『世界』メールマガジン/2023年1月号【特集1:経済停滞 出口を見つける】【特集2:アメリカの憂鬱――2024年大統領選の焦点】
2022/12/08 (Thu) 11:00
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■■ 『世界』メールマガジン/2023年1月号
■■ vol.#0091
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■『世界』2023年1月号(第965号)好評発売中
2022年12月8日発行
定価935円(税込)
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▼本号の目次
特集/注目記事/世界の潮/SEKAI Review of Books/連載/編集後記/『世界』臨時増刊月号のご案内
/『世界』から生まれた本/「WEB世界」のご案内
┏━━━┓
┃特集1┃経済停滞 出口を見つける
┗━━━╋…────────────────────────────────
〈今こそ声をあげよ!〉
黙っていても実質賃金は上がらない
玄田有史(東京大学)
〈労働運動の過ち?〉
日本の賃金が上がらないのは「美徳の不幸」ゆえか?
濱口桂一郎(労働政策研究・研修機構)
〈異次元の実験〉
量的・質的金融緩和――なぜ人々の期待は変化しなかったのか
中園善行(横浜市立大学)
〈厳しい現実〉
物価上昇と所得・地域特性――深刻な影響はどこに?
阿部修人(一橋大学)、稲倉典子(四国大学)
〈日銀の無力、政府の無策〉
長期停滞と混迷する経済政策
服部茂幸(同志社大学)
〈能力主義の理想と現実〉
ソウルと東京でミレニアル世代に聞いた不平等と不公平
朝比奈祐揮(韓国外国語大学)
┏━━━┓
┃特集2┃アメリカの憂鬱――2024年大統領選の焦点
┗━━━╋…────────────────────────────────
〈歴史に深く刻まれた亀裂〉
アメリカを二分する文化戦争――その展開と展望
藤本龍児(帝京大学)
〈プロライフ派の欺瞞〉
中絶論争が見えなくしたもの――アメリカ合衆国の生殖の政治
兼子 歩(明治大学)
〈分割政府のゆくえ〉
極端派の伸長は食い止められたか――二〇二二年中間選挙のもう一つの焦点
待鳥聡史(京都大学)
〈バイデン後半戦〉
米民主党を覆う「二つの難題」――新世代左派の苦悩とトランプ依存
渡辺将人(北海道大学)
〈若者たちの中間選挙〉
Z世代のアメリカ
佐久間裕美子(文筆家)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◆注目記事
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
〈歴史のアナロジー〉
それでも、平和を希求するために――歴史学の歩みから何を学ぶのか
加藤陽子(東京大学)
〈君主の死、国のかたち〉
チャールズ三世の即位と立憲君主制のゆくえ
近藤和彦(東京大学名誉教授)
〈緊急レポート〉
ロシア科学アカデミーに何が起こったのか?――プーチン政権下における学術と政治
橋本伸也(関西学院大学)
〈新連載〉
Z世代と探るジャーナリズム【第1回】――安倍元首相への献花の列に何を感じたか?
奥山俊宏(上智大学)
〈新連載〉
「拉致問題」風化に抗して【第1回】――「八人死亡 二人未入境」の虚偽(その1)
蓮池 薫(新潟産業大学)
〈インタビュー〉
日朝首脳会談二〇年 失われつつある東アジアの展望
田中 均(日本総研 国際戦略研究所特別顧問)、聞き手=青木 理(ジャーナリスト)
〈再接続は可能か?〉
ルックバック2002
権容〓(クォン ヨンソク、一橋大学)
〈地に堕ちた安全〉
梨泰院惨事の責任と終わらない弔い――犠牲者と生存者と私たち
趙慶喜(聖公会大学)
〈対談〉
ベストセラーが照らすアメリカ黒人の生
秋元由紀(翻訳家)×押野素子(翻訳家)
〈ドキュメント〉
王将事件の闇は解明されるか
村山 治(ジャーナリスト)
〈ルポ〉
録音された死刑執行
阿部峻介(朝日新聞)
〈国際政治の今を読む〉
交錯する「二つの西洋」と日本の「脱亜入欧」
西谷修(東京外国語大学名誉教授)
〈現地からの報告〉
ルーラ新政権誕生――民主主義を希求した市民の勝利
下郷さとみ(ジャーナリスト)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◇世界の潮
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◇温暖化による「損失と損害」基金創設へ――COP27の成果と課題
小西雅子
◇ヤフコメは健全化するのか
藤代裕之
◇保険証廃止=マイナンバーカード義務化の問題点
坂本 団
