『世界』メールマガジン/2022年3月号 【特集1:経済安保の裏側】【特集2:維新の政治――「改革」の幻惑】
2022/02/15 (Tue) 11:30
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■■ 『世界』メールマガジン/2022年3月号
■■ vol.#0081
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■『世界』2022年3月号(第954号)好評発売中
2022年2月8日発行
定価935円(税込)
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▼本号の目次
特集/注目記事/世界の潮/SEKAI Review of Books/連載/編集後記/『世界』から生まれた本/「WEB世界」のご案内
┏━━━┓
┃特集1┃経済安保の裏側
┗━━━╋…────────────────────────────────
〈ルポ〉
町工場 vs 公安警察─ルポ 大川原化工機事件
青木 理(ジャーナリスト)
〈権益と省益〉
官僚たちの経済安保─"自国ファースト"の陰で
富田 光(東京新聞)
〈学術会議問題の背景〉
動員される科学・技術と研究者
井原 聰(東北大学名誉教授)
〈短期連載〉
ルポ 経済安保の人脈と文脈【第1回】─先駆者の懸念
斎藤貴男(ジャーナリスト)
〈生活と生命を保障するもの〉
なぜ資源/食料の自給を語らないのか?
柴田明夫(資源・食糧問題研究所)
┏━━━┓
┃特集2┃維新の政治─「改革」の幻惑
┗━━━╋…────────────────────────────────
〈躍進の背景〉
維新を勝たせる心理と論理
松本 創(ノンフィクションライター)
〈対談〉
子どもがいて、地域があって、学校がある──大阪「教育改革」で何が失われたか
久保 敬(大阪市立木川南小学校校長)、名田正廣(大阪市立港中学校校長)、司会=斉加尚代(毎日放送)
〈「改革」幻想を振り払う〉
大阪と市民自治─維新には何が不可能か
平松邦夫(元大阪市長)
〈現実的提言〉
身を切る改革を実行したいなら
三木義一(青山学院大学)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◆注目記事
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
〈劣化する公共放送〉
NHKに何が起きているのか?──「河瀬直美が見つめた東京五輪」問題の深層
長井 暁(ジャーナリスト)
〈腐った国家にメスを!〉
「赤木ファイル」を読む(下)─公務員個人の責任が問われぬ不条理
金平茂紀(ジャーナリスト)
〈調査報道〉
台湾有事と日米共同作戦─南西諸島を再び戦禍の犠牲にするのか
石井 暁(共同通信)
〈島の現実〉
沖縄と基地とオミクロン
下地由実子(沖縄タイムス)
〈合理的に考える〉
防衛費2%の無理と無駄
文谷数重(軍事評論家)
〈原発はグリーンか?〉
原発とどう向き合うか?──葛藤するEUの均衡解
八田浩輔(毎日新聞)
〈殺害危機から逃れて〉
ネグロスからの手紙─虐殺と弾圧の島で (特別篇・下)
私は生きる 家族とドイツへ
クラリッサ・シングソン(人権アクティビスト)、訳・構成=木村英昭・勅使川原香世子
〈追悼〉
池明観先生と『世界』
岡本 厚(元『世界』編集長)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◇世界の潮
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◇行政と「連携」するマスメディア─何が問われるべきか
山田健太
◇名護市長選─基地建設と住民の希望
猿田佐世
◇「台湾有事」報道の虚と実
本田善彦
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◇SEKAI Review of Books
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◇香港映画「時代革命」が問う自由
吉岡桂子(朝日新聞)
◇読書の要諦──文芸 絶対矛盾という業
藤沢 周(小説家)
◇【連載】本とチェック 第6回 池明観先生のこと
金承福(「クオン」代表)
◇新刊紹介
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
●連載
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
----〈新連載〉----------
●ルーツを巡る旅、ヘイトに抗う道【第1回】
語らなかった父
安田菜津紀(フォトジャーナリスト)
●沖縄・半世紀の群像【第1回】
─川平朝清
渡辺 豪(ジャーナリスト)
----〈好評連載〉----------
●デジタル・デモクラシー【第3回】
アルゴリズム・ジャスティス
内田聖子(PARC)
●分水嶺II コロナ緊急事態と専門家【第8回】
オミクロン爆発
河合香織(ノンフィクション作家)
----〈短期連載〉----------
●ルポ フェミサイド─メキシコの女性たちは闘う (前編)
裁きを求めて
工藤律子(ジャーナリスト)
----------------------------
●脳力のレッスン 特別篇
「新しい資本主義」への視界を拓く─新次元のルール形成の必要性
寺島実郎
●メディア批評【第171回】
神保太郎(ジャーナリスト)
●片山善博の「日本を診る」(148)
岸田政権のもとでそろりと変わりつつある新型コロナ対策
片山善博(早稲田大学)
●但馬日記【第34回】
豪雪、そして災禍再来
平田オリザ(劇作家)
●いま、この惑星で起きていること【第27回】
パンダもタコも救え
森さやか(気象予報士)
●亡所考【第15回】
稲作至上のもたらす災禍
北條勝貴(上智大学)
●沖縄(シマ)という窓
