『世界』メールマガジン/2023年8月号【特集:安倍政治の決算】
2023/07/07 (Fri) 11:00
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■■ 『世界』メールマガジン/2023年8月号
■■ vol.#0098
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■『世界』2023年8月号(第972号)好評発売中
2023年7月7日発行
定価935円(税込)
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▼本号の目次
特集/注目記事/世界の潮/SEKAI Review of Books/連載/編集後記/
『世界』臨時増刊月号のご案内/『世界』から生まれた本/「WEB世界」のご案内
┏━━━┓
┃特集 ┃安倍政治の決算
┗━━━╋…────────────────────────────────
〈最も危険な企て〉
始源について
石川健治(東京大学)
〈対談〉
岸田政権は安倍政権の呪縛を解けるか
後藤謙次(ジャーナリスト)×牧原 出(東京大学)
〈思想的検証〉
安倍晋三と「愛国心」
将基面貴巳(オタゴ大学)
〈30年の研究から〉
統一教会問題──宗教リテラシーと歴史認識の貧困がもたらしたもの
櫻井義秀(北海道大学)
〈コネクションの経済〉
長く延びる影
重田園江(明治大学)
〈抜け出せないアポリア〉
官製歴史修正主義──安倍政権の大願成就
倉橋耕平(創価大学)
〈日本の病根〉
醒めてはならない夢──日本経済史のなかのアベノミクス
武田晴人(東京大学名誉教授)
〈「憲法の番人」の責務〉
それでも安保法制は違憲である
長谷部恭男(早稲田大学)
〈民意の蹂躙〉
「美しい国」の琉球処分──安倍政権と沖縄
豊田祐基子(ロイター)
〈40年史のなかで〉
「子どもの貧困」がもたらした政策転換──安倍政権下で児童扶養手当はいかに拡充されたか
田宮遊子(神戸学院大学)
〈日韓の新たなステージ〉
封印された歴史──韓国から見た安倍政治
南基正(ソウル大学)
〈二重の要求〉
「すべての女性が輝く社会」の実像
皆川満寿美(中央学院大学)
〈公正な社会へ〉
奪われた未来──「性」をめぐり、止められた時間
松岡宗嗣(一般社団法人fair代表理事)
〈政治をわたしたちのものに〉
若者の安倍政権支持?
能條桃子(NO YOUTH NO JAPAN代表理事)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◆注目記事
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
〈報道の在り方〉
メディアの「罪と罰」第4回(最終回)──「空前絶後」の朝日新聞編集局長
松本一弥(ジャーナリスト)
〈戦争を理解する〉
壊れる世界第8回(最終回)──自由世界とその時代
藤原帰一(東京大学客員教授)
〈致命的な後退〉
G7首脳は広島で何を失ったか──深刻化する核カオス
太田昌克(共同通信)
〈世代間不公平論を超えて〉
「次元の異なる少子化対策」を解きほぐす──より深い議論のために
岩田正美(日本女子大学名誉教授)
〈「時代を進める」ために〉
父はなぜ、ルーツを「語れなかった」か──SNSヘイトスピーチ裁判を経て
安田菜津紀(ジャーナリスト)
〈ポピュラー文化の転換期〉
悪しき因習を変えるために──ジャニーズ性加害問題から見えてくるもの
松谷創一郎(ジャーナリスト)
〈現場からの視点〉
ジャニーズ性加害問題と児童虐待対策の課題
川崎二三彦(子どもの虹情報研修センター)
〈知識人としての肖像〉
大江健三郎の「戦後民主主義」
山本昭宏(神戸市外国語大学)
〈「デモクラシー文学」へ〉
再録・大江健三郎のことば 第2回──「強権に確執をかもす志」
大江健三郎、解題=山本昭宏
〈大量老朽化時代へ〉
マンションは生き延びられるか?
