『世界』メールマガジン/2023年9月号【特集1:私たちの日韓関係】【特集2:専門職の危機──研究者・官僚・医師・教員】
2023/08/08 (Tue) 11:00
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■■ 『世界』メールマガジン/2023年9月号
■■ vol.#0099
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■『世界』2023年9月号(第973号)好評発売中
2023年8月8日発行
定価935円(税込)
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▼本号の目次
特集/注目記事/世界の潮/SEKAI Review of Books/連載/編集後記/
『世界』臨時増刊月号のご案内/『世界』から生まれた本/「WEB世界」のご案内
┏━━━┓
┃特集 1┃私たちの日韓関係
┗━━━╋…────────────────────────────────
〈改善か、後戻りか〉
相互理解の扉──日韓関係“ニュー・ノーマル”のゆくえ
権容ソク(一橋大学)※「ソク」の字は、大の左右に百
〈対談〉
優しい排除の時代に
キム・ウォニョン(作家)、熊谷晋一郎(東京大学)
〈インタビュー〉
徴用工訴訟の弁護人になったわけ
林宰成(弁護士)、聞き手=徐台教(ジャーナリスト)
〈インタビュー〉
K-POP 音楽を超え広がる世界
古家正亨(ラジオDJ)
〈ポップカルチャーのいま〉
ウェブトゥーンとアニメ─日韓ふたつのブームからの景色
宣政佑(ライター)
〈エッセイ〉
日本と韓国は「中くらいの友だち」になれるだろうか?
伊東順子(ライター)
〈本の力を信じて〉
前大統領、書店をひらく
文在寅(前韓国大統領)、聞き手=金彦鎬、翻訳=金承福
┏━━━┓
┃特集 2┃専門職の危機──研究者・官僚・医師・教員
┗━━━╋…────────────────────────────────
〈雇い止め問題の深層〉
研究者を使い捨てる国
元村有希子(毎日新聞)
〈大臣の役割とは〉
霞が関の働き方 現在・過去・未来──「政治への応答の線引き」が受け入れられるか
嶋田博子(京都大学)
〈教育と尊厳〉
日本型「ブラック教育政策」序論──何が教職の魅力を減じてきたのか
高橋哲(大阪大学)※高橋の「高」は「梯子高 (はしごだか) 」の置き換え
〈「聖域」改革の論点〉
それでも若者は医師を目指す
高久玲音(一橋大学)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◆注目記事
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
〈疑問に答える〉
「台湾有事」言説の問題点
遠藤誠治(成蹊大学)
〈新冷戦?〉
相互不信の米中関係──台湾問題と構造的対立を読み解く
佐橋亮(東京大学)
〈対談〉
国際政治の中の台湾
若林正丈(早稲田大学名誉教授)×劉彦甫(東洋経済新報社)
〈経過を追う〉
汚染水海洋放出は必要なのか
木野龍逸(ライター)
〈国会を包囲する声〉
人権無視の入管制度 終わりの始まり
指宿昭一(弁護士)
〈排除の空間〉
フランスの「郊外暴動」に終わりはあるのか?
山下泰幸(同志社大学)
〈最前線から〉
売り手市場の就活地獄──とある中堅私大から見た風景
常見陽平(千葉商科大学)
〈問題提起〉
なぜ自衛隊に「商業右翼」が浸透したか──軍人と文民の教養の共有
等松春夫(防衛大学校)
〈インタビュー〉
見たことのない虐殺を撮る──映画『福田村事件』について
森達也(映画監督)、聞き手=前川仁之
〈一〇〇年の重み〉
人間を取り戻し、虐殺をやめるために──関東大震災と日本社会
外村大(東京大学)
〈男たちが醸す文化現象〉
懲罰幻想を超えて──告発型フェミニズムと男性たち
河野真太郎(専修大学)
〈制度の核心〉
マイナンバー制度の哲学──過ちを繰り返さないために
宮下紘(中央大学)
〈本来の役割〉
「公共」のオルタナティブは可能か──「新しい公共」言説の検証から
宮川裕二(法政大学兼任講師)
〈古い「常識」〉
再生可能エネルギーを地域のベネフィットに
重藤さわ子(事業構想大学院大学)
〈「弱腰」はなぜ〉
日本人拘束事件から見える日中間の溝
南隆(元内閣審議官)
〈大震災の後に〉
再録・大江健三郎のことば 第3回──私らは犠牲者に見つめられている
大江健三郎、解題=山本昭宏
〈沖縄から〉
大江健三郎ノート─ウチナー・マンガタミの自責
川満信一(詩人)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◇世界の潮
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◇「プリゴジンの乱」後のワグネル──ベラルーシが安住の地に?
