『世界』メールマガジン/2023年10月号【特集1:瀕死の1.5℃目標──政治よ目覚めよ】【特集2:日本政治の底──ポスト岸田の論点】
2023/09/08 (Fri) 11:00
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■■ 『世界』メールマガジン/2023年10月号
■■ vol.#0100
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■『世界』2023年10月号(第974号)好評発売中
2023年9月8日発行
定価935円(税込)
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▼本号の目次
特集/注目記事/世界の潮/SEKAI Review of Books/連載/編集後記/
『世界』臨時増刊月号のご案内/『世界』から生まれた本/「WEB世界」のご案内
┏━━━┓
┃特集 1┃瀕死の1.5℃目標──政治よ目覚めよ
┗━━━╋…────────────────────────────────
〈今、どこにいるか〉
1.5度目標の「死」をめぐって──気候再生のために(17)
江守正多(東京大学)
〈座談会〉
気候危機を生きていく
山本健太朗(FFF 気候正義プロジェクト)、鈴木ちひろ(国分寺市議)、中村峻太郎(FFF 京都)
〈欧州の「過激」な運動〉
非暴力、サボタージュ、オルタナティブな未来
箱田徹(天理大学)
〈地球沸騰時代〉
日本の気候変動対策はなぜ進まないのか
平田仁子(Climate Integrate)
〈住まいから対策を〉
建築物省エネ法改正までの道のり
竹内昌義(東北芸術工科大学)
〈マスコミの役割は〉
なぜ、メディアに「希望」を掲げるのか
Media is Hope(メディア支援NGO)
〈環境汚染のエリート〉
環境破壊をもたらす富豪層
ジークハルト・ネッケル(ハンブルク大学)、訳・解説=大貫敦子
┏━━━┓
┃特集 2┃日本政治の底──ポスト岸田の論点
┗━━━╋…────────────────────────────────
〈選択肢を作れるか〉
「3・2・1の法則」と政党対立の再編成──二つの争点軸と三極構造の変容
大井赤亥(広島工業大学非常勤講師)
〈本当に「総理の専権事項」か?〉
「自由な解散権」が政治を劣化させる
橋本基弘(中央大学)
〈その正体〉
フォークダンスDE一番病──岸田首相のつかみどころのなさについて
高橋純子(朝日新聞)
〈世論のいま〉
イデオロギーか業績評価か──立民と維新への投票の変質
遠藤晶久(早稲田大学)
〈失政のツケ〉
岸田政権がもたらす経済衰退のメカニズム
金子勝(慶應義塾大学名誉教授)
〈若者世代が問う〉
「岸田首相、核廃絶はできますか?」
田中美穂(カクワカ広島)
〈挫折の歴史から見えるもの〉
残骸の諸層位
木庭顕(歴史学者)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◆注目記事
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
〈新たな動向〉
ウクライナ危機とアフリカ──グローバルサウスの復権
勝俣誠(明治学院大学名誉教授)
〈「この戦争」をどう見るか〉
ウクライナ戦争をめぐる「が」について
小泉悠(東京大学先端科学技術研究センター講師)
〈ルポ〉
SEALDs、それから
大瀧哲彰(朝日新聞)
〈新連載〉
滅びゆく日本、再生への道 第1回──失われた30年、衰退の4つの節目
星浩(ジャーナリスト)
〈リレー連載〉
隣のジャーナリズム──アートとジャーナリズムの対話
林典子(フォトジャーナリスト)
〈COP30にむけて〉
アマゾンの森を守る誇り──ルポ・ブラジル先住民族大集会
下郷さとみ(ジャーナリスト)
〈「国葬」の謎〉
《騎士》シルヴィオ・ベルルスコーニの埋葬
村上信一郎(神戸市外国語大学名誉教授)
〈根本の問題〉
「食料安全保障」は実現するのか──食料・農業・農村基本法改正のゆくえ
安藤光義(東京大学)
〈食料民主主義へ〉
追い詰められる酪農家──コロナ禍の二重危機
清水池義治(北海道大学)
〈今も生きる三歳児神話〉
「地域みんなで子育て」という難題──母性神話・家族原理主義からの脱却
神谷哲司(東北大学)
〈集住論への批判〉
農山村で生きることは「非効率」なのか?
