『世界』メールマガジン/2022年月号6月号 【特集1:核軍縮というリアリティ】【特集2:批判的野党がなぜ必要か】
2022/05/09 (Mon) 17:00
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■■ 『世界』メールマガジン/2022年6月号
■■ vol.#0084
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■『世界』2022年6月号(第958号)好評発売中
2022年5月7日発行
定価935円(税込)
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▼本号の目次
特集/注目記事/世界の潮/SEKAI Review of Books/連載/編集後記/『世界』臨時増刊月号のご案内
/『世界』から生まれた本/「WEB世界」のご案内
┏━━━┓
┃特集1┃核軍縮というリアリティ
┗━━━╋…────────────────────────────────
〈逆流に抗して〉
核軍縮の必要と必然――困難な道のりをどう進むか
中満 泉(国連事務次長)
〈廃絶へ前進を〉
核兵器禁止条約という現実的選択――日本は締約国会議に参加せよ
川崎 哲(ICAN)
〈アメリカ核戦略を読む〉
核カオスの深淵――プーチンの核恫喝とバイデンの新核戦略
太田昌克(共同通信)
〈核の威嚇との対峙〉
巨大リスクが可視化した世界――「プーチン危機」後の核軍縮
吉田文彦(長崎大学)
┏━━━┓
┃特集2┃批判的野党がなぜ必要か
┗━━━╋…────────────────────────────────
〈民主政治における機能〉
「野党の役割」とは何か
吉田 徹(同志社大学)
〈対談〉
リベラル政党の「可能性」と「不可能性」
杉田 敦(法政大学)×齋藤純一(早稲田大学)
〈インタビュー〉
野党がジェンダーで「勝つ」ために――政治家に求められる発信を考える
太田啓子(弁護士)
〈予算賛成の深層〉
分断される野党――自民党の執念と旧民主党系の混迷
川上高志(共同通信)
〈「連合」の行方〉
批判的労働運動の政治的使命
篠田 徹(早稲田大学)
〈批判的な議論とは〉
「批判する」とはどういうことか――ある現代哲学の視点から
小河原 誠(哲学者)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◆注目記事
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
〈異なる視角から〉
旧ソ連の軛――ウクライナ戦争と中央アジア
地田徹朗(名古屋外国語大学)
〈EUの混迷と模索〉
エネルギー危機のヨーロッパ――ウクライナ侵攻と脱炭素政策の行方
ミランダ・シュラーズ(ミュンヘン工科大学)、訳=幾島幸子
〈脳力のレッスン特別篇〉
ウクライナ危機とロシアの本質(1)
寺島実郎
〈現代文明の本質〉
「新しい資本主義」とはなにか――レント資本主義と『資本論』の射程
佐々木隆治(立教大学)
〈何が問題か?〉
デジタル日本 その政策形成における課題
若江雅子(読売新聞)
〈好評連載〉
デジタル・デモクラシー 第6回――監視広告を駆逐せよ
内田聖子(PARC)
〈短期連載〉
生きる現場からの憲法 第2回――「戦争」と「女性」を地域から問う
大門正克(早稲田大学特任教授)
〈中間総括〉
新型コロナ対策の妥当性を問う――特措法制定の当事者として
岡田晴恵(白鴎大学)、田代眞人(元国立感染症研究所)
〈ウィル・スミス平手打ち事件〉
ジェイダ・ピンケット・スミスは〈冗談を笑って受け流す〉必要はない。そう、あなたも。
ロクサーヌ・ゲイ(作家)、訳・解説=KANA
〈好評対談〉
人新世の環境学へ 第2回(完)――なぜいまカール・マルクスなのか?
