『世界』メールマガジン/2023年7月号【特集1:狂騒のChatGPT】【特集2:交錯する人権と外交】
2023/06/08 (Thu) 14:00
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■■ 『世界』メールマガジン/2023年7月号
■■ vol.#0097
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■『世界』2023年7月号(第971号)好評発売中
2023年6月8日発行
定価935円(税込)
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▼本号の目次
特集/注目記事/世界の潮/SEKAI Review of Books/連載/編集後記/
『世界』臨時増刊月号のご案内/『世界』から生まれた本/「WEB世界」のご案内
┏━━━┓
┃特集1┃狂騒のChatGPT
┗━━━╋…────────────────────────────────
〈対談〉
わかりたいヒトとわかっているふりをするAI
今井むつみ(慶應義塾大学)×川添 愛(言語学者、作家)
〈最新レポート〉
チャットGPTの急激な普及、問われる「私たちの責任」
星 暁雄(ITジャーナリスト)
〈四つの「幻覚」とその現実〉「幻覚を見ている」のはAIの機械ではなく、その製作者たちだ
ナオミ・クライン(ジャーナリスト)、訳=中村峻太郎
〈雇用はなくなる?〉
AIがもたらす〈働き方〉にどう立ち向かうか
山崎憲(明治大学)
〈大きな宿題〉
今そこにある倫理的問題
久木田水生(名古屋大学)
〈恩恵とリスク〉
AIと差別
宮下 萌(弁護士)
┏━━━┓
┃特集2┃交錯する人権と外交
┗━━━╋…────────────────────────────────
〈思考停止しないために〉
ウクライナ戦争が突きつける問い――規範の二重基準を超えられるか
三牧聖子(同志社大学)
〈地殻変動が起きている〉
緩み始めた日米同盟の絆――G7と人権・安保
古関彰一(獨協大学名誉教授)
〈世界の潮流〉
徴用工問題と国際法――時を超える正義の視座
阿部浩己(明治学院大学)
〈忘却に抗して〉
アメリカが語る正義を冷めた目で見る
五十嵐元道(関西大学)
〈孤立化を回避せよ〉
天安門事件と日米秘密外交文書
藤田直央(朝日新聞)
〈軍事費だけではない〉
軍需産業を強化する日本――「死の商人国家」を選ぶのか
杉原浩司(武器取引反対ネットワーク)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◆注目記事
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
〈「南」の価値観〉
グローバルサウスと人間の安全保障
峯 陽一(同志社大学)
〈第三の大国〉
インド外交の論理――非同盟から読み解くグローバルサウス
溜 和敏(中京大学)
〈あなたの言葉を信じる〉
ファンはなぜ立ち上がったのか?
PENLIGHT ジャニーズ事務所の性加害を明らかにする会
〈「勝者」の実像〉
「東大卒」を解剖する――メリトクラシーとジェンダーギャップの錯綜
本田由紀(東京大学)
〈講演録〉
詩は書かれなくても存在する
金時鐘(詩人)
〈時代と向き合う作家〉
再録・大江健三郎のことば【第1回】「反核を明日につなぐ」
大江健三郎、解題=山本昭宏
〈カギを握る小国〉
ロシアのハイブリッド戦争――モルドヴァで起きていること
六鹿茂夫(静岡県立大学名誉教授)
〈歴史的画期〉
タイ総選挙 二つの予想外――王室・軍部改革への声
外山文子(筑波大学)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◇世界の潮
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◇命を奪う入管法改定――国会をとりまく反対の声
和田浩明
◇スーダン軍事衝突――民主化プロセスを断ち切った「戦争」
栗田禎子
◇経口中絶薬、国内初承認――「性の自己決定権」までの遠い道のり
福田和子
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◇SEKAI Review of Books
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◇新刊│女性たちの証言の旅――『韓国・基地村の米軍「慰安婦」』
小野沢あかね(立教大学)
◇「侮辱」の感覚を手放さない対位法的な詩学――大江健三郎『晩年様式集』
岡和田 晃(文芸評論家)
◇連載│読書・観賞日記 読んで、観て、聴いて
中村佑子(作家/映像作家)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
●連載
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
〈好評連載〉
「拉致問題」風化に抗して【第4回】――日本人拉致の目的(その2)
蓮池 薫(新潟産業大学)
隣のジャーナリズム――「みんな知っていた。しかしみんな知らなかった。」
マライ・メントライン(独テレビプロデューサー)
「変わらない」を変える【第2回】――タイトルIXと大学でのハラスメント対応
三浦まり(上智大学)
メディアの「罪と罰」 【第3回】――GAFAをめぐる戦い――欧米と日本の落差
松本一弥(ジャーナリスト)
