『世界』メールマガジン/2021年9月号 【特集1:企業を変える――気候・人権・SDGs】【特集2:最前線列島――日米安保 70 年】
2021/08/05 (Thu) 16:40
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■■ 『世界』メールマガジン/2021年9月号
■■ vol.#0075
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■『世界』2021年9月号(第948号)好評発売中
2021年8月5日発行
定価935円(税込)
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▼本号の目次
特集/注目記事/世界の潮/SEKAI Review of Books/連載/編集後記/『世界』から生まれた本/「WEB世界」のご案内
┏━━━┓
┃特集1┃企業を変える――気候・人権・SDGs
┗━━━╋…────────────────────────────────
〈変化の兆し〉
“脱炭素”は企業を変える――高まる株主・投資家からの声
平田仁子(気候ネットワーク)
〈メソッドと効用〉
ESG投資が変える社会
水口 剛(高崎経済大学)
〈政権を動かす社会運動〉
パンデミックが映す命の格差――公正な医療アクセス阻むグローバル製薬企業
内田聖子(PARC共同代表)
〈資料と解説〉
巨大IT企業の暴走を止める――規制の動きと市民社会の力
本誌編集部
〈司法とNGO〉
脱石炭から脱化石燃料へ
深草亜悠美(FoE Japan)
〈企業活動の責任〉
ビジネスと人権――国際社会の動向と日本企業・社会の課題
伊藤和子(ヒューマンライツ・ナウ)
┏━━━┓
┃特集2┃最前線列島――日米安保70年
┗━━━╋…────────────────────────────────
〈構想〉
東アジアINF条約というリアリティ
前田哲男(軍事ジャーナリスト)
〈緊迫の虚実〉
尖閣はどうなっているか――安定が失われる真のリスクとは
文谷数重(軍事ライター)
〈首都の〈治外法権〉〉
米軍横田基地――日本の主権を呑み込むブラックホール
吉田敏浩(ジャーナリスト)
〈軍事化される島〉
いま宮古島で何が起きているのか
島本慈子(ジャーナリスト)
〈主権の再定義へ〉
戦後日本の主権と領土――日米安保七〇年の現在
古関彰一(獨協大学名誉教授)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◆注目記事
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
〈インタビュー〉
緊張する米中関係と日本外交の針路
河野洋平(元衆議院議長)
〈「国軍」の本質〉
辺境からみるミャンマー政変――内戦史のなかのクーデター
今村真央(山形大学)
〈まだ突き進むのか?〉
リアリティを失う辺野古基地建設
平安名純代(沖縄タイムス)
《地域からの再エネ革命》
○地域コミュニティと再生可能エネルギーーー環境と生業の融合へ
山下英俊(一橋大学)
○自然エネルギー100%の自治体を実現するには
松原弘直(環境エネルギー政策研究所)
○〈今ある技術〉で脱炭素は可能だ
歌川 学(産業技術総合研究所)
〈提言〉
パンデミックと大学――新たな可能性に踏み出す
田中優子(法政大学前総長)
〈“120位”から脱するために〉
私たちの人権はどこへ向かっているのか――国際基準の「国家人権機関」の早期設置を
馬橋憲男(フェリス女学院大学名誉教授)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◇世界の潮
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◇ハイチ大統領暗殺事件――権力闘争の背景
尾尻希和
◇宮城県水道民営化の何が問題か
橋本淳司
◇二〇二一年ペルー大統領選挙――三〇年の抗争史を読み解く
磯田沙織
◇「新たな訴訟手続」とは何か――近代訴訟制度を崩壊させるおそれ
松森 彬
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◇SEKAI Review of Books
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◇フェミニズム政治学の現在の地平
菊地夏野(名古屋市立大学)
◇読書の要諦――文芸 内なる言葉の力
藤沢 周(小説家)
◇【新刊】深い悲しみと痛みの中に、か細く走る確かな光――下地 毅著『ルポ 東尋坊』
小林美穂子(つくろい東京ファンド)
◇新刊紹介
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
●連載
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
----〈好評連載〉----------
●コロナ戦記【第12回】
狂ったハンマー&ダンス
山岡淳一郎(ノンフィクション作家)
●分水嶺II コロナ緊急事態と専門家【第3回】
五輪開催と地方
河合香織(ノンフィクション作家)
●但馬日記【第28回】
地方選を侵す「バラマキ」公約――豊岡市長選顛末記(2)
平田オリザ(劇作家)
●県境の町【第7回】
舞台は司法の場へ
吉田千亜(ライター)
●お許しいただければ
家庭の守護神(E.V.ルーカス)
訳=行方昭夫(英文学者)
----------------------------
●脳力のレッスン特別篇
コロナ危機の中間総括――全体知からの試み
寺島実郎
●メディア批評【第165回】
神保太郎(ジャーナリスト)
●片山善博の「日本を診る」【142】
ワクチン接種をめぐる混乱――自治体から見た国のお粗末と身勝手
片山善博(早稲田大学)
●沖縄(シマ)という窓――「水は洗って飲めない」――多発するPFOS流出事故
