『世界』メールマガジン/2022年10月号 【特集1:変革の最前線】【特集2:オンラインと自由――誹謗中傷から考える】
2022/09/08 (Thu) 11:00
■■---------------------------------------------------------
■■ 『世界』メールマガジン/2022年10月号
■■ vol.#0088
■■---------------------------------------------------------
=============================================================
■『世界』2022年10月号(第962号)好評発売中
2022年9月8日発行
定価935円(税込)
=============================================================
▼本号の目次
特集/注目記事/世界の潮/SEKAI Review of Books/連載/編集後記/『世界』臨時増刊月号のご案内
/『世界』から生まれた本/「WEB世界」のご案内
┏━━━┓
┃特集1┃変革の最前線
┗━━━╋…────────────────────────────────
〈何が起きつつあるか〉
新自由主義の覇権の終焉――フランス左派連合の躍進とブルジョワ・ブロックの迷走
菊池恵介(同志社大学)
〈二つの呪縛からの解放〉
戦争と奴隷制のサピエンス史――近代世界システムの次へ
三宅芳夫(千葉大学)
〈報告〉
左派新政権誕生のコロンビア――歴史的変革の実現なるか
幡谷則子(上智大学)
〈対談〉
民主主義と自治の再生へ――フィアレス・シティへの条件とは何か
岸本聡子(杉並区長)×内田聖子(PARC)
〈比較の視点〉
ブラジルの社会保障の歩みと展望――障碍者とLGBTをめぐる制度整備
近田亮平(日本貿易振興機構アジア経済研究所)
┏━━━┓
┃特集2┃オンラインと自由――誹謗中傷から考える
┗━━━╋…────────────────────────────────
〈対談〉
兵器化する「表現の自由」とアテンション・エコノミー
山本龍彦(慶應義塾大学)×小嶋麻友美(東京新聞)
〈侮辱罪の法定刑引上げを受けて〉
オンラインハラスメントをめぐる刑法上の課題
深町晋也(立教大学)
〈デジタル教育のゆくえ〉
リテラシーからシティズンシップへ――変容するデジタル世界と教育
坂本 旬(法政大学)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◆注目記事
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
〈憲法から見る〉
国葬と日本の民主主義
飯島滋明(名古屋学院大学)
〈五つの視角〉
宗教カルトの何が違法なのか――統一協会の伝道・教化をめぐって
郷路征記(弁護士)
〈ある警察庁OBの憂い〉
元首相銃撃事件にみる「政治と警察」
南 隆(元内閣官房審議官兼内閣情報調査室審議官)
〈危機からの展望〉
香港からの通信【第4回】――国安法下の香港映画よ、水になれ
チャン・ジーウン(映画監督)
〈若すぎる死を追う〉
ルポ 副反応【第3回】――リリーフ投手の死と「救済」
山岡淳一郎(ノンフィクション作家)
〈レジリエンスを高めるには?〉
複合危機が襲う中東・アフリカ――「黒海封鎖」以前の構造的課題
井堂有子(日本国際問題研究所)
〈対話〉
戦争の起源、NATOの役割、ウクライナの将来シナリオ
マルチェロ・ムスト(ヨーク大学)、訳=斎藤幸平(東京大学)、解説=佐々木隆治(立教大学)
〈侵攻から半年〉
歴史の一部としてのロシア=ウクライナ戦争
末澤恵美(平成国際大学)
〈対談〉
宗教が政治を支えるとき(下)――ウクライナと戦後日本
島薗 進(東京大学名誉教授)×寺島実郎(日本総合研究所会長)
〈投票行動分析〉
二〇二二年参院選――データが示す有権者の右傾化
谷口将紀(東京大学)、淺野良成(日本学術振興会特別研究員)、大森翔子(NIRA総合研究開発機構研究員)
〈専守防衛からの離脱〉
自衛隊はどこへ?――防衛政策の推移と自衛隊の変容
植村秀樹(流通経済大学)
〈座談会〉
重慶爆撃から考えるウクライナ戦争――映画『苦干』の再発見を機に
石島紀之(フェリス女学院大学名誉教授)、前田哲男(ジャーナリスト)、伊香俊哉(都留文科大学)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◇世界の潮
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◇NPT再検討会議――前進はあったのか
黒澤 満
◇日本学術会議は見解を変えたのか
小森田秋夫
◇離婚後の親権――子ども目線の論議を
藤岡敦子
◇ペロシ訪台は米中台関係に何をもたらすのか
松本はる香
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◇SEKAI Review of Books
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◇今、必要なこと│歴史の誤用に抗して――戦争批判の足場を築くために
戸邉秀明(東京経済大学)
◇読書の要諦――SF 「まっくら」世界の想像力――森崎和江と谷川雁の初期著作復刻によせて
酒井隆史(大阪府立大学)