服部倫卓
◇大学設置基準の改正は何をもたらしたか
光本滋
◇米連邦最高裁 大学入試アファーマティヴ・アクション違憲判決が突きつけるもの
大河内美紀
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◇SEKAI Review of Books
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◇生き残った「震災記録映画」──『キャメラを持った男たち―関東大震災を撮る』
とちぎあきら(国立映画アーカイブ客員研究員)
◇連載│読書・観賞日記 読んで、観て、聴いて
新城和博(編集者)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
●連載
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
〈リレー連載〉
隣のジャーナリズム─スポーツライターよ、どこへ行く
鈴木忠平(ノンフィクション作家)
〈好評連載〉
「拉致問題」風化に抗して 第5回──日本人拉致が北朝鮮にもたらしたもの(その1)
蓮池薫(新潟産業大学)
〈奴隷船上の歌〉
ブラック・ミュージックの魂を求めて 第2回──語られてこなかった過去を想像する中村隆之(早稲田大学)
●ボナエ・リテラエ──私の読書遍歴 第10回──『大パリニッバーナ経』
森本あんり(東京女子大学長)
●脳力のレッスン(255)──米中対立の本質と日本の針路
寺島実郎
●「変わらない」を変える 第4回──人権の「失われた20年」
三浦まり(上智大学)
●片山善博の「日本を診る」(166)──「突破力」だけの無謀なマイナ保険証作戦は撤収すべし
片山善博(大正大学)
●日本語のなかの何処かへ 第6回──紙の上の事実、舌に刻まれた真実
温又柔(作家)
●香港からの通信 第14回──新しい香港における酷吏と法治
林藹雲(「グローバル・ボイス」編集者)
●気候再生のために 第16回──異常気象からいのちと健康を守る
高村ゆかり(東京大学)
●沖縄(シマ)という窓──「沖縄にシェルターを」の声
親川志奈子(沖縄大学非常勤講師)
●ドキュメント激動の南北朝鮮(313)──(23・6~7)
編集部
●民話採光
阿部海太(画家・絵本作家)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
○読者投句・岩波俳句
選・文=池田澄子(俳人)
○アムネスティ通信
○読者談話室
○デザイン
赤崎正一 + 佐野裕哉 (協力=国府台さくら)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
編集後記
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
史上もっとも暑い六月、そして七月になるという。何気ない移動にも覚悟のいる炎天下、風邪やコロナなどウイルスの流行にも振り回されている。
そんな日常のなか、今号「隣のジャーナリズム」で鈴木忠平(ただひら)さんが描いた、青空に伸びるホームランの放物線は、ひとときの静けさを与えてくれた。
近くにいるからといって、よく見えるわけではない──選手のコメントや記者席からの景色にとらわれず、どのアングルから対象に迫るのか。
自らの視点が問われるのは、スポーツに、メディアに限らない。あえて隣国への眼差しを自省してみたい。休戦七〇年となる朝鮮戦争は日本の戦後を変えた。その終わらない戦争が、韓国社会をどう規定してきたか。歴史への想像力と率直な議論なしに、両政府のいう未来志向の関係を築けるだろうか。
幸い、二〇二三年の私たちにはたくさんの共通言語がある。文化の視点から編んだ特集1、お好きなところからご覧ください。
一〇〇年前、関東大震災のあと虐殺事件はなぜ起きたのか。歴史学者の外村大さん、映画監督の森達也さんはともに、今号でメディアが果たした負の役割に目を向けている。災害対策はもちろん、人の命を奪うヘイトスピーチや誹謗中傷も、過去のものになっていない。埋もれた事実、生き残ったフィルム(とちぎあきらさん)から、学ぶことはあまりに多い。
今から一〇〇年後の未来はとても想像できないが、たとえば二〇五〇年代の医療体制を誰が担っているだろう(高久玲音さん論考)。特集2では、民間で「働き方改革」への取組みが進むにつれ、時間外労働の実態や雇い止めの問題が改めて注目される専門職の危機について、領域ごとに分析を寄せていただいた。