五十嵐敬喜(法政大学名誉教授)
〈インタビュー〉
原発廃止は、将来を見据えた正しい決定でした
シュテフィ・レムケ(ドイツ連邦環境大臣)、聞き手=吉田明子
〈インタビュー〉
ミャンマーの将来について、今ほど希望を感じたことはない
キン オーンマー(「プログレッシブ・ボイス」会長)、聞き手=秋元由紀
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◇世界の潮
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◇少年事件記録廃棄問題──裁判所は変われるか
霍見真一郎
◇「選挙師エルドアン」はいかに勝利したか──集権的大統領制のトルコ
間 寧
◇電気料金が高騰するわけ
山根小雪
◇韓国の入管法 憲法裁判所で違憲判断──「無期限収容」の是正へ
具良オク (*「オク」の漢字は金偏に玉)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◇SEKAI Review of Books
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◇「言語の地層」を開く──游珮芸、周見信『台湾の少年』全4巻
今泉秀人(大阪大学)
◇連載│読書・観賞日記 読んで、観て、聴いて
酒井啓子(千葉大学)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
●連載
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
〈好評リレー連載〉
隣のジャーナリズム──週刊朝日のカーテンコール
渡部薫(『週刊朝日』編集長)
〈新連載〉
ブラック・ミュージックの魂を求めて第1回─アフリカの口頭伝承、その叡智と音文化
中村隆之(早稲田大学)
●「変わらない」を変える 【第3回】──政治の「部族化」を超えるには
三浦まり(上智大学)
●ボナエ・リテラエ ─私の読書遍歴 【第9回】──『「コーラン」を読む』
森本あんり(東京女子大学長)
●脳力のレッスン(254)──二一世紀システムの輪郭─米国の衰退とその本質
寺島実郎
●片山善博の「日本を診る」(165)──首相公邸「悪のり忘年会」から見える病理
片山善博(大正大学)
●気候再生のために第15回──気候市民会議から見える景色
江守正多(東京大学)
●日本語のなかの何処かへ 【第5回】──「日本語」が暴力を振るう時
温又柔(作家)
●沖縄(シマ)という窓──争うよりも愛しなさい
山城紀子(フリーライター)
●香港からの通信 【第13回】──台湾へ─移住の現実、抵抗の旅
阿ば(*「ば」の漢字は父の下に巴)(台湾在住ジャーナリスト)
●ドキュメント激動の南北朝鮮(312)──(23・5~6)
編集部
●民話採光
阿部海太(画家・絵本作家)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
○読者投句・岩波俳句
選・文=池田澄子(俳人)
○アムネスティ通信
○読者談話室
○デザイン
赤崎正一 + 佐野裕哉 (協力=国府台さくら)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
編集後記
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「今起きていることに、無感覚にならないでいるほうが難しい」
肌がじっとりする季節になると、香港のことを思い出す。寮暮らしの留学中、洗濯物が乾かない……とぼやきあった友人に久しぶりに連絡してみると、近況と一緒に、返事にこうあった。
連載「香港からの通信」ではこの間、都市を離れざるを得なくなった教員、元区議会議員、ジャーナリストたちがその経緯を振り返り、香港の未来への思いを記している。事務弁護士を経て公共団体で働く私の友人も、移住はあり得る、だからこそ今は可能なかぎり地域や職場で力を発揮したい。ここにとどまる人たちと人生を共有したい。メッセージはそう続いた。
ミャンマーの民主化を求める人権活動家キンオーンマーさんのお話をうかがった際(今号インタビュー)、友人の横顔が心をよぎった。一九八八年の民主化蜂起に学生デモを組織し加わったオーンマーさんは、その後米国に亡命、二〇一一年の民政移管後も軍に批判的な姿勢を貫いてきた。一〇〇もの団体を結び、世界にネットワークを築いてきたが、活動家になろうと思ったことはない、大学で化学を専攻し、学問の道に進むつもりだったという。その言葉から、政治に人生の軌道を変えさせられた、無数の人々の姿が浮かんだ。