◇新刊│惨事便乗の連鎖を止めるために――『負の遺産を持続可能な資産へ』
津久井進(弁護士)
◇新刊紹介
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
●連載
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
〈好評連載〉
壊れる世界【第2回】――大国の戦争
藤原帰一(東京大学客員教授)
東京電力 11年の変節【第3回】――賠償責任とビジネスの狭間
後藤秀典(ジャーナリスト)
分水嶺II コロナ緊急事態と専門家【第12回】――第7波の高波
河合香織(ノンフィクション作家)
●片山善博の「日本を診る」(155)――袋小路のマイナンバーカード
片山善博(大正大学)
●いま、この惑星で起きていること【第34回】――検索とメールとCO2
森さやか(気象予報士)
●気候再生のために【第5回】――石炭火力訴訟の意味は何か
江守正多(東京大学)
●沖縄(シマ)という窓――辺野古が明確な争点に
松元 剛(琉球新報)
●原発月報――(22・7~8)
福島原発事故記録チーム
●ドキュメント激動の南北朝鮮(302)(22・7~8)
編集部
●民話採光
阿部海太(画家・絵本作家)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
○読者投句・岩波俳句
選・文=池田澄子(俳人)
○アムネスティ通信
○読者談話室
○デザイン
赤崎正一 + 佐野裕哉 (協力=国府台さくら)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
編集後記
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
欧州でこの五〇〇年間で最悪という旱魃が起きている。ソマリアやケニアなどアフリカ東部では今春から旱魃による人道危機が伝えられ、国連によれば一八〇〇万人が飢餓に直面する。西アフリカでも旱魃が深刻化している。
中国南部でも旱魃が起きていたが、一転して豪雨が被害をもたらしている。洪水が深刻なのはパキスタンで、国土の三分の一が水没し、多数の犠牲者が出ていると報じられている。森さやか氏が継続的に摘録してきた「いま、この惑星で起きていること」を私たちは目撃し、体験しつつある。
今号で井堂有子氏が詳細に論じているように、気候変動とコロナ禍、ウクライナ侵攻による貿易の途絶やエネルギー価格の高騰などが重なり、食料不足など複合的な危機が各地で生じている。アフガニスタンやイエメン、リビア、ハイチなど、植民地支配や冷戦構造の残滓、グローバリゼーションの歪みといった構造的課題が克服されないまま、気候変動のような新たな不条理が直撃し、政情不安や紛争が苦境に追い打ちをかける状況があとをたたない。
本誌では、先進国の視点に偏りがちな国際報道ではなく、より現地と市民に近づいた状況を多く伝えるよう努めてきたつもりである。それは、「世界」という屋号を掲げる雑誌だから、ではなく、主体的な状況への参加と連帯は、いま何が起きているかを知ることからしか始まらないと思うからである。
その点、今回の特集では、困難な状況だけでなく、フランスやブラジルなど各地の変革への動きを取り上げた。とりわけ幡谷則子氏の報告は、今回初めて左派政権が誕生したコロンビアで現地調査を行ないながらのご執筆である。臨場感が伝わってくると思う。
日本においても変革への取り組みは粘り強く続いている。岸本聡子氏を区長におしあげた杉並の動きがその先端に位置することは間違いないだろう。本誌で連載を執筆中の内田聖子氏から岸本氏が立候補することを聞いたときに、当選の際には本誌で対談をやりましょう、と申し上げたが、それが今号で実現できたのは嬉しいことだ。
今回の特集ではアメリカの民主社会主義や気候変動・反格差をめぐる欧米の若い世代の動きは、当方の準備不足のために取り上げられなかったのだが、特集の準備の過程で、そうした世界的な左派・リベラルの新たな波の中で、平和主義があまりテーマとされていないように見えることが気になった。
ウクライナ侵攻への態度をめぐる葛藤にも、現在の国際的な平和主義の置かれた難しい状況が垣間見える。今号のマルチェロ・ムスト氏らの対話は、この葛藤をめぐる議論であり、参考になればよいと思う。
最後に、「香港からの通信」は、香港映画界の若手を代表するチャン・ジーウン監督による寄稿を得て、今号も実名での掲載となった。迫真性のある同時代の証言に注目してほしい。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
~~『世界』臨時増刊号のご案内~~
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◎『世界』臨時増刊 ウクライナ侵略戦争――世界秩序の危機
『世界』編集部 編
2022年4月14日刊
定価1,320円
http://iwnm.jp/022242
※書籍版はご好評につき品切れとなりましたが、電子書籍版を配信中です。
国際社会は冷戦終結以降、最大の危機を迎えた。核大国による侵略という事態をどう理解し、どう対峙するのか。多角的に検証する。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
~~『世界』から生まれた本~~
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◎プリズン・サークル