待遇の問題はそれ自体きわめて重要だが、構造的な歪みの現れでもある。より多くの関心を向けることが、その歪みをもたらしてきた政策へのブレーキになるはずだ。
イーロン・マスク氏による買収劇、その後の大規模なレイオフにより、ツイッター社で有害な投稿を規制する「コンテンツ・モデレーション」に大きな影響が生じる。そして、モデレーションのプロセスで「自動化」が進む──憲法学者の水谷瑛嗣郎(えいじろう)さんは二月号への寄稿でこう紹介していた。
だが、「世界」編集部のアカウントがそのモデレーションのもと凍結される日が来るとは予想していなかった。災害時の情報提供を担う自治体のアカウントも多数凍結されているという。
今回、ツイッター社からの凍結の連絡も、異議申し立てに対する対応も、一律のフォーマット化された文章が届くのみで、ほかに回路は存在しない。同社は「公共の場の会話に寄与する」とうたうが、その場に発信を依存することの脆さにしみじみ気づかされた。
永久凍結もありうると話していたところ、比較的早い段階で解凍されたのは、気にかけて下さった皆さんのおかげだと思う。ありがとうございました。
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~~『世界』臨時増刊号のご案内~~
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◎『世界』臨時増刊 ウクライナ侵略戦争――世界秩序の危機
『世界』編集部 編
2022年4月14日刊
定価1,320円
https://iwnm.jp/022242
※書籍版はご好評につき品切れとなりましたが、電子書籍版を配信中です。
国際社会は冷戦終結以降、最大の危機を迎えた。核大国による侵略という事態をどう理解し、どう対峙するのか。多角的に検証する。
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~~『世界』から生まれた本~~
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◎プリズン・サークル
坂上 香
定価2,200円
httpss://iwnm.jp/061526
人は、ひとりでは罪と向き合えない。日本初となる刑務所内での長期撮影、一〇年超の取材がここに結実。
◎学問と政治 学術会議任命拒否問題とは何か(岩波新書)
芦名定道、宇野重規、岡田正則、小沢隆一、加藤陽子、松宮孝明
定価924円
https://iwnm.jp/431925
日本学術会議会員任命拒否には、日本社会の矛盾が象徴されている。当事者六名が、その背景と本質を問う。
◎読書会という幸福(岩波新書)
向井和美
定価946円
https://iwnm.jp/431932
本を語ることは人生を語ること。三十年以上続く、豊穣な「魂の交流の場」への想いをやわらかな文章で綴る。
◎沖縄という窓 クロニクル2008―2022
山城紀子、松元 剛、親川志奈子
定価2,420円
https://iwnm.jp/061541
三人の書き手が多角的に描き出す沖縄の同時代史。一四年にわたる雑誌『世界』好評リレー連載を単行本化。
◎いま、この惑星で起きていること 気象予報士の眼に映る世界
森さやか
定価902円
https://iwnm.jp/500954
世界各地で観測される異常気象を気象予報士の立場で解説し、今後について考察する。『世界』の大好評連載をまとめた一冊。
◎孤塁 双葉郡消防士たちの3・11
吉田千亜
定価1,100円
https://iwnm.jp/603333
死と隣り合わせで震災と原発災害に対応した消防士たちを丹念に取材。当時の緊迫を描き出した迫力作。
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~~「WEB世界」のご案内~~
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雑誌『世界』のWEB版もぜひ、ご覧ください
httpss://tanemaki.iwanami.co.jp/
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◇本誌のご注文はお近くの書店か小社営業部宛てにお願いいたします.