宮本憲一(大阪市立大学名誉教授)×斎藤幸平(東京大学)、聞き手=佐々木実、解説=加藤正文
〈最終回〉
ルーツを巡る旅、ヘイトに抗う道 第4回(最終回)――未来に差別を引き継がぬために
安田菜津紀(ジャーナリスト)
〈新連載〉
気候再生のために 第1回――気候変動科学論争の現在地
江守正多(国立環境研究所)
〈時代の記録〉
読者投稿 コロナ禍を生きる(下)
北原潤希・松田奈津子・高山和彦
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◇SEKAI Review of Books
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◇読書の要諦――文芸 草木国土阿鼻地獄
藤沢 周(小説家)
◇新刊紹介
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◇世界の潮
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◇ヤジと憲法――北海道警ヤジ排除問題
山崎裕侍
◇アフガニスタンに迫る人道危機――ウクライナ戦争の陰で
登利谷正人
◇時の壁を破った高裁判決――優生保護法国賠訴訟
大橋由香子
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
●連載
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
●メディア批評【第174回】
神保太郎(ジャーナリスト)
●片山善博の「日本を診る」(151)――街路樹伐採をめぐる混乱から地方議会の役割を再確認する
片山善博(大正大学)
●但馬日記【第37回】
地域コミュニティ再考――「しがらみ」のアップデートへ
平田オリザ(劇作家)
●いま、この惑星で起きていること【第30回】
考える葦と温暖化
森さやか(気象予報士)
●沖縄(シマ)という窓――大和の世からアメリカ世、ひるまさ変わたるこの沖縄
親川志奈子(沖縄大学非常勤講師)
●原発月報――(22・2~4)
福島原発事故記録チーム
●ドキュメント激動の南北朝鮮(298)(22・3~4)
編集部
●民話採光
阿部海太(絵描き・絵本描き)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
○読者投句・岩波俳句
選・文=池田澄子(俳人)
○アムネスティ通信
○読者談話室
○デザイン
赤崎正一 + 佐野裕哉 (協力=国府台さくら)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
編集後記
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
前号では本文冒頭にイエメンの内戦と人道危機をめぐる報告を掲載した(佐藤寛「イエメン 作り上げられた空洞国家」)。今号では同じ「世界の潮」欄でアフガニスタンの現在の状況について登利谷正人氏に報告いただいた。
佐藤寛氏には二〇一七年に二度、二〇一九年にもイエメンの人々の直面する苦境について寄せてもらっており、登利谷氏にも二〇二〇年三月号で「再びアフガニスタンを忘れないために」として寄稿いただいている。今回のタイトルは「アフガニスタンに迫る人道危機」である。本文を読んでほしいが、同国では人口の「約半数が深刻な飢餓に直面」しており、国連が支援を呼びかけている。国際社会――私たち――は、アフガニスタンの市民のことを忘れてしまっているのではないか、経済制裁をかけっぱなしにしたまま。
つくづく思うのだが、こうした巨大な不公正、あるいは不公平だという認識すらされない本質的な不公平が、冷戦終了後の“平和であったはずの二一世紀”を根底から崩してしまっているのではないか。いまウクライナで問題にされている民間人虐殺、性暴力や拷問、化学兵器、地中貫通爆弾ほかありとあらゆる兵器の使用は、ロシアがウクライナで初めて行なっていることではない。たとえば米軍・英軍・豪軍はアフガニスタンやイラクで、ロシア軍やロシア系軍事組織はシリアやアフリカで、民間人を殺害してきた。そうしたことを見逃し、結果として許してきてしまった先に、現在の事態があるように思えてならない。
ただ一つ、今回のウクライナの事態において決定的に深刻なことは、ロシアによる核兵器の使用がリアリティをもって語られていることだ。折しも、核兵器禁止条約と核不拡散条約の会議が相次いで開催される。日本の市民社会が国際社会に粘り強く訴えてきた「ノーモア・ヒロシマ、ノーモア・ナガサキ」の正念場と思う。今号特集で中満泉氏が指摘するように、この危機を乗り越えたその先に軍縮への展望を拓いていかなければならないだろう。
したがって、と言うべきか。軍事費「2%」などを課題にしている場合ではない(本誌三月号、文谷数重論考)。この点、諸国民の公正と信義ではなく、兵器と軍事同盟にわれらの安全と生存を委ねようという傾向を強める政府与党への批判が重要である。批判的野党の論戦に期待したい。
前号本欄で刊行を予告した臨時増刊にはきわめて大きな反響があり、初刷は瞬く間に売り切れてしまった。数年前まで年に一度刊行していた「別冊」と異なり、今回は臨時増刊という位置づけで、定期購読されている読者へ自動的に送付されるわけではなかったのだが、当方の説明不足のため、刊行日以来、編集部にかかってくる電話にご説明とお詫びの日々である。増刷することとなったので、書店にてお求めくださいますようお願いします。