坂上 香
定価2,200円
http://iwnm.jp/061526
人は、ひとりでは罪と向き合えない。日本初となる刑務所内での長期撮影、一〇年超の取材がここに結実。
◎学問と政治 学術会議任命拒否問題とは何か(岩波新書)
芦名定道、宇野重規、岡田正則、小沢隆一、加藤陽子、松宮孝明
定価924円
http://iwnm.jp/431925
日本学術会議会員任命拒否には、日本社会の矛盾が象徴されている。当事者六名が、その背景と本質を問う。
◎読書会という幸福(岩波新書)
向井和美
定価946円
http://iwnm.jp/431932
本を語ることは人生を語ること。三十年以上続く、豊穣な「魂の交流の場」への想いをやわらかな文章で綴る。
◎沖縄という窓 クロニクル2008―2022
山城紀子、松元 剛、親川志奈子
定価2,420円
http://iwnm.jp/061541
三人の書き手が多角的に描き出す沖縄の同時代史。一四年にわたる雑誌『世界』好評リレー連載を単行本化。
◎いま、この惑星で起きていること 気象予報士の眼に映る世界
森さやか
定価902円
http://iwnm.jp/500954
世界各地で観測される異常気象を気象予報士の立場で解説し、今後について考察する。『世界』の大好評連載をまとめた一冊。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
~~「WEB世界」のご案内~~
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
雑誌『世界』のWEB版もぜひ、ご覧ください
https://tanemaki.iwanami.co.jp/
===============================================================
------------------------------------------------------------
登録情報の編集・解除は,こちらよりお願いいたします.
http://iwnm.jp/MM
---------------------------------------------------------------
□『世界』メールマガジン
〒101-8002 東京都千代田区一ツ橋2-5-5
E-Mail: sekai@iwanami.co.jp
WEB: http://iwnm.jp/sekai
Twitter: https://twitter.com/WEB_SEKAI
◇本誌のご注文はお近くの書店か小社営業部宛てにお願いいたします.
岩波書店営業部読者係(TEL:03-5210-4111,FAX:03-3263-6999)
===============================================================
■■ 『世界』メールマガジン/2022年10月号
■■ vol.#0088
■■---------------------------------------------------------
=============================================================
■『世界』2022年10月号(第962号)好評発売中
2022年9月8日発行
定価935円(税込)
=============================================================
▼本号の目次
特集/注目記事/世界の潮/SEKAI Review of Books/連載/編集後記/『世界』臨時増刊月号のご案内
/『世界』から生まれた本/「WEB世界」のご案内
┏━━━┓
┃特集1┃変革の最前線
┗━━━╋…────────────────────────────────
〈何が起きつつあるか〉
新自由主義の覇権の終焉――フランス左派連合の躍進とブルジョワ・ブロックの迷走
菊池恵介(同志社大学)
〈二つの呪縛からの解放〉
戦争と奴隷制のサピエンス史――近代世界システムの次へ
三宅芳夫(千葉大学)
〈報告〉
左派新政権誕生のコロンビア――歴史的変革の実現なるか
幡谷則子(上智大学)
〈対談〉
民主主義と自治の再生へ――フィアレス・シティへの条件とは何か
岸本聡子(杉並区長)×内田聖子(PARC)
〈比較の視点〉
ブラジルの社会保障の歩みと展望――障碍者とLGBTをめぐる制度整備
近田亮平(日本貿易振興機構アジア経済研究所)
┏━━━┓
┃特集2┃オンラインと自由――誹謗中傷から考える
┗━━━╋…────────────────────────────────
〈対談〉
兵器化する「表現の自由」とアテンション・エコノミー
山本龍彦(慶應義塾大学)×小嶋麻友美(東京新聞)
〈侮辱罪の法定刑引上げを受けて〉
オンラインハラスメントをめぐる刑法上の課題
深町晋也(立教大学)
〈デジタル教育のゆくえ〉
リテラシーからシティズンシップへ――変容するデジタル世界と教育
坂本 旬(法政大学)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◆注目記事
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
〈憲法から見る〉
国葬と日本の民主主義
飯島滋明(名古屋学院大学)
〈五つの視角〉
宗教カルトの何が違法なのか――統一協会の伝道・教化をめぐって