岩波書店営業部読者係(TEL:03-5210-4111,FAX:03-3263-6999)
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2023年8月8日発行
定価935円(税込)
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▼本号の目次
特集/注目記事/世界の潮/SEKAI Review of Books/連載/編集後記/
『世界』臨時増刊月号のご案内/『世界』から生まれた本/「WEB世界」のご案内
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┃特集 1┃私たちの日韓関係
┗━━━╋…────────────────────────────────
〈改善か、後戻りか〉
相互理解の扉──日韓関係“ニュー・ノーマル”のゆくえ
権容ソク(一橋大学)※「ソク」の字は、大の左右に百
〈対談〉
優しい排除の時代に
キム・ウォニョン(作家)、熊谷晋一郎(東京大学)
〈インタビュー〉
徴用工訴訟の弁護人になったわけ
林宰成(弁護士)、聞き手=徐台教(ジャーナリスト)
〈インタビュー〉
K-POP 音楽を超え広がる世界
古家正亨(ラジオDJ)
〈ポップカルチャーのいま〉
ウェブトゥーンとアニメ─日韓ふたつのブームからの景色
宣政佑(ライター)
〈エッセイ〉
日本と韓国は「中くらいの友だち」になれるだろうか?
伊東順子(ライター)
〈本の力を信じて〉
前大統領、書店をひらく
文在寅(前韓国大統領)、聞き手=金彦鎬、翻訳=金承福
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┃特集 2┃専門職の危機──研究者・官僚・医師・教員
┗━━━╋…────────────────────────────────
〈雇い止め問題の深層〉
研究者を使い捨てる国
元村有希子(毎日新聞)
〈大臣の役割とは〉
霞が関の働き方 現在・過去・未来──「政治への応答の線引き」が受け入れられるか
嶋田博子(京都大学)
〈教育と尊厳〉
日本型「ブラック教育政策」序論──何が教職の魅力を減じてきたのか
高橋哲(大阪大学)※高橋の「高」は「梯子高 (はしごだか) 」の置き換え
〈「聖域」改革の論点〉
それでも若者は医師を目指す
高久玲音(一橋大学)
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◆注目記事
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〈疑問に答える〉
「台湾有事」言説の問題点
遠藤誠治(成蹊大学)
〈新冷戦?〉
相互不信の米中関係──台湾問題と構造的対立を読み解く
佐橋亮(東京大学)
〈対談〉
国際政治の中の台湾
若林正丈(早稲田大学名誉教授)×劉彦甫(東洋経済新報社)
〈経過を追う〉
汚染水海洋放出は必要なのか
木野龍逸(ライター)
〈国会を包囲する声〉
人権無視の入管制度 終わりの始まり
指宿昭一(弁護士)
〈排除の空間〉
フランスの「郊外暴動」に終わりはあるのか?
