『世界』メールマガジン/2022年月号4月号 【特集1:中国とどう向き合うか】【特集2:コロナ禍と子どもたち】
2022/03/08 (Tue) 14:00
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■■ 『世界』メールマガジン/2022年4月号
■■ vol.#0082
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■『世界』2022年4月号(第955号)好評発売中
2022年3月8日発行
定価935円(税込)
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▼本号の目次
特集/注目記事/世界の潮/SEKAI Review of Books/連載/編集後記/『世界』から生まれた本/「WEB世界」のご案内
┏━━━┓
┃特集1┃中国とどう向き合うか
┗━━━╋…────────────────────────────────
〈重層的な関係を〉
日中関係の現在地と方向性
高原明生(東京大学)
〈「共同富裕」の正体〉
加速する「アジア的な新自由主義」――ポストコロナの中国社会を展望する
梶谷 懐(神戸大学)
〈半導体の攻防〉
アメリカに翻弄される日中経済関係
丸川知雄(東京大学)
〈アメリカの視線から離れる〉
米中対立と東アジア冷戦――歴史の反復と差異から見る
丸川哲史(明治大学)
〈インタビュー〉
漂流する中国のジェンダー秩序――市場化と権威主義のはざまで
小浜正子(日本大学)
〈インタビュー〉
外交の知恵を尽くせ――国交正常化五〇年の節目を前に
河野洋平(元衆議院議長)
〈圧政の現場〉
香港から中国を知る――「共産党が指導する香港」との向き合い方
倉田 徹(立教大学)
〈特別篇 連載20周年〉
資本主義と民主主義の関係性(1)――中国 国家資本主義という擬制
寺島実郎
〈事態の構造〉
ウクライナ侵攻――「勝者なき紛争」がなぜ起こったか
大串 敦(慶應義塾大学)
┏━━━┓
┃特集2┃コロナ禍と子どもたち
┗━━━╋…────────────────────────────────
〈インタビュー〉
まずは子どもの声をきくこと――「コロナ×こどもアンケート」から
半谷まゆみ(国立成育医療研究センター)
〈「主体性」の迷宮を抜けて〉
新型ウイルスが問う「学校」――選択のロジックからケアのロジックへ
酒井 朗(上智大学)
〈折り重なる歴史〉
コロナ禍と子ども観の諸相――歴史から現在地の地図を描く
元森絵里子(明治学院大学)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◆注目記事
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
〈ルポ〉
福島の甲状腺がん――声を上げた子どもたち
片山夏子(東京新聞)
〈報告〉
ジハード大陸2・0――バージョンアップするイスラム過激派とアフリカの混沌
服部正法(毎日新聞)
〈真の問題点とは〉
敵基地攻撃能力と安保法制
阪田雅裕(元内閣法制局長官)
〈沖縄と向き合う〉
沖縄・半世紀の群像 第2回――森口豁
渡辺 豪(ジャーナリスト)
〈政治記者の眼〉
宏池会の思想とは何か――岸田首相に与う
西山太吉(ジャーナリスト)
〈特別対談〉
人新世の環境学へ(第一回)――SDGsは「大衆のアヘン」か?
宮本憲一(大阪市立大学名誉教授)、斎藤幸平(大阪市立大学)、聞き手=佐々木 実、解説=加藤正文
〈時代の記録〉
読者投稿 コロナ禍を生きる(上)
姜秀一・南條恭久・宮原正典・岡田徹也
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◇世界の潮
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◇北京冬季五輪――人権・ジェンダーは問われたか
來田享子
◇プルトニウム延命?――高速炉開発への日米協力の深層
田窪雅文
◇「教員不足」 初の文科省調査を読む
氏岡真弓
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◇SEKAI Review of Books
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◇施設で育つ子どもたちへの支援
高橋亜美(ゆずりは)
◇読書の要諦――SF ブランキと並行宇宙の想像力
酒井隆史(大阪府立大学)
◇【新刊】模索しつつも韓国社会は進む――鄭喜鎭編著『#MeTooの政治学』
古橋 綾(東京外国語大学非常勤講師)
◇【連載】本とチェック 第7回 出版都市パジュで
金承福(「クオン」代表)
◇新刊紹介
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●連載
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
●〈新連載〉閉ざされた土地 第1回――出回っていた放射性廃棄物
吉田千亜(ライター)
●〈短期連載〉ルポ フェミサイド――メキシコの女性たちは闘う(後編)根絶を目指して
工藤律子(ジャーナリスト)、写真=篠田有史
●ルーツを巡る旅、ヘイトに抗う道【第2回】
家族の軌跡と傷跡
安田菜津紀(フォトジャーナリスト)
●デジタル・デモクラシー【第4回】
ロビイストから民主主義を取り戻す
内田聖子(PARC)
●片山善博の「日本を診る」(149)
法律を読まない、法律が読めない法治国家
片山善博(早稲田大学)
●メディア批評【第172回】
神保太郎(ジャーナリスト)
●いま、この惑星で起きていること【第28回】
加速する変動、ヒトの打つ手は?
