『世界』メールマガジン/2022年11月号 【特集:戦後民主主義に賭ける】
2022/10/07 (Fri) 11:00
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■■ 『世界』メールマガジン/2022年11月号
■■ vol.#0089
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■『世界』2022年11月号(第963号)好評発売中
2022年10月8日発行
定価935円(税込)
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▼本号の目次
特集/注目記事/世界の潮/SEKAI Review of Books/連載/編集後記/『世界』臨時増刊月号のご案内
/『世界』から生まれた本/「WEB世界」のご案内
┏━━┓
┃特集┃戦後民主主義に賭ける
┗━━╋…────────────────────────────────
〈それは可能だ〉
千三つのギャンブル――民主主義を獲得するために
辛淑玉(のりこえねっと共同代表)
〈再創造の現実へ〉
この民主主義を守ろうという方法によってはこの民主主義を守ることはできない――丸山眞男とデモスの力能
酒井隆史(大阪府立大学)
〈群像〉
戦後思想の胎動と誕生 一九三〇―一九四八
三宅芳夫(千葉大学)
〈未解決の提起〉
小田実 難死から「殺すな」へ――加害認識という提起
神子島健(東京工科大学)
〈旧宗主国の現在〉
終わりなき歴史責任――欧州の現在と日本(下)
高橋哲哉(東京大学名誉教授)
〈いかなる結実であったのか〉
追悼 森崎和江
水溜真由美(北海道大学)
〈「なかったこと」にしてはならない〉
戦後民主主義という経験――その批判的継承のために
山本昭宏(神戸市外国語大学)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◆注目記事
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
〈管理と排除を越えて〉
ルポ 子どもたちの拒絶
小林美希(ジャーナリスト)
〈私企業がなぜ?〉
簒奪される公教育――都立高入試スピーキングテスト問題とその源流
大内裕和(武蔵大学)
〈支配を拒む〉
デジタル・デモクラシー【第10回(最終回)】――民主主義という希望
内田聖子(PARC)
〈割れる世論の中で〉
国葬とメディア――テレビはどう伝えたか?
浮田 哲(羽衣国際大学)
〈ワクチン禍の歴史から〉
ルポ 副反応【第4回(最終回)】――裁判闘争と「三基準」
山岡淳一郎(ノンフィクション作家)
〈狭間からの声〉
沖縄・半世紀の群像【第6回(最終回)】――金城 馨
渡辺 豪(ジャーナリスト)
〈消えないPTSD〉
東京電力 11年の変節【第4回(最終回)】――取り残される避難者
後藤秀典(ジャーナリスト)
〈懲罰からの変化〉
刑罰をどう考えるか
浜井浩一(龍谷大学)
〈報告〉
ハイチ 二〇〇年の苦難――歴史的背景と国際社会の責任
山岡加奈子(ジェトロ・アジア経済研究所)
〈したたかに、不屈に〉
香港からの通信【第5回】――抗議するコミュニティの現在
江瓊珠(ドキュメンタリー制作者)
〈座談会〉
女性労働運動は、この社会のすべてを変える
松元ちえ、中島由美子、大椿裕子、瀬山紀子
〈総括〉
夢の沈んだ底の『火山島』
金石範(作家)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◇世界の潮
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◇英国保守党は変わったか?――トラス政権とイデオロギー的先鋭化
高安健将
◇ウトロ等連続放火事件 判決の意義と課題
師岡康子
◇神宮外苑大規模再開発はなぜ止まらないか
森本智之
◇NHKの放送倫理違反――BPO勧告の問題提起
長井 暁
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◇SEKAI Review of Books
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◇さいとう・たかを後の『ゴルゴ13』へ――続行への期待と一抹の不安
斎藤貴男(ジャーナリスト)
◇読書の要諦――ノンフィクション 積ん読では惜しい四冊
青木 理(ジャーナリスト)
◇新刊│明治期、私擬憲法のエッセンス――畑中章宏『忘れられた日本憲法』
松崎 稔(町田市立自由民権資料館)
◇新刊紹介
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●連載
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
〈好評連載〉
脳力のレッスン(245)――近代民主主義の成立要件と二一世紀の模索