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~~『世界』臨時増刊号のご案内~~
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◎『世界』臨時増刊 ウクライナ侵略戦争――世界秩序の危機
『世界』編集部 編
2022年4月14日刊
定価1,320円
http://iwnm.jp/022242
国際社会は冷戦終結以降、最大の危機を迎えた。核大国による侵略という事態をどう理解し、どう対峙するのか。多角的に検証する。
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~~『世界』から生まれた本~~
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◎プリズン・サークル
坂上 香
定価2,200円
http://iwnm.jp/061526
人は、ひとりでは罪と向き合えない。日本初となる刑務所内での長期撮影、一〇年超の取材がここに結実。
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~~「WEB世界」のご案内~~
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雑誌『世界』のWEB版もぜひ、ご覧ください
https://tanemaki.iwanami.co.jp/
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□『世界』メールマガジン
〒101-8002 東京都千代田区一ツ橋2-5-5
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WEB: http://iwnm.jp/sekai
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岩波書店営業部読者係(TEL:03-5210-4111,FAX:03-3263-6999)
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定価935円(税込)
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┃特集1┃核軍縮というリアリティ
┗━━━╋…────────────────────────────────
〈逆流に抗して〉
核軍縮の必要と必然――困難な道のりをどう進むか
中満 泉(国連事務次長)
〈廃絶へ前進を〉
核兵器禁止条約という現実的選択――日本は締約国会議に参加せよ
川崎 哲(ICAN)
〈アメリカ核戦略を読む〉
核カオスの深淵――プーチンの核恫喝とバイデンの新核戦略
太田昌克(共同通信)
〈核の威嚇との対峙〉
巨大リスクが可視化した世界――「プーチン危機」後の核軍縮
吉田文彦(長崎大学)
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┃特集2┃批判的野党がなぜ必要か
┗━━━╋…────────────────────────────────
〈民主政治における機能〉
「野党の役割」とは何か
吉田 徹(同志社大学)
〈対談〉
リベラル政党の「可能性」と「不可能性」
杉田 敦(法政大学)×齋藤純一(早稲田大学)
〈インタビュー〉
野党がジェンダーで「勝つ」ために――政治家に求められる発信を考える
太田啓子(弁護士)
〈予算賛成の深層〉
分断される野党――自民党の執念と旧民主党系の混迷
川上高志(共同通信)
〈「連合」の行方〉
批判的労働運動の政治的使命
篠田 徹(早稲田大学)
〈批判的な議論とは〉
「批判する」とはどういうことか――ある現代哲学の視点から
小河原 誠(哲学者)
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◆注目記事
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〈異なる視角から〉
旧ソ連の軛――ウクライナ戦争と中央アジア
地田徹朗(名古屋外国語大学)
〈EUの混迷と模索〉
エネルギー危機のヨーロッパ――ウクライナ侵攻と脱炭素政策の行方
ミランダ・シュラーズ(ミュンヘン工科大学)、訳=幾島幸子
〈脳力のレッスン特別篇〉
ウクライナ危機とロシアの本質(1)
寺島実郎
〈現代文明の本質〉
「新しい資本主義」とはなにか――レント資本主義と『資本論』の射程
佐々木隆治(立教大学)
〈何が問題か?〉
デジタル日本 その政策形成における課題
若江雅子(読売新聞)
〈好評連載〉
デジタル・デモクラシー 第6回――監視広告を駆逐せよ
内田聖子(PARC)
〈短期連載〉
生きる現場からの憲法 第2回――「戦争」と「女性」を地域から問う
大門正克(早稲田大学特任教授)
〈中間総括〉
新型コロナ対策の妥当性を問う――特措法制定の当事者として
岡田晴恵(白鴎大学)、田代眞人(元国立感染症研究所)
〈ウィル・スミス平手打ち事件〉
ジェイダ・ピンケット・スミスは〈冗談を笑って受け流す〉必要はない。そう、あなたも。
ロクサーヌ・ゲイ(作家)、訳・解説=KANA
〈好評対談〉
人新世の環境学へ 第2回(完)――なぜいまカール・マルクスなのか?
