『世界』メールマガジン/2023年2月号【特集1:習近平新時代 共存の道は】【特集2:コロナは日本をどう変えた?】
2023/01/09 (Mon) 14:00
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■■ 『世界』メールマガジン/2023年2月号
■■ vol.#0092
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■『世界』2023年2月号(第966号)好評発売中
2023年1月6日発行
定価935円(税込)
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▼本号の目次
特集/注目記事/世界の潮/SEKAI Review of Books/連載/編集後記/『世界』臨時増刊月号のご案内
/『世界』から生まれた本/「WEB世界」のご案内
┏━━━┓
┃特集1┃習近平新時代 共存の道は
┗━━━╋…────────────────────────────────
〈その構造をよむ〉
習近平三期目 長期政権の内実
小嶋華津子(慶應義塾大学)
〈強権下にある「心の声」〉
犠牲となった人民――中国共産党大会の象徴的意味
聶莉莉(東京女子大学)
〈座談会〉
中国経済はどう進むのか――内在要因と台湾・アメリカ・日本
梶谷 懐(神戸大学)、川上桃子(ジェトロ・アジア経済研究所)、吉岡桂子(朝日新聞)
〈最前線のレポート〉
デジタル人民元 その狙いとは?
高口康太(中国研究家)
〈ゼロコロナを検証〉
中国、ウィズコロナへの転換
飯島 渉(青山学院大学)
〈インタビュー〉
習近平の中国とどう向き合うか
福田康夫(元内閣総理大臣)
〈交渉の歴史〉
「一つの中国」政策は覆せない――台湾の地位をめぐる整理
岡田 充(ジャーナリスト)
〈“フチ”の交流へ〉
日本と中国、建築交流の歴史――国交正常化からその五〇周年まで
市川紘司(建築史家)
〈皿の上の中国と日本〉
螺〓粉(タニシビーフン)とガチ中華
岩間一弘(慶應義塾大学)
┏━━━┓
┃特集2┃コロナは日本をどう変えた?
┗━━━╋…────────────────────────────────
〈ズレはどこから生まれた?〉
医療界と社会のあいだ
高久玲音(一橋大学)
〈感染症対策の問題点〉
なぜ日本のコロナ対策は失敗を続けるのか――行政と専門家の構造的問題に目を向けよ
米村滋人(東京大学)
〈インタビュー〉
医療制度が破壊された三年間
倉持 仁(インターパーク倉持呼吸器内科院長)
〈シェフたちの声〉
「不要不急」と指さされ――コロナ禍と飲食業界
井川直子(文筆業)
〈科学論の観点から〉
パンデミックが照らし出す「科学」と「政治」
神里達博(千葉大学)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◆注目記事
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
〈「反撃能力」と国家安全保障戦略〉
憲法九条の死
阪田雅裕(元内閣法制局長官)
〈「私権力」の下に蠢くもの〉
「解釈変更」という擬態――この一〇年間のこの国の政治を考える
蟻川恒正(日本大学)
〈提言〉
「沖縄返還」五〇年を超えて――基地の島からの主張
沖縄対外問題研究会
〈日本政治の展望〉
ポスト「一強」政治の選択肢――自民党右派と野党共闘の先へ
中北浩爾(一橋大学)
〈講演〉
大衆的検閲について
桐野夏生(作家)
〈大混乱を読み解く〉
イーロン・マスクのツイッター買収――「新たな統治者」をどう「ガバナンス」するか
水谷瑛嗣郎(関西大学)
〈統一教会問題次のステージ〉
政治介入を招く法制度を見なおす――宗教法人法と認証・解散規定
島薗 進(東京大学名誉教授)
〈小さなモノの影響力〉
神宮大麻を知っていますか?――伊勢神宮と神社界
ジョン・ブリーン(国際日本文化研究センター名誉教授)
〈問題はどこに〉
インボイス騒動――相互牽制型税制への整備
三木義一(青山学院大学名誉教授)
〈最新動向〉
“失われた10年”再び?――ラテンアメリカ「左派復権」の実相
狐崎知己(専修大学)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◇世界の潮
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◇障害者権利委員会 初の総括所見が日本に求めたもの
石川 准
◇W杯カタール大会 栄光と足元の人権
木村元彦
◇「太陽花世代」の終焉? 台湾統一地方選挙
本田善彦
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◇SEKAI Review of Books
