『世界』メールマガジン/2022年月号7月号 【特集1:軍拡が平和をもたらすのか】【特集2:侵略の代償――ウクライナ危機と国際社会】
2022/06/08 (Wed) 16:00
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■■ 『世界』メールマガジン/2022年7月号
■■ vol.#0085
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■『世界』2022年7月号(第959号)好評発売中
2022年6月8日発行
定価935円(税込)
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▼本号の目次
特集/注目記事/世界の潮/SEKAI Review of Books/連載/編集後記/『世界』臨時増刊月号のご案内
/『世界』から生まれた本/「WEB世界」のご案内
┏━━━┓
┃特集1┃軍拡が平和をもたらすのか
┗━━━╋…────────────────────────────────
〈新たな構想を〉
抑止とその限界――ロシアのウクライナ侵攻と国際関係
藤原帰一(東京大学客員教授)
〈危険な九条空文化の試み〉
憲法九条を取り戻す途(みち)
城野一憲(福岡大学)
〈批判的検証〉
自民党安保提言批判――アジア版NATOへの道
前田哲男(軍事ジャーナリスト)
〈中国と戦争するのか〉
台湾有事と集団的自衛権
宮崎礼壹(元内閣法制局長官)
〈「敵基地攻撃」の裏面〉
宇宙軍拡 可視化されるべき実態
前田佐和子(元京都女子大学教授)
〈“日本版DARPA”の浅薄〉
経済安保の人脈と文脈 第2回――法成立――看過された議論
斎藤貴男(ジャーナリスト)
┏━━━┓
┃特集2┃侵略の代償――ウクライナ危機と国際社会
┗━━━╋…────────────────────────────────
〈単独行動主義との相克〉
多国間主義の危機――ウクライナ侵略と国際社会の進路
松井芳郎(名古屋大学名誉教授)
〈難民問題と「ジェノサイド」〉
人道危機からみるウクライナ情勢
長有紀枝(立教大学)
〈正義感への警鐘〉
戦争と憤激
ユルゲン・ハーバーマス(哲学者)、訳・解説=三島憲一
〈中立政策の終焉〉
フィンランドの歴史的転換――NATO加盟へ苦渋の決断
柴山由理子(東海大学)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◆注目記事
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
〈警鐘〉
警察国家に向かわぬために――いま、その芽を摘め
青木 理(ジャーナリスト)
〈新連載〉
香港からの通信 第1回――国安法に踏みにじられた報道の自由
林寒盡(ジャーナリスト)
〈調査報道〉
ルポ 保育で儲ける企業
小林美希(ジャーナリスト)
〈好評連載〉
デジタル・デモクラシー 第7回――キッズ・テック
内田聖子(PARC)
〈脳力のレッスン 特別篇〉
ロシア正教という要素――ウクライナ危機とロシアの本質(その2)
寺島実郎
〈原発・石炭モラトリアム?〉
脱炭素はスローダウンするのか――ウクライナ侵攻がもたらす試練を超えて
平田仁子(クライメート・インテグレート代表理事)
〈ルポ〉
暴力と分断――米国の危険な兆候
半沢隆実(共同通信)
〈文明的課題〉
人工知能兵器は許されるか――フランス軍事省倫理委員会意見書から考える
〓島次郎(ヌデシマ ジロウ;生命倫理政策研究会代表)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◇世界の潮
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◇知床遊覧船事故の教訓
河野真理子
◇断ち切られた国家と社会の紐帯――仏大統領選・マクロン再選の意味
吉田 徹
◇「独裁ノスタルジア」の反乱――フィリピン二〇二二年大統領選挙
日下 渉
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◇SEKAI Review of Books
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◇基地の不正義を隠すもの
森 啓輔(専修大学)
◇読書の要諦――SF「赤い火星(レッド・マーズ)」あるいは「赤いローザ(レッド・ローザ)」――宇宙での生活をめぐる想像力の歴史
酒井隆史(大阪府立大学)
◇新刊紹介
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
●連載
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
〈新連載〉
リニア新幹線は可能か?【第1回】――黄信号の米国リニア計画
樫田秀樹(ジャーナリスト)
〈最終回〉
但馬日記【第38回(最終回)】「このまま生きるべきか、変わるべきか」
平田オリザ(劇作家)
亡所考【第18回(最終回)】木々の声は聞こえているか
北條勝貴(上智大学)
〈ローカルとグローバル〉
生きる現場からの憲法【第3回(最終回)】世界の片隅で憲法をたぐりよせる
大門正克(早稲田大学特任教授)
〈見えてきた事実〉
閉ざされた土地【第3回(最終回)】原発被災地と「軍事研究」の距離
吉田千亜(ライター)
〈沖縄戦の記憶から〉
沖縄・半世紀の群像【第4回】牛島貞満
渡辺 豪(ジャーナリスト)
●メディア批評【第175回】
神保太郎(ジャーナリスト)
●片山善博の「日本を診る」(152)――「教師不足」を改善しない関係機関の無責任
片山善博(大正大学)
●気候再生のために【第2回】――ウクライナ侵攻は気候変動対策の歩みをとめるのか
高村ゆかり(東京大学)
●いま、この惑星で起きていること【第31回】気候ミステリー
森さやか(気象予報士)
●沖縄(シマ)という窓――沖縄復帰五〇年の逆説――「変わらないことに目を」