宮本憲一(大阪市立大学名誉教授)×斎藤幸平(東京大学)、聞き手=佐々木実、解説=加藤正文
〈最終回〉
ルーツを巡る旅、ヘイトに抗う道 第4回(最終回)――未来に差別を引き継がぬために
安田菜津紀(ジャーナリスト)
〈新連載〉
気候再生のために 第1回――気候変動科学論争の現在地
江守正多(国立環境研究所)
〈時代の記録〉
読者投稿 コロナ禍を生きる(下)
北原潤希・松田奈津子・高山和彦
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◇SEKAI Review of Books
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◇読書の要諦――文芸 草木国土阿鼻地獄
藤沢 周(小説家)
◇新刊紹介
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◇世界の潮
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◇ヤジと憲法――北海道警ヤジ排除問題
山崎裕侍
◇アフガニスタンに迫る人道危機――ウクライナ戦争の陰で
登利谷正人
◇時の壁を破った高裁判決――優生保護法国賠訴訟
大橋由香子
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●連載
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●メディア批評【第174回】
神保太郎(ジャーナリスト)
●片山善博の「日本を診る」(151)――街路樹伐採をめぐる混乱から地方議会の役割を再確認する
片山善博(大正大学)
●但馬日記【第37回】
地域コミュニティ再考――「しがらみ」のアップデートへ
平田オリザ(劇作家)
●いま、この惑星で起きていること【第30回】
考える葦と温暖化
森さやか(気象予報士)
●沖縄(シマ)という窓――大和の世からアメリカ世、ひるまさ変わたるこの沖縄
親川志奈子(沖縄大学非常勤講師)
●原発月報――(22・2~4)
福島原発事故記録チーム
●ドキュメント激動の南北朝鮮(298)(22・3~4)
編集部
●民話採光
阿部海太(絵描き・絵本描き)
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○読者投句・岩波俳句
選・文=池田澄子(俳人)
○アムネスティ通信
○読者談話室
○デザイン
赤崎正一 + 佐野裕哉 (協力=国府台さくら)
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編集後記
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前号では本文冒頭にイエメンの内戦と人道危機をめぐる報告を掲載した(佐藤寛「イエメン 作り上げられた空洞国家」)。今号では同じ「世界の潮」欄でアフガニスタンの現在の状況について登利谷正人氏に報告いただいた。
佐藤寛氏には二〇一七年に二度、二〇一九年にもイエメンの人々の直面する苦境について寄せてもらっており、登利谷氏にも二〇二〇年三月号で「再びアフガニスタンを忘れないために」として寄稿いただいている。今回のタイトルは「アフガニスタンに迫る人道危機」である。本文を読んでほしいが、同国では人口の「約半数が深刻な飢餓に直面」しており、国連が支援を呼びかけている。国際社会――私たち――は、アフガニスタンの市民のことを忘れてしまっているのではないか、経済制裁をかけっぱなしにしたまま。
つくづく思うのだが、こうした巨大な不公正、あるいは不公平だという認識すらされない本質的な不公平が、冷戦終了後の“平和であったはずの二一世紀”を根底から崩してしまっているのではないか。いまウクライナで問題にされている民間人虐殺、性暴力や拷問、化学兵器、地中貫通爆弾ほかありとあらゆる兵器の使用は、ロシアがウクライナで初めて行なっていることではない。たとえば米軍・英軍・豪軍はアフガニスタンやイラクで、ロシア軍やロシア系軍事組織はシリアやアフリカで、民間人を殺害してきた。そうしたことを見逃し、結果として許してきてしまった先に、現在の事態があるように思えてならない。
ただ一つ、今回のウクライナの事態において決定的に深刻なことは、ロシアによる核兵器の使用がリアリティをもって語られていることだ。折しも、核兵器禁止条約と核不拡散条約の会議が相次いで開催される。日本の市民社会が国際社会に粘り強く訴えてきた「ノーモア・ヒロシマ、ノーモア・ナガサキ」の正念場と思う。今号特集で中満泉氏が指摘するように、この危機を乗り越えたその先に軍縮への展望を拓いていかなければならないだろう。
したがって、と言うべきか。軍事費「2%」などを課題にしている場合ではない(本誌三月号、文谷数重論考)。この点、諸国民の公正と信義ではなく、兵器と軍事同盟にわれらの安全と生存を委ねようという傾向を強める政府与党への批判が重要である。批判的野党の論戦に期待したい。
前号本欄で刊行を予告した臨時増刊にはきわめて大きな反響があり、初刷は瞬く間に売り切れてしまった。数年前まで年に一度刊行していた「別冊」と異なり、今回は臨時増刊という位置づけで、定期購読されている読者へ自動的に送付されるわけではなかったのだが、当方の説明不足のため、刊行日以来、編集部にかかってくる電話にご説明とお詫びの日々である。増刷することとなったので、書店にてお求めくださいますようお願いします。
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~~『世界』臨時増刊号のご案内~~
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◎『世界』臨時増刊 ウクライナ侵略戦争――世界秩序の危機
『世界』編集部 編
2022年4月14日刊
定価1,320円
http://iwnm.jp/022242
国際社会は冷戦終結以降、最大の危機を迎えた。核大国による侵略という事態をどう理解し、どう対峙するのか。多角的に検証する。
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~~『世界』から生まれた本~~
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◎プリズン・サークル
坂上 香
定価2,200円
http://iwnm.jp/061526
人は、ひとりでは罪と向き合えない。日本初となる刑務所内での長期撮影、一〇年超の取材がここに結実。
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