『世界』メールマガジン/2023年5月号【特集1:新しい戦前と憲法】【特集2:見えない貧困】
2023/04/07 (Fri) 13:00
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■■ 『世界』メールマガジン/2023年5月号
■■ vol.#0095
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■『世界』2023年5月号(第969号)好評発売中
2023年4月7日発行
定価935円(税込)
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▼本号の目次
特集/注目記事/世界の潮/SEKAI Review of Books/連載/編集後記/
『世界』臨時増刊月号のご案内/『世界』から生まれた本/「WEB世界」のご案内
┏━━━┓
┃特集1┃新しい戦前と憲法
┗━━━╋…────────────────────────────────
〈なぜ九条か〉
安保三文書改定と私たちの平和構想力
青井未帆(学習院大学)
〈「揃い踏み改定」の意味〉
現代の安保関連三文書を、戦前期の「帝国国防方針」から考える
加藤陽子(東京大学)
〈防衛論争の焦点〉
防衛行動の予見可能性
石田 淳(東京大学)
〈その危険性〉
改めて問う、「反撃能力」保有の違憲性
福田 護(弁護士)
〈対談〉
防衛省、世論誘導工作 スクープの裏側
石井 暁(共同通信)×斎藤貴男(ジャーナリスト)
〈財政に与えるインパクト〉
防衛費の大幅拡大で日本はどうなる
和田哲郎(トータルアセットデザイン顧問)
〈インタビュー〉
岸田首相は宏池会イズムを取り戻せ
古賀 誠(元自民党幹事長)
〈軍事化される風景〉
「戦後ゼロ年」の沖縄から
田仲康博(作家、元国際基督教大学教授)
〈柔軟さを取り戻せるか〉
失われたバランス――現代日本外交「三つの路線」をめぐって
宮城大蔵(中央大学)
〈任命拒否理由をまず示せ〉
「日本学術会議法」改正案批判
高山佳奈子(京都大学)
┏━━━┓
┃特集2┃見えない貧困
┗━━━╋…────────────────────────────────
〈座談会〉
透明にされた「中高年シングル女性」の困難
和田靜香、大矢さよ子、植野ルナ、金涼子
〈どんなリスクが?〉
子どもの食生活・栄養格差
村山伸子(新潟県立大学)
〈有権者が問われている〉
エネルギー価格の上昇が私たちを苦しめる理由
田中信一郎(千葉商科大学)
〈「新しい生活困難層」とは〉
分断社会の「見えない貧困」
宮本太郎(中央大学)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◆注目記事
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
〈「希求する」意思〉
大江健三郎さんを追悼する――日本国憲法の精神を生き抜いた文学者
小森陽一(東京大学名誉教授)
〈総務省文書から〉
放送法と政治的公平――総務大臣の権限行使はどうあるべきか
鈴木秀美(慶應義塾大学)
〈インタビュー〉
日韓逆転のなかの徴用工問題“解決策”
李鍾元(早稲田大学)、聞き手=青木 理(ジャーナリスト)
〈目の前の危機〉
「2024年問題」とは何か――物流の曲がり角
首藤若菜(立教大学)
〈許されざる事態〉
「身体拘束」からみる 失われる民主主義
長谷川利夫(杏林大学)
〈インタビュー〉
「人間らしさ」を諦めないために――ウクライナ侵攻から一年
スヴェトラーナ・アレクシエーヴィチ(作家)、聞き手=金平茂紀、沼野恭子
〈ウクライナと「西側」の責任〉
交渉の勧め
ユルゲン・ハーバーマス(哲学者)、訳・解説=三島憲一
〈現地から〉
トルコ南東部大規模地震――選挙のゲームチェンジャーとなるのか
今井宏平(ジェトロ・アジア経済研究所)
〈インタビュー〉
『トリとロキタ』監督に聞く――友情(アミティエ)という、たったひとつのホーム
ジャン=ピエール&リュック・ダルデンヌ(映画監督)、聞き手=中村一成(ジャーナリスト)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◇世界の潮
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◇再審をめぐる「早春の嵐」――日野町事件・袴田事件の再審開始と制度改革の芽吹き
鴨志田祐美
◇韓国 出生率〇・七八という予見された現実
宋多永
◇抜本的なカルト宗教対策が必要だ――「空白の三〇年」の宿題
紀藤正樹
◇日本の人権状況に厳しい勧告――国連UPR審査
馬橋憲男
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◇SEKAI Review of Books
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◇はざまにいながら、二つの運動を結ぶ――排除なき社会を求めて
清末愛砂(室蘭工業大学)
◇連載│読書・観賞日記 読んで、観て、聴いて