松元 剛(琉球新報)
●分水嶺II――コロナ緊急事態と専門家【第10回】――検証への急展開
河合香織(ノンフィクション作家)
●原発月報――(22・4~5)
福島原発事故記録チーム
●ドキュメント激動の南北朝鮮(299)(22・4~5)
編集部
●民話採光
阿部海太(画家・絵本作家)
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○読者投句・岩波俳句
選・文=池田澄子(俳人)
○アムネスティ通信
○読者談話室
○デザイン
赤崎正一 + 佐野裕哉 (協力=国府台さくら)
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編集後記
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新連載「香港からの通信」は、言うまでもないかもしれないが、かつての本誌連載「韓国からの通信」から、そのタイトルと精神――圧政に対する市民的抵抗への国境を越えた連帯――を引き継いでいる。
香港市民の強い反対を押し潰しつつ国家安全維持法が制定されてから二年。監視と統制が進むディストピア的な状況下の香港において、なお抵抗が続いている。本誌三月号で、香港にとどまって表現活動を続ける周冠威(キウィチョウ)監督のインタビューを掲載したが(吉岡桂子「香港映画『時代革命』が問う自由」)、弾圧に抗して雑誌を編んでいる有志もいるという。
本連載のような企画が必要なのではないかと思ったのは、昨年末、ジャーナリズム関係者への弾圧が進み、次々に独立メディアが消滅した頃、当局に連行される若い編集者の写真を見たときである(今号連載のタイトル写真)。書く場を奪われた第一線の方々に執筆いただくが、現時点ではそのほとんどをペンネームにせざるをえない。いずれ――「韓国からの通信」がそうであったように――民主主義と自由が獲得された時には、協力くださっている方々とともに、公表したい。
この連載を私たちは、「自由な日本」からの高みに立つような気持ちで掲載をするのではない。今号の青木理氏の報告(「警察国家に向かわぬために」)にあるように、安倍―菅政権期を通じて官邸に深く根を下ろした警察官僚の存在と彼らが進める治安政策の数々がこの社会の自由を侵食しはじめている。メディアの側は対峙できているだろうか。
安倍元首相の「全ての顧問を引き受けている」と自称し、他メディアに記事の検閲を求めた朝日新聞記者(現在は退職)の振る舞いは、弾圧を受けるまでもなく内部から根腐れしていく日本のメディアを象徴するかのようだ。
この例では記事を見せるよう求められた週刊ダイヤモンド編集部の側が編集権への介入だとして明確に拒否したために表面化することになったが、政府側と目線を同調させていくマスメディアの姿勢は、経済安保法をめぐる報道でも感じられた。中国敵視とアメリカ追従を内面化した思考というべきか。
今号特集でも繰り返し触れられているように、年内に国家安全保障戦略などの策定が予定されている(国家と安全という文字がくっつくと、だいたいろくなものは出てこないというのが経験則である)。今後も取り上げていきたい。
さて、今号では、滋味あふれる記事を寄せてくださっていた四つの連載が終了した。特に長期連載となった平田オリザさん、北條勝貴さん、ありがとうございました。新たにスタートするのは、樫田秀樹氏のリニア新幹線をめぐるルポ。次号でも調査報道的な連載を開始予定である。こうしたジャーナリズム実践を本誌が継続していけるとすれば、それはひとえに、読者の支えがあるからこそである。引き続きのご愛読をお願いいたします。
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~~『世界』臨時増刊号のご案内~~
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◎『世界』臨時増刊 ウクライナ侵略戦争――世界秩序の危機
『世界』編集部 編
2022年4月14日刊
定価1,320円
http://iwnm.jp/022242
※書籍版はご好評につき品切れとなりましたが、電子書籍版を配信中です。
国際社会は冷戦終結以降、最大の危機を迎えた。核大国による侵略という事態をどう理解し、どう対峙するのか。多角的に検証する。
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~~『世界』から生まれた本~~
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◎プリズン・サークル
坂上 香
定価2,200円
http://iwnm.jp/061526
人は、ひとりでは罪と向き合えない。日本初となる刑務所内での長期撮影、一〇年超の取材がここに結実。
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~~「WEB世界」のご案内~~
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雑誌『世界』のWEB版もぜひ、ご覧ください
https://tanemaki.iwanami.co.jp/
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登録情報の編集・解除は,こちらよりお願いいたします.
http://iwnm.jp/MM
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□『世界』メールマガジン
〒101-8002 東京都千代田区一ツ橋2-5-5
E-Mail: sekai@iwanami.co.jp
WEB: http://iwnm.jp/sekai
Twitter: https://twitter.com/WEB_SEKAI
◇本誌のご注文はお近くの書店か小社営業部宛てにお願いいたします.
