『世界』メールマガジン/2022年月号9月号 【特集1:歴史否定論 克服は可能か?】【緊急特集:元首相銃撃殺害 何が問われているか】
2022/08/08 (Mon) 11:00
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■■ 『世界』メールマガジン/2022年9月号
■■ vol.#0087
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■『世界』2022年9月号(第961号)好評発売中
2022年8月8日発行
定価935円(税込)
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▼本号の目次
特集/注目記事/世界の潮/SEKAI Review of Books/連載/編集後記/『世界』臨時増刊月号のご案内
/『世界』から生まれた本/「WEB世界」のご案内
┏━━━┓
┃特集1┃歴史否定論 克服は可能か?
┗━━━╋…────────────────────────────────
〈どう向き合うべきか〉
歴史否定論と陰謀論
武井彩佳(学習院女子大学)
〈日本人というイデオロギー〉
クール・ジャパンと「国民の物語」
早川タダノリ(編集者)
〈「美しい国」の現在地〉
終わりなき歴史責任――欧州の現在と日本(上)
高橋哲哉(東京大学名誉教授)
〈闘争の場としての歴史〉
歴史学(者)の役割とはなにか
小田中直樹(東北大学)
〈戦後補償裁判が光を当てたもの〉
帝国の遺産 なぜ歴史責任をいまだに問うのか
古賀由起子(イエール大学)
〈クリーンヒットの背景〉
「日韓歴史問題」と大学生――モヤモヤは進化する
加藤圭木(一橋大学)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◆緊急特集:元首相銃撃殺害 何が問われているか
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
〈暗い予感〉
冥福の祈りを邪魔しているのはだれだ?――国葬と真夏の五月蠅(さばえ)について
高橋純子(朝日新聞)
〈破局への道程〉
宗教カルト 破壊される家庭と漂流する2世たち
藤田庄市(フォトジャーナリスト)
〈相互依存〉
統一教会・自民党関係史――その外在的・内在的なつながり
中野昌宏(青山学院大学)
〈息苦しさの正体〉
自民党の性をめぐる政策と宗教右派
斉藤正美(富山大学非常勤講師)
〈永田町で何が起きているか〉
安倍氏なき後の自民党と岸田氏の将来
後藤謙次(政治ジャーナリスト)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◆注目記事
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
〈新連載〉
壊れる世界 第1回――覇権と国際秩序の間
藤原帰一(東京大学客員教授)
〈米国社会の分断〉
妊娠中絶をめぐるアメリカ最高裁判決を読む
樋口範雄(武蔵野大学特任教授)
〈絶望の中で〉
香港からの通信【第3回】――香港で報道を続けるということ
カンシンカイ(ジャーナリスト)
〈加害者の逆襲〉
東京電力 11年の変節【第2回】――和解拒否
後藤秀典(ジャーナリスト)
〈新電力潰し?〉
いま、日本の電気に何が起こっているか――電気価格高騰のカラクリ
竹村英明(グリーンピープルズパワー)
〈国民のためのGXを〉
「太陽光ヘイト」の正体――東京都太陽光パネル設置義務化をめぐって
前 真之(東京大学)
〈LOVE YOURSELF〉
BTSが解放したもの
金成〓(キム ソンミン、北海道大学)
〈座談会〉
見えない部落問題を映像で描く――映画「私のはなし 部落のはなし」
満若勇咲(映画監督)、大島 新(プロデューサー)、黒川みどり(静岡大学)
〈対談〉
宗教が政治を支えるとき(上)――ウクライナと戦後日本
島薗 進(東京大学名誉教授)×寺島実郎(日本総合研究所会長)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◇世界の潮
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◇再審制度の不備に翻弄された大崎事件――第四次請求棄却決定
鴨志田祐美
◇コンビニが社会のインフラだというならば
澤路毅彦
◇NATO首脳会議 届かなかった「反戦」の声――マドリードからの報告
宮下洋一
◇「佐渡金山」の世界遺産推薦は、なぜ迷走したか
中村俊介
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◇SEKAI Review of Books
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◇新刊│地下にひそむ搾取の構造――イ・ヘミ『搾取都市、ソウル』