新城和博(編集者)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
●連載
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
〈新連載〉
メディアの「罪と罰」 【第1回】――安倍政権下で起きたこと
松本一弥(ジャーナリスト)
〈好評連載〉
拉致問題 風化に抗して【第3回】――日本人拉致の目的(その1)
蓮池 薫(新潟産業大学)
隣のジャーナリズム──貧すれば鈍するマーチ
高橋純子(朝日新聞)
災厄の記憶を継承する【第2回】──水俣・アートで伝える
小松原織香(関西大学)
日本語のなかの何処かへ【第2回】──言語の持ち主
温又柔(作家)
●ボナエ・リテラエ──私の読書遍歴【第6回】──『ドストエーフスキー覚書』
森本あんり(東京女子大学長)
●脳力のレッスン(251)──二〇世紀システムにおける日本
寺島実郎
●片山善博の「日本を診る」(162)──高市大臣が「捏造」だとした総務省文書から見えてくること
片山善博(大正大学)
●Z世代と探るジャーナリズム【第5回】──報道機関に求められる「公平・公正」は中立ではない
奥山俊宏(上智大学)
●気候再生のために【第12回】──未来のための「決定的な一〇年」
高村ゆかり(東京大学)
●沖縄(シマ)という窓──差別と排除――愛楽園で考えるウクライナ戦争
山城紀子(フリーライター)
●ドキュメント激動の南北朝鮮(309)(23・2~3)
編集部
●民話採光
阿部海太(画家・絵本作家)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
○読者投句・岩波俳句
選・文=池田澄子(俳人)
○アムネスティ通信
○読者談話室
○デザイン
赤崎正一 + 佐野裕哉 (協力=国府台さくら)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
編集後記
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
ここ数年のあいだ、何を言っても許されるといわんばかりに韓国批判が繰りひろげられてきた。
二〇一八年、日本企業に元徴用工への賠償を命じた韓国大法院(最高裁)判決に当時の安倍政権は反発、半導体材料の輸出規制措置をとり、韓国もGSOMIA破棄など応酬が続いた。尹錫悦(ユンソンニョル)政権が三月に突如、問題の「解決策」を提示したが、来日した大統領との共同会見で岸田首相は歴史認識について「歴代内閣の立場を全体として引き継いでいる」と述べるにとどまった。解決済みの問題を蒸し返したと韓国を非難し、歩み寄りを評価する、他人事のような日本の姿勢は変わらない。
「日本が強く出るのは決して強さの表現ではなく、弱さの表現かもしれない」
日韓関係の構造的な変化をふまえた李鍾元さんの発言から(今号インタビュー)、二〇一五年の「慰安婦」合意、また一八年以降の「最悪の日韓関係」における居丈高な安倍首相の姿勢を何が支えていたのか、気づかされる。
いま日本で生活が苦しいと感じる人は五割をこえると知った。経済停滞を背景に、福祉からも切り離された層が増え、「苦しい」人同士の断絶もみられる(特集2 宮本太郎論考)。国が傾き、先行きへの不安が膨らむなか、政権の勇ましいかけ声が響いたのだろうか。
「首が飛ぶぞ」「この件は俺と総理が二人で決める話」放送法が求める政治的公平の解釈をめぐり、総務省に働きかけを行なった安倍首相の補佐官はこう語ったという。生々しいやりとりが公表された二〇一四―一五年のメディア状況はどのようなものだったか。
国谷裕子さん(二〇一六年までNHK「クローズアップ現代」キャスターを務めた)の著書には、一四年七月放送の「集団的自衛権 菅官房長官に問う」での質問と答えが記されている。
「最後のファイティングポーズ」という高橋純子さんの言葉のとおり(「隣のジャーナリズム」)、それ以来、テレビでこのように緊張感あふれる場面を目にしていない。
大江健三郎さんが亡くなった。のちに岩波新書『ヒロシマ・ノート』『沖縄ノート』にまとめられる連載を含め、長く「世界」にご寄稿いただいてきた。
二〇〇五年から五年八カ月におよんだ沖縄「集団自決」裁判(いわゆる大江・岩波裁判)は、座間味島の元戦隊長らが住民に「自決」を命じたのかが問われた民事訴訟だが、個人の名誉毀損にとどまらない意味をもった。
勝訴判決の確定後、大江さんは、「集団死」を生きのびた人びとが証言した背景には、教科書から事実が抹消されることへの危機感があったと書いた(二〇一一年七月号)。そして、ふたつの新書を自分の仕事の根幹に置いた理由、本を守る裁判を正面から引き受けた理由を述べながら、『沖縄ノート』の通奏低音のような一節を引いている。
「日本人とはなにか、このような日本人ではないところの日本人へと自分をかえることはできないか」
哀悼の思いとともに、読者の皆さんと持続する志をみがいていきたい。
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~~『世界』臨時増刊号のご案内~~