岩波書店営業部読者係(TEL:03-5210-4111,FAX:03-3263-6999)
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■『世界』2022年7月号(第959号)好評発売中
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定価935円(税込)
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▼本号の目次
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┃特集1┃軍拡が平和をもたらすのか
┗━━━╋…────────────────────────────────
〈新たな構想を〉
抑止とその限界――ロシアのウクライナ侵攻と国際関係
藤原帰一(東京大学客員教授)
〈危険な九条空文化の試み〉
憲法九条を取り戻す途(みち)
城野一憲(福岡大学)
〈批判的検証〉
自民党安保提言批判――アジア版NATOへの道
前田哲男(軍事ジャーナリスト)
〈中国と戦争するのか〉
台湾有事と集団的自衛権
宮崎礼壹(元内閣法制局長官)
〈「敵基地攻撃」の裏面〉
宇宙軍拡 可視化されるべき実態
前田佐和子(元京都女子大学教授)
〈“日本版DARPA”の浅薄〉
経済安保の人脈と文脈 第2回――法成立――看過された議論
斎藤貴男(ジャーナリスト)
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〈単独行動主義との相克〉
多国間主義の危機――ウクライナ侵略と国際社会の進路
松井芳郎(名古屋大学名誉教授)
〈難民問題と「ジェノサイド」〉
人道危機からみるウクライナ情勢
長有紀枝(立教大学)
〈正義感への警鐘〉
戦争と憤激
ユルゲン・ハーバーマス(哲学者)、訳・解説=三島憲一
〈中立政策の終焉〉
フィンランドの歴史的転換――NATO加盟へ苦渋の決断
柴山由理子(東海大学)
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◆注目記事
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〈警鐘〉
警察国家に向かわぬために――いま、その芽を摘め
青木 理(ジャーナリスト)
〈新連載〉
香港からの通信 第1回――国安法に踏みにじられた報道の自由
林寒盡(ジャーナリスト)
〈調査報道〉
ルポ 保育で儲ける企業
小林美希(ジャーナリスト)
〈好評連載〉
デジタル・デモクラシー 第7回――キッズ・テック
内田聖子(PARC)
〈脳力のレッスン 特別篇〉
ロシア正教という要素――ウクライナ危機とロシアの本質(その2)
寺島実郎
〈原発・石炭モラトリアム?〉
脱炭素はスローダウンするのか――ウクライナ侵攻がもたらす試練を超えて
平田仁子(クライメート・インテグレート代表理事)
〈ルポ〉
暴力と分断――米国の危険な兆候
半沢隆実(共同通信)
〈文明的課題〉
人工知能兵器は許されるか――フランス軍事省倫理委員会意見書から考える
〓島次郎(ヌデシマ ジロウ;生命倫理政策研究会代表)
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◇世界の潮
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◇知床遊覧船事故の教訓
河野真理子
◇断ち切られた国家と社会の紐帯――仏大統領選・マクロン再選の意味
吉田 徹
◇「独裁ノスタルジア」の反乱――フィリピン二〇二二年大統領選挙
日下 渉
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◇SEKAI Review of Books
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◇基地の不正義を隠すもの
森 啓輔(専修大学)
◇読書の要諦――SF「赤い火星(レッド・マーズ)」あるいは「赤いローザ(レッド・ローザ)」――宇宙での生活をめぐる想像力の歴史
酒井隆史(大阪府立大学)
◇新刊紹介
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●連載
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〈新連載〉
リニア新幹線は可能か?【第1回】――黄信号の米国リニア計画
樫田秀樹(ジャーナリスト)
〈最終回〉
但馬日記【第38回(最終回)】「このまま生きるべきか、変わるべきか」
平田オリザ(劇作家)
亡所考【第18回(最終回)】木々の声は聞こえているか
北條勝貴(上智大学)
〈ローカルとグローバル〉
生きる現場からの憲法【第3回(最終回)】世界の片隅で憲法をたぐりよせる
大門正克(早稲田大学特任教授)
〈見えてきた事実〉
閉ざされた土地【第3回(最終回)】原発被災地と「軍事研究」の距離
吉田千亜(ライター)
〈沖縄戦の記憶から〉
沖縄・半世紀の群像【第4回】牛島貞満