ウチナーグチを学び、つなぐ
親川志奈子(沖縄大学非常勤講師)
●ドキュメント激動の南北朝鮮(295)(21・12~22・1)
編集部
●原発月報(21・12~22・1)
福島原発事故記録チーム
●民話採光
阿部海太(絵描き・絵本描き)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
○読者投句・岩波俳句
選・文=池田澄子(俳人)
○アムネスティ通信
○読者談話室
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
○表紙写真
壁画の中国人女性の前を通り過ぎる観光客。タイ・バンコク、2021 年1 月19 日。
Adisorn Chabsungnoen /SOPA Images via ZUMA Press Wire /共同通信イメージズ
○デザイン
赤崎正一 + 佐野裕哉 (協力=国府台さくら)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
編集後記
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パイロットが出発のアナウンスをしました。私たちは、生きて、故国を飛び立てたのです――。強権的な政府と軍部による政治的弾圧に対峙してきたクラリッサ・シングソンさんが、身近に生命の危険が迫ったことから、フィリピンを離れた。
本誌連載を通じてフィリピンにおける人権侵害の実態を報告してこられた。きっかけを作ってくれたのはジャーナリストの木村英昭さんである。同国における農民運動への苛酷な弾圧の背景に日本の商社の存在があることから、本誌に、現地からの声を掲載できないかとお声かけくださった。そのイメージは、かつてのT・K生、池明観さんの「韓国からの通信」である、と。本誌二〇二〇年一二月号で木村氏が書いているように、フィリピンではドゥテルテ政権のもとの「超法規的殺害」で、多くの人権活動家などが殺害されており、日本政府はこれを看過してきた。
シングソンさんはドイツの政府系機関が準備したプログラムを用いて亡命した。それがよりよい選択であり、間違っても日本に来てはならないと言わざるを得ないことが、本当に悔しい。シングソンさんは人権擁護の活動を続行されるとのことだが、まずは心身を癒やしてほしい。そしてまた本誌にて状況をご報告いただきたいと思う。
不条理のもと、苦楽をともにした友人たちやコミュニティに別れを告げ、故郷から引き離されるリアリティは、私などの想像を絶する。その苦しさを日本で理解できるのは、おそらく福島の原発事故避難者の人々であろう。
まもなく3・11から一一年となる。一〇年の時を経る中で、不条理は埋め合わされるどころか、むしろ深まっているような気がしてならない。現状をめぐる報告を次号で掲載予定である。
不条理に対し、現地に踏みとどまって声をあげつづける人もいる。本号で吉岡桂子さんが伝える香港の映画監督・周冠威さんのインタビューをぜひ読んでほしい。国家安全維持法のもと自由が失われていく香港では、次々に民主的なメディアが潰されている。
こうした暴挙を許すことはできない。中国政府に対して強く抗議するとともに、この異常な状況の下、なお言論とジャーナリズムの独立を維持しようと努める香港のすべての市民と連帯する。
一方、日本におけるジャーナリズムは、ある日いきなり当局の捜査が入り、関係者が逮捕されて潰れるのではないだろう。いまNHKで起きていること(今号長井報告)、マスメディアの行政との近さ(今号山田論文、松本報告)を見れば、この国のメディアの独立が土台から腐りつつあることがわかる。
だが、その対極にあるジャーナリズム実践も存在する。今号の石井暁氏や青木理氏の記事は、その一つの到達であると思う。そして、本誌がこうした実践を継続できるとすれば、それはひとえに読者の支持があるからである。ひきつづきのご支持をお願いしたい。
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~~『世界』から生まれた本~~
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◎分水嶺 ドキュメント コロナ対策専門家会議
河合香織
定価1,980円
http://iwnm.jp/061466
クラスター対策に3密回避。専門家たちの議論と葛藤を、政権や行政も含め関係者の証言で描くノンフィクション。
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~~「WEB世界」のご案内~~
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雑誌『世界』のWEB版もぜひ、ご覧ください
https://tanemaki.iwanami.co.jp/
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◇「webいわなみ たねをまく」(岩波書店のウェブマガジン)
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岩波書店営業部読者係(TEL:03-5210-4111,FAX:03-3263-6999)
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┃特集1┃経済安保の裏側
┗━━━╋…────────────────────────────────
〈ルポ〉
町工場 vs 公安警察─ルポ 大川原化工機事件
青木 理(ジャーナリスト)
〈権益と省益〉
官僚たちの経済安保─"自国ファースト"の陰で
富田 光(東京新聞)
〈学術会議問題の背景〉
動員される科学・技術と研究者
井原 聰(東北大学名誉教授)
〈短期連載〉
ルポ 経済安保の人脈と文脈【第1回】─先駆者の懸念
斎藤貴男(ジャーナリスト)
〈生活と生命を保障するもの〉
なぜ資源/食料の自給を語らないのか?