嶋田暁文(九州大学)
〈命の深淵!〉
植物と生をめぐる対話
伊藤比呂美(詩人)、藤原辰史(京都大学)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◇世界の潮
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◇岐路に立つ中国経済、習近平政権の正念場
柯隆
◇国連「ビジネスと人権」作業部会が突きつけたもの
吉永磨美
◇認知症基本法の誕生──共生社会に向けて
徳田雄人
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◇SEKAI Review of Books
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◇スクリーンの前の読書会──映画『君たちはどう生きるか』をめぐって
古谷田奈月(作家)
◇連載│読書・観賞日記 読んで、観て、聴いて
長谷部恭男(早稲田大学)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
●連載
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
〈好評連載〉
「変わらない」を変える 第5回女性政治家を阻む「地域の壁」
三浦まり(上智大学)
〈好評連載〉
ブラック・ミュージックの魂を求めて 第3回──アメリカスに渡ったアフリカの声と音
中村隆之(早稲田大学)
〈好評連載〉
香港からの通信 第15回香港におけるインターネット規制の現状と展望
莫乃光(米スタンフォード大学客員研究員)
●ボナエ・リテラエ─私の読書遍歴 第11回──『ピューリタン』
森本あんり(東京女子大学長)
●脳力のレッスン(256)──日本近現代史における三人の国家構想
寺島実郎
●片山善博の「日本を診る」(167)──ミッションを逸脱した組織や政策は破綻する
片山善博(大正大学)
●日本語のなかの何処かへ 第7回──もしも私が……
温又柔(作家)
●沖縄(シマ)という窓─奇跡の舞台──「肝高く」示す地域の道標
松元剛(琉球新報)
●ドキュメント激動の南北朝鮮(314)──(23・7~8)
編集部
●民話採光
阿部海太(画家・絵本作家)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
○読者投句・岩波俳句
選・文=池田澄子(俳人)
○アムネスティ通信
○読者談話室
○デザイン
赤崎正一 + 佐野裕哉 (協力=国府台さくら)
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編集後記
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蝉の声を浴びながら砧公園の欅並木を通り過ぎ、世田谷美術館に行ってきた。「世界」と「暮しの手帖」のカット原画を紹介するコレクション展が開催されている(「雑誌にみるカットの世界」11月19日まで)。
ともに戦争への深い悔恨から出発した雑誌の歩みを、レイアウト指定の書込みの残る作品から追っていく。「暮しの手帖」では目に愉しいカットのほぼ一切を花森安治編集長が描いていたという。「世界」では、時代ごとに駒井哲郎さん、司修さん、宇佐美圭司さんらによる多彩な作品が掲載され、テキストとの組み合わせが新鮮に映った。
「ジャーナリズムとは一方的に提示するものではなく、本来は誰にとっても、日々の暮らしの中にある身近なものである」。毎号の表紙写真の撮影者でもある林典子さんは今号でこう書いている。何気なく存在する雑誌のカットは、読者の日常とテキストを結ぶ役割を果たしているのかもしれない。
夏休み中、現代小説を続けて読み、歴史との接続のしかたに唸っていた。新城和博さんが5月号で取り上げていた滝口悠生さんの『水平線』、今号に寄稿してくださった古谷田奈月さんの『神前酔狂宴』。題材も語り口も異なるが、今を生きる私たちと歴史との距離感をばねのようにして、気づけば読み手を戦禍の生や、天皇制の核心に触れさせる。
今年の全国戦没者追悼式での首相式辞は、やはり加害責任や反省に触れず、約9割が前年と一言一句同じだったという。戦争遺児でもある尾辻秀久参院議長の追悼の辞が注目されていたが、首相の言葉の平板さは、戦争体験の違いだけに由来するものではないはずだ。どんな世界を築きたいか。コミュニケーション以前の問題として、特に語るべき構想がないのだろう。
政治学者の大井赤亥さんは、岸田政権をアベノミクスの延長上に位置する「踊り場の政権」としている。政権の経済政策の本質とはなにか。「第二自民党でいい」という日本維新の会が存在感を示すなか、野党立て直しの鍵はどこにあるのか。特集2では日本政治の現実を考察している。
この特集で首相の核政策を見つめながら、田中美穂さん(「カクワカ広島」)は、世界的な核廃絶に向けた歩みのなか、止まっているのは政府だけ、と述べている。もうひとつの気候変動特集の問題意識も、「底」で眠っている日本政治を目覚めさせることにある。
世界5番目の二酸化炭素排出国で、化石燃料事業への海外公的支援額は世界トップクラスという日本の気候変動対策はなぜ遅れたままなのか(平田仁子さん論考)。カーボンニュートラルの看板も、産業振興を主目的とする「GX」に掛け替えられている。