森さやか(気象予報士)
●但馬日記【第35回】
明けない夜はない――池明観先生との思い出
平田オリザ(劇作家)
●沖縄(シマ)という窓
「変わらぬ基地 続く苦悩」――復帰五〇年の現実
松元 剛(琉球新報)
●亡所考【第16回】
干拓の埋めた葛藤
北條勝貴(上智大学)
●お許しいただければ――年配者について(A.G.ガードナー)
訳=行方昭夫(英文学者)
●原発月報(22・1~2)
福島原発事故記録チーム
●ドキュメント激動の南北朝鮮(296)(22・1~2)
編集部
●民話採光
阿部海太(絵描き・絵本描き)
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○読者投句・岩波俳句
選・文=池田澄子(俳人)
○アムネスティ通信
○読者談話室
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
○表紙写真
ピンク色に染まった畑に寝そべる観光客。中国山東省青島。
2020年10月24日。VCG/ゲッティ/共同通信イメージズ
○デザイン
赤崎正一 + 佐野裕哉 (協力=国府台さくら)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
編集後記
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
戦争は、一度起こしてしまうと、その「後始末」に膨大な労力と時間を要し、後の世代にきわめて大きな負担を残す。とりわけその戦争の相手が隣国である場合には。そのことを私たちは痛感している。
中国や朝鮮などアジア諸国を侵略し多大な惨禍をもたらした「政府の行為」(憲法前文)によって、本来は共に未来を構築すべき隣人たちと、私たちは依然として安定的な関係を築けず、自らの中の差別性、加害者性をいまだ克服できずにいる。安田菜津紀さんの連載を読んでその感を強くする。
傷ついた関係性をそのままにするのではなく、後の世代のために修復する、解決できない問題は棚上げして後の世代の知恵に託す、たしかにそのような精神性が、日中国交正常化にあたった当事者たちに存在した(今号、河野洋平氏)。その根底に、武力による紛争の解決は永久に行なわないという戦後日本の原点、政治と外交のポリシーがあり、その延長上に、アジア諸国との信頼関係が構築されていくはずであった。
だが、「台湾有事は日本有事」などと戦争準備を煽る政治家があらわれ、敵基地攻撃が場当たり的に論議され(今号、阪田雅裕論文)、実際にアメリカとの共同作戦案が作成される(前号、石井暁報告)、そのような段階にまで再び至っている。憲法施行七五年を迎える今年、戦後日本の原点――それは本誌創刊の原点でもある――を確認していきたい。
若い世代、後の世代に多大な負担を強いる過ちを、現在の私たちも犯してしまっている。片山夏子氏が報告する、甲状腺がんを発症した福島の子どもたちの声と向き合いたい。また、さらなる被曝を強いる廃棄物処理をめぐり、吉田千亜氏が事実を掘り起こしている。原発事故による被曝との因果関係など科学的問題をめぐっては、小社の『科学』誌が詳細な分析と報告を継続しているので、併せて参照してほしい。同誌三月号の編集後記では田中太郎編集長が、甲状腺がんと被曝との因果関係を否定する「科学的」論議をめぐって、「事実も、法も、科学も、ないがしろにされて」いる状況を批判し、四月号で関連の特集を組むとしている。
今号第二特集ではコロナ禍が子どもに与えている影響を考察した。問題はウイルスではなく政治であり、大人の側の責任の果たし方である。新たな省庁の設置など、子どもをめぐる政策が話題になっている今、児童養護施設で育つ子どもたちの支援に取り組む高橋亜美氏の文章とともに読んでほしい。
さて、経済安保と維新の政治を特集し、反響の大きかった前号は、発売後すぐ完売してしまい、多くの追加注文に応じることができなかった。入手できなかった方々にお詫びいたします。
あるべきジャーナリズム実践に対する支持の厚みを実感する。今後も、時代の提起する課題と正面から向き合い、読者の「知る権利」に奉仕する誌面づくりに徹していこうと思う。
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~~『世界』から生まれた本~~
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◎分水嶺 ドキュメント コロナ対策専門家会議
河合香織
定価1,980円
http://iwnm.jp/061466
クラスター対策に3密回避。専門家たちの議論と葛藤を、政権や行政も含め関係者の証言で描くノンフィクション。
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~~「WEB世界」のご案内~~
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
雑誌『世界』のWEB版もぜひ、ご覧ください
https://tanemaki.iwanami.co.jp/
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◇「webいわなみ たねをまく」(岩波書店のウェブマガジン)
https://tanemaki.iwanami.co.jp/
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登録情報の編集・解除は,こちらよりお願いいたします.
http://iwnm.jp/MM
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□『世界』メールマガジン
〒101-8002 東京都千代田区一ツ橋2-5-5
E-Mail: sekai@iwanami.co.jp
WEB: http://iwnm.jp/sekai
Twitter: https://twitter.com/WEB_SEKAI
◇本誌のご注文はお近くの書店か小社営業部宛てにお願いいたします.