ボナエ・リテラエ──私の読書遍歴【第8回】──『古代ユダヤ教』
森本あんり(東京女子大学長)
●脳力のレッスン(253)──二一世紀システムの輪郭――ロシア・中国の衰退とその意味
寺島実郎
●片山善博の「日本を診る」(164)──そろそろ変わろう地方議会、このままでは見捨てられる
片山善博(大正大学)
●日本語のなかの何処かへ【第4回】──舌の叛乱
温又柔(作家)
●香港からの通信【第12回】――風前の灯火となる香港区議会
葉錦龍(元香港中西区区議会議員)
●気候再生のために【第14回】──地球の危機にG7はどこまで応えられたのか
高村ゆかり(東京大学)
●沖縄(シマ)という窓──生涯記者・西山太吉さんの「恨」
松元 剛(琉球新報)
●民話採光
阿部海太(画家・絵本作家)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
○読者投句・岩波俳句
選・文=池田澄子(俳人)
○アムネスティ通信
○読者談話室
○デザイン
赤崎正一 + 佐野裕哉 (協力=国府台さくら)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
編集後記
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
英BBCによるドキュメンタリーの放送、そして、元ジャニーズJr.のカウアン・オカモトさんらによる実名での会見、告発を経て、ジャニーズ事務所の創業者であるジャニー喜多川氏の性加害問題が明るみに出た。
私自身、深刻な人権侵害に鈍感であり続けた。疑惑を追及し、問題の構造を可視化する。大部分のメディアがその姿勢を示せずにきたなか、自分たちは確かに声を聞いた、と一歩踏み出した人たちがいる。事務所に性加害の検証と謝罪を求める運動を立ち上げたふたりの思いに、耳を傾けたい(今号「ファンはなぜ立ち上がったのか?」)。
#MeTooは、私たちの文化的風景に対する見方を変えた。震源地のハリウッドで権力の濫用、製作過程や労働環境における虐待・搾取にメスが入るにつれ、作品とどう接するのか、様々な議論が生まれている。同時に、受け手の観客/視聴者の足もとも照らされつつある。私たちの文化的、政治的な歴史をどれだけ深く掘り下げるか。その発掘作業の大きさについて、ワインスタイン・スクープを伝えたNYT記者は語っていた(本誌二〇一八年一月号)。
文化的風景の変容は、別の形でも進んでいる。動画配信サービスの主流化にともなう待遇の悪化でストに入った全米脚本家組合は、AI利用をめぐる規制も求めている。AIが書き手の仕事を奪う、その対応が組合の最優先項目に上るとは、半年ほど前、ChatGPTの普及までは考えられなかったという。
人間のように滑らかな文章を生成するChatGPTには、言葉と現実世界を結ぶ「意味論」のレベルが入っていない、という川添愛さんの話(特集1対談)を聞き、思い浮かんだのは岸田首相の言葉だった。
「心が痛む思いだ(徴用工問題に関して)」「世界に被爆の実相をしっかり伝えていく」……自身のライフワークと位置付ける、核軍縮に関する初めてのG7首脳独立文書「広島ビジョン」に、核廃絶への意思はみえない。「グローバルサウス」との連携強化を掲げながら、実際には、西側諸国の結集を象徴するサミットだった。
峯陽一さんは、それが自称されるものというより、連携を求める他者からの呼称である点に留意しつつ、グローバルサウスを結束させる共通の意識は、植民地支配の影をどう見るかに関わる、と指摘する。植民地支配が今日に遺した構造的不正義と向きあうポスト・コロニアルな国際法の発展も視野に(特集2 阿部浩己論文)、「G7唯一のアジアの国」として、日本が示し得たアプローチについて考えている。
表層だけで流れていく言葉もあれば、時を経て古びることのない言葉もある。
今号掲載「反核を明日につなぐ」は、大江健三郎さんが一九八二年、広島、長崎をそれぞれ原爆の日に訪れたときの見聞をもとに書かれた。林京子さんの作品から元米軍人の言葉まで、編み上げられた数々のテキストは、強い磁力で現代に語りかけてくる。半年にわたり、大江さんの本誌への寄稿を山本昭宏さんの解題とともに再録します。
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~~『世界』臨時増刊号のご案内~~
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◎『世界』臨時増刊 ウクライナ侵略戦争――世界秩序の危機
『世界』編集部 編
2022年4月14日刊
定価1,320円
http://iwnm.jp/022242
※書籍版はご好評につき品切れとなりましたが、電子書籍版を配信中です。
国際社会は冷戦終結以降、最大の危機を迎えた。核大国による侵略という事態をどう理解し、どう対峙するのか。多角的に検証する。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
~~『世界』から生まれた本~~
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◎プリズン・サークル
坂上 香
定価2,200円
http://iwnm.jp/061526
人は、ひとりでは罪と向き合えない。日本初となる刑務所内での長期撮影、一〇年超の取材がここに結実。
◎学問と政治 学術会議任命拒否問題とは何か(岩波新書)
芦名定道、宇野重規、岡田正則、小沢隆一、加藤陽子、松宮孝明