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◇SEKAI Review of Books
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◇新連載│読書・観賞日記 読んで、観て、聴いて
新城和博(編集者)
◇レイシズムをめぐる終わりなき戦い
中村隆之(早稲田大学)
◇新刊│「中国の長い戦後」という視座――ラナ・ミッター『中国の「よい戦争」』
大澤武司(福岡大学)
◇新刊紹介
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
●連載
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
〈好評連載〉
ボナエ・リテラエ――私の読書遍歴【第2回】――「良い書物」
森本あんり(東京女子大学長)
壊れる世界【第5回】――ポストリベラリズムの時代
藤原帰一(東京大学客員教授)
脳力のレッスン(247)――戦後民主主義と安倍政治
寺島実郎
●片山善博の「日本を診る」(158)――葉梨前法相の不用意な発言をめぐるいくつかの論点
片山善博(大正大学)
●香港からの通信【第7回】――国安法体制下の「国際的」名門大学
葉蔭 聡(元香港嶺南大学助教)
●気候再生のために【第8回】――複合的危機の中のCOP27――公正な移行への挑戦
高村ゆかり(東京大学)
●沖縄(シマ)という窓――七市長選で全敗――「オール沖縄」の岐路
松元 剛(琉球新報)
●お許しいただければ――ノコギリで丸太を挽く(A.G.ガードナー)
訳=行方昭夫(英文学者)
●原発月報――(22・10~11)
福島原発事故記録チーム
●ドキュメント激動の南北朝鮮(305)(22・10~11)
編集部
●民話採光
阿部海太(画家・絵本作家)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
○読者投句・岩波俳句
選・文=池田澄子(俳人)
○アムネスティ通信
○読者談話室
○デザイン
赤崎正一 + 佐野裕哉 (協力=国府台さくら)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
編集後記
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一〇月末、ソウルの梨泰院で起きた雑踏事故の映像が繰り返し流されるなか、ある本を探していた。
『目の眩んだ者たちの国家』(新泉社、矢島暁子訳)は、高校生ら三〇〇人以上が亡くなった二〇一四年四月のセウォル号沈没事故を受けて、韓国の作家、研究者たちが雑誌『文学トンネ』に緊急に執筆した文章をまとめた本だ。
「私たちが目を開けなければ 最後まで目を閉じることのできない子どもたちがいる」
作家のパク・ミンギュがそう書いた一篇は、いまもその言葉の密度を失わない。
梨泰院事故で亡くなった一五八人の多くは若者で、三分の二以上が女性だった。日本からの留学生で、韓国で仕事をしたいと考えていたという冨川芽生さんの父親は、テレビの取材に「いちばん無念なのは本人だと思う」と話していた。
社会学者の趙慶喜さんは、今月号への寄稿で、問題を政権に帰着させるだけでは常に十分でない、としながらも、繰り返される災難で何が奪われているか、光を当てている。
惨事を体験した人、大切な人を失った人と、そうでない人間には溝がある。その溝の深さにたじろぎつつ、それでも私たちは「想像のなかで繋がりうる」と書いた趙さんの文章から、韓国社会での声、対話の積み重なりを感じる。
二〇二二年は、サッカーW杯日韓大会(五―六月)、日朝首脳会談(九月)、そして五人の拉致被害者の帰国(一〇月)から二〇年の年だった。
今月号から始まる新連載で、蓮池薫さんは、日朝首脳会談にあたっての北朝鮮側の通告(日本政府が事前に示した行方不明リストに対し、「五人生存、八人死亡」と答えた)に根本的な疑問を投げかけている。
誰が「生存者」とされ、誰がそこから外れたのか。拉致問題をめぐる一つひとつの事実を見つめることこそ、解決の糸口になるとあらためて思う。
日朝首脳会談を実現させた元外務審議官の田中均さんが、今この世界に、どこにも平和をつくるコミットメントがみられない、と語ったとき、この二〇年の落差を実感した(今月号インタビュー)。相次ぐ北朝鮮のミサイル発射に目を奪われる近年、感覚はむしろ鈍っているかもしれない。時間と可能性をこれ以上失わず、隣国と水平な関係を結び直すヒントはどこにあるのか。
「対立そのものをどのような構えで見たらよいのか、それを教えてくれるのが歴史」。そう語る加藤陽子さんの言葉(今月号)が、目下の戦争は残念ながら長く続くはず、との指摘とともに重く響く。