井上 睦(北海学園大学)
◇読書の要諦――文芸 死者と生者の語り合い
藤沢 周(小説家)
◇新刊紹介
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
●連載
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
〈最終回〉
リニア新幹線は可能か?【第3回】――奪われる水源
樫田秀樹(ジャーナリスト)
経済安保の人脈と文脈【第4回】――利権に蠢く
斎藤貴男(ジャーナリスト)
〈好評連載〉
ルポ 副反応【第2回】――因果関係 遺体は語る
山岡淳一郎(ノンフィクション作家)
沖縄・半世紀の群像【第5回】――櫻井溥
渡辺 豪(ジャーナリスト)
デジタル・デモクラシー【第9回】――チャイナ・テックの光と影
内田聖子(PARC)
分水嶺II コロナ緊急事態と専門家【第11回】――フォルトゥーナとの戦い
河合香織(ノンフィクション作家)
●片山善博の「日本を診る」(154)――新型コロナ分科会提出資料から読み取るべき重要な課題
片山善博(大正大学)
●気候再生のために【第4回】――東京都がなぜ脱炭素化を進めるのか
高村ゆかり(東京大学)
●いま、この惑星で起きていること【第33回】――霞むハーベストムーン
森さやか(気象予報士)
●沖縄(シマ)という窓――先住民族の権利に関する専門家機構への参加
親川志奈子(沖縄大学非常勤講師)
●お許しいただければ――ガチョウ
ロバート・リンド、訳=行方昭夫(英文学者)
●原発月報――(22・6~7)
福島原発事故記録チーム
●ドキュメント激動の南北朝鮮(301)(22・6~7)
編集部
●民話採光
阿部海太(画家・絵本作家)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
○読者投句・岩波俳句
選・文=池田澄子(俳人)
○アムネスティ通信
○読者談話室
○デザイン
赤崎正一 + 佐野裕哉 (協力=国府台さくら)
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編集後記
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すべての犯罪はその社会の構造的な産物だと言えるだろうが、今回の元首相銃撃殺害事件ほど、その思いを強く抱いたことはない。
加害者となった青年の身の上に何があったのか。青年の母親が経験したであろう統一教会による教化と、家庭崩壊に至る献金「強要」の過程を、今号緊急特集で藤田庄市氏が再現している。
いま、「強要」とカギカッコに入れた。実際には、本人は「納得」して、「死後も苦しむ」近親者のために、本人も救われるために、積極的に差し出すのだ。カルトの側は、苦しむ人間をそこまで追い込み、支配するためのプログラムを持っている。この状況を藤田氏は「霊的虐待(アビュース)」と規定する。
青年のものとされるツイートの記録を見ていると、家族の病気や不和という苦しみの上に、それに乗じた統一教会による家庭崩壊の理不尽な苦しみがおおいかぶさり、破局に向かっていくさまが、あまりに痛々しい。
現状では野放しになっている宗教カルトの法的規制をめぐっては、信教の自由との緊張関係が指摘されざるを得ず、それは当然、慎重な検討が必要ではあろうが、人間の尊厳をいっさい顧慮しない集団による市民生活の破壊には、少なくとも徹底的な批判を続けていかなければならない。
校了間近だったこともあり今号では取り上げられなかったが、二〇〇八年の秋葉原事件で無差別殺傷の罪を犯した青年の死刑が執行された。犯行の後、不安定な派遣労働やネット上の嫌がらせなどが社会的な議題ともなり、本誌も含め、多くの議論が交わされた。
だが、何か変わったか。加害者を刑に処し、殺して、それでおしまい、ということでいいのだろうか。共通する点も、対照的に異なる点もある二つの犯罪だが、いずれも市民社会の側が自分の問題として受け止め対処していくべきことは多いと思う。引き続き本誌としても議論を提起していきたい。
連載第三回となる「香港からの通信」は、執筆者の意向により実名での掲載となった。連載開始の際の本欄(七月号)で、この状況下でなお「弾圧に抗して雑誌を編んでいる有志もいる」と書いたが、念頭にあったのが、まさにカンシンカイ氏の『誌』であった。今回、各方面のご協力によりその寄稿を得られ、読者と共有できることに感慨を覚える。ぜひお読みいただきたい。
何のために独立したメディアを持つのか。報道し、議論する意味とは何か。表現と言論の自由はなぜ重要なのか。あらためて考えさせられる。香港だけのことではない。私たちのことである。
今号も、二つの特集や藤原帰一氏の新連載をはじめ、七本の連載ルポ、米最高裁判決から大崎事件、電気価格高騰、BTS現象に至るまで、執筆者の方々の協力により、読者に自信をもって届けられる誌面を完成できたと思う。ご感想やご意見をいただければ幸いである。