寺島実郎
壊れる世界【第3回】――権力闘争としての国際政治
藤原帰一(東京大学客員教授)
〈荒ぶる気象と向き合う〉
いま、この惑星で起きていること【第35回(最終回)】――体当たりの科学者たち
森さやか(気象予報士)
〈国際的進展〉
気候再生のために【第6回】――気候変動から守られる権利
高村ゆかり(東京大学)
〈座談会〉
音で読む『世界』――視覚障害者と情報保障
栗川 治(元新潟県公立高校教員)、松本道子(音訳者)、藤田晶子(全国音訳ボランティアネットワーク)、堀江達朗(東京ヘレン・ケラー協会点字図書館)
●片山善博の「日本を診る」(156)――心許ない国に相変わらず頼ろうとする自治体への違和感
片山善博(大正大学)
●沖縄(シマ)という窓――軍基地と女と子ども――平田正代さんの足跡を残す
山城紀子(フリーライター)
●お許しいただければ――最高のフルーツ(A.A.ミルン)
訳=行方昭夫(英文学者)
●原発月報――(22・8~9)
福島原発事故記録チーム
●ドキュメント激動の南北朝鮮(303)(22・8~9)
編集部
●民話採光
阿部海太(画家・絵本作家)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
○読者投句・岩波俳句
選・文=池田澄子(俳人)
○アムネスティ通信
○読者談話室
○デザイン
赤崎正一 + 佐野裕哉 (協力=国府台さくら)
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編集後記
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
圧政への抵抗をつづける人々の肉声を伝える「香港からの通信」に反響をいただいている。今回も、抗議するコミュニティの今が詳細に報告されている。今後、大学生や亡命者など、さらに多様な人々の声が伝えられるだろう。
香港だけではない。軍事独裁下のミャンマーの民主派、ロシアにおける反戦活動家やジャーナリスト、監視下におかれるアメリカのBLM(今号、内田聖子報告参照)などでも同じ状況がある。いや、取り巻く状況の次元は異なるものの、民主主義と自由、平和は、自動的に与えられるものではないという点で、本質的に私たちも同じ地平に立つ。
金石範さんの原稿を読んでほしい。圧迫と対峙し、政治によって消された歴史を蘇らせ、時代と向き合いつづけた金石範文学の、金石範という人間の、まごうことなき勝利の宣言である。
九七歳となる金さん(「先生」と呼ばないでほしいといつも言われるので、こう書く)は、電話口で、この原稿が「最後の作品」だと繰り返し述べられていたが、ぜひ書きつづけていただきたいと願う。
* * *
さて、私にとっては今号が最後の担当号となる。私の場合、この雑誌の創刊の志というバトンを継いでいくリレー選手の一人であり、勝利というようなことではないが、底なしの出版不況の中、この雑誌の刊行をよく維持しえて退任できることに、いささかの感慨を覚えないではない。
編集責任を担った四年あまりの間に、ウクライナ侵攻や元首相銃撃事件など多くの事件が起きた。とりわけコロナ禍は編集現場にも多大な影響があった。一時期は人に会うことも集まることもできず、書店は閉じられ、どうなってしまうのかと案じられた。しかし、いや、だからこそ、多くの読者が本誌を手にとってくださった。この数年、本誌は堅調に推移し、なかでも年間購読をしてくださる読者が着実に増えた。
近年でいえば、3・11や安保法制強行のときなど、社会が大きく揺らぐときに本誌は部数をのばした。それは、本誌が言論誌としての独立を貫き、読者に奉仕する姿勢を変えないことへの信頼があればこそだろう。金さんが、政治的圧力による妥協を一作にでもしていたら『火山島』は書かれなかった、と書いているが、同様の緊張感を私たちも持続させていかなければいけない。
好評をいただいていた複数の連載が今号で完結する。誌面はこうして変わってもいくが、本誌の基本的な編集方針が変わることはない。そのうえで、バトンを渡す後任の堀由貴子もまた、持ち味を発揮しながら本誌の新たな地平を拓いていくはずである。どうぞご期待いただきたい。
私が本誌編集に参画したのは二〇〇七年一月のことだったから、一五年以上、この国の戦後民主主義の一端を担う本誌の編集に関わってきたことになる。やたらと重い荷であったが、それだけに担ぎがいのある仕事であった。もとより、読者の支持があってこその本誌の存在である。今後ともご愛読ください。ありがとうございました。
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~~『世界』臨時増刊号のご案内~~
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◎『世界』臨時増刊 ウクライナ侵略戦争――世界秩序の危機
『世界』編集部 編
2022年4月14日刊
定価1,320円
http://iwnm.jp/022242