昨年九月の「国葬」で、日本政府がミャンマー軍関係者を招待したことに批判の声が上がった。軍主導による形式的な総選挙が行なわれるのをそのまま日本は黙認するのだろうか。先の国会で改正入管法が成立したが、日本で三度目の難民申請が却下されたというロヒンギャの人たち自身が、強制送還されかねないと強く声を上げている。
安倍晋三元首相の命が暴力により突如、断ち切られてしまってから一年が経つ。銃撃の衝撃は、その後の不在とともに、いまなお呑みこみがたい。だが、その政治は何に支えられ、現在にどう繋がっているのだろう(今号特集)。
倉橋耕平さんは、「官製歴史修正主義の完成」プロセスを辿りながら、眼前の厄介な課題として、植民地主義の問題、性教育、LGBTの権利など、いま激しい反対に遭うテーマはすべて「人権問題」であると指摘している。旧統一教会問題も、関心が決して一過性のものとならないよう、議論の方向性を捉えなおしたい(櫻井義秀論考)。
ありえたはずの未来とは、もちろん仮定の話だが、松岡宗嗣さんがエッセイで描いたパラレルな世界、その景色の具体性に心を掴まれた。もし、ジェンダーフリーへのバックラッシュがなかったら。社会がそれをさらに強く押し返していたら。「今と違う社会」を実現する機会を失い続けた時間を思う。
ウクライナ南部カホフカダムの決壊、二四時間の叛乱……ウクライナの「戦場の霧」(今号「壊れる世界」)は深く立ち込めている。いま私たちが目の前にしている世界はどのように生まれたのか。冷戦終結後の約三十年を振り返り、この問いに向き合い続けた藤原帰一さんの連載最終回、ぜひ読んでほしい。
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~~『世界』臨時増刊号のご案内~~
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◎『世界』臨時増刊 ウクライナ侵略戦争――世界秩序の危機
『世界』編集部 編
2022年4月14日刊
定価1,320円
http://iwnm.jp/022242
※書籍版はご好評につき品切れとなりましたが、電子書籍版を配信中です。
国際社会は冷戦終結以降、最大の危機を迎えた。核大国による侵略という事態をどう理解し、どう対峙するのか。多角的に検証する。
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~~『世界』から生まれた本~~
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◎プリズン・サークル
坂上 香
定価2,200円
http://iwnm.jp/061526
人は、ひとりでは罪と向き合えない。日本初となる刑務所内での長期撮影、一〇年超の取材がここに結実。
◎学問と政治 学術会議任命拒否問題とは何か(岩波新書)
芦名定道、宇野重規、岡田正則、小沢隆一、加藤陽子、松宮孝明
定価924円
http://iwnm.jp/431925
日本学術会議会員任命拒否には、日本社会の矛盾が象徴されている。当事者六名が、その背景と本質を問う。
◎読書会という幸福(岩波新書)
向井和美
定価946円
http://iwnm.jp/431932
本を語ることは人生を語ること。三十年以上続く、豊穣な「魂の交流の場」への想いをやわらかな文章で綴る。
◎沖縄という窓 クロニクル2008―2022
山城紀子、松元 剛、親川志奈子
定価2,420円
http://iwnm.jp/061541
三人の書き手が多角的に描き出す沖縄の同時代史。一四年にわたる雑誌『世界』好評リレー連載を単行本化。
◎いま、この惑星で起きていること 気象予報士の眼に映る世界
森さやか
定価902円
http://iwnm.jp/500954
世界各地で観測される異常気象を気象予報士の立場で解説し、今後について考察する。『世界』の大好評連載をまとめた一冊。
◎孤塁 双葉郡消防士たちの3・11
吉田千亜
定価1,100円
http://iwnm.jp/603333
死と隣り合わせで震災と原発災害に対応した消防士たちを丹念に取材。当時の緊迫を描き出した迫力作。