柴田明夫(資源・食糧問題研究所)
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┃特集2┃維新の政治─「改革」の幻惑
┗━━━╋…────────────────────────────────
〈躍進の背景〉
維新を勝たせる心理と論理
松本 創(ノンフィクションライター)
〈対談〉
子どもがいて、地域があって、学校がある──大阪「教育改革」で何が失われたか
久保 敬(大阪市立木川南小学校校長)、名田正廣(大阪市立港中学校校長)、司会=斉加尚代(毎日放送)
〈「改革」幻想を振り払う〉
大阪と市民自治─維新には何が不可能か
平松邦夫(元大阪市長)
〈現実的提言〉
身を切る改革を実行したいなら
三木義一(青山学院大学)
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◆注目記事
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〈劣化する公共放送〉
NHKに何が起きているのか?──「河瀬直美が見つめた東京五輪」問題の深層
長井 暁(ジャーナリスト)
〈腐った国家にメスを!〉
「赤木ファイル」を読む(下)─公務員個人の責任が問われぬ不条理
金平茂紀(ジャーナリスト)
〈調査報道〉
台湾有事と日米共同作戦─南西諸島を再び戦禍の犠牲にするのか
石井 暁(共同通信)
〈島の現実〉
沖縄と基地とオミクロン
下地由実子(沖縄タイムス)
〈合理的に考える〉
防衛費2%の無理と無駄
文谷数重(軍事評論家)
〈原発はグリーンか?〉
原発とどう向き合うか?──葛藤するEUの均衡解
八田浩輔(毎日新聞)
〈殺害危機から逃れて〉
ネグロスからの手紙─虐殺と弾圧の島で (特別篇・下)
私は生きる 家族とドイツへ
クラリッサ・シングソン(人権アクティビスト)、訳・構成=木村英昭・勅使川原香世子
〈追悼〉
池明観先生と『世界』
岡本 厚(元『世界』編集長)
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◇世界の潮
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◇行政と「連携」するマスメディア─何が問われるべきか
山田健太
◇名護市長選─基地建設と住民の希望
猿田佐世
◇「台湾有事」報道の虚と実
本田善彦
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◇SEKAI Review of Books
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◇香港映画「時代革命」が問う自由
吉岡桂子(朝日新聞)
◇読書の要諦──文芸 絶対矛盾という業
藤沢 周(小説家)
◇【連載】本とチェック 第6回 池明観先生のこと
金承福(「クオン」代表)
◇新刊紹介
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●連載
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----〈新連載〉----------
●ルーツを巡る旅、ヘイトに抗う道【第1回】
語らなかった父
安田菜津紀(フォトジャーナリスト)
●沖縄・半世紀の群像【第1回】
─川平朝清
渡辺 豪(ジャーナリスト)
----〈好評連載〉----------
●デジタル・デモクラシー【第3回】
アルゴリズム・ジャスティス
内田聖子(PARC)
●分水嶺II コロナ緊急事態と専門家【第8回】
オミクロン爆発
河合香織(ノンフィクション作家)
----〈短期連載〉----------
●ルポ フェミサイド─メキシコの女性たちは闘う (前編)
裁きを求めて
工藤律子(ジャーナリスト)
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●脳力のレッスン 特別篇
「新しい資本主義」への視界を拓く─新次元のルール形成の必要性
寺島実郎
●メディア批評【第171回】
神保太郎(ジャーナリスト)
●片山善博の「日本を診る」(148)
岸田政権のもとでそろりと変わりつつある新型コロナ対策
片山善博(早稲田大学)
●但馬日記【第34回】
豪雪、そして災禍再来
平田オリザ(劇作家)
●いま、この惑星で起きていること【第27回】
パンダもタコも救え
森さやか(気象予報士)
●亡所考【第15回】