※書籍版はご好評につき品切れとなりましたが、電子書籍版を配信中です。
国際社会は冷戦終結以降、最大の危機を迎えた。核大国による侵略という事態をどう理解し、どう対峙するのか。多角的に検証する。
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~~『世界』から生まれた本~~
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◎プリズン・サークル
坂上 香
定価2,200円
http://iwnm.jp/061526
人は、ひとりでは罪と向き合えない。日本初となる刑務所内での長期撮影、一〇年超の取材がここに結実。
◎学問と政治 学術会議任命拒否問題とは何か(岩波新書)
芦名定道、宇野重規、岡田正則、小沢隆一、加藤陽子、松宮孝明
定価924円
http://iwnm.jp/431925
日本学術会議会員任命拒否には、日本社会の矛盾が象徴されている。当事者六名が、その背景と本質を問う。
◎読書会という幸福(岩波新書)
向井和美
定価946円
http://iwnm.jp/431932
本を語ることは人生を語ること。三十年以上続く、豊穣な「魂の交流の場」への想いをやわらかな文章で綴る。
◎沖縄という窓 クロニクル2008―2022
山城紀子、松元 剛、親川志奈子
定価2,420円
http://iwnm.jp/061541
三人の書き手が多角的に描き出す沖縄の同時代史。一四年にわたる雑誌『世界』好評リレー連載を単行本化。
◎いま、この惑星で起きていること 気象予報士の眼に映る世界
森さやか
定価902円
http://iwnm.jp/500954
世界各地で観測される異常気象を気象予報士の立場で解説し、今後について考察する。『世界』の大好評連載をまとめた一冊。
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~~「WEB世界」のご案内~~
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雑誌『世界』のWEB版もぜひ、ご覧ください
https://tanemaki.iwanami.co.jp/
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登録情報の編集・解除は,こちらよりお願いいたします.
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□『世界』メールマガジン
〒101-8002 東京都千代田区一ツ橋2-5-5
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WEB: http://iwnm.jp/sekai
Twitter: https://twitter.com/WEB_SEKAI
◇本誌のご注文はお近くの書店か小社営業部宛てにお願いいたします.
岩波書店営業部読者係(TEL:03-5210-4111,FAX:03-3263-6999)
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2022年10月8日発行
定価935円(税込)
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┃特集┃戦後民主主義に賭ける
┗━━╋…────────────────────────────────
〈それは可能だ〉
千三つのギャンブル――民主主義を獲得するために
辛淑玉(のりこえねっと共同代表)
〈再創造の現実へ〉
この民主主義を守ろうという方法によってはこの民主主義を守ることはできない――丸山眞男とデモスの力能
酒井隆史(大阪府立大学)
〈群像〉
戦後思想の胎動と誕生 一九三〇―一九四八
三宅芳夫(千葉大学)
〈未解決の提起〉
小田実 難死から「殺すな」へ――加害認識という提起
神子島健(東京工科大学)
〈旧宗主国の現在〉
終わりなき歴史責任――欧州の現在と日本(下)
高橋哲哉(東京大学名誉教授)
〈いかなる結実であったのか〉
追悼 森崎和江
水溜真由美(北海道大学)
〈「なかったこと」にしてはならない〉
戦後民主主義という経験――その批判的継承のために
山本昭宏(神戸市外国語大学)
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◆注目記事
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〈管理と排除を越えて〉
ルポ 子どもたちの拒絶
小林美希(ジャーナリスト)
〈私企業がなぜ?〉
簒奪される公教育――都立高入試スピーキングテスト問題とその源流
大内裕和(武蔵大学)
〈支配を拒む〉
デジタル・デモクラシー【第10回(最終回)】――民主主義という希望
内田聖子(PARC)
〈割れる世論の中で〉
国葬とメディア――テレビはどう伝えたか?