二〇二三年四月で、日銀の黒田東彦総裁の任期が満了になる。異次元の金融緩和は一〇年続いた。研究において「わかっていないこと」を明確にしながら、長い「実験」を検証した特集1の中園善行論考は、ディストピア小説のように私たちの痺れを気づかせてくれるものだった。
異常を日常にしてはいけない。
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~~『世界』臨時増刊号のご案内~~
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◎『世界』臨時増刊 ウクライナ侵略戦争――世界秩序の危機
『世界』編集部 編
2022年4月14日刊
定価1,320円
http://iwnm.jp/022242
※書籍版はご好評につき品切れとなりましたが、電子書籍版を配信中です。
国際社会は冷戦終結以降、最大の危機を迎えた。核大国による侵略という事態をどう理解し、どう対峙するのか。多角的に検証する。
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~~『世界』から生まれた本~~
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◎プリズン・サークル
坂上 香
定価2,200円
http://iwnm.jp/061526
人は、ひとりでは罪と向き合えない。日本初となる刑務所内での長期撮影、一〇年超の取材がここに結実。
◎学問と政治 学術会議任命拒否問題とは何か(岩波新書)
芦名定道、宇野重規、岡田正則、小沢隆一、加藤陽子、松宮孝明
定価924円
http://iwnm.jp/431925
日本学術会議会員任命拒否には、日本社会の矛盾が象徴されている。当事者六名が、その背景と本質を問う。
◎読書会という幸福(岩波新書)
向井和美
定価946円
http://iwnm.jp/431932
本を語ることは人生を語ること。三十年以上続く、豊穣な「魂の交流の場」への想いをやわらかな文章で綴る。
◎沖縄という窓 クロニクル2008―2022
山城紀子、松元 剛、親川志奈子
定価2,420円
http://iwnm.jp/061541
三人の書き手が多角的に描き出す沖縄の同時代史。一四年にわたる雑誌『世界』好評リレー連載を単行本化。
◎いま、この惑星で起きていること 気象予報士の眼に映る世界
森さやか
定価902円
http://iwnm.jp/500954
世界各地で観測される異常気象を気象予報士の立場で解説し、今後について考察する。『世界』の大好評連載をまとめた一冊。
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~~「WEB世界」のご案内~~
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雑誌『世界』のWEB版もぜひ、ご覧ください
https://tanemaki.iwanami.co.jp/
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登録情報の編集・解除は,こちらよりお願いいたします.
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〒101-8002 東京都千代田区一ツ橋2-5-5
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◇本誌のご注文はお近くの書店か小社営業部宛てにお願いいたします.
岩波書店営業部読者係(TEL:03-5210-4111,FAX:03-3263-6999)
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■『世界』2023年1月号(第965号)好評発売中
2022年12月8日発行
定価935円(税込)
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▼本号の目次
特集/注目記事/世界の潮/SEKAI Review of Books/連載/編集後記/『世界』臨時増刊月号のご案内
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┃特集1┃経済停滞 出口を見つける
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〈今こそ声をあげよ!〉
黙っていても実質賃金は上がらない
玄田有史(東京大学)
〈労働運動の過ち?〉
日本の賃金が上がらないのは「美徳の不幸」ゆえか?
濱口桂一郎(労働政策研究・研修機構)
〈異次元の実験〉
量的・質的金融緩和――なぜ人々の期待は変化しなかったのか
中園善行(横浜市立大学)
〈厳しい現実〉
物価上昇と所得・地域特性――深刻な影響はどこに?