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◇連載│読書・観賞日記 読んで、観て、聴いて
長谷部恭男(早稲田大学)
◇新刊│誰のための警察か――『ヤジと民主主義』
出口かおり(弁護士)
◇新刊紹介
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
●連載
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
●ボナエ・リテラエ――私の読書遍歴【第3回】――『CQ ham radio』
森本あんり(東京女子大学長)
●脳力のレッスン(248)――議会制民主主義の再生のために
寺島実郎
●Z世代と探るジャーナリズム【第2回】
奥山俊宏(上智大学)
●片山善博の「日本を診る」(159)――辺野古埋め立て承認の撤回をめぐる最高裁判決の時代錯誤
片山善博(大正大学)
●香港からの通信【第8回】――残された時間は三〇年
トーマス・ファン(「細葉榕人道支援基金会」創設者)
●気候再生のために【第9回】――「脱成長」は呪いか、福音か
江守正多(東京大学)
●沖縄(シマ)という窓――所有者不明土地の現在
山城紀子(フリーライター)
●お許しいただければ――帽子屋の哲学(A.G.ガードナー)
訳=行方昭夫(英文学者)
●原発月報――(22・11~12)
福島原発事故記録チーム
●ドキュメント激動の南北朝鮮(306)(22・11~12)
編集部
●民話採光
阿部海太(画家・絵本作家)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
○読者投句・岩波俳句
選・文=池田澄子(俳人)
○アムネスティ通信
○読者談話室
○デザイン
赤崎正一 + 佐野裕哉 (協力=国府台さくら)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
編集後記
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
日本には、憲法九条があるのではなかったか?
国会閉会後の12月16日、「安保三文書」が閣議決定された。NATO加盟国のように、GDP費2%の水準まで防衛費を確保する(実際には、加盟国でもその水準に達しない国は多い)。敵基地攻撃能力を保有する――。報道の多くは、日本の安保政策の「歴史的な転換」と伝えながらも、防衛費増額をすでに前提とした増税、財源論を淡々と追っている。戦争を放棄し、戦力をもたないという歯止めなど、最初から存在しないかのようだ。
憲法学者の青井未帆さんが、以前、九条を木にたとえてこう話していた。政府の解釈や学説、政策が目に見える幹や枝ぶりとしたら、根っこにあるのは、戦争は許さない、軍事はやめようという国民の思いで、根から送られる養分が九条をかたちづくってきた。その根が今やせ細ってきているのではないか、と(2020年3月、信濃毎日新聞)。
どのような政治のもと、九条の土壌に変化がもたらされたのだろう。今号中北浩爾さん、蟻川恒正さんの論考は、それぞれ異なるアプローチから、特に第二次安倍政権以降のこの一〇年間を振り返り、現在地を照らしている。
「積極的平和主義」「平和安全法制」(2015年)といったまやかしが、平和という言葉を曇らせてきた効果もあるのかもしれない。「専守防衛」も、意味のない看板になってしまった(阪田雅裕論考)。安全保障とはなにか。今号掲載の提言「『沖縄返還』五〇年を超えて」は、沖縄の歴史、島に生きる人々の体験に根ざした言葉で問いかけている。
南西諸島では「台湾有事」を理由に自衛隊配備がさらに増強され、沖縄では米軍との共同訓練が相次いで実施されている。提言が指摘する通り、戦争状態を前提にした「有事シナリオ」の策定自体が外交の敗北だ。政治には、戦争を始めないために仕事をしてほしい。
安保三文書のひとつ、国家安全保障戦略では、中国の動向を「これまでにない最大の戦略的挑戦」としている。近しい人物で指導部を固め、異例の三期目の扉を開いた習近平体制の実像、「国力の源泉」である経済(特集1座談会より)のゆくえ。隣国の今、日本との歴史・文化的なつながりを踏まえながら、平和の価値をどう考えるのか、どのような東アジアを望むのか、ここでも私たちが問われている。
日本をとりまく環境、そして世界情勢を決定的に変えたのは、中国新時代、ウクライナ侵攻だけではない。新型コロナウイルスの登場から四年を迎える現在も、私たちがパンデミックのどこにいるのか、正確にはわからない(飯島渉論考)。この三年、世界各国がコロナ対策を模索し、失敗も経験してきた。必要なのは、それをよりよい対策へと反映していくことだが、なぜ日本では機動的な対応が難しいのか(特集2)。