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~~「WEB世界」のご案内~~
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雑誌『世界』のWEB版もぜひ、ご覧ください
https://tanemaki.iwanami.co.jp/
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岩波書店営業部読者係(TEL:03-5210-4111,FAX:03-3263-6999)
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■『世界』2023年8月号(第972号)好評発売中
2023年7月7日発行
定価935円(税込)
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▼本号の目次
特集/注目記事/世界の潮/SEKAI Review of Books/連載/編集後記/
『世界』臨時増刊月号のご案内/『世界』から生まれた本/「WEB世界」のご案内
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┃特集 ┃安倍政治の決算
┗━━━╋…────────────────────────────────
〈最も危険な企て〉
始源について
石川健治(東京大学)
〈対談〉
岸田政権は安倍政権の呪縛を解けるか
後藤謙次(ジャーナリスト)×牧原 出(東京大学)
〈思想的検証〉
安倍晋三と「愛国心」
将基面貴巳(オタゴ大学)
〈30年の研究から〉
統一教会問題──宗教リテラシーと歴史認識の貧困がもたらしたもの
櫻井義秀(北海道大学)
〈コネクションの経済〉
長く延びる影
重田園江(明治大学)
〈抜け出せないアポリア〉
官製歴史修正主義──安倍政権の大願成就
倉橋耕平(創価大学)
〈日本の病根〉
醒めてはならない夢──日本経済史のなかのアベノミクス
武田晴人(東京大学名誉教授)
〈「憲法の番人」の責務〉
それでも安保法制は違憲である
長谷部恭男(早稲田大学)
〈民意の蹂躙〉
「美しい国」の琉球処分──安倍政権と沖縄
豊田祐基子(ロイター)
〈40年史のなかで〉
「子どもの貧困」がもたらした政策転換──安倍政権下で児童扶養手当はいかに拡充されたか
田宮遊子(神戸学院大学)
〈日韓の新たなステージ〉
封印された歴史──韓国から見た安倍政治
南基正(ソウル大学)
〈二重の要求〉
「すべての女性が輝く社会」の実像
皆川満寿美(中央学院大学)
〈公正な社会へ〉
奪われた未来──「性」をめぐり、止められた時間
松岡宗嗣(一般社団法人fair代表理事)
〈政治をわたしたちのものに〉
若者の安倍政権支持?
能條桃子(NO YOUTH NO JAPAN代表理事)
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◆注目記事
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〈報道の在り方〉
メディアの「罪と罰」第4回(最終回)──「空前絶後」の朝日新聞編集局長
松本一弥(ジャーナリスト)
〈戦争を理解する〉
壊れる世界第8回(最終回)──自由世界とその時代
藤原帰一(東京大学客員教授)
〈致命的な後退〉
G7首脳は広島で何を失ったか──深刻化する核カオス
太田昌克(共同通信)
〈世代間不公平論を超えて〉
「次元の異なる少子化対策」を解きほぐす──より深い議論のために
岩田正美(日本女子大学名誉教授)
〈「時代を進める」ために〉
父はなぜ、ルーツを「語れなかった」か──SNSヘイトスピーチ裁判を経て
安田菜津紀(ジャーナリスト)
〈ポピュラー文化の転換期〉
悪しき因習を変えるために──ジャニーズ性加害問題から見えてくるもの
松谷創一郎(ジャーナリスト)
〈現場からの視点〉
ジャニーズ性加害問題と児童虐待対策の課題
川崎二三彦(子どもの虹情報研修センター)
〈知識人としての肖像〉
大江健三郎の「戦後民主主義」
山本昭宏(神戸市外国語大学)
〈「デモクラシー文学」へ〉
再録・大江健三郎のことば 第2回──「強権に確執をかもす志」
大江健三郎、解題=山本昭宏
〈大量老朽化時代へ〉
マンションは生き延びられるか?
