『世界』メールマガジン/2021年10月号 【特集1:脱成長――コロナ時代の変革構想】【特集2:東京オリンピック 失敗の本質】
2021/09/13 (Mon) 15:00
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■■ 『世界』メールマガジン/2021年10月号
■■ vol.#0076
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■『世界』2021年10月号(第949号)好評発売中
2021年9月8日発行
定価935円(税込)
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▼本号の目次
イベントのお知らせ/特集/注目記事/世界の潮/SEKAI Review of Books/連載/編集後記/『世界』から生まれた本/「WEB世界」のご案内
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■イベントのお知らせ * 9月17日(金)19:00~
─────────────────────────────
梯久美子さんと、河合香織さんのオンライン・トークイベント(Zoom配信)、「『狂うひと』『原民喜』の梯久美子×『分水嶺』『選べなかった命』の河合香織――ノンフィクションの現在地と〈女が書くこと〉」が開催されます。ぜひご参加ください(事前登録制)。
【日時】2021年9月17日(金)19:00~
【会場】Zoom(オンライン)(紀伊國屋書店)
【参加費】1,000円
→ お申し込み・詳しくはこちら
https://store.kinokuniya.co.jp/event/1628997345/
☆本誌連載の書籍化、河合香織さんの『分水嶺 ドキュメント コロナ対策専門家会議』、好評発売中!
http://iwnm.jp/061466
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┏━━━┓
┃特集1┃脱成長――コロナ時代の変革構想
┗━━━╋…────────────────────────────────
〈変革に向けて〉
気候崩壊と脱成長コミュニズムーーポスト資本主義への政治的想像力
斎藤幸平(大阪市立大学)
〈アメリカの新しい潮流〉
アメリカ あらたな労働運動の波――パンデミックという危機をチャンスに変える
佐久間裕美子(文筆家)
〈日本への提起〉
社会的連帯経済 それは世界を変えつつある
廣田裕之(スペイン社会的通貨研究所)
〈地方から変革は起きる〉
ニュー・ローカルの設計思想と変化の胎動
山本達也(清泉女子大学)
〈地球規模の転換〉
グローバル・タックス、GBI、世界政府
上村雄彦(横浜市立大学)
┏━━━┓
┃特集2┃東京オリンピック 失敗の本質
┗━━━╋…────────────────────────────────
〈責任をとらせる責任〉
「五輪敗戦」のツケを払うのは誰か?
上野千鶴子(東京大学名誉教授)
〈審判の時〉
首が“へし折れる”ほどの金メダルをあなたに
高橋純子(朝日新聞編集委員)
〈そして迎える敗戦〉
可視化された日本の宿痾――巨大イベントの終わりの始まり
本間 龍(著述家)
〈多様性? 人権?〉
オリンピックと朝鮮学校――1988ソウル―2020東京
田中 宏(一橋大学名誉教授)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◆注目記事
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
〈何が起きているのか〉
アフガン政権崩壊――失敗の教訓と平和作りへの課題
東 大作(上智大学)
〈吉田茂の忌避の意味〉
日米安保70年の本質――外務省は何を隠蔽したのか
豊下楢彦(元関西学院大学教授)
〈構造の変容を捉える〉
多極化する中東世界――イスラエルとアラブの「接近」が意味するもの
池田明史(東洋英和女学院大学)
《パンデミックとアフリカ》
○ポスト・コロナを切り拓くアフリカの肖像
稲場雅紀(アフリカ日本協議会)
○新しい南北問題の中のアフリカーーパンデミック、武力紛争、気候変動
勝俣 誠(明治学院大学名誉教授)
《誰が農を担うのか?》
○農と食をめぐるパンデミック500日
谷口吉光(秋田県立大学)
○グリーンでスマートな農業?――農と食の持続可能性をめぐる分岐点
関根佳恵(愛知学院大学)
〈古都のゆくえ〉
迷走する京都――ポストコロナの観光をめぐって
中林 浩(神戸松蔭女子学院大学元教授)
〈核心から逃げるメディア〉
「NHK」に問う――「独占告白 渡辺恒雄」を視聴して
西山太吉(ジャーナリスト)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◇世界の潮
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◇世に放たれたゲノム編集野菜