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◎『世界』臨時増刊 ウクライナ侵略戦争――世界秩序の危機
『世界』編集部 編
2022年4月14日刊
定価1,320円
http://iwnm.jp/022242
※書籍版はご好評につき品切れとなりましたが、電子書籍版を配信中です。
国際社会は冷戦終結以降、最大の危機を迎えた。核大国による侵略という事態をどう理解し、どう対峙するのか。多角的に検証する。
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~~『世界』から生まれた本~~
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◎プリズン・サークル
坂上 香
定価2,200円
http://iwnm.jp/061526
人は、ひとりでは罪と向き合えない。日本初となる刑務所内での長期撮影、一〇年超の取材がここに結実。
◎学問と政治 学術会議任命拒否問題とは何か(岩波新書)
芦名定道、宇野重規、岡田正則、小沢隆一、加藤陽子、松宮孝明
定価924円
http://iwnm.jp/431925
日本学術会議会員任命拒否には、日本社会の矛盾が象徴されている。当事者六名が、その背景と本質を問う。
◎読書会という幸福(岩波新書)
向井和美
定価946円
http://iwnm.jp/431932
本を語ることは人生を語ること。三十年以上続く、豊穣な「魂の交流の場」への想いをやわらかな文章で綴る。
◎沖縄という窓 クロニクル2008―2022
山城紀子、松元 剛、親川志奈子
定価2,420円
http://iwnm.jp/061541
三人の書き手が多角的に描き出す沖縄の同時代史。一四年にわたる雑誌『世界』好評リレー連載を単行本化。
◎いま、この惑星で起きていること 気象予報士の眼に映る世界
森さやか
定価902円
http://iwnm.jp/500954
世界各地で観測される異常気象を気象予報士の立場で解説し、今後について考察する。『世界』の大好評連載をまとめた一冊。
◎孤塁 双葉郡消防士たちの3・11
吉田千亜
定価1,100円
http://iwnm.jp/603333
死と隣り合わせで震災と原発災害に対応した消防士たちを丹念に取材。当時の緊迫を描き出した迫力作。
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~~「WEB世界」のご案内~~
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雑誌『世界』のWEB版もぜひ、ご覧ください
https://tanemaki.iwanami.co.jp/
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◇本誌のご注文はお近くの書店か小社営業部宛てにお願いいたします.
岩波書店営業部読者係(TEL:03-5210-4111,FAX:03-3263-6999)
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■『世界』2023年5月号(第969号)好評発売中
2023年4月7日発行
定価935円(税込)
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▼本号の目次
特集/注目記事/世界の潮/SEKAI Review of Books/連載/編集後記/
『世界』臨時増刊月号のご案内/『世界』から生まれた本/「WEB世界」のご案内
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┃特集1┃新しい戦前と憲法
┗━━━╋…────────────────────────────────
〈なぜ九条か〉
安保三文書改定と私たちの平和構想力
青井未帆(学習院大学)
〈「揃い踏み改定」の意味〉
現代の安保関連三文書を、戦前期の「帝国国防方針」から考える
加藤陽子(東京大学)
〈防衛論争の焦点〉
防衛行動の予見可能性
石田 淳(東京大学)
〈その危険性〉
改めて問う、「反撃能力」保有の違憲性
福田 護(弁護士)
〈対談〉
防衛省、世論誘導工作 スクープの裏側
石井 暁(共同通信)×斎藤貴男(ジャーナリスト)
〈財政に与えるインパクト〉
防衛費の大幅拡大で日本はどうなる
和田哲郎(トータルアセットデザイン顧問)
〈インタビュー〉
岸田首相は宏池会イズムを取り戻せ
古賀 誠(元自民党幹事長)
〈軍事化される風景〉
「戦後ゼロ年」の沖縄から
田仲康博(作家、元国際基督教大学教授)
〈柔軟さを取り戻せるか〉
失われたバランス――現代日本外交「三つの路線」をめぐって
宮城大蔵(中央大学)
〈任命拒否理由をまず示せ〉
「日本学術会議法」改正案批判
高山佳奈子(京都大学)
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┃特集2┃見えない貧困
┗━━━╋…────────────────────────────────