親川志奈子(沖縄大学非常勤講師)
●いま、この惑星で起きていること【第21回】
両極端の地球
森さやか(気象予報士)
●亡所考【第9回】
生態系総力戦体制
北條勝貴(上智大学)
●原発月報─(21・6~7)
福島原発事故記録チーム
●ドキュメント激動の南北朝鮮【289】(21・6~7)
編集部
●ことわざの惑星
金井真紀(イラストレーター)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
○読者投句・岩波俳句
選・文=池田澄子(俳人)
○アムネスティ通信
○読者談話室
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
○表紙写真
米海兵隊による軍事演習中の落下潜入訓練の光景。2021年3月9日、沖縄・伊江島。(ZMA Wire / ZUMA PRSS.com/共同通信イメージズ)
○デザイン
赤崎正一 + 佐野裕哉 (協力=国府台さくら)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
編集後記
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
考えてみれば、今回の東京オリンピックの国際的失態は、当時の都知事・石原慎太郎が「国威発揚」のために招致活動を開始し、「神の国」発言の元首相が中核的役割を担った段階から決定づけられていたと言える。平和や多様性という建て前とも無縁のアナクロニズム――国粋主義や男性中心主義が、IOCの商業主義とともにこのイベントにべっとりと固着してしまった。その綻びが開催直前になって露わになり、現下日本のダメな部分が走馬灯のように次々と展開されていくカオス的状況となった。しかし、すでにあさっての方向に光年単位で進んできたものの方向転換など容易にできはしない。この〈国威失墜〉の本質的要因は、日本の既成の指導的勢力――エスタブリッシュメントの救いようのない劣化にある。
それにしても派手にやらかしたものだ。〈悪夢のような安倍―菅政権〉の総決算とも言うべきこの失敗については、あらためて本誌としても総括的に掘り下げたい。
オリンピックとパンデミックをめぐる出来事に報道が埋め尽くされる陰で、政府の劣化を象徴するような事件がいくつも起きている。特に注目したのは、二人の若い経産省キャリア男性官僚がパンデミック対策の給付金をだましとっていた事件だ。二人とも同省の経済産業政策局に属していた。言うまでもなく経済的困窮の末の罪ではない。高級外車や「豪遊」など、絵に描いたような虚無と退廃のパターンが伝えられている。大企業を中心に回転してきた日本の産業政策の落日を見る思いだ。
いっぽうで、今月号第一特集に寄せていただいた各論考を読みながら、「企業を変える」ことを通じて企業中心社会である日本の構造と体質そのものも変えることが可能なのではないかとも感じた。特集の執筆者の共通点は、多くが第一線での実践の担い手であり、高い倫理観と現場の調査に支えられて関連の議論を鋭利にとらえる〈NGO的知性〉であること、国際的動向に通じていること、そして若手の女性である点である。私たちがこれから進もうとしている方向性を強く示唆しているように思う。
内田聖子氏の報告によれば、ワクチンと知的財産権をめぐるバイデン政権の劇的な政策転換は、市民や労組、専門家による社会運動と民主党議員の連携によって、グローバル製薬企業の抵抗をおしのけて実現したものだという(そこに出てくるアクターの多くも女性だ)。これもまた示唆的ではないか。
今号の実質的な第三特集である「地域からの再エネ革命」は、経産省や既存のエネルギー企業が抵抗しつづけているテーマだが、ここにも私たちの進むべき方向性、未来があると感じる。
歌川学氏が指摘するように、この未来が「今ある技術」で実現可能なのであれば、必要なのは私たちの選択だけだ。地域の再エネ化に加えて、松原弘直氏が触れている食料自給による「永続地帯」化は、私たちの生活と生存そのものにも深い影響を与えるだろう。これについても次号で掘り下げたい。
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~~『世界』から生まれた本~~
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◎孤塁 双葉郡消防士たちの3.11
吉田千亜
定価1,980円
http://iwnm.jp/022969
☆第63回日本ジャーナリスト会議賞(JCJ賞)(2020年)
☆第42回講談社本田靖春ノンフィクション賞(2020年)受賞
☆日隅一雄・情報流通促進賞2020大賞受賞
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◎アパレル興亡
黒木 亮
定価2,090円
http://iwnm.jp/061390
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~~「WEB世界」のご案内~~
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雑誌『世界』のWEB版もぜひ、ご覧ください
https://tanemaki.iwanami.co.jp/
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◇「webいわなみ たねをまく」(岩波書店のウェブマガジン)
https://tanemaki.iwanami.co.jp/
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WEB: http://iwnm.jp/sekai
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◇本誌のご注文はお近くの書店か小社営業部宛てにお願いいたします.