河田昌東
◇フランスの気候変動対策法――市民参加による先駆的立法
永田公彦
◇菅系候補が大敗した横浜市長選
土屋直也
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◇SEKAI Review of Books
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◇それでもなぜ、希望を抱き続けられたのか
李哲(元死刑囚)、聞き手=木村元彦(ノンフィクション作家)
◇読書の要諦――サイエンス ひらにお許しいただければ
植木不等式(サイエンスライター)
◇寄宿学校の遺体と植民地国家の罪――タニヤ・タラガ著『命を落とした七つの羽根』
小笠原みどり(ジャーナリスト)
◇【新連載】本とチェック 第1回 韓国文学ブームに前史あり
金承福(「クオン」代表)
◇新刊紹介
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
●連載
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
----〈好評連載〉----------
●コロナ戦記【第13回】
デルタ株との総力戦
山岡淳一郎(ノンフィクション作家)
●分水嶺II コロナ緊急事態と専門家【第4回】
コロナ災害の中の命
河合香織(ノンフィクション作家)
●但馬日記【第29回】
それでも演劇の灯は消えない
平田オリザ(劇作家)
●県境の町【第8回】
ADRがつなぐ小さな声
吉田千亜(ライター)
----〈短期連載〉----------
●関西生コン弾圧と産業労働運動、そしてジャーナリスト・ユニオン(上)
花田達朗(早稲田大学名誉教授)
----------------------------
●脳力のレッスン・特別篇
日本経済・産業再生への道筋(上)
寺島実郎
●メディア批評【第166回】
神保太郎(ジャーナリスト)
●片山善博の「日本を診る」【143】
たかが挨拶、されど挨拶
片山善博(早稲田大学)
●いま、この惑星で起きていること【第22回】
温暖化は世界遺産も蝕む
森さやか(気象予報士)
●亡所考【第10回】
ある〈恩恵〉の裏側─チッソ・ダム・火田民
北條勝貴(上智大学)
●沖縄(シマ)という窓――沖縄空手の奥深さ究める─「金」獲得した子弟の絆
松元 剛(琉球新報)
●ドキュメント激動の南北朝鮮【290】(21・7~8)
編集部
●ことわざの惑星
金井真紀(イラストレーター)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
○読者投句・岩波俳句
選・文=池田澄子(俳人)
○アムネスティ通信
○読者談話室
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○表紙写真
オーストラリア・ファッションウィークでランウェイを歩くモデル。シドニー。2021 年6 月2 日。
Getty Images / 共同通信イメージズ
○デザイン
赤崎正一 + 佐野裕哉 (協力=国府台さくら)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
編集後記
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
夏休みの課題として、子どもが大豆の苗を学校から持ってきた。成長の観察をするのだという。我が家で私が担当する段ボールコンポスト由来の肥料の効果もあって(と思う)、大豆はすくすくと成長した。それを見守る子どもの側もどしどし成長していく。そんなに早く大きくならなくていいよ、と思わず言ってしまう。
成長という言葉の持つこのポジティブな含意が、「脱成長」を議論する際に共鳴を阻む要素となっているかもしれない。だが、提唱者の一人であるセルジュ・ラトゥーシュによれば「脱成長」は、「何よりも、支配的な生産力至上主義の秩序に対する隷属と惰性化した合意を打ち破ることを目的として」おり、「生態学的にみても社会的にみても持続不可能な消費社会に代る本当のオルタナティブの構築を望むすべての人々をつなぐ合言葉」である(『脱成長』白水社、中野佳裕氏の訳による)。
この夏も、熱海で、西日本各地で、気象災害が発生した。森さやか氏が今号でも報告しているように、世界各地で気候危機が深刻化している。気候変動は、根拠の薄い政治的SFでもなければ、原子力ムラの陰謀でもない。
現在、私たちが直面している状況をリアルに考えれば、経済成長自体を目的化することは、かなり無謀かつ過激なイデオロギーといっていいのではないか。脱成長や、齋藤幸平氏が提起するような一定の消費活動の制限は、むしろ現時点であればこそ可能な、マイルドな内容と考えるべきだろう。