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~~『世界』臨時増刊号のご案内~~
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◎『世界』臨時増刊 ウクライナ侵略戦争――世界秩序の危機
『世界』編集部 編
2022年4月14日刊
定価1,320円
http://iwnm.jp/022242
※書籍版はご好評につき品切れとなりましたが、電子書籍版を配信中です。
国際社会は冷戦終結以降、最大の危機を迎えた。核大国による侵略という事態をどう理解し、どう対峙するのか。多角的に検証する。
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~~『世界』から生まれた本~~
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◎プリズン・サークル
坂上 香
定価2,200円
http://iwnm.jp/061526
人は、ひとりでは罪と向き合えない。日本初となる刑務所内での長期撮影、一〇年超の取材がここに結実。
◎学問と政治 学術会議任命拒否問題とは何か(岩波新書)
芦名定道、宇野重規、岡田正則、小沢隆一、加藤陽子、松宮孝明
定価924円
http://iwnm.jp/431925
日本学術会議会員任命拒否には、日本社会の矛盾が象徴されている。当事者六名が、その背景と本質を問う。
◎読書会という幸福(岩波新書)
向井和美
定価946円
http://iwnm.jp/431932
本を語ることは人生を語ること。三十年以上続く、豊穣な「魂の交流の場」への想いをやわらかな文章で綴る。
◎沖縄という窓 クロニクル2008―2022
山城紀子、松元 剛、親川志奈子
定価2,420円
http://iwnm.jp/061541
三人の書き手が多角的に描き出す沖縄の同時代史。一四年にわたる雑誌『世界』好評リレー連載を単行本化。
◎いま、この惑星で起きていること 気象予報士の眼に映る世界
森さやか
定価902円
http://iwnm.jp/500954
世界各地で観測される異常気象を気象予報士の立場で解説し、今後について考察する。『世界』の大好評連載をまとめた一冊。
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~~「WEB世界」のご案内~~
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雑誌『世界』のWEB版もぜひ、ご覧ください
https://tanemaki.iwanami.co.jp/
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◇本誌のご注文はお近くの書店か小社営業部宛てにお願いいたします.
岩波書店営業部読者係(TEL:03-5210-4111,FAX:03-3263-6999)
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■■ vol.#0087
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2022年8月8日発行
定価935円(税込)
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▼本号の目次
特集/注目記事/世界の潮/SEKAI Review of Books/連載/編集後記/『世界』臨時増刊月号のご案内
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┃特集1┃歴史否定論 克服は可能か?
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〈どう向き合うべきか〉
歴史否定論と陰謀論
武井彩佳(学習院女子大学)
〈日本人というイデオロギー〉
クール・ジャパンと「国民の物語」
早川タダノリ(編集者)
〈「美しい国」の現在地〉
終わりなき歴史責任――欧州の現在と日本(上)
高橋哲哉(東京大学名誉教授)
〈闘争の場としての歴史〉
歴史学(者)の役割とはなにか
小田中直樹(東北大学)
〈戦後補償裁判が光を当てたもの〉
帝国の遺産 なぜ歴史責任をいまだに問うのか
古賀由起子(イエール大学)
〈クリーンヒットの背景〉
「日韓歴史問題」と大学生――モヤモヤは進化する
加藤圭木(一橋大学)
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◆緊急特集:元首相銃撃殺害 何が問われているか
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〈暗い予感〉
冥福の祈りを邪魔しているのはだれだ?――国葬と真夏の五月蠅(さばえ)について