郷路征記(弁護士)
〈ある警察庁OBの憂い〉
元首相銃撃事件にみる「政治と警察」
南 隆(元内閣官房審議官兼内閣情報調査室審議官)
〈危機からの展望〉
香港からの通信【第4回】――国安法下の香港映画よ、水になれ
チャン・ジーウン(映画監督)
〈若すぎる死を追う〉
ルポ 副反応【第3回】――リリーフ投手の死と「救済」
山岡淳一郎(ノンフィクション作家)
〈レジリエンスを高めるには?〉
複合危機が襲う中東・アフリカ――「黒海封鎖」以前の構造的課題
井堂有子(日本国際問題研究所)
〈対話〉
戦争の起源、NATOの役割、ウクライナの将来シナリオ
マルチェロ・ムスト(ヨーク大学)、訳=斎藤幸平(東京大学)、解説=佐々木隆治(立教大学)
〈侵攻から半年〉
歴史の一部としてのロシア=ウクライナ戦争
末澤恵美(平成国際大学)
〈対談〉
宗教が政治を支えるとき(下)――ウクライナと戦後日本
島薗 進(東京大学名誉教授)×寺島実郎(日本総合研究所会長)
〈投票行動分析〉
二〇二二年参院選――データが示す有権者の右傾化
谷口将紀(東京大学)、淺野良成(日本学術振興会特別研究員)、大森翔子(NIRA総合研究開発機構研究員)
〈専守防衛からの離脱〉
自衛隊はどこへ?――防衛政策の推移と自衛隊の変容
植村秀樹(流通経済大学)
〈座談会〉
重慶爆撃から考えるウクライナ戦争――映画『苦干』の再発見を機に
石島紀之(フェリス女学院大学名誉教授)、前田哲男(ジャーナリスト)、伊香俊哉(都留文科大学)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◇世界の潮
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◇NPT再検討会議――前進はあったのか
黒澤 満
◇日本学術会議は見解を変えたのか
小森田秋夫
◇離婚後の親権――子ども目線の論議を
藤岡敦子
◇ペロシ訪台は米中台関係に何をもたらすのか
松本はる香
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◇SEKAI Review of Books
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◇今、必要なこと│歴史の誤用に抗して――戦争批判の足場を築くために
戸邉秀明(東京経済大学)
◇読書の要諦――SF 「まっくら」世界の想像力――森崎和江と谷川雁の初期著作復刻によせて
酒井隆史(大阪府立大学)
◇新刊│惨事便乗の連鎖を止めるために――『負の遺産を持続可能な資産へ』
津久井進(弁護士)
◇新刊紹介
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
●連載
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
〈好評連載〉
壊れる世界【第2回】――大国の戦争
藤原帰一(東京大学客員教授)
東京電力 11年の変節【第3回】――賠償責任とビジネスの狭間
後藤秀典(ジャーナリスト)
分水嶺II コロナ緊急事態と専門家【第12回】――第7波の高波
河合香織(ノンフィクション作家)
●片山善博の「日本を診る」(155)――袋小路のマイナンバーカード
片山善博(大正大学)
●いま、この惑星で起きていること【第34回】――検索とメールとCO2
森さやか(気象予報士)
●気候再生のために【第5回】――石炭火力訴訟の意味は何か
江守正多(東京大学)
●沖縄(シマ)という窓――辺野古が明確な争点に
松元 剛(琉球新報)
●原発月報――(22・7~8)
福島原発事故記録チーム
●ドキュメント激動の南北朝鮮(302)(22・7~8)
編集部
●民話採光
阿部海太(画家・絵本作家)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
○読者投句・岩波俳句
選・文=池田澄子(俳人)
○アムネスティ通信
○読者談話室
○デザイン
赤崎正一 + 佐野裕哉 (協力=国府台さくら)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
編集後記
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
欧州でこの五〇〇年間で最悪という旱魃が起きている。ソマリアやケニアなどアフリカ東部では今春から旱魃による人道危機が伝えられ、国連によれば一八〇〇万人が飢餓に直面する。西アフリカでも旱魃が深刻化している。
中国南部でも旱魃が起きていたが、一転して豪雨が被害をもたらしている。洪水が深刻なのはパキスタンで、国土の三分の一が水没し、多数の犠牲者が出ていると報じられている。森さやか氏が継続的に摘録してきた「いま、この惑星で起きていること」を私たちは目撃し、体験しつつある。
今号で井堂有子氏が詳細に論じているように、気候変動とコロナ禍、ウクライナ侵攻による貿易の途絶やエネルギー価格の高騰などが重なり、食料不足など複合的な危機が各地で生じている。アフガニスタンやイエメン、リビア、ハイチなど、植民地支配や冷戦構造の残滓、グローバリゼーションの歪みといった構造的課題が克服されないまま、気候変動のような新たな不条理が直撃し、政情不安や紛争が苦境に追い打ちをかける状況があとをたたない。