稲作至上のもたらす災禍
北條勝貴(上智大学)
●沖縄(シマ)という窓
ウチナーグチを学び、つなぐ
親川志奈子(沖縄大学非常勤講師)
●ドキュメント激動の南北朝鮮(295)(21・12~22・1)
編集部
●原発月報(21・12~22・1)
福島原発事故記録チーム
●民話採光
阿部海太(絵描き・絵本描き)
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○読者投句・岩波俳句
選・文=池田澄子(俳人)
○アムネスティ通信
○読者談話室
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○表紙写真
壁画の中国人女性の前を通り過ぎる観光客。タイ・バンコク、2021 年1 月19 日。
Adisorn Chabsungnoen /SOPA Images via ZUMA Press Wire /共同通信イメージズ
○デザイン
赤崎正一 + 佐野裕哉 (協力=国府台さくら)
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編集後記
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パイロットが出発のアナウンスをしました。私たちは、生きて、故国を飛び立てたのです――。強権的な政府と軍部による政治的弾圧に対峙してきたクラリッサ・シングソンさんが、身近に生命の危険が迫ったことから、フィリピンを離れた。
本誌連載を通じてフィリピンにおける人権侵害の実態を報告してこられた。きっかけを作ってくれたのはジャーナリストの木村英昭さんである。同国における農民運動への苛酷な弾圧の背景に日本の商社の存在があることから、本誌に、現地からの声を掲載できないかとお声かけくださった。そのイメージは、かつてのT・K生、池明観さんの「韓国からの通信」である、と。本誌二〇二〇年一二月号で木村氏が書いているように、フィリピンではドゥテルテ政権のもとの「超法規的殺害」で、多くの人権活動家などが殺害されており、日本政府はこれを看過してきた。
シングソンさんはドイツの政府系機関が準備したプログラムを用いて亡命した。それがよりよい選択であり、間違っても日本に来てはならないと言わざるを得ないことが、本当に悔しい。シングソンさんは人権擁護の活動を続行されるとのことだが、まずは心身を癒やしてほしい。そしてまた本誌にて状況をご報告いただきたいと思う。
不条理のもと、苦楽をともにした友人たちやコミュニティに別れを告げ、故郷から引き離されるリアリティは、私などの想像を絶する。その苦しさを日本で理解できるのは、おそらく福島の原発事故避難者の人々であろう。
まもなく3・11から一一年となる。一〇年の時を経る中で、不条理は埋め合わされるどころか、むしろ深まっているような気がしてならない。現状をめぐる報告を次号で掲載予定である。
不条理に対し、現地に踏みとどまって声をあげつづける人もいる。本号で吉岡桂子さんが伝える香港の映画監督・周冠威さんのインタビューをぜひ読んでほしい。国家安全維持法のもと自由が失われていく香港では、次々に民主的なメディアが潰されている。
こうした暴挙を許すことはできない。中国政府に対して強く抗議するとともに、この異常な状況の下、なお言論とジャーナリズムの独立を維持しようと努める香港のすべての市民と連帯する。
一方、日本におけるジャーナリズムは、ある日いきなり当局の捜査が入り、関係者が逮捕されて潰れるのではないだろう。いまNHKで起きていること(今号長井報告)、マスメディアの行政との近さ(今号山田論文、松本報告)を見れば、この国のメディアの独立が土台から腐りつつあることがわかる。
だが、その対極にあるジャーナリズム実践も存在する。今号の石井暁氏や青木理氏の記事は、その一つの到達であると思う。そして、本誌がこうした実践を継続できるとすれば、それはひとえに読者の支持があるからである。ひきつづきのご支持をお願いしたい。
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クラスター対策に3密回避。専門家たちの議論と葛藤を、政権や行政も含め関係者の証言で描くノンフィクション。
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E-Mail: sekai@iwanami.co.jp
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