とはいえ、第一特集の論考はすべて、ただ危機を回避するためだけではなく、より公正で人間らしい社会、生態系と調和する社会を構築していく取り組みの創造性と魅力を伝えている。来る総選挙においては、喫緊のコロナ対策や生活支援策が争点となろうが、「首相として在ること自体が無責任」(今号、高橋純子氏)な現政権への追及にとどまらず、こんな政治ではない政治への想像力を市民とともに練り上げていくダイナミズムを期待したい。
総選挙で問われるべき課題は多いが、安倍―菅政権で間断なく進められてきた軍事強化と米軍との一体化をめぐっては、安保法制や秘密保護法、共謀罪の白紙撤回という方向に加えて、より本質的な、この社会の方向性に関わるものとして議論されてほしい。
その上で今号、豊下楢彦氏の論考が与える示唆は大きい。米軍が、どこでも、いつでも、いつまでも、基地を置くことができるというありかたを忌避しようとした吉田茂の事績から、敗戦から七六年の現在を見つめたい。米軍はなお沖縄を中心に居座り続け、日本の政治と論壇の主流は、米軍のいない状況、すなわち政治的・外交的自立を想像することさえできなくなった。「棒読み首相」は、この思考停止と他者依存の結論的エピソードだろう。
今号で書評連載が終わる(が別の連載企画を相談中である)植木不等式氏にならって、ユーモアのある後記を書きたいと思いつつ、どうしても生硬になってしまう。ひらにお許しいただければ。
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~~『世界』から生まれた本~~
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◎分水嶺 ドキュメント コロナ対策専門家会議
河合香織
定価1,980円
http://iwnm.jp/061466
クラスター対策に3密回避。専門家たちの議論と葛藤を、政権や行政も含め関係者の証言で描くノンフィクション。
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~~「WEB世界」のご案内~~
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雑誌『世界』のWEB版もぜひ、ご覧ください
https://tanemaki.iwanami.co.jp/
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◇「webいわなみ たねをまく」(岩波書店のウェブマガジン)
https://tanemaki.iwanami.co.jp/
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登録情報の編集・解除は,こちらよりお願いいたします.
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〒101-8002 東京都千代田区一ツ橋2-5-5
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WEB: http://iwnm.jp/sekai
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◇本誌のご注文はお近くの書店か小社営業部宛てにお願いいたします.
岩波書店営業部読者係(TEL:03-5210-4111,FAX:03-3263-6999)
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■■ vol.#0076
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2021年9月8日発行
定価935円(税込)
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▼本号の目次
イベントのお知らせ/特集/注目記事/世界の潮/SEKAI Review of Books/連載/編集後記/『世界』から生まれた本/「WEB世界」のご案内
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■イベントのお知らせ * 9月17日(金)19:00~
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梯久美子さんと、河合香織さんのオンライン・トークイベント(Zoom配信)、「『狂うひと』『原民喜』の梯久美子×『分水嶺』『選べなかった命』の河合香織――ノンフィクションの現在地と〈女が書くこと〉」が開催されます。ぜひご参加ください(事前登録制)。
【日時】2021年9月17日(金)19:00~
【会場】Zoom(オンライン)(紀伊國屋書店)
【参加費】1,000円
→ お申し込み・詳しくはこちら
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☆本誌連載の書籍化、河合香織さんの『分水嶺 ドキュメント コロナ対策専門家会議』、好評発売中!