五十嵐敬喜(法政大学名誉教授)
〈インタビュー〉
原発廃止は、将来を見据えた正しい決定でした
シュテフィ・レムケ(ドイツ連邦環境大臣)、聞き手=吉田明子
〈インタビュー〉
ミャンマーの将来について、今ほど希望を感じたことはない
キン オーンマー(「プログレッシブ・ボイス」会長)、聞き手=秋元由紀
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◇世界の潮
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◇少年事件記録廃棄問題──裁判所は変われるか
霍見真一郎
◇「選挙師エルドアン」はいかに勝利したか──集権的大統領制のトルコ
間 寧
◇電気料金が高騰するわけ
山根小雪
◇韓国の入管法 憲法裁判所で違憲判断──「無期限収容」の是正へ
具良オク (*「オク」の漢字は金偏に玉)
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◇SEKAI Review of Books
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◇「言語の地層」を開く──游珮芸、周見信『台湾の少年』全4巻
今泉秀人(大阪大学)
◇連載│読書・観賞日記 読んで、観て、聴いて
酒井啓子(千葉大学)
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●連載
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〈好評リレー連載〉
隣のジャーナリズム──週刊朝日のカーテンコール
渡部薫(『週刊朝日』編集長)
〈新連載〉
ブラック・ミュージックの魂を求めて第1回─アフリカの口頭伝承、その叡智と音文化
中村隆之(早稲田大学)
●「変わらない」を変える 【第3回】──政治の「部族化」を超えるには
三浦まり(上智大学)
●ボナエ・リテラエ ─私の読書遍歴 【第9回】──『「コーラン」を読む』
森本あんり(東京女子大学長)
●脳力のレッスン(254)──二一世紀システムの輪郭─米国の衰退とその本質
寺島実郎
●片山善博の「日本を診る」(165)──首相公邸「悪のり忘年会」から見える病理
片山善博(大正大学)
●気候再生のために第15回──気候市民会議から見える景色
江守正多(東京大学)
●日本語のなかの何処かへ 【第5回】──「日本語」が暴力を振るう時
温又柔(作家)
●沖縄(シマ)という窓──争うよりも愛しなさい
山城紀子(フリーライター)
●香港からの通信 【第13回】──台湾へ─移住の現実、抵抗の旅
阿ば(*「ば」の漢字は父の下に巴)(台湾在住ジャーナリスト)
●ドキュメント激動の南北朝鮮(312)──(23・5~6)
編集部
●民話採光
阿部海太(画家・絵本作家)
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○読者投句・岩波俳句
選・文=池田澄子(俳人)
○アムネスティ通信
○読者談話室
○デザイン
赤崎正一 + 佐野裕哉 (協力=国府台さくら)
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編集後記
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「今起きていることに、無感覚にならないでいるほうが難しい」
肌がじっとりする季節になると、香港のことを思い出す。寮暮らしの留学中、洗濯物が乾かない……とぼやきあった友人に久しぶりに連絡してみると、近況と一緒に、返事にこうあった。
連載「香港からの通信」ではこの間、都市を離れざるを得なくなった教員、元区議会議員、ジャーナリストたちがその経緯を振り返り、香港の未来への思いを記している。事務弁護士を経て公共団体で働く私の友人も、移住はあり得る、だからこそ今は可能なかぎり地域や職場で力を発揮したい。ここにとどまる人たちと人生を共有したい。メッセージはそう続いた。