阿部修人(一橋大学)、稲倉典子(四国大学)
〈日銀の無力、政府の無策〉
長期停滞と混迷する経済政策
服部茂幸(同志社大学)
〈能力主義の理想と現実〉
ソウルと東京でミレニアル世代に聞いた不平等と不公平
朝比奈祐揮(韓国外国語大学)
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┃特集2┃アメリカの憂鬱――2024年大統領選の焦点
┗━━━╋…────────────────────────────────
〈歴史に深く刻まれた亀裂〉
アメリカを二分する文化戦争――その展開と展望
藤本龍児(帝京大学)
〈プロライフ派の欺瞞〉
中絶論争が見えなくしたもの――アメリカ合衆国の生殖の政治
兼子 歩(明治大学)
〈分割政府のゆくえ〉
極端派の伸長は食い止められたか――二〇二二年中間選挙のもう一つの焦点
待鳥聡史(京都大学)
〈バイデン後半戦〉
米民主党を覆う「二つの難題」――新世代左派の苦悩とトランプ依存
渡辺将人(北海道大学)
〈若者たちの中間選挙〉
Z世代のアメリカ
佐久間裕美子(文筆家)
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◆注目記事
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〈歴史のアナロジー〉
それでも、平和を希求するために――歴史学の歩みから何を学ぶのか
加藤陽子(東京大学)
〈君主の死、国のかたち〉
チャールズ三世の即位と立憲君主制のゆくえ
近藤和彦(東京大学名誉教授)
〈緊急レポート〉
ロシア科学アカデミーに何が起こったのか?――プーチン政権下における学術と政治
橋本伸也(関西学院大学)
〈新連載〉
Z世代と探るジャーナリズム【第1回】――安倍元首相への献花の列に何を感じたか?
奥山俊宏(上智大学)
〈新連載〉
「拉致問題」風化に抗して【第1回】――「八人死亡 二人未入境」の虚偽(その1)
蓮池 薫(新潟産業大学)
〈インタビュー〉
日朝首脳会談二〇年 失われつつある東アジアの展望
田中 均(日本総研 国際戦略研究所特別顧問)、聞き手=青木 理(ジャーナリスト)
〈再接続は可能か?〉
ルックバック2002
権容〓(クォン ヨンソク、一橋大学)
〈地に堕ちた安全〉
梨泰院惨事の責任と終わらない弔い――犠牲者と生存者と私たち
趙慶喜(聖公会大学)
〈対談〉
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〈ドキュメント〉
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村山 治(ジャーナリスト)
〈ルポ〉
録音された死刑執行
阿部峻介(朝日新聞)
〈国際政治の今を読む〉
交錯する「二つの西洋」と日本の「脱亜入欧」
西谷修(東京外国語大学名誉教授)
〈現地からの報告〉
ルーラ新政権誕生――民主主義を希求した市民の勝利
下郷さとみ(ジャーナリスト)
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◇世界の潮
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◇温暖化による「損失と損害」基金創設へ――COP27の成果と課題
小西雅子
◇ヤフコメは健全化するのか
藤代裕之
◇保険証廃止=マイナンバーカード義務化の問題点
坂本 団
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◇SEKAI Review of Books
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◇新連載│読書・観賞日記 読んで、観て、聴いて
新城和博(編集者)
◇レイシズムをめぐる終わりなき戦い
中村隆之(早稲田大学)
◇新刊│「中国の長い戦後」という視座――ラナ・ミッター『中国の「よい戦争」』
大澤武司(福岡大学)
◇新刊紹介
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●連載
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〈好評連載〉
ボナエ・リテラエ――私の読書遍歴【第2回】――「良い書物」
森本あんり(東京女子大学長)
壊れる世界【第5回】――ポストリベラリズムの時代
藤原帰一(東京大学客員教授)
脳力のレッスン(247)――戦後民主主義と安倍政治
寺島実郎
●片山善博の「日本を診る」(158)――葉梨前法相の不用意な発言をめぐるいくつかの論点
片山善博(大正大学)
●香港からの通信【第7回】――国安法体制下の「国際的」名門大学
葉蔭 聡(元香港嶺南大学助教)
●気候再生のために【第8回】――複合的危機の中のCOP27――公正な移行への挑戦
高村ゆかり(東京大学)
●沖縄(シマ)という窓――七市長選で全敗――「オール沖縄」の岐路
松元 剛(琉球新報)
●お許しいただければ――ノコギリで丸太を挽く(A.G.ガードナー)
訳=行方昭夫(英文学者)
●原発月報――(22・10~11)
福島原発事故記録チーム
●ドキュメント激動の南北朝鮮(305)(22・10~11)
