデル? そんなものはない――大阪維新とメディア、“共依存”関係の現在
松本 創(ノンフィクションライター)
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○ラムザイヤー論文はなぜ「事件」となったのか
茶谷さやか(シンガポール国立大学)
○ラムザイヤー論文の何が問題か――日本軍「慰安婦」をめぐる“契約論”を検証する
吉見義明(中央大学名誉教授)
《剥奪される民主主義》
○香港危機とは何か――名前のない運動と民主化の終わり
倉田 徹(立教大学)
○「暴力」のあとに――香港抗議活動参加者は何を思うか
葉健民(香港城市大学)、翻訳=小栗宏太
○香港の悲劇
練乙錚(香港「信報財經新聞」元編集長)、訳=石井大智
〈ポスト・オリンピックへ〉
人々のスポーツのために――五輪に振り回されず問い続ける
尾崎正峰(一橋大学)
〈現代の論点〉
兵士の強化改造 どこまで許される?――フランス軍事省倫理委員会の容認意見を読み解く
〓(ぬで)島次郎(生命倫理政策研究会)
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◇世界の潮
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塚田穂高
◇ストーカー規制法改正――施行後二〇年で見えた課題
小早川明子
◇なぜ石炭火力が新設されるのか――環境アセス骨抜きの経過
浅岡美恵
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◇SEKAI Review of Books
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◇内なる優生思想と命のビジネス化の諸相――千葉紀和、上東麻子著『ルポ「命の選別」』
藤井克徳(日本障害者協議会)
◇読書の要諦――ノンフィクション ヘイトは出版を誘惑する
青木 理(ジャーナリスト)
◇【連載】読書会という幸福 第17回 読書会潜入ルポ3 『世界』を読む中高生たちの読書会
向井和美(翻訳家、司書)
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●連載
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----〈短期集中連載〉-----------
●自治体としてパンデミックに立ち向かう――(中)社会的検査拡大への追求
保坂展人(世田谷区長)
----〈好評連載〉----------
●コロナ戦記 【第8回】
「死の谷」に落ちた国内ワクチン
山岡淳一郎(ノンフィクション作家)
●移民たちのパンデミック 【第2回】
移民女性の闘い
工藤律子(ジャーナリスト)、撮影=篠田有史
●県境の町【第3回】
目に見えぬ恐怖、強いられる選択
吉田千亜(ライター)
●ネグロスからの手紙――虐殺と弾圧の島で【第5回】
壁に飾れない「夢の卒業証書」
クラリッサ・シングソン(人権アクティビスト)、訳・構成=木村英昭・勅使川原香世子
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●メディア批評【第161回】
神保太郎(ジャーナリスト)
●片山善博の「日本を診る」【138】
官僚への接待を一律禁止すべき理由
片山善博(早稲田大学)
●いま、この惑星で起きていること【第17回】
新技術は地球を救うか?
森さやか(気象予報士)
●但馬日記【第25回】
女性に選ばれる町づくりへ――豊岡市のジェンダーギャップ解消戦略
平田オリザ(劇作家)
●亡所考 【第5回】
〈亡所〉の歴史哲学
北條勝貴(上智大学)
●沖縄(シマ)という窓――金城雅春さんの急逝におもうこと
山城紀子(ジャーナリスト)
●ドキュメント激動の南北朝鮮【285】(21・2~3)
編集部
●ことわざの惑星
金井真紀(イラストレーター)
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○読者投句・岩波俳句
選・文 池田澄子(俳人)
○アムネスティ通信
○読者談話室
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○表紙写真
内戦状態となって10年、ランタンを掲げる仮設テントの子どもたち。シリア・イドリブ。2021年3月11日。
(写真提供:Muhammed Said/Anadolu Agency ゲッティ/共同通信イメージズ)
○デザイン
赤崎正一 + 佐野裕哉 (協力=国府台さくら)
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編集後記
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好評をいただいている向井和美さんの連載「読書会という幸福」、今号は本誌読書会の「潜入レポート」である。向井さんも書かれているが、中学生・高校生の参加者の読みの確かさに驚く。
執筆者の方々に執筆依頼する際は、「一般的な大学生が理解できる」ようにお願いをしている。しかし、専門的な内容や新しい領域に踏み込むテーマにおいては、相談をしつつ試行錯誤するものの、専門的な厳密さを残しながら平易な記述を目指すのは容易ではない。
人類が直面しつつある環境危機の新局面をめぐる特集1「人新世とグローバル・コモンズ」も、新たな概念が多く出ている領域で、特に今回は翻訳原稿が多くなったこともあり、用語については、基調となる論考を執筆いただいた石井菜穂子氏や訳者の方々と相談させていただきながら作業を進めた。
苦労は少なくなかったが、国際的に第一線で議論を展開する論者の寄稿をお届けすることができた。若い読者のみなさんはどう読まれるだろうか。
二月号の読者談話室で本誌の読書会を呼びかけておられる須山敦行さんの主宰する会に、私と編集部の大山も参加させていただいた。用いた記事は三月号特集「二一世紀の公害」の高田秀重論文、それに第二特集「軍事化される琉球弧」の星川淳論文である。今回はオンライン開催ということで、東京・群馬・神奈川など各地から一〇名の方が参加されており、活発に議論を展開されていた。今回は校了間際であったので途中で失礼させていただいたが、ぜひまた議論に参加したい。
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いわんや特集の論考においてをや。グローバル・コモンズも、貧困・格差をめぐる現在の状況も、香港の民主主義や日本軍「慰安婦」問題をめぐる動向も、いずれも時代が提起している重要テーマであり、討議を通じて自分の認識を深めていきたい問題である。
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もちろん、編集部としての第一の仕事は、パブリックな討議のテキストとして取り上げてもらえる内容と質の雑誌を編んでいくことである。次号も充実した号をお届けする所存である。
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~~『世界』から生まれた本~~
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◎孤塁 双葉郡消防士たちの3.11
吉田千亜
定価1,980円
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☆第63回日本ジャーナリスト会議賞(JCJ賞)(2020年)
☆第42回講談社本田靖春ノンフィクション賞(2020年)受賞
☆日隅一雄・情報流通促進賞2020大賞受賞
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