多くの命が失われ、気づかないまま後遺症に苦しむ人もいる。コロナ禍以降、女性の自殺率が上昇しているという。非常時でだれが負担を強いられるか、目を逸らすことなく見つめたい。
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~~『世界』臨時増刊号のご案内~~
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◎『世界』臨時増刊 ウクライナ侵略戦争――世界秩序の危機
『世界』編集部 編
2022年4月14日刊
定価1,320円
http://iwnm.jp/022242
※書籍版はご好評につき品切れとなりましたが、電子書籍版を配信中です。
国際社会は冷戦終結以降、最大の危機を迎えた。核大国による侵略という事態をどう理解し、どう対峙するのか。多角的に検証する。
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~~『世界』から生まれた本~~
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◎プリズン・サークル
坂上 香
定価2,200円
http://iwnm.jp/061526
人は、ひとりでは罪と向き合えない。日本初となる刑務所内での長期撮影、一〇年超の取材がここに結実。
◎学問と政治 学術会議任命拒否問題とは何か(岩波新書)
芦名定道、宇野重規、岡田正則、小沢隆一、加藤陽子、松宮孝明
定価924円
http://iwnm.jp/431925
日本学術会議会員任命拒否には、日本社会の矛盾が象徴されている。当事者六名が、その背景と本質を問う。
◎読書会という幸福(岩波新書)
向井和美
定価946円
http://iwnm.jp/431932
本を語ることは人生を語ること。三十年以上続く、豊穣な「魂の交流の場」への想いをやわらかな文章で綴る。
◎沖縄という窓 クロニクル2008―2022
山城紀子、松元 剛、親川志奈子
定価2,420円
http://iwnm.jp/061541
三人の書き手が多角的に描き出す沖縄の同時代史。一四年にわたる雑誌『世界』好評リレー連載を単行本化。
◎いま、この惑星で起きていること 気象予報士の眼に映る世界
森さやか
定価902円
http://iwnm.jp/500954
世界各地で観測される異常気象を気象予報士の立場で解説し、今後について考察する。『世界』の大好評連載をまとめた一冊。
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~~「WEB世界」のご案内~~
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雑誌『世界』のWEB版もぜひ、ご覧ください
https://tanemaki.iwanami.co.jp/
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岩波書店営業部読者係(TEL:03-5210-4111,FAX:03-3263-6999)
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2023年1月6日発行
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┃特集1┃習近平新時代 共存の道は
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〈その構造をよむ〉
習近平三期目 長期政権の内実
小嶋華津子(慶應義塾大学)
〈強権下にある「心の声」〉
犠牲となった人民――中国共産党大会の象徴的意味
聶莉莉(東京女子大学)
〈座談会〉
中国経済はどう進むのか――内在要因と台湾・アメリカ・日本
梶谷 懐(神戸大学)、川上桃子(ジェトロ・アジア経済研究所)、吉岡桂子(朝日新聞)
〈最前線のレポート〉
デジタル人民元 その狙いとは?
高口康太(中国研究家)
〈ゼロコロナを検証〉
中国、ウィズコロナへの転換
飯島 渉(青山学院大学)
〈インタビュー〉
習近平の中国とどう向き合うか
福田康夫(元内閣総理大臣)
〈交渉の歴史〉
「一つの中国」政策は覆せない――台湾の地位をめぐる整理
岡田 充(ジャーナリスト)
〈“フチ”の交流へ〉
日本と中国、建築交流の歴史――国交正常化からその五〇周年まで
市川紘司(建築史家)
〈皿の上の中国と日本〉
螺〓粉(タニシビーフン)とガチ中華
岩間一弘(慶應義塾大学)
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┃特集2┃コロナは日本をどう変えた?