山下泰幸(同志社大学)
〈最前線から〉
売り手市場の就活地獄──とある中堅私大から見た風景
常見陽平(千葉商科大学)
〈問題提起〉
なぜ自衛隊に「商業右翼」が浸透したか──軍人と文民の教養の共有
等松春夫(防衛大学校)
〈インタビュー〉
見たことのない虐殺を撮る──映画『福田村事件』について
森達也(映画監督)、聞き手=前川仁之
〈一〇〇年の重み〉
人間を取り戻し、虐殺をやめるために──関東大震災と日本社会
外村大(東京大学)
〈男たちが醸す文化現象〉
懲罰幻想を超えて──告発型フェミニズムと男性たち
河野真太郎(専修大学)
〈制度の核心〉
マイナンバー制度の哲学──過ちを繰り返さないために
宮下紘(中央大学)
〈本来の役割〉
「公共」のオルタナティブは可能か──「新しい公共」言説の検証から
宮川裕二(法政大学兼任講師)
〈古い「常識」〉
再生可能エネルギーを地域のベネフィットに
重藤さわ子(事業構想大学院大学)
〈「弱腰」はなぜ〉
日本人拘束事件から見える日中間の溝
南隆(元内閣審議官)
〈大震災の後に〉
再録・大江健三郎のことば 第3回──私らは犠牲者に見つめられている
大江健三郎、解題=山本昭宏
〈沖縄から〉
大江健三郎ノート─ウチナー・マンガタミの自責
川満信一(詩人)
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◇世界の潮
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◇「プリゴジンの乱」後のワグネル──ベラルーシが安住の地に?
服部倫卓
◇大学設置基準の改正は何をもたらしたか
光本滋
◇米連邦最高裁 大学入試アファーマティヴ・アクション違憲判決が突きつけるもの
大河内美紀
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◇SEKAI Review of Books
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◇生き残った「震災記録映画」──『キャメラを持った男たち―関東大震災を撮る』
とちぎあきら(国立映画アーカイブ客員研究員)
◇連載│読書・観賞日記 読んで、観て、聴いて
新城和博(編集者)
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●連載
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
〈リレー連載〉
隣のジャーナリズム─スポーツライターよ、どこへ行く
鈴木忠平(ノンフィクション作家)
〈好評連載〉
「拉致問題」風化に抗して 第5回──日本人拉致が北朝鮮にもたらしたもの(その1)
蓮池薫(新潟産業大学)
〈奴隷船上の歌〉
ブラック・ミュージックの魂を求めて 第2回──語られてこなかった過去を想像する中村隆之(早稲田大学)
●ボナエ・リテラエ──私の読書遍歴 第10回──『大パリニッバーナ経』
森本あんり(東京女子大学長)
●脳力のレッスン(255)──米中対立の本質と日本の針路
寺島実郎
●「変わらない」を変える 第4回──人権の「失われた20年」
三浦まり(上智大学)
●片山善博の「日本を診る」(166)──「突破力」だけの無謀なマイナ保険証作戦は撤収すべし
片山善博(大正大学)
●日本語のなかの何処かへ 第6回──紙の上の事実、舌に刻まれた真実
温又柔(作家)
●香港からの通信 第14回──新しい香港における酷吏と法治
林藹雲(「グローバル・ボイス」編集者)
●気候再生のために 第16回──異常気象からいのちと健康を守る
高村ゆかり(東京大学)
●沖縄(シマ)という窓──「沖縄にシェルターを」の声
親川志奈子(沖縄大学非常勤講師)
●ドキュメント激動の南北朝鮮(313)──(23・6~7)
編集部
●民話採光
阿部海太(画家・絵本作家)
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○読者投句・岩波俳句
選・文=池田澄子(俳人)
○アムネスティ通信
○読者談話室
○デザイン
赤崎正一 + 佐野裕哉 (協力=国府台さくら)
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編集後記
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史上もっとも暑い六月、そして七月になるという。何気ない移動にも覚悟のいる炎天下、風邪やコロナなどウイルスの流行にも振り回されている。
そんな日常のなか、今号「隣のジャーナリズム」で鈴木忠平(ただひら)さんが描いた、青空に伸びるホームランの放物線は、ひとときの静けさを与えてくれた。
近くにいるからといって、よく見えるわけではない──選手のコメントや記者席からの景色にとらわれず、どのアングルから対象に迫るのか。