岩波書店営業部読者係(TEL:03-5210-4111,FAX:03-3263-6999)
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■■ vol.#0082
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■『世界』2022年4月号(第955号)好評発売中
2022年3月8日発行
定価935円(税込)
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▼本号の目次
特集/注目記事/世界の潮/SEKAI Review of Books/連載/編集後記/『世界』から生まれた本/「WEB世界」のご案内
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┃特集1┃中国とどう向き合うか
┗━━━╋…────────────────────────────────
〈重層的な関係を〉
日中関係の現在地と方向性
高原明生(東京大学)
〈「共同富裕」の正体〉
加速する「アジア的な新自由主義」――ポストコロナの中国社会を展望する
梶谷 懐(神戸大学)
〈半導体の攻防〉
アメリカに翻弄される日中経済関係
丸川知雄(東京大学)
〈アメリカの視線から離れる〉
米中対立と東アジア冷戦――歴史の反復と差異から見る
丸川哲史(明治大学)
〈インタビュー〉
漂流する中国のジェンダー秩序――市場化と権威主義のはざまで
小浜正子(日本大学)
〈インタビュー〉
外交の知恵を尽くせ――国交正常化五〇年の節目を前に
河野洋平(元衆議院議長)
〈圧政の現場〉
香港から中国を知る――「共産党が指導する香港」との向き合い方
倉田 徹(立教大学)
〈特別篇 連載20周年〉
資本主義と民主主義の関係性(1)――中国 国家資本主義という擬制
寺島実郎
〈事態の構造〉
ウクライナ侵攻――「勝者なき紛争」がなぜ起こったか
大串 敦(慶應義塾大学)
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┃特集2┃コロナ禍と子どもたち
┗━━━╋…────────────────────────────────
〈インタビュー〉
まずは子どもの声をきくこと――「コロナ×こどもアンケート」から
半谷まゆみ(国立成育医療研究センター)
〈「主体性」の迷宮を抜けて〉
新型ウイルスが問う「学校」――選択のロジックからケアのロジックへ
酒井 朗(上智大学)
〈折り重なる歴史〉
コロナ禍と子ども観の諸相――歴史から現在地の地図を描く
元森絵里子(明治学院大学)
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◆注目記事
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〈ルポ〉
福島の甲状腺がん――声を上げた子どもたち
片山夏子(東京新聞)
〈報告〉
ジハード大陸2・0――バージョンアップするイスラム過激派とアフリカの混沌
服部正法(毎日新聞)
〈真の問題点とは〉
敵基地攻撃能力と安保法制
阪田雅裕(元内閣法制局長官)
〈沖縄と向き合う〉
沖縄・半世紀の群像 第2回――森口豁
渡辺 豪(ジャーナリスト)
〈政治記者の眼〉
宏池会の思想とは何か――岸田首相に与う
西山太吉(ジャーナリスト)
〈特別対談〉
人新世の環境学へ(第一回)――SDGsは「大衆のアヘン」か?
宮本憲一(大阪市立大学名誉教授)、斎藤幸平(大阪市立大学)、聞き手=佐々木 実、解説=加藤正文
〈時代の記録〉
読者投稿 コロナ禍を生きる(上)
姜秀一・南條恭久・宮原正典・岡田徹也
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◇世界の潮
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◇北京冬季五輪――人権・ジェンダーは問われたか
來田享子
◇プルトニウム延命?――高速炉開発への日米協力の深層
田窪雅文
◇「教員不足」 初の文科省調査を読む
氏岡真弓
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◇SEKAI Review of Books
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◇施設で育つ子どもたちへの支援
高橋亜美(ゆずりは)
◇読書の要諦――SF ブランキと並行宇宙の想像力
酒井隆史(大阪府立大学)
◇【新刊】模索しつつも韓国社会は進む――鄭喜鎭編著『#MeTooの政治学』
古橋 綾(東京外国語大学非常勤講師)
◇【連載】本とチェック 第7回 出版都市パジュで
金承福(「クオン」代表)
◇新刊紹介
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●連載
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●〈新連載〉閉ざされた土地 第1回――出回っていた放射性廃棄物
吉田千亜(ライター)
●〈短期連載〉ルポ フェミサイド――メキシコの女性たちは闘う(後編)根絶を目指して
工藤律子(ジャーナリスト)、写真=篠田有史
●ルーツを巡る旅、ヘイトに抗う道【第2回】
家族の軌跡と傷跡
安田菜津紀(フォトジャーナリスト)
●デジタル・デモクラシー【第4回】
ロビイストから民主主義を取り戻す
内田聖子(PARC)
●片山善博の「日本を診る」(149)
法律を読まない、法律が読めない法治国家
片山善博(早稲田大学)
●メディア批評【第172回】
神保太郎(ジャーナリスト)
●いま、この惑星で起きていること【第28回】
加速する変動、ヒトの打つ手は?