浮田 哲(羽衣国際大学)
〈ワクチン禍の歴史から〉
ルポ 副反応【第4回(最終回)】――裁判闘争と「三基準」
山岡淳一郎(ノンフィクション作家)
〈狭間からの声〉
沖縄・半世紀の群像【第6回(最終回)】――金城 馨
渡辺 豪(ジャーナリスト)
〈消えないPTSD〉
東京電力 11年の変節【第4回(最終回)】――取り残される避難者
後藤秀典(ジャーナリスト)
〈懲罰からの変化〉
刑罰をどう考えるか
浜井浩一(龍谷大学)
〈報告〉
ハイチ 二〇〇年の苦難――歴史的背景と国際社会の責任
山岡加奈子(ジェトロ・アジア経済研究所)
〈したたかに、不屈に〉
香港からの通信【第5回】――抗議するコミュニティの現在
江瓊珠(ドキュメンタリー制作者)
〈座談会〉
女性労働運動は、この社会のすべてを変える
松元ちえ、中島由美子、大椿裕子、瀬山紀子
〈総括〉
夢の沈んだ底の『火山島』
金石範(作家)
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◇世界の潮
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◇英国保守党は変わったか?――トラス政権とイデオロギー的先鋭化
高安健将
◇ウトロ等連続放火事件 判決の意義と課題
師岡康子
◇神宮外苑大規模再開発はなぜ止まらないか
森本智之
◇NHKの放送倫理違反――BPO勧告の問題提起
長井 暁
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◇SEKAI Review of Books
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◇さいとう・たかを後の『ゴルゴ13』へ――続行への期待と一抹の不安
斎藤貴男(ジャーナリスト)
◇読書の要諦――ノンフィクション 積ん読では惜しい四冊
青木 理(ジャーナリスト)
◇新刊│明治期、私擬憲法のエッセンス――畑中章宏『忘れられた日本憲法』
松崎 稔(町田市立自由民権資料館)
◇新刊紹介
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●連載
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〈好評連載〉
脳力のレッスン(245)――近代民主主義の成立要件と二一世紀の模索
寺島実郎
壊れる世界【第3回】――権力闘争としての国際政治
藤原帰一(東京大学客員教授)
〈荒ぶる気象と向き合う〉
いま、この惑星で起きていること【第35回(最終回)】――体当たりの科学者たち
森さやか(気象予報士)
〈国際的進展〉
気候再生のために【第6回】――気候変動から守られる権利
高村ゆかり(東京大学)
〈座談会〉
音で読む『世界』――視覚障害者と情報保障
栗川 治(元新潟県公立高校教員)、松本道子(音訳者)、藤田晶子(全国音訳ボランティアネットワーク)、堀江達朗(東京ヘレン・ケラー協会点字図書館)
●片山善博の「日本を診る」(156)――心許ない国に相変わらず頼ろうとする自治体への違和感
片山善博(大正大学)
●沖縄(シマ)という窓――軍基地と女と子ども――平田正代さんの足跡を残す
山城紀子(フリーライター)
●お許しいただければ――最高のフルーツ(A.A.ミルン)
訳=行方昭夫(英文学者)
●原発月報――(22・8~9)
福島原発事故記録チーム
●ドキュメント激動の南北朝鮮(303)(22・8~9)
編集部
●民話採光
阿部海太(画家・絵本作家)
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○読者投句・岩波俳句
選・文=池田澄子(俳人)
○アムネスティ通信
○読者談話室
○デザイン
赤崎正一 + 佐野裕哉 (協力=国府台さくら)
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編集後記
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圧政への抵抗をつづける人々の肉声を伝える「香港からの通信」に反響をいただいている。今回も、抗議するコミュニティの今が詳細に報告されている。今後、大学生や亡命者など、さらに多様な人々の声が伝えられるだろう。