定価924円
http://iwnm.jp/431925
日本学術会議会員任命拒否には、日本社会の矛盾が象徴されている。当事者六名が、その背景と本質を問う。
◎読書会という幸福(岩波新書)
向井和美
定価946円
http://iwnm.jp/431932
本を語ることは人生を語ること。三十年以上続く、豊穣な「魂の交流の場」への想いをやわらかな文章で綴る。
◎沖縄という窓 クロニクル2008―2022
山城紀子、松元 剛、親川志奈子
定価2,420円
http://iwnm.jp/061541
三人の書き手が多角的に描き出す沖縄の同時代史。一四年にわたる雑誌『世界』好評リレー連載を単行本化。
◎いま、この惑星で起きていること 気象予報士の眼に映る世界
森さやか
定価902円
http://iwnm.jp/500954
世界各地で観測される異常気象を気象予報士の立場で解説し、今後について考察する。『世界』の大好評連載をまとめた一冊。
◎孤塁 双葉郡消防士たちの3・11
吉田千亜
定価1,100円
http://iwnm.jp/603333
死と隣り合わせで震災と原発災害に対応した消防士たちを丹念に取材。当時の緊迫を描き出した迫力作。
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~~「WEB世界」のご案内~~
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雑誌『世界』のWEB版もぜひ、ご覧ください
https://tanemaki.iwanami.co.jp/
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登録情報の編集・解除は,こちらよりお願いいたします.
http://iwnm.jp/MM
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□『世界』メールマガジン
〒101-8002 東京都千代田区一ツ橋2-5-5
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WEB: http://iwnm.jp/sekai
Twitter: https://twitter.com/WEB_SEKAI
◇本誌のご注文はお近くの書店か小社営業部宛てにお願いいたします.
岩波書店営業部読者係(TEL:03-5210-4111,FAX:03-3263-6999)
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■『世界』2023年7月号(第971号)好評発売中
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定価935円(税込)
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▼本号の目次
特集/注目記事/世界の潮/SEKAI Review of Books/連載/編集後記/
『世界』臨時増刊月号のご案内/『世界』から生まれた本/「WEB世界」のご案内
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┃特集1┃狂騒のChatGPT
┗━━━╋…────────────────────────────────
〈対談〉
わかりたいヒトとわかっているふりをするAI
今井むつみ(慶應義塾大学)×川添 愛(言語学者、作家)
〈最新レポート〉
チャットGPTの急激な普及、問われる「私たちの責任」
星 暁雄(ITジャーナリスト)
〈四つの「幻覚」とその現実〉「幻覚を見ている」のはAIの機械ではなく、その製作者たちだ
ナオミ・クライン(ジャーナリスト)、訳=中村峻太郎
〈雇用はなくなる?〉
AIがもたらす〈働き方〉にどう立ち向かうか
山崎憲(明治大学)
〈大きな宿題〉
今そこにある倫理的問題
久木田水生(名古屋大学)
〈恩恵とリスク〉
AIと差別
宮下 萌(弁護士)
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┃特集2┃交錯する人権と外交
┗━━━╋…────────────────────────────────
〈思考停止しないために〉
ウクライナ戦争が突きつける問い――規範の二重基準を超えられるか
三牧聖子(同志社大学)
〈地殻変動が起きている〉
緩み始めた日米同盟の絆――G7と人権・安保
古関彰一(獨協大学名誉教授)
〈世界の潮流〉
徴用工問題と国際法――時を超える正義の視座
阿部浩己(明治学院大学)
〈忘却に抗して〉
アメリカが語る正義を冷めた目で見る
五十嵐元道(関西大学)
〈孤立化を回避せよ〉
天安門事件と日米秘密外交文書
藤田直央(朝日新聞)
〈軍事費だけではない〉
軍需産業を強化する日本――「死の商人国家」を選ぶのか
杉原浩司(武器取引反対ネットワーク)
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◆注目記事
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〈「南」の価値観〉
グローバルサウスと人間の安全保障
峯 陽一(同志社大学)
〈第三の大国〉
インド外交の論理――非同盟から読み解くグローバルサウス
溜 和敏(中京大学)
〈あなたの言葉を信じる〉
ファンはなぜ立ち上がったのか?