〈座談会〉
透明にされた「中高年シングル女性」の困難
和田靜香、大矢さよ子、植野ルナ、金涼子
〈どんなリスクが?〉
子どもの食生活・栄養格差
村山伸子(新潟県立大学)
〈有権者が問われている〉
エネルギー価格の上昇が私たちを苦しめる理由
田中信一郎(千葉商科大学)
〈「新しい生活困難層」とは〉
分断社会の「見えない貧困」
宮本太郎(中央大学)
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◆注目記事
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〈「希求する」意思〉
大江健三郎さんを追悼する――日本国憲法の精神を生き抜いた文学者
小森陽一(東京大学名誉教授)
〈総務省文書から〉
放送法と政治的公平――総務大臣の権限行使はどうあるべきか
鈴木秀美(慶應義塾大学)
〈インタビュー〉
日韓逆転のなかの徴用工問題“解決策”
李鍾元(早稲田大学)、聞き手=青木 理(ジャーナリスト)
〈目の前の危機〉
「2024年問題」とは何か――物流の曲がり角
首藤若菜(立教大学)
〈許されざる事態〉
「身体拘束」からみる 失われる民主主義
長谷川利夫(杏林大学)
〈インタビュー〉
「人間らしさ」を諦めないために――ウクライナ侵攻から一年
スヴェトラーナ・アレクシエーヴィチ(作家)、聞き手=金平茂紀、沼野恭子
〈ウクライナと「西側」の責任〉
交渉の勧め
ユルゲン・ハーバーマス(哲学者)、訳・解説=三島憲一
〈現地から〉
トルコ南東部大規模地震――選挙のゲームチェンジャーとなるのか
今井宏平(ジェトロ・アジア経済研究所)
〈インタビュー〉
『トリとロキタ』監督に聞く――友情(アミティエ)という、たったひとつのホーム
ジャン=ピエール&リュック・ダルデンヌ(映画監督)、聞き手=中村一成(ジャーナリスト)
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◇世界の潮
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◇再審をめぐる「早春の嵐」――日野町事件・袴田事件の再審開始と制度改革の芽吹き
鴨志田祐美
◇韓国 出生率〇・七八という予見された現実
宋多永
◇抜本的なカルト宗教対策が必要だ――「空白の三〇年」の宿題
紀藤正樹
◇日本の人権状況に厳しい勧告――国連UPR審査
馬橋憲男
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◇SEKAI Review of Books
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◇はざまにいながら、二つの運動を結ぶ――排除なき社会を求めて
清末愛砂(室蘭工業大学)
◇連載│読書・観賞日記 読んで、観て、聴いて
新城和博(編集者)
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●連載
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〈新連載〉
メディアの「罪と罰」 【第1回】――安倍政権下で起きたこと
松本一弥(ジャーナリスト)
〈好評連載〉
拉致問題 風化に抗して【第3回】――日本人拉致の目的(その1)
蓮池 薫(新潟産業大学)
隣のジャーナリズム──貧すれば鈍するマーチ
高橋純子(朝日新聞)
災厄の記憶を継承する【第2回】──水俣・アートで伝える
小松原織香(関西大学)
日本語のなかの何処かへ【第2回】──言語の持ち主
温又柔(作家)
●ボナエ・リテラエ──私の読書遍歴【第6回】──『ドストエーフスキー覚書』
森本あんり(東京女子大学長)
●脳力のレッスン(251)──二〇世紀システムにおける日本
寺島実郎
●片山善博の「日本を診る」(162)──高市大臣が「捏造」だとした総務省文書から見えてくること
片山善博(大正大学)
●Z世代と探るジャーナリズム【第5回】──報道機関に求められる「公平・公正」は中立ではない
奥山俊宏(上智大学)
●気候再生のために【第12回】──未来のための「決定的な一〇年」
高村ゆかり(東京大学)
●沖縄(シマ)という窓──差別と排除――愛楽園で考えるウクライナ戦争
山城紀子(フリーライター)
●ドキュメント激動の南北朝鮮(309)(23・2~3)
編集部
●民話採光
阿部海太(画家・絵本作家)
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○読者投句・岩波俳句
選・文=池田澄子(俳人)
○アムネスティ通信
○読者談話室
○デザイン
赤崎正一 + 佐野裕哉 (協力=国府台さくら)
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編集後記
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ここ数年のあいだ、何を言っても許されるといわんばかりに韓国批判が繰りひろげられてきた。