┗━━━╋…────────────────────────────────
〈ズレはどこから生まれた?〉
医療界と社会のあいだ
高久玲音(一橋大学)
〈感染症対策の問題点〉
なぜ日本のコロナ対策は失敗を続けるのか――行政と専門家の構造的問題に目を向けよ
米村滋人(東京大学)
〈インタビュー〉
医療制度が破壊された三年間
倉持 仁(インターパーク倉持呼吸器内科院長)
〈シェフたちの声〉
「不要不急」と指さされ――コロナ禍と飲食業界
井川直子(文筆業)
〈科学論の観点から〉
パンデミックが照らし出す「科学」と「政治」
神里達博(千葉大学)
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◆注目記事
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〈「反撃能力」と国家安全保障戦略〉
憲法九条の死
阪田雅裕(元内閣法制局長官)
〈「私権力」の下に蠢くもの〉
「解釈変更」という擬態――この一〇年間のこの国の政治を考える
蟻川恒正(日本大学)
〈提言〉
「沖縄返還」五〇年を超えて――基地の島からの主張
沖縄対外問題研究会
〈日本政治の展望〉
ポスト「一強」政治の選択肢――自民党右派と野党共闘の先へ
中北浩爾(一橋大学)
〈講演〉
大衆的検閲について
桐野夏生(作家)
〈大混乱を読み解く〉
イーロン・マスクのツイッター買収――「新たな統治者」をどう「ガバナンス」するか
水谷瑛嗣郎(関西大学)
〈統一教会問題次のステージ〉
政治介入を招く法制度を見なおす――宗教法人法と認証・解散規定
島薗 進(東京大学名誉教授)
〈小さなモノの影響力〉
神宮大麻を知っていますか?――伊勢神宮と神社界
ジョン・ブリーン(国際日本文化研究センター名誉教授)
〈問題はどこに〉
インボイス騒動――相互牽制型税制への整備
三木義一(青山学院大学名誉教授)
〈最新動向〉
“失われた10年”再び?――ラテンアメリカ「左派復権」の実相
狐崎知己(専修大学)
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◇世界の潮
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◇障害者権利委員会 初の総括所見が日本に求めたもの
石川 准
◇W杯カタール大会 栄光と足元の人権
木村元彦
◇「太陽花世代」の終焉? 台湾統一地方選挙
本田善彦
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◇SEKAI Review of Books
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◇連載│読書・観賞日記 読んで、観て、聴いて
長谷部恭男(早稲田大学)
◇新刊│誰のための警察か――『ヤジと民主主義』
出口かおり(弁護士)
◇新刊紹介
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●連載
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●ボナエ・リテラエ――私の読書遍歴【第3回】――『CQ ham radio』
森本あんり(東京女子大学長)
●脳力のレッスン(248)――議会制民主主義の再生のために
寺島実郎
●Z世代と探るジャーナリズム【第2回】
奥山俊宏(上智大学)
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片山善博(大正大学)
●香港からの通信【第8回】――残された時間は三〇年
トーマス・ファン(「細葉榕人道支援基金会」創設者)
●気候再生のために【第9回】――「脱成長」は呪いか、福音か
江守正多(東京大学)
●沖縄(シマ)という窓――所有者不明土地の現在
山城紀子(フリーライター)
●お許しいただければ――帽子屋の哲学(A.G.ガードナー)
訳=行方昭夫(英文学者)
●原発月報――(22・11~12)
福島原発事故記録チーム
●ドキュメント激動の南北朝鮮(306)(22・11~12)
編集部
●民話採光
阿部海太(画家・絵本作家)
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○読者投句・岩波俳句
選・文=池田澄子(俳人)
○アムネスティ通信
○読者談話室
○デザイン
赤崎正一 + 佐野裕哉 (協力=国府台さくら)
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編集後記
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日本には、憲法九条があるのではなかったか?