編集部
●民話採光
阿部海太(画家・絵本作家)
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○読者投句・岩波俳句
選・文=池田澄子(俳人)
○アムネスティ通信
○読者談話室
○デザイン
赤崎正一 + 佐野裕哉 (協力=国府台さくら)
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編集後記
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一〇月末、ソウルの梨泰院で起きた雑踏事故の映像が繰り返し流されるなか、ある本を探していた。
『目の眩んだ者たちの国家』(新泉社、矢島暁子訳)は、高校生ら三〇〇人以上が亡くなった二〇一四年四月のセウォル号沈没事故を受けて、韓国の作家、研究者たちが雑誌『文学トンネ』に緊急に執筆した文章をまとめた本だ。
「私たちが目を開けなければ 最後まで目を閉じることのできない子どもたちがいる」
作家のパク・ミンギュがそう書いた一篇は、いまもその言葉の密度を失わない。
梨泰院事故で亡くなった一五八人の多くは若者で、三分の二以上が女性だった。日本からの留学生で、韓国で仕事をしたいと考えていたという冨川芽生さんの父親は、テレビの取材に「いちばん無念なのは本人だと思う」と話していた。
社会学者の趙慶喜さんは、今月号への寄稿で、問題を政権に帰着させるだけでは常に十分でない、としながらも、繰り返される災難で何が奪われているか、光を当てている。
惨事を体験した人、大切な人を失った人と、そうでない人間には溝がある。その溝の深さにたじろぎつつ、それでも私たちは「想像のなかで繋がりうる」と書いた趙さんの文章から、韓国社会での声、対話の積み重なりを感じる。
二〇二二年は、サッカーW杯日韓大会(五―六月)、日朝首脳会談(九月)、そして五人の拉致被害者の帰国(一〇月)から二〇年の年だった。
今月号から始まる新連載で、蓮池薫さんは、日朝首脳会談にあたっての北朝鮮側の通告(日本政府が事前に示した行方不明リストに対し、「五人生存、八人死亡」と答えた)に根本的な疑問を投げかけている。
誰が「生存者」とされ、誰がそこから外れたのか。拉致問題をめぐる一つひとつの事実を見つめることこそ、解決の糸口になるとあらためて思う。
日朝首脳会談を実現させた元外務審議官の田中均さんが、今この世界に、どこにも平和をつくるコミットメントがみられない、と語ったとき、この二〇年の落差を実感した(今月号インタビュー)。相次ぐ北朝鮮のミサイル発射に目を奪われる近年、感覚はむしろ鈍っているかもしれない。時間と可能性をこれ以上失わず、隣国と水平な関係を結び直すヒントはどこにあるのか。
「対立そのものをどのような構えで見たらよいのか、それを教えてくれるのが歴史」。そう語る加藤陽子さんの言葉(今月号)が、目下の戦争は残念ながら長く続くはず、との指摘とともに重く響く。
二〇二三年四月で、日銀の黒田東彦総裁の任期が満了になる。異次元の金融緩和は一〇年続いた。研究において「わかっていないこと」を明確にしながら、長い「実験」を検証した特集1の中園善行論考は、ディストピア小説のように私たちの痺れを気づかせてくれるものだった。
異常を日常にしてはいけない。
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『世界』編集部 編
2022年4月14日刊
定価1,320円
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国際社会は冷戦終結以降、最大の危機を迎えた。核大国による侵略という事態をどう理解し、どう対峙するのか。多角的に検証する。
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◎プリズン・サークル
坂上 香
定価2,200円
http://iwnm.jp/061526
人は、ひとりでは罪と向き合えない。日本初となる刑務所内での長期撮影、一〇年超の取材がここに結実。
◎学問と政治 学術会議任命拒否問題とは何か(岩波新書)
芦名定道、宇野重規、岡田正則、小沢隆一、加藤陽子、松宮孝明
定価924円
http://iwnm.jp/431925
日本学術会議会員任命拒否には、日本社会の矛盾が象徴されている。当事者六名が、その背景と本質を問う。
◎読書会という幸福(岩波新書)
向井和美
定価946円
http://iwnm.jp/431932
本を語ることは人生を語ること。三十年以上続く、豊穣な「魂の交流の場」への想いをやわらかな文章で綴る。
◎沖縄という窓 クロニクル2008―2022
山城紀子、松元 剛、親川志奈子
定価2,420円
http://iwnm.jp/061541
三人の書き手が多角的に描き出す沖縄の同時代史。一四年にわたる雑誌『世界』好評リレー連載を単行本化。
◎いま、この惑星で起きていること 気象予報士の眼に映る世界
森さやか
定価902円
http://iwnm.jp/500954
世界各地で観測される異常気象を気象予報士の立場で解説し、今後について考察する。『世界』の大好評連載をまとめた一冊。
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