渡辺 豪(ジャーナリスト)
●メディア批評【第175回】
神保太郎(ジャーナリスト)
●片山善博の「日本を診る」(152)――「教師不足」を改善しない関係機関の無責任
片山善博(大正大学)
●気候再生のために【第2回】――ウクライナ侵攻は気候変動対策の歩みをとめるのか
高村ゆかり(東京大学)
●いま、この惑星で起きていること【第31回】気候ミステリー
森さやか(気象予報士)
●沖縄(シマ)という窓――沖縄復帰五〇年の逆説――「変わらないことに目を」
松元 剛(琉球新報)
●分水嶺II――コロナ緊急事態と専門家【第10回】――検証への急展開
河合香織(ノンフィクション作家)
●原発月報――(22・4~5)
福島原発事故記録チーム
●ドキュメント激動の南北朝鮮(299)(22・4~5)
編集部
●民話採光
阿部海太(画家・絵本作家)
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○読者投句・岩波俳句
選・文=池田澄子(俳人)
○アムネスティ通信
○読者談話室
○デザイン
赤崎正一 + 佐野裕哉 (協力=国府台さくら)
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編集後記
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新連載「香港からの通信」は、言うまでもないかもしれないが、かつての本誌連載「韓国からの通信」から、そのタイトルと精神――圧政に対する市民的抵抗への国境を越えた連帯――を引き継いでいる。
香港市民の強い反対を押し潰しつつ国家安全維持法が制定されてから二年。監視と統制が進むディストピア的な状況下の香港において、なお抵抗が続いている。本誌三月号で、香港にとどまって表現活動を続ける周冠威(キウィチョウ)監督のインタビューを掲載したが(吉岡桂子「香港映画『時代革命』が問う自由」)、弾圧に抗して雑誌を編んでいる有志もいるという。
本連載のような企画が必要なのではないかと思ったのは、昨年末、ジャーナリズム関係者への弾圧が進み、次々に独立メディアが消滅した頃、当局に連行される若い編集者の写真を見たときである(今号連載のタイトル写真)。書く場を奪われた第一線の方々に執筆いただくが、現時点ではそのほとんどをペンネームにせざるをえない。いずれ――「韓国からの通信」がそうであったように――民主主義と自由が獲得された時には、協力くださっている方々とともに、公表したい。
この連載を私たちは、「自由な日本」からの高みに立つような気持ちで掲載をするのではない。今号の青木理氏の報告(「警察国家に向かわぬために」)にあるように、安倍―菅政権期を通じて官邸に深く根を下ろした警察官僚の存在と彼らが進める治安政策の数々がこの社会の自由を侵食しはじめている。メディアの側は対峙できているだろうか。
安倍元首相の「全ての顧問を引き受けている」と自称し、他メディアに記事の検閲を求めた朝日新聞記者(現在は退職)の振る舞いは、弾圧を受けるまでもなく内部から根腐れしていく日本のメディアを象徴するかのようだ。
この例では記事を見せるよう求められた週刊ダイヤモンド編集部の側が編集権への介入だとして明確に拒否したために表面化することになったが、政府側と目線を同調させていくマスメディアの姿勢は、経済安保法をめぐる報道でも感じられた。中国敵視とアメリカ追従を内面化した思考というべきか。
今号特集でも繰り返し触れられているように、年内に国家安全保障戦略などの策定が予定されている(国家と安全という文字がくっつくと、だいたいろくなものは出てこないというのが経験則である)。今後も取り上げていきたい。
さて、今号では、滋味あふれる記事を寄せてくださっていた四つの連載が終了した。特に長期連載となった平田オリザさん、北條勝貴さん、ありがとうございました。新たにスタートするのは、樫田秀樹氏のリニア新幹線をめぐるルポ。次号でも調査報道的な連載を開始予定である。こうしたジャーナリズム実践を本誌が継続していけるとすれば、それはひとえに、読者の支えがあるからこそである。引き続きのご愛読をお願いいたします。
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◎『世界』臨時増刊 ウクライナ侵略戦争――世界秩序の危機
『世界』編集部 編
2022年4月14日刊
定価1,320円
http://iwnm.jp/022242
※書籍版はご好評につき品切れとなりましたが、電子書籍版を配信中です。
国際社会は冷戦終結以降、最大の危機を迎えた。核大国による侵略という事態をどう理解し、どう対峙するのか。多角的に検証する。
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坂上 香
定価2,200円
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人は、ひとりでは罪と向き合えない。日本初となる刑務所内での長期撮影、一〇年超の取材がここに結実。
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