ミャンマーの民主化を求める人権活動家キンオーンマーさんのお話をうかがった際(今号インタビュー)、友人の横顔が心をよぎった。一九八八年の民主化蜂起に学生デモを組織し加わったオーンマーさんは、その後米国に亡命、二〇一一年の民政移管後も軍に批判的な姿勢を貫いてきた。一〇〇もの団体を結び、世界にネットワークを築いてきたが、活動家になろうと思ったことはない、大学で化学を専攻し、学問の道に進むつもりだったという。その言葉から、政治に人生の軌道を変えさせられた、無数の人々の姿が浮かんだ。
昨年九月の「国葬」で、日本政府がミャンマー軍関係者を招待したことに批判の声が上がった。軍主導による形式的な総選挙が行なわれるのをそのまま日本は黙認するのだろうか。先の国会で改正入管法が成立したが、日本で三度目の難民申請が却下されたというロヒンギャの人たち自身が、強制送還されかねないと強く声を上げている。
安倍晋三元首相の命が暴力により突如、断ち切られてしまってから一年が経つ。銃撃の衝撃は、その後の不在とともに、いまなお呑みこみがたい。だが、その政治は何に支えられ、現在にどう繋がっているのだろう(今号特集)。
倉橋耕平さんは、「官製歴史修正主義の完成」プロセスを辿りながら、眼前の厄介な課題として、植民地主義の問題、性教育、LGBTの権利など、いま激しい反対に遭うテーマはすべて「人権問題」であると指摘している。旧統一教会問題も、関心が決して一過性のものとならないよう、議論の方向性を捉えなおしたい(櫻井義秀論考)。
ありえたはずの未来とは、もちろん仮定の話だが、松岡宗嗣さんがエッセイで描いたパラレルな世界、その景色の具体性に心を掴まれた。もし、ジェンダーフリーへのバックラッシュがなかったら。社会がそれをさらに強く押し返していたら。「今と違う社会」を実現する機会を失い続けた時間を思う。
ウクライナ南部カホフカダムの決壊、二四時間の叛乱……ウクライナの「戦場の霧」(今号「壊れる世界」)は深く立ち込めている。いま私たちが目の前にしている世界はどのように生まれたのか。冷戦終結後の約三十年を振り返り、この問いに向き合い続けた藤原帰一さんの連載最終回、ぜひ読んでほしい。
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◎『世界』臨時増刊 ウクライナ侵略戦争――世界秩序の危機
『世界』編集部 編
2022年4月14日刊
定価1,320円
http://iwnm.jp/022242
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国際社会は冷戦終結以降、最大の危機を迎えた。核大国による侵略という事態をどう理解し、どう対峙するのか。多角的に検証する。
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◎プリズン・サークル
坂上 香
定価2,200円
http://iwnm.jp/061526
人は、ひとりでは罪と向き合えない。日本初となる刑務所内での長期撮影、一〇年超の取材がここに結実。
◎学問と政治 学術会議任命拒否問題とは何か(岩波新書)
芦名定道、宇野重規、岡田正則、小沢隆一、加藤陽子、松宮孝明
定価924円
http://iwnm.jp/431925
日本学術会議会員任命拒否には、日本社会の矛盾が象徴されている。当事者六名が、その背景と本質を問う。
◎読書会という幸福(岩波新書)
向井和美
定価946円
http://iwnm.jp/431932
本を語ることは人生を語ること。三十年以上続く、豊穣な「魂の交流の場」への想いをやわらかな文章で綴る。
◎沖縄という窓 クロニクル2008―2022
山城紀子、松元 剛、親川志奈子
定価2,420円
http://iwnm.jp/061541
三人の書き手が多角的に描き出す沖縄の同時代史。一四年にわたる雑誌『世界』好評リレー連載を単行本化。
◎いま、この惑星で起きていること 気象予報士の眼に映る世界
森さやか
定価902円
http://iwnm.jp/500954
世界各地で観測される異常気象を気象予報士の立場で解説し、今後について考察する。『世界』の大好評連載をまとめた一冊。
◎孤塁 双葉郡消防士たちの3・11
吉田千亜
定価1,100円
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死と隣り合わせで震災と原発災害に対応した消防士たちを丹念に取材。当時の緊迫を描き出した迫力作。
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