PENLIGHT ジャニーズ事務所の性加害を明らかにする会
〈「勝者」の実像〉
「東大卒」を解剖する――メリトクラシーとジェンダーギャップの錯綜
本田由紀(東京大学)
〈講演録〉
詩は書かれなくても存在する
金時鐘(詩人)
〈時代と向き合う作家〉
再録・大江健三郎のことば【第1回】「反核を明日につなぐ」
大江健三郎、解題=山本昭宏
〈カギを握る小国〉
ロシアのハイブリッド戦争――モルドヴァで起きていること
六鹿茂夫(静岡県立大学名誉教授)
〈歴史的画期〉
タイ総選挙 二つの予想外――王室・軍部改革への声
外山文子(筑波大学)
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◇世界の潮
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◇命を奪う入管法改定――国会をとりまく反対の声
和田浩明
◇スーダン軍事衝突――民主化プロセスを断ち切った「戦争」
栗田禎子
◇経口中絶薬、国内初承認――「性の自己決定権」までの遠い道のり
福田和子
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◇SEKAI Review of Books
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◇新刊│女性たちの証言の旅――『韓国・基地村の米軍「慰安婦」』
小野沢あかね(立教大学)
◇「侮辱」の感覚を手放さない対位法的な詩学――大江健三郎『晩年様式集』
岡和田 晃(文芸評論家)
◇連載│読書・観賞日記 読んで、観て、聴いて
中村佑子(作家/映像作家)
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●連載
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〈好評連載〉
「拉致問題」風化に抗して【第4回】――日本人拉致の目的(その2)
蓮池 薫(新潟産業大学)
隣のジャーナリズム――「みんな知っていた。しかしみんな知らなかった。」
マライ・メントライン(独テレビプロデューサー)
「変わらない」を変える【第2回】――タイトルIXと大学でのハラスメント対応
三浦まり(上智大学)
メディアの「罪と罰」 【第3回】――GAFAをめぐる戦い――欧米と日本の落差
松本一弥(ジャーナリスト)
ボナエ・リテラエ──私の読書遍歴【第8回】──『古代ユダヤ教』
森本あんり(東京女子大学長)
●脳力のレッスン(253)──二一世紀システムの輪郭――ロシア・中国の衰退とその意味
寺島実郎
●片山善博の「日本を診る」(164)──そろそろ変わろう地方議会、このままでは見捨てられる
片山善博(大正大学)
●日本語のなかの何処かへ【第4回】──舌の叛乱
温又柔(作家)
●香港からの通信【第12回】――風前の灯火となる香港区議会
葉錦龍(元香港中西区区議会議員)
●気候再生のために【第14回】──地球の危機にG7はどこまで応えられたのか
高村ゆかり(東京大学)
●沖縄(シマ)という窓──生涯記者・西山太吉さんの「恨」
松元 剛(琉球新報)
●民話採光
阿部海太(画家・絵本作家)
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○読者投句・岩波俳句
選・文=池田澄子(俳人)
○アムネスティ通信
○読者談話室
○デザイン
赤崎正一 + 佐野裕哉 (協力=国府台さくら)
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編集後記
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英BBCによるドキュメンタリーの放送、そして、元ジャニーズJr.のカウアン・オカモトさんらによる実名での会見、告発を経て、ジャニーズ事務所の創業者であるジャニー喜多川氏の性加害問題が明るみに出た。
私自身、深刻な人権侵害に鈍感であり続けた。疑惑を追及し、問題の構造を可視化する。大部分のメディアがその姿勢を示せずにきたなか、自分たちは確かに声を聞いた、と一歩踏み出した人たちがいる。事務所に性加害の検証と謝罪を求める運動を立ち上げたふたりの思いに、耳を傾けたい(今号「ファンはなぜ立ち上がったのか?」)。