岩波書店営業部読者係(TEL:03-5210-4111,FAX:03-3263-6999)
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定価935円(税込)
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┃特集1┃企業を変える――気候・人権・SDGs
┗━━━╋…────────────────────────────────
〈変化の兆し〉
“脱炭素”は企業を変える――高まる株主・投資家からの声
平田仁子(気候ネットワーク)
〈メソッドと効用〉
ESG投資が変える社会
水口 剛(高崎経済大学)
〈政権を動かす社会運動〉
パンデミックが映す命の格差――公正な医療アクセス阻むグローバル製薬企業
内田聖子(PARC共同代表)
〈資料と解説〉
巨大IT企業の暴走を止める――規制の動きと市民社会の力
本誌編集部
〈司法とNGO〉
脱石炭から脱化石燃料へ
深草亜悠美(FoE Japan)
〈企業活動の責任〉
ビジネスと人権――国際社会の動向と日本企業・社会の課題
伊藤和子(ヒューマンライツ・ナウ)
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┃特集2┃最前線列島――日米安保70年
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〈構想〉
東アジアINF条約というリアリティ
前田哲男(軍事ジャーナリスト)
〈緊迫の虚実〉
尖閣はどうなっているか――安定が失われる真のリスクとは
文谷数重(軍事ライター)
〈首都の〈治外法権〉〉
米軍横田基地――日本の主権を呑み込むブラックホール
吉田敏浩(ジャーナリスト)
〈軍事化される島〉
いま宮古島で何が起きているのか
島本慈子(ジャーナリスト)
〈主権の再定義へ〉
戦後日本の主権と領土――日米安保七〇年の現在
古関彰一(獨協大学名誉教授)
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◆注目記事
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〈インタビュー〉
緊張する米中関係と日本外交の針路
河野洋平(元衆議院議長)
〈「国軍」の本質〉
辺境からみるミャンマー政変――内戦史のなかのクーデター
今村真央(山形大学)
〈まだ突き進むのか?〉
リアリティを失う辺野古基地建設
平安名純代(沖縄タイムス)
《地域からの再エネ革命》
○地域コミュニティと再生可能エネルギーーー環境と生業の融合へ
山下英俊(一橋大学)
○自然エネルギー100%の自治体を実現するには
松原弘直(環境エネルギー政策研究所)
○〈今ある技術〉で脱炭素は可能だ
歌川 学(産業技術総合研究所)
〈提言〉
パンデミックと大学――新たな可能性に踏み出す
田中優子(法政大学前総長)
〈“120位”から脱するために〉
私たちの人権はどこへ向かっているのか――国際基準の「国家人権機関」の早期設置を
馬橋憲男(フェリス女学院大学名誉教授)
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◇世界の潮
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◇ハイチ大統領暗殺事件――権力闘争の背景
尾尻希和
◇宮城県水道民営化の何が問題か
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◇「新たな訴訟手続」とは何か――近代訴訟制度を崩壊させるおそれ
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◇SEKAI Review of Books
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◇フェミニズム政治学の現在の地平
菊地夏野(名古屋市立大学)
◇読書の要諦――文芸 内なる言葉の力
藤沢 周(小説家)
◇【新刊】深い悲しみと痛みの中に、か細く走る確かな光――下地 毅著『ルポ 東尋坊』
小林美穂子(つくろい東京ファンド)
◇新刊紹介
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●連載
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----〈好評連載〉----------
●コロナ戦記【第12回】
狂ったハンマー&ダンス
山岡淳一郎(ノンフィクション作家)
●分水嶺II コロナ緊急事態と専門家【第3回】
五輪開催と地方
河合香織(ノンフィクション作家)
●但馬日記【第28回】
地方選を侵す「バラマキ」公約――豊岡市長選顛末記(2)
平田オリザ(劇作家)
●県境の町【第7回】
舞台は司法の場へ