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┃特集1┃脱成長――コロナ時代の変革構想
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〈変革に向けて〉
気候崩壊と脱成長コミュニズムーーポスト資本主義への政治的想像力
斎藤幸平(大阪市立大学)
〈アメリカの新しい潮流〉
アメリカ あらたな労働運動の波――パンデミックという危機をチャンスに変える
佐久間裕美子(文筆家)
〈日本への提起〉
社会的連帯経済 それは世界を変えつつある
廣田裕之(スペイン社会的通貨研究所)
〈地方から変革は起きる〉
ニュー・ローカルの設計思想と変化の胎動
山本達也(清泉女子大学)
〈地球規模の転換〉
グローバル・タックス、GBI、世界政府
上村雄彦(横浜市立大学)
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┃特集2┃東京オリンピック 失敗の本質
┗━━━╋…────────────────────────────────
〈責任をとらせる責任〉
「五輪敗戦」のツケを払うのは誰か?
上野千鶴子(東京大学名誉教授)
〈審判の時〉
首が“へし折れる”ほどの金メダルをあなたに
高橋純子(朝日新聞編集委員)
〈そして迎える敗戦〉
可視化された日本の宿痾――巨大イベントの終わりの始まり
本間 龍(著述家)
〈多様性? 人権?〉
オリンピックと朝鮮学校――1988ソウル―2020東京
田中 宏(一橋大学名誉教授)
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◆注目記事
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〈何が起きているのか〉
アフガン政権崩壊――失敗の教訓と平和作りへの課題
東 大作(上智大学)
〈吉田茂の忌避の意味〉
日米安保70年の本質――外務省は何を隠蔽したのか
豊下楢彦(元関西学院大学教授)
〈構造の変容を捉える〉
多極化する中東世界――イスラエルとアラブの「接近」が意味するもの
池田明史(東洋英和女学院大学)
《パンデミックとアフリカ》
○ポスト・コロナを切り拓くアフリカの肖像
稲場雅紀(アフリカ日本協議会)
○新しい南北問題の中のアフリカーーパンデミック、武力紛争、気候変動
勝俣 誠(明治学院大学名誉教授)
《誰が農を担うのか?》
○農と食をめぐるパンデミック500日
谷口吉光(秋田県立大学)
○グリーンでスマートな農業?――農と食の持続可能性をめぐる分岐点
関根佳恵(愛知学院大学)
〈古都のゆくえ〉
迷走する京都――ポストコロナの観光をめぐって
中林 浩(神戸松蔭女子学院大学元教授)
〈核心から逃げるメディア〉
「NHK」に問う――「独占告白 渡辺恒雄」を視聴して
西山太吉(ジャーナリスト)
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◇世界の潮
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◇世に放たれたゲノム編集野菜
河田昌東
◇フランスの気候変動対策法――市民参加による先駆的立法
永田公彦
◇菅系候補が大敗した横浜市長選
土屋直也
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◇SEKAI Review of Books
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◇それでもなぜ、希望を抱き続けられたのか
李哲(元死刑囚)、聞き手=木村元彦(ノンフィクション作家)
◇読書の要諦――サイエンス ひらにお許しいただければ
植木不等式(サイエンスライター)
◇寄宿学校の遺体と植民地国家の罪――タニヤ・タラガ著『命を落とした七つの羽根』
小笠原みどり(ジャーナリスト)
◇【新連載】本とチェック 第1回 韓国文学ブームに前史あり
金承福(「クオン」代表)
◇新刊紹介
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●連載
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----〈好評連載〉----------
●コロナ戦記【第13回】
デルタ株との総力戦
山岡淳一郎(ノンフィクション作家)
●分水嶺II コロナ緊急事態と専門家【第4回】
コロナ災害の中の命
河合香織(ノンフィクション作家)
●但馬日記【第29回】
それでも演劇の灯は消えない
平田オリザ(劇作家)
●県境の町【第8回】
ADRがつなぐ小さな声
吉田千亜(ライター)
----〈短期連載〉----------