森さやか(気象予報士)
●但馬日記【第35回】
明けない夜はない――池明観先生との思い出
平田オリザ(劇作家)
●沖縄(シマ)という窓
「変わらぬ基地 続く苦悩」――復帰五〇年の現実
松元 剛(琉球新報)
●亡所考【第16回】
干拓の埋めた葛藤
北條勝貴(上智大学)
●お許しいただければ――年配者について(A.G.ガードナー)
訳=行方昭夫(英文学者)
●原発月報(22・1~2)
福島原発事故記録チーム
●ドキュメント激動の南北朝鮮(296)(22・1~2)
編集部
●民話採光
阿部海太(絵描き・絵本描き)
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○読者投句・岩波俳句
選・文=池田澄子(俳人)
○アムネスティ通信
○読者談話室
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○表紙写真
ピンク色に染まった畑に寝そべる観光客。中国山東省青島。
2020年10月24日。VCG/ゲッティ/共同通信イメージズ
○デザイン
赤崎正一 + 佐野裕哉 (協力=国府台さくら)
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編集後記
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戦争は、一度起こしてしまうと、その「後始末」に膨大な労力と時間を要し、後の世代にきわめて大きな負担を残す。とりわけその戦争の相手が隣国である場合には。そのことを私たちは痛感している。
中国や朝鮮などアジア諸国を侵略し多大な惨禍をもたらした「政府の行為」(憲法前文)によって、本来は共に未来を構築すべき隣人たちと、私たちは依然として安定的な関係を築けず、自らの中の差別性、加害者性をいまだ克服できずにいる。安田菜津紀さんの連載を読んでその感を強くする。
傷ついた関係性をそのままにするのではなく、後の世代のために修復する、解決できない問題は棚上げして後の世代の知恵に託す、たしかにそのような精神性が、日中国交正常化にあたった当事者たちに存在した(今号、河野洋平氏)。その根底に、武力による紛争の解決は永久に行なわないという戦後日本の原点、政治と外交のポリシーがあり、その延長上に、アジア諸国との信頼関係が構築されていくはずであった。
だが、「台湾有事は日本有事」などと戦争準備を煽る政治家があらわれ、敵基地攻撃が場当たり的に論議され(今号、阪田雅裕論文)、実際にアメリカとの共同作戦案が作成される(前号、石井暁報告)、そのような段階にまで再び至っている。憲法施行七五年を迎える今年、戦後日本の原点――それは本誌創刊の原点でもある――を確認していきたい。
若い世代、後の世代に多大な負担を強いる過ちを、現在の私たちも犯してしまっている。片山夏子氏が報告する、甲状腺がんを発症した福島の子どもたちの声と向き合いたい。また、さらなる被曝を強いる廃棄物処理をめぐり、吉田千亜氏が事実を掘り起こしている。原発事故による被曝との因果関係など科学的問題をめぐっては、小社の『科学』誌が詳細な分析と報告を継続しているので、併せて参照してほしい。同誌三月号の編集後記では田中太郎編集長が、甲状腺がんと被曝との因果関係を否定する「科学的」論議をめぐって、「事実も、法も、科学も、ないがしろにされて」いる状況を批判し、四月号で関連の特集を組むとしている。
今号第二特集ではコロナ禍が子どもに与えている影響を考察した。問題はウイルスではなく政治であり、大人の側の責任の果たし方である。新たな省庁の設置など、子どもをめぐる政策が話題になっている今、児童養護施設で育つ子どもたちの支援に取り組む高橋亜美氏の文章とともに読んでほしい。
さて、経済安保と維新の政治を特集し、反響の大きかった前号は、発売後すぐ完売してしまい、多くの追加注文に応じることができなかった。入手できなかった方々にお詫びいたします。
あるべきジャーナリズム実践に対する支持の厚みを実感する。今後も、時代の提起する課題と正面から向き合い、読者の「知る権利」に奉仕する誌面づくりに徹していこうと思う。
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~~『世界』から生まれた本~~
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◎分水嶺 ドキュメント コロナ対策専門家会議
河合香織
定価1,980円
http://iwnm.jp/061466
クラスター対策に3密回避。専門家たちの議論と葛藤を、政権や行政も含め関係者の証言で描くノンフィクション。
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E-Mail: sekai@iwanami.co.jp
WEB: http://iwnm.jp/sekai
Twitter: https://twitter.com/WEB_SEKAI
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