「気候ではなく、システムを変えろ」。近年の世界的な気候運動の出発点であるというスローガン(箱田徹さん論考)は、担当した編集部員も含めて全員が90年代生まれの座談会の議論の前提になっていた。常識を変えることはできる。政治の場でも、日常のなかでも。
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~~『世界』臨時増刊号のご案内~~
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◎『世界』臨時増刊 ウクライナ侵略戦争――世界秩序の危機
『世界』編集部 編
2022年4月14日刊
定価1,320円
https://iwnm.jp/022242
※書籍版はご好評につき品切れとなりましたが、電子書籍版を配信中です。
国際社会は冷戦終結以降、最大の危機を迎えた。核大国による侵略という事態をどう理解し、どう対峙するのか。多角的に検証する。
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~~『世界』から生まれた本~~
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◎プリズン・サークル
坂上 香
定価2,200円
httpss://iwnm.jp/061526
人は、ひとりでは罪と向き合えない。日本初となる刑務所内での長期撮影、一〇年超の取材がここに結実。
◎学問と政治 学術会議任命拒否問題とは何か(岩波新書)
芦名定道、宇野重規、岡田正則、小沢隆一、加藤陽子、松宮孝明
定価924円
https://iwnm.jp/431925
日本学術会議会員任命拒否には、日本社会の矛盾が象徴されている。当事者六名が、その背景と本質を問う。
◎読書会という幸福(岩波新書)
向井和美
定価946円
https://iwnm.jp/431932
本を語ることは人生を語ること。三十年以上続く、豊穣な「魂の交流の場」への想いをやわらかな文章で綴る。
◎沖縄という窓 クロニクル2008―2022
山城紀子、松元 剛、親川志奈子
定価2,420円
https://iwnm.jp/061541
三人の書き手が多角的に描き出す沖縄の同時代史。一四年にわたる雑誌『世界』好評リレー連載を単行本化。
◎いま、この惑星で起きていること 気象予報士の眼に映る世界
森さやか
定価902円
https://iwnm.jp/500954
世界各地で観測される異常気象を気象予報士の立場で解説し、今後について考察する。『世界』の大好評連載をまとめた一冊。
◎孤塁 双葉郡消防士たちの3・11
吉田千亜
定価1,100円
https://iwnm.jp/603333
死と隣り合わせで震災と原発災害に対応した消防士たちを丹念に取材。当時の緊迫を描き出した迫力作。
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~~「WEB世界」のご案内~~
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雑誌『世界』のWEB版もぜひ、ご覧ください
httpss://tanemaki.iwanami.co.jp/
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登録情報の編集・解除は,こちらよりお願いいたします.
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〒101-8002 東京都千代田区一ツ橋2-5-5
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WEB: https://iwnm.jp/sekai
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◇本誌のご注文はお近くの書店か小社営業部宛てにお願いいたします.
岩波書店営業部読者係(TEL:03-5210-4111,FAX:03-3263-6999)
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2023年9月8日発行
定価935円(税込)
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特集/注目記事/世界の潮/SEKAI Review of Books/連載/編集後記/
『世界』臨時増刊月号のご案内/『世界』から生まれた本/「WEB世界」のご案内
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┃特集 1┃瀕死の1.5℃目標──政治よ目覚めよ
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〈今、どこにいるか〉
1.5度目標の「死」をめぐって──気候再生のために(17)
江守正多(東京大学)
〈座談会〉
気候危機を生きていく
山本健太朗(FFF 気候正義プロジェクト)、鈴木ちひろ(国分寺市議)、中村峻太郎(FFF 京都)
〈欧州の「過激」な運動〉
非暴力、サボタージュ、オルタナティブな未来
箱田徹(天理大学)
〈地球沸騰時代〉
日本の