二〇一八年、日本企業に元徴用工への賠償を命じた韓国大法院(最高裁)判決に当時の安倍政権は反発、半導体材料の輸出規制措置をとり、韓国もGSOMIA破棄など応酬が続いた。尹錫悦(ユンソンニョル)政権が三月に突如、問題の「解決策」を提示したが、来日した大統領との共同会見で岸田首相は歴史認識について「歴代内閣の立場を全体として引き継いでいる」と述べるにとどまった。解決済みの問題を蒸し返したと韓国を非難し、歩み寄りを評価する、他人事のような日本の姿勢は変わらない。
「日本が強く出るのは決して強さの表現ではなく、弱さの表現かもしれない」
日韓関係の構造的な変化をふまえた李鍾元さんの発言から(今号インタビュー)、二〇一五年の「慰安婦」合意、また一八年以降の「最悪の日韓関係」における居丈高な安倍首相の姿勢を何が支えていたのか、気づかされる。
いま日本で生活が苦しいと感じる人は五割をこえると知った。経済停滞を背景に、福祉からも切り離された層が増え、「苦しい」人同士の断絶もみられる(特集2 宮本太郎論考)。国が傾き、先行きへの不安が膨らむなか、政権の勇ましいかけ声が響いたのだろうか。
「首が飛ぶぞ」「この件は俺と総理が二人で決める話」放送法が求める政治的公平の解釈をめぐり、総務省に働きかけを行なった安倍首相の補佐官はこう語ったという。生々しいやりとりが公表された二〇一四―一五年のメディア状況はどのようなものだったか。
国谷裕子さん(二〇一六年までNHK「クローズアップ現代」キャスターを務めた)の著書には、一四年七月放送の「集団的自衛権 菅官房長官に問う」での質問と答えが記されている。
「最後のファイティングポーズ」という高橋純子さんの言葉のとおり(「隣のジャーナリズム」)、それ以来、テレビでこのように緊張感あふれる場面を目にしていない。
大江健三郎さんが亡くなった。のちに岩波新書『ヒロシマ・ノート』『沖縄ノート』にまとめられる連載を含め、長く「世界」にご寄稿いただいてきた。
二〇〇五年から五年八カ月におよんだ沖縄「集団自決」裁判(いわゆる大江・岩波裁判)は、座間味島の元戦隊長らが住民に「自決」を命じたのかが問われた民事訴訟だが、個人の名誉毀損にとどまらない意味をもった。
勝訴判決の確定後、大江さんは、「集団死」を生きのびた人びとが証言した背景には、教科書から事実が抹消されることへの危機感があったと書いた(二〇一一年七月号)。そして、ふたつの新書を自分の仕事の根幹に置いた理由、本を守る裁判を正面から引き受けた理由を述べながら、『沖縄ノート』の通奏低音のような一節を引いている。
「日本人とはなにか、このような日本人ではないところの日本人へと自分をかえることはできないか」
哀悼の思いとともに、読者の皆さんと持続する志をみがいていきたい。
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◎『世界』臨時増刊 ウクライナ侵略戦争――世界秩序の危機
『世界』編集部 編
2022年4月14日刊
定価1,320円
http://iwnm.jp/022242
※書籍版はご好評につき品切れとなりましたが、電子書籍版を配信中です。
国際社会は冷戦終結以降、最大の危機を迎えた。核大国による侵略という事態をどう理解し、どう対峙するのか。多角的に検証する。
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◎プリズン・サークル
坂上 香
定価2,200円
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人は、ひとりでは罪と向き合えない。日本初となる刑務所内での長期撮影、一〇年超の取材がここに結実。
◎学問と政治 学術会議任命拒否問題とは何か(岩波新書)
芦名定道、宇野重規、岡田正則、小沢隆一、加藤陽子、松宮孝明
定価924円
http://iwnm.jp/431925
日本学術会議会員任命拒否には、日本社会の矛盾が象徴されている。当事者六名が、その背景と本質を問う。
◎読書会という幸福(岩波新書)
向井和美
定価946円
http://iwnm.jp/431932
本を語ることは人生を語ること。三十年以上続く、豊穣な「魂の交流の場」への想いをやわらかな文章で綴る。
◎沖縄という窓 クロニクル2008―2022
山城紀子、松元 剛、親川志奈子
定価2,420円
http://iwnm.jp/061541
三人の書き手が多角的に描き出す沖縄の同時代史。一四年にわたる雑誌『世界』好評リレー連載を単行本化。
◎いま、この惑星で起きていること 気象予報士の眼に映る世界
森さやか
定価902円
http://iwnm.jp/500954
世界各地で観測される異常気象を気象予報士の立場で解説し、今後について考察する。『世界』の大好評連載をまとめた一冊。
◎孤塁 双葉郡消防士たちの3・11
吉田千亜
定価1,100円
http://iwnm.jp/603333
死と隣り合わせで震災と原発災害に対応した消防士たちを丹念に取材。当時の緊迫を描き出した迫力作。
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