高橋純子(朝日新聞)
〈破局への道程〉
宗教カルト 破壊される家庭と漂流する2世たち
藤田庄市(フォトジャーナリスト)
〈相互依存〉
統一教会・自民党関係史――その外在的・内在的なつながり
中野昌宏(青山学院大学)
〈息苦しさの正体〉
自民党の性をめぐる政策と宗教右派
斉藤正美(富山大学非常勤講師)
〈永田町で何が起きているか〉
安倍氏なき後の自民党と岸田氏の将来
後藤謙次(政治ジャーナリスト)
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◆注目記事
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〈新連載〉
壊れる世界 第1回――覇権と国際秩序の間
藤原帰一(東京大学客員教授)
〈米国社会の分断〉
妊娠中絶をめぐるアメリカ最高裁判決を読む
樋口範雄(武蔵野大学特任教授)
〈絶望の中で〉
香港からの通信【第3回】――香港で報道を続けるということ
カンシンカイ(ジャーナリスト)
〈加害者の逆襲〉
東京電力 11年の変節【第2回】――和解拒否
後藤秀典(ジャーナリスト)
〈新電力潰し?〉
いま、日本の電気に何が起こっているか――電気価格高騰のカラクリ
竹村英明(グリーンピープルズパワー)
〈国民のためのGXを〉
「太陽光ヘイト」の正体――東京都太陽光パネル設置義務化をめぐって
前 真之(東京大学)
〈LOVE YOURSELF〉
BTSが解放したもの
金成〓(キム ソンミン、北海道大学)
〈座談会〉
見えない部落問題を映像で描く――映画「私のはなし 部落のはなし」
満若勇咲(映画監督)、大島 新(プロデューサー)、黒川みどり(静岡大学)
〈対談〉
宗教が政治を支えるとき(上)――ウクライナと戦後日本
島薗 進(東京大学名誉教授)×寺島実郎(日本総合研究所会長)
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◇世界の潮
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◇再審制度の不備に翻弄された大崎事件――第四次請求棄却決定
鴨志田祐美
◇コンビニが社会のインフラだというならば
澤路毅彦
◇NATO首脳会議 届かなかった「反戦」の声――マドリードからの報告
宮下洋一
◇「佐渡金山」の世界遺産推薦は、なぜ迷走したか
中村俊介
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◇SEKAI Review of Books
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◇新刊│地下にひそむ搾取の構造――イ・ヘミ『搾取都市、ソウル』
井上 睦(北海学園大学)
◇読書の要諦――文芸 死者と生者の語り合い
藤沢 周(小説家)
◇新刊紹介
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●連載
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〈最終回〉
リニア新幹線は可能か?【第3回】――奪われる水源
樫田秀樹(ジャーナリスト)
経済安保の人脈と文脈【第4回】――利権に蠢く
斎藤貴男(ジャーナリスト)
〈好評連載〉
ルポ 副反応【第2回】――因果関係 遺体は語る
山岡淳一郎(ノンフィクション作家)
沖縄・半世紀の群像【第5回】――櫻井溥
渡辺 豪(ジャーナリスト)
デジタル・デモクラシー【第9回】――チャイナ・テックの光と影
内田聖子(PARC)
分水嶺II コロナ緊急事態と専門家【第11回】――フォルトゥーナとの戦い
河合香織(ノンフィクション作家)
●片山善博の「日本を診る」(154)――新型コロナ分科会提出資料から読み取るべき重要な課題
片山善博(大正大学)
●気候再生のために【第4回】――東京都がなぜ脱炭素化を進めるのか
高村ゆかり(東京大学)
●いま、この惑星で起きていること【第33回】――霞むハーベストムーン
森さやか(気象予報士)
●沖縄(シマ)という窓――先住民族の権利に関する専門家機構への参加
親川志奈子(沖縄大学非常勤講師)
●お許しいただければ――ガチョウ
ロバート・リンド、訳=行方昭夫(英文学者)
●原発月報――(22・6~7)
福島原発事故記録チーム
●ドキュメント激動の南北朝鮮(301)(22・6~7)
編集部
●民話採光
阿部海太(画家・絵本作家)
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○読者投句・岩波俳句
選・文=池田澄子(俳人)
○アムネスティ通信
○読者談話室
○デザイン
赤崎正一 + 佐野裕哉 (協力=国府台さくら)
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編集後記