香港だけではない。軍事独裁下のミャンマーの民主派、ロシアにおける反戦活動家やジャーナリスト、監視下におかれるアメリカのBLM(今号、内田聖子報告参照)などでも同じ状況がある。いや、取り巻く状況の次元は異なるものの、民主主義と自由、平和は、自動的に与えられるものではないという点で、本質的に私たちも同じ地平に立つ。
金石範さんの原稿を読んでほしい。圧迫と対峙し、政治によって消された歴史を蘇らせ、時代と向き合いつづけた金石範文学の、金石範という人間の、まごうことなき勝利の宣言である。
九七歳となる金さん(「先生」と呼ばないでほしいといつも言われるので、こう書く)は、電話口で、この原稿が「最後の作品」だと繰り返し述べられていたが、ぜひ書きつづけていただきたいと願う。
* * *
さて、私にとっては今号が最後の担当号となる。私の場合、この雑誌の創刊の志というバトンを継いでいくリレー選手の一人であり、勝利というようなことではないが、底なしの出版不況の中、この雑誌の刊行をよく維持しえて退任できることに、いささかの感慨を覚えないではない。
編集責任を担った四年あまりの間に、ウクライナ侵攻や元首相銃撃事件など多くの事件が起きた。とりわけコロナ禍は編集現場にも多大な影響があった。一時期は人に会うことも集まることもできず、書店は閉じられ、どうなってしまうのかと案じられた。しかし、いや、だからこそ、多くの読者が本誌を手にとってくださった。この数年、本誌は堅調に推移し、なかでも年間購読をしてくださる読者が着実に増えた。
近年でいえば、3・11や安保法制強行のときなど、社会が大きく揺らぐときに本誌は部数をのばした。それは、本誌が言論誌としての独立を貫き、読者に奉仕する姿勢を変えないことへの信頼があればこそだろう。金さんが、政治的圧力による妥協を一作にでもしていたら『火山島』は書かれなかった、と書いているが、同様の緊張感を私たちも持続させていかなければいけない。
好評をいただいていた複数の連載が今号で完結する。誌面はこうして変わってもいくが、本誌の基本的な編集方針が変わることはない。そのうえで、バトンを渡す後任の堀由貴子もまた、持ち味を発揮しながら本誌の新たな地平を拓いていくはずである。どうぞご期待いただきたい。
私が本誌編集に参画したのは二〇〇七年一月のことだったから、一五年以上、この国の戦後民主主義の一端を担う本誌の編集に関わってきたことになる。やたらと重い荷であったが、それだけに担ぎがいのある仕事であった。もとより、読者の支持があってこその本誌の存在である。今後ともご愛読ください。ありがとうございました。
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『世界』編集部 編
2022年4月14日刊
定価1,320円
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国際社会は冷戦終結以降、最大の危機を迎えた。核大国による侵略という事態をどう理解し、どう対峙するのか。多角的に検証する。
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◎プリズン・サークル
坂上 香
定価2,200円
http://iwnm.jp/061526
人は、ひとりでは罪と向き合えない。日本初となる刑務所内での長期撮影、一〇年超の取材がここに結実。
◎学問と政治 学術会議任命拒否問題とは何か(岩波新書)
芦名定道、宇野重規、岡田正則、小沢隆一、加藤陽子、松宮孝明
定価924円
http://iwnm.jp/431925
日本学術会議会員任命拒否には、日本社会の矛盾が象徴されている。当事者六名が、その背景と本質を問う。
◎読書会という幸福(岩波新書)
向井和美
定価946円
http://iwnm.jp/431932
本を語ることは人生を語ること。三十年以上続く、豊穣な「魂の交流の場」への想いをやわらかな文章で綴る。
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山城紀子、松元 剛、親川志奈子
定価2,420円
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三人の書き手が多角的に描き出す沖縄の同時代史。一四年にわたる雑誌『世界』好評リレー連載を単行本化。
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