国会閉会後の12月16日、「安保三文書」が閣議決定された。NATO加盟国のように、GDP費2%の水準まで防衛費を確保する(実際には、加盟国でもその水準に達しない国は多い)。敵基地攻撃能力を保有する――。報道の多くは、日本の安保政策の「歴史的な転換」と伝えながらも、防衛費増額をすでに前提とした増税、財源論を淡々と追っている。戦争を放棄し、戦力をもたないという歯止めなど、最初から存在しないかのようだ。
憲法学者の青井未帆さんが、以前、九条を木にたとえてこう話していた。政府の解釈や学説、政策が目に見える幹や枝ぶりとしたら、根っこにあるのは、戦争は許さない、軍事はやめようという国民の思いで、根から送られる養分が九条をかたちづくってきた。その根が今やせ細ってきているのではないか、と(2020年3月、信濃毎日新聞)。
どのような政治のもと、九条の土壌に変化がもたらされたのだろう。今号中北浩爾さん、蟻川恒正さんの論考は、それぞれ異なるアプローチから、特に第二次安倍政権以降のこの一〇年間を振り返り、現在地を照らしている。
「積極的平和主義」「平和安全法制」(2015年)といったまやかしが、平和という言葉を曇らせてきた効果もあるのかもしれない。「専守防衛」も、意味のない看板になってしまった(阪田雅裕論考)。安全保障とはなにか。今号掲載の提言「『沖縄返還』五〇年を超えて」は、沖縄の歴史、島に生きる人々の体験に根ざした言葉で問いかけている。
南西諸島では「台湾有事」を理由に自衛隊配備がさらに増強され、沖縄では米軍との共同訓練が相次いで実施されている。提言が指摘する通り、戦争状態を前提にした「有事シナリオ」の策定自体が外交の敗北だ。政治には、戦争を始めないために仕事をしてほしい。
安保三文書のひとつ、国家安全保障戦略では、中国の動向を「これまでにない最大の戦略的挑戦」としている。近しい人物で指導部を固め、異例の三期目の扉を開いた習近平体制の実像、「国力の源泉」である経済(特集1座談会より)のゆくえ。隣国の今、日本との歴史・文化的なつながりを踏まえながら、平和の価値をどう考えるのか、どのような東アジアを望むのか、ここでも私たちが問われている。
日本をとりまく環境、そして世界情勢を決定的に変えたのは、中国新時代、ウクライナ侵攻だけではない。新型コロナウイルスの登場から四年を迎える現在も、私たちがパンデミックのどこにいるのか、正確にはわからない(飯島渉論考)。この三年、世界各国がコロナ対策を模索し、失敗も経験してきた。必要なのは、それをよりよい対策へと反映していくことだが、なぜ日本では機動的な対応が難しいのか(特集2)。
多くの命が失われ、気づかないまま後遺症に苦しむ人もいる。コロナ禍以降、女性の自殺率が上昇しているという。非常時でだれが負担を強いられるか、目を逸らすことなく見つめたい。
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『世界』編集部 編
2022年4月14日刊
定価1,320円
http://iwnm.jp/022242
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国際社会は冷戦終結以降、最大の危機を迎えた。核大国による侵略という事態をどう理解し、どう対峙するのか。多角的に検証する。
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◎プリズン・サークル
坂上 香
定価2,200円
http://iwnm.jp/061526
人は、ひとりでは罪と向き合えない。日本初となる刑務所内での長期撮影、一〇年超の取材がここに結実。
◎学問と政治 学術会議任命拒否問題とは何か(岩波新書)
芦名定道、宇野重規、岡田正則、小沢隆一、加藤陽子、松宮孝明
定価924円
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日本学術会議会員任命拒否には、日本社会の矛盾が象徴されている。当事者六名が、その背景と本質を問う。
◎読書会という幸福(岩波新書)
向井和美
定価946円
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本を語ることは人生を語ること。三十年以上続く、豊穣な「魂の交流の場」への想いをやわらかな文章で綴る。
◎沖縄という窓 クロニクル2008―2022
山城紀子、松元 剛、親川志奈子
定価2,420円
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三人の書き手が多角的に描き出す沖縄の同時代史。一四年にわたる雑誌『世界』好評リレー連載を単行本化。
◎いま、この惑星で起きていること 気象予報士の眼に映る世界
森さやか
定価902円
http://iwnm.jp/500954
世界各地で観測される異常気象を気象予報士の立場で解説し、今後について考察する。『世界』の大好評連載をまとめた一冊。
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