自らの視点が問われるのは、スポーツに、メディアに限らない。あえて隣国への眼差しを自省してみたい。休戦七〇年となる朝鮮戦争は日本の戦後を変えた。その終わらない戦争が、韓国社会をどう規定してきたか。歴史への想像力と率直な議論なしに、両政府のいう未来志向の関係を築けるだろうか。
幸い、二〇二三年の私たちにはたくさんの共通言語がある。文化の視点から編んだ特集1、お好きなところからご覧ください。
一〇〇年前、関東大震災のあと虐殺事件はなぜ起きたのか。歴史学者の外村大さん、映画監督の森達也さんはともに、今号でメディアが果たした負の役割に目を向けている。災害対策はもちろん、人の命を奪うヘイトスピーチや誹謗中傷も、過去のものになっていない。埋もれた事実、生き残ったフィルム(とちぎあきらさん)から、学ぶことはあまりに多い。
今から一〇〇年後の未来はとても想像できないが、たとえば二〇五〇年代の医療体制を誰が担っているだろう(高久玲音さん論考)。特集2では、民間で「働き方改革」への取組みが進むにつれ、時間外労働の実態や雇い止めの問題が改めて注目される専門職の危機について、領域ごとに分析を寄せていただいた。
待遇の問題はそれ自体きわめて重要だが、構造的な歪みの現れでもある。より多くの関心を向けることが、その歪みをもたらしてきた政策へのブレーキになるはずだ。
イーロン・マスク氏による買収劇、その後の大規模なレイオフにより、ツイッター社で有害な投稿を規制する「コンテンツ・モデレーション」に大きな影響が生じる。そして、モデレーションのプロセスで「自動化」が進む──憲法学者の水谷瑛嗣郎(えいじろう)さんは二月号への寄稿でこう紹介していた。
だが、「世界」編集部のアカウントがそのモデレーションのもと凍結される日が来るとは予想していなかった。災害時の情報提供を担う自治体のアカウントも多数凍結されているという。
今回、ツイッター社からの凍結の連絡も、異議申し立てに対する対応も、一律のフォーマット化された文章が届くのみで、ほかに回路は存在しない。同社は「公共の場の会話に寄与する」とうたうが、その場に発信を依存することの脆さにしみじみ気づかされた。
永久凍結もありうると話していたところ、比較的早い段階で解凍されたのは、気にかけて下さった皆さんのおかげだと思う。ありがとうございました。
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◎『世界』臨時増刊 ウクライナ侵略戦争――世界秩序の危機
『世界』編集部 編
2022年4月14日刊
定価1,320円
https://iwnm.jp/022242
※書籍版はご好評につき品切れとなりましたが、電子書籍版を配信中です。
国際社会は冷戦終結以降、最大の危機を迎えた。核大国による侵略という事態をどう理解し、どう対峙するのか。多角的に検証する。
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~~『世界』から生まれた本~~
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◎プリズン・サークル
坂上 香
定価2,200円
httpss://iwnm.jp/061526
人は、ひとりでは罪と向き合えない。日本初となる刑務所内での長期撮影、一〇年超の取材がここに結実。
◎学問と政治 学術会議任命拒否問題とは何か(岩波新書)
芦名定道、宇野重規、岡田正則、小沢隆一、加藤陽子、松宮孝明
定価924円
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日本学術会議会員任命拒否には、日本社会の矛盾が象徴されている。当事者六名が、その背景と本質を問う。
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向井和美
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本を語ることは人生を語ること。三十年以上続く、豊穣な「魂の交流の場」への想いをやわらかな文章で綴る。
◎沖縄という窓 クロニクル2008―2022
山城紀子、松元 剛、親川志奈子
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三人の書き手が多角的に描き出す沖縄の同時代史。一四年にわたる雑誌『世界』好評リレー連載を単行本化。
◎いま、この惑星で起きていること 気象予報士の眼に映る世界
森さやか
定価902円
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世界各地で観測される異常気象を気象予報士の立場で解説し、今後について考察する。『世界』の大好評連載をまとめた一冊。
◎孤塁 双葉郡消防士たちの3・11
吉田千亜
定価1,100円
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死と隣り合わせで震災と原発災害に対応した消防士たちを丹念に取材。当時の緊迫を描き出した迫力作。
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