#MeTooは、私たちの文化的風景に対する見方を変えた。震源地のハリウッドで権力の濫用、製作過程や労働環境における虐待・搾取にメスが入るにつれ、作品とどう接するのか、様々な議論が生まれている。同時に、受け手の観客/視聴者の足もとも照らされつつある。私たちの文化的、政治的な歴史をどれだけ深く掘り下げるか。その発掘作業の大きさについて、ワインスタイン・スクープを伝えたNYT記者は語っていた(本誌二〇一八年一月号)。
文化的風景の変容は、別の形でも進んでいる。動画配信サービスの主流化にともなう待遇の悪化でストに入った全米脚本家組合は、AI利用をめぐる規制も求めている。AIが書き手の仕事を奪う、その対応が組合の最優先項目に上るとは、半年ほど前、ChatGPTの普及までは考えられなかったという。
人間のように滑らかな文章を生成するChatGPTには、言葉と現実世界を結ぶ「意味論」のレベルが入っていない、という川添愛さんの話(特集1対談)を聞き、思い浮かんだのは岸田首相の言葉だった。
「心が痛む思いだ(徴用工問題に関して)」「世界に被爆の実相をしっかり伝えていく」……自身のライフワークと位置付ける、核軍縮に関する初めてのG7首脳独立文書「広島ビジョン」に、核廃絶への意思はみえない。「グローバルサウス」との連携強化を掲げながら、実際には、西側諸国の結集を象徴するサミットだった。
峯陽一さんは、それが自称されるものというより、連携を求める他者からの呼称である点に留意しつつ、グローバルサウスを結束させる共通の意識は、植民地支配の影をどう見るかに関わる、と指摘する。植民地支配が今日に遺した構造的不正義と向きあうポスト・コロニアルな国際法の発展も視野に(特集2 阿部浩己論文)、「G7唯一のアジアの国」として、日本が示し得たアプローチについて考えている。
表層だけで流れていく言葉もあれば、時を経て古びることのない言葉もある。
今号掲載「反核を明日につなぐ」は、大江健三郎さんが一九八二年、広島、長崎をそれぞれ原爆の日に訪れたときの見聞をもとに書かれた。林京子さんの作品から元米軍人の言葉まで、編み上げられた数々のテキストは、強い磁力で現代に語りかけてくる。半年にわたり、大江さんの本誌への寄稿を山本昭宏さんの解題とともに再録します。
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◎『世界』臨時増刊 ウクライナ侵略戦争――世界秩序の危機
『世界』編集部 編
2022年4月14日刊
定価1,320円
http://iwnm.jp/022242
※書籍版はご好評につき品切れとなりましたが、電子書籍版を配信中です。
国際社会は冷戦終結以降、最大の危機を迎えた。核大国による侵略という事態をどう理解し、どう対峙するのか。多角的に検証する。
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◎プリズン・サークル
坂上 香
定価2,200円
http://iwnm.jp/061526
人は、ひとりでは罪と向き合えない。日本初となる刑務所内での長期撮影、一〇年超の取材がここに結実。
◎学問と政治 学術会議任命拒否問題とは何か(岩波新書)
芦名定道、宇野重規、岡田正則、小沢隆一、加藤陽子、松宮孝明
定価924円
http://iwnm.jp/431925
日本学術会議会員任命拒否には、日本社会の矛盾が象徴されている。当事者六名が、その背景と本質を問う。
◎読書会という幸福(岩波新書)
向井和美
定価946円
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本を語ることは人生を語ること。三十年以上続く、豊穣な「魂の交流の場」への想いをやわらかな文章で綴る。
◎沖縄という窓 クロニクル2008―2022
山城紀子、松元 剛、親川志奈子
定価2,420円
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三人の書き手が多角的に描き出す沖縄の同時代史。一四年にわたる雑誌『世界』好評リレー連載を単行本化。
◎いま、この惑星で起きていること 気象予報士の眼に映る世界
森さやか
定価902円
http://iwnm.jp/500954
世界各地で観測される異常気象を気象予報士の立場で解説し、今後について考察する。『世界』の大好評連載をまとめた一冊。
◎孤塁 双葉郡消防士たちの3・11
吉田千亜
定価1,100円
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死と隣り合わせで震災と原発災害に対応した消防士たちを丹念に取材。当時の緊迫を描き出した迫力作。
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