吉田千亜(ライター)
●お許しいただければ
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●脳力のレッスン特別篇
コロナ危機の中間総括――全体知からの試み
寺島実郎
●メディア批評【第165回】
神保太郎(ジャーナリスト)
●片山善博の「日本を診る」【142】
ワクチン接種をめぐる混乱――自治体から見た国のお粗末と身勝手
片山善博(早稲田大学)
●沖縄(シマ)という窓――「水は洗って飲めない」――多発するPFOS流出事故
親川志奈子(沖縄大学非常勤講師)
●いま、この惑星で起きていること【第21回】
両極端の地球
森さやか(気象予報士)
●亡所考【第9回】
生態系総力戦体制
北條勝貴(上智大学)
●原発月報─(21・6~7)
福島原発事故記録チーム
●ドキュメント激動の南北朝鮮【289】(21・6~7)
編集部
●ことわざの惑星
金井真紀(イラストレーター)
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○読者投句・岩波俳句
選・文=池田澄子(俳人)
○アムネスティ通信
○読者談話室
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○表紙写真
米海兵隊による軍事演習中の落下潜入訓練の光景。2021年3月9日、沖縄・伊江島。(ZMA Wire / ZUMA PRSS.com/共同通信イメージズ)
○デザイン
赤崎正一 + 佐野裕哉 (協力=国府台さくら)
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編集後記
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考えてみれば、今回の東京オリンピックの国際的失態は、当時の都知事・石原慎太郎が「国威発揚」のために招致活動を開始し、「神の国」発言の元首相が中核的役割を担った段階から決定づけられていたと言える。平和や多様性という建て前とも無縁のアナクロニズム――国粋主義や男性中心主義が、IOCの商業主義とともにこのイベントにべっとりと固着してしまった。その綻びが開催直前になって露わになり、現下日本のダメな部分が走馬灯のように次々と展開されていくカオス的状況となった。しかし、すでにあさっての方向に光年単位で進んできたものの方向転換など容易にできはしない。この〈国威失墜〉の本質的要因は、日本の既成の指導的勢力――エスタブリッシュメントの救いようのない劣化にある。
それにしても派手にやらかしたものだ。〈悪夢のような安倍―菅政権〉の総決算とも言うべきこの失敗については、あらためて本誌としても総括的に掘り下げたい。
オリンピックとパンデミックをめぐる出来事に報道が埋め尽くされる陰で、政府の劣化を象徴するような事件がいくつも起きている。特に注目したのは、二人の若い経産省キャリア男性官僚がパンデミック対策の給付金をだましとっていた事件だ。二人とも同省の経済産業政策局に属していた。言うまでもなく経済的困窮の末の罪ではない。高級外車や「豪遊」など、絵に描いたような虚無と退廃のパターンが伝えられている。大企業を中心に回転してきた日本の産業政策の落日を見る思いだ。
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内田聖子氏の報告によれば、ワクチンと知的財産権をめぐるバイデン政権の劇的な政策転換は、市民や労組、専門家による社会運動と民主党議員の連携によって、グローバル製薬企業の抵抗をおしのけて実現したものだという(そこに出てくるアクターの多くも女性だ)。これもまた示唆的ではないか。
今号の実質的な第三特集である「地域からの再エネ革命」は、経産省や既存のエネルギー企業が抵抗しつづけているテーマだが、ここにも私たちの進むべき方向性、未来があると感じる。
歌川学氏が指摘するように、この未来が「今ある技術」で実現可能なのであれば、必要なのは私たちの選択だけだ。地域の再エネ化に加えて、松原弘直氏が触れている食料自給による「永続地帯」化は、私たちの生活と生存そのものにも深い影響を与えるだろう。これについても次号で掘り下げたい。
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吉田千亜
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黒木 亮
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http://iwnm.jp/061390
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WEB: http://iwnm.jp/sekai
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