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すべての犯罪はその社会の構造的な産物だと言えるだろうが、今回の元首相銃撃殺害事件ほど、その思いを強く抱いたことはない。
加害者となった青年の身の上に何があったのか。青年の母親が経験したであろう統一教会による教化と、家庭崩壊に至る献金「強要」の過程を、今号緊急特集で藤田庄市氏が再現している。
いま、「強要」とカギカッコに入れた。実際には、本人は「納得」して、「死後も苦しむ」近親者のために、本人も救われるために、積極的に差し出すのだ。カルトの側は、苦しむ人間をそこまで追い込み、支配するためのプログラムを持っている。この状況を藤田氏は「霊的虐待(アビュース)」と規定する。
青年のものとされるツイートの記録を見ていると、家族の病気や不和という苦しみの上に、それに乗じた統一教会による家庭崩壊の理不尽な苦しみがおおいかぶさり、破局に向かっていくさまが、あまりに痛々しい。
現状では野放しになっている宗教カルトの法的規制をめぐっては、信教の自由との緊張関係が指摘されざるを得ず、それは当然、慎重な検討が必要ではあろうが、人間の尊厳をいっさい顧慮しない集団による市民生活の破壊には、少なくとも徹底的な批判を続けていかなければならない。
校了間近だったこともあり今号では取り上げられなかったが、二〇〇八年の秋葉原事件で無差別殺傷の罪を犯した青年の死刑が執行された。犯行の後、不安定な派遣労働やネット上の嫌がらせなどが社会的な議題ともなり、本誌も含め、多くの議論が交わされた。
だが、何か変わったか。加害者を刑に処し、殺して、それでおしまい、ということでいいのだろうか。共通する点も、対照的に異なる点もある二つの犯罪だが、いずれも市民社会の側が自分の問題として受け止め対処していくべきことは多いと思う。引き続き本誌としても議論を提起していきたい。
連載第三回となる「香港からの通信」は、執筆者の意向により実名での掲載となった。連載開始の際の本欄(七月号)で、この状況下でなお「弾圧に抗して雑誌を編んでいる有志もいる」と書いたが、念頭にあったのが、まさにカンシンカイ氏の『誌』であった。今回、各方面のご協力によりその寄稿を得られ、読者と共有できることに感慨を覚える。ぜひお読みいただきたい。
何のために独立したメディアを持つのか。報道し、議論する意味とは何か。表現と言論の自由はなぜ重要なのか。あらためて考えさせられる。香港だけのことではない。私たちのことである。
今号も、二つの特集や藤原帰一氏の新連載をはじめ、七本の連載ルポ、米最高裁判決から大崎事件、電気価格高騰、BTS現象に至るまで、執筆者の方々の協力により、読者に自信をもって届けられる誌面を完成できたと思う。ご感想やご意見をいただければ幸いである。
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◎『世界』臨時増刊 ウクライナ侵略戦争――世界秩序の危機
『世界』編集部 編
2022年4月14日刊
定価1,320円
http://iwnm.jp/022242
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国際社会は冷戦終結以降、最大の危機を迎えた。核大国による侵略という事態をどう理解し、どう対峙するのか。多角的に検証する。
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◎プリズン・サークル
坂上 香
定価2,200円
http://iwnm.jp/061526
人は、ひとりでは罪と向き合えない。日本初となる刑務所内での長期撮影、一〇年超の取材がここに結実。
◎学問と政治 学術会議任命拒否問題とは何か(岩波新書)
芦名定道、宇野重規、岡田正則、小沢隆一、加藤陽子、松宮孝明
定価924円
http://iwnm.jp/431925
日本学術会議会員任命拒否には、日本社会の矛盾が象徴されている。当事者六名が、その背景と本質を問う。
◎読書会という幸福(岩波新書)
向井和美
定価946円
http://iwnm.jp/431932
本を語ることは人生を語ること。三十年以上続く、豊穣な「魂の交流の場」への想いをやわらかな文章で綴る。
◎沖縄という窓 クロニクル2008―2022
山城紀子、松元 剛、親川志奈子
定価2,420円
http://iwnm.jp/061541
三人の書き手が多角的に描き出す沖縄の同時代史。一四年にわたる雑誌『世界』好評リレー連載を単行本化。
◎いま、この惑星で起きていること 気象予報士の眼に映る世界
森さやか
定価902円
http://iwnm.jp/500954
世界各地で観測される異常気象を気象予報士の立場で解説し、今後について考察する。『世界』の大好評連載をまとめた一冊。
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