●関西生コン弾圧と産業労働運動、そしてジャーナリスト・ユニオン(上)
花田達朗(早稲田大学名誉教授)
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日本経済・産業再生への道筋(上)
寺島実郎
●メディア批評【第166回】
神保太郎(ジャーナリスト)
●片山善博の「日本を診る」【143】
たかが挨拶、されど挨拶
片山善博(早稲田大学)
●いま、この惑星で起きていること【第22回】
温暖化は世界遺産も蝕む
森さやか(気象予報士)
●亡所考【第10回】
ある〈恩恵〉の裏側─チッソ・ダム・火田民
北條勝貴(上智大学)
●沖縄(シマ)という窓――沖縄空手の奥深さ究める─「金」獲得した子弟の絆
松元 剛(琉球新報)
●ドキュメント激動の南北朝鮮【290】(21・7~8)
編集部
●ことわざの惑星
金井真紀(イラストレーター)
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○読者投句・岩波俳句
選・文=池田澄子(俳人)
○アムネスティ通信
○読者談話室
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○表紙写真
オーストラリア・ファッションウィークでランウェイを歩くモデル。シドニー。2021 年6 月2 日。
Getty Images / 共同通信イメージズ
○デザイン
赤崎正一 + 佐野裕哉 (協力=国府台さくら)
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編集後記
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夏休みの課題として、子どもが大豆の苗を学校から持ってきた。成長の観察をするのだという。我が家で私が担当する段ボールコンポスト由来の肥料の効果もあって(と思う)、大豆はすくすくと成長した。それを見守る子どもの側もどしどし成長していく。そんなに早く大きくならなくていいよ、と思わず言ってしまう。
成長という言葉の持つこのポジティブな含意が、「脱成長」を議論する際に共鳴を阻む要素となっているかもしれない。だが、提唱者の一人であるセルジュ・ラトゥーシュによれば「脱成長」は、「何よりも、支配的な生産力至上主義の秩序に対する隷属と惰性化した合意を打ち破ることを目的として」おり、「生態学的にみても社会的にみても持続不可能な消費社会に代る本当のオルタナティブの構築を望むすべての人々をつなぐ合言葉」である(『脱成長』白水社、中野佳裕氏の訳による)。
この夏も、熱海で、西日本各地で、気象災害が発生した。森さやか氏が今号でも報告しているように、世界各地で気候危機が深刻化している。気候変動は、根拠の薄い政治的SFでもなければ、原子力ムラの陰謀でもない。
現在、私たちが直面している状況をリアルに考えれば、経済成長自体を目的化することは、かなり無謀かつ過激なイデオロギーといっていいのではないか。脱成長や、齋藤幸平氏が提起するような一定の消費活動の制限は、むしろ現時点であればこそ可能な、マイルドな内容と考えるべきだろう。
とはいえ、第一特集の論考はすべて、ただ危機を回避するためだけではなく、より公正で人間らしい社会、生態系と調和する社会を構築していく取り組みの創造性と魅力を伝えている。来る総選挙においては、喫緊のコロナ対策や生活支援策が争点となろうが、「首相として在ること自体が無責任」(今号、高橋純子氏)な現政権への追及にとどまらず、こんな政治ではない政治への想像力を市民とともに練り上げていくダイナミズムを期待したい。
総選挙で問われるべき課題は多いが、安倍―菅政権で間断なく進められてきた軍事強化と米軍との一体化をめぐっては、安保法制や秘密保護法、共謀罪の白紙撤回という方向に加えて、より本質的な、この社会の方向性に関わるものとして議論されてほしい。
その上で今号、豊下楢彦氏の論考が与える示唆は大きい。米軍が、どこでも、いつでも、いつまでも、基地を置くことができるというありかたを忌避しようとした吉田茂の事績から、敗戦から七六年の現在を見つめたい。米軍はなお沖縄を中心に居座り続け、日本の政治と論壇の主流は、米軍のいない状況、すなわち政治的・外交的自立を想像することさえできなくなった。「棒読み首相」は、この思考停止と他者依存の結論的エピソードだろう。
今号で書評連載が終わる(が別の連載企画を相談中である)植木不等式氏にならって、ユーモアのある後記を書きたいと思いつつ、どうしても生硬になってしまう。ひらにお許しいただければ。
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河合香織
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