本誌では、先進国の視点に偏りがちな国際報道ではなく、より現地と市民に近づいた状況を多く伝えるよう努めてきたつもりである。それは、「世界」という屋号を掲げる雑誌だから、ではなく、主体的な状況への参加と連帯は、いま何が起きているかを知ることからしか始まらないと思うからである。
その点、今回の特集では、困難な状況だけでなく、フランスやブラジルなど各地の変革への動きを取り上げた。とりわけ幡谷則子氏の報告は、今回初めて左派政権が誕生したコロンビアで現地調査を行ないながらのご執筆である。臨場感が伝わってくると思う。
日本においても変革への取り組みは粘り強く続いている。岸本聡子氏を区長におしあげた杉並の動きがその先端に位置することは間違いないだろう。本誌で連載を執筆中の内田聖子氏から岸本氏が立候補することを聞いたときに、当選の際には本誌で対談をやりましょう、と申し上げたが、それが今号で実現できたのは嬉しいことだ。
今回の特集ではアメリカの民主社会主義や気候変動・反格差をめぐる欧米の若い世代の動きは、当方の準備不足のために取り上げられなかったのだが、特集の準備の過程で、そうした世界的な左派・リベラルの新たな波の中で、平和主義があまりテーマとされていないように見えることが気になった。
ウクライナ侵攻への態度をめぐる葛藤にも、現在の国際的な平和主義の置かれた難しい状況が垣間見える。今号のマルチェロ・ムスト氏らの対話は、この葛藤をめぐる議論であり、参考になればよいと思う。
最後に、「香港からの通信」は、香港映画界の若手を代表するチャン・ジーウン監督による寄稿を得て、今号も実名での掲載となった。迫真性のある同時代の証言に注目してほしい。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
~~『世界』臨時増刊号のご案内~~
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◎『世界』臨時増刊 ウクライナ侵略戦争――世界秩序の危機
『世界』編集部 編
2022年4月14日刊
定価1,320円
http://iwnm.jp/022242
※書籍版はご好評につき品切れとなりましたが、電子書籍版を配信中です。
国際社会は冷戦終結以降、最大の危機を迎えた。核大国による侵略という事態をどう理解し、どう対峙するのか。多角的に検証する。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
~~『世界』から生まれた本~~
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◎プリズン・サークル
坂上 香
定価2,200円
http://iwnm.jp/061526
人は、ひとりでは罪と向き合えない。日本初となる刑務所内での長期撮影、一〇年超の取材がここに結実。
◎学問と政治 学術会議任命拒否問題とは何か(岩波新書)
芦名定道、宇野重規、岡田正則、小沢隆一、加藤陽子、松宮孝明
定価924円
http://iwnm.jp/431925
日本学術会議会員任命拒否には、日本社会の矛盾が象徴されている。当事者六名が、その背景と本質を問う。
◎読書会という幸福(岩波新書)
向井和美
定価946円
http://iwnm.jp/431932
本を語ることは人生を語ること。三十年以上続く、豊穣な「魂の交流の場」への想いをやわらかな文章で綴る。
◎沖縄という窓 クロニクル2008―2022
山城紀子、松元 剛、親川志奈子
定価2,420円
http://iwnm.jp/061541
三人の書き手が多角的に描き出す沖縄の同時代史。一四年にわたる雑誌『世界』好評リレー連載を単行本化。
◎いま、この惑星で起きていること 気象予報士の眼に映る世界
森さやか
定価902円
http://iwnm.jp/500954
世界各地で観測される異常気象を気象予報士の立場で解説し、今後について考察する。『世界』の大好評連載をまとめた一冊。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
~~「WEB世界」のご案内~~
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
雑誌『世界』のWEB版もぜひ、ご覧ください
https://tanemaki.iwanami.co.jp/
===============================================================
------------------------------------------------------------
登録情報の編集・解除は,こちらよりお願いいたします.
http://iwnm.jp/MM
---------------------------------------------------------------
□『世界』メールマガジン
〒101-8002 東京都千代田区一ツ橋2-5-5
E-Mail: sekai@iwanami.co.jp
WEB: http://iwnm.jp/sekai
Twitter: https://twitter.com/WEB_SEKAI
◇本誌のご注文はお近くの書店か小社営業部宛てにお願いいたします.
岩波書店営業部読者係(TEL:03-5210-4111,FAX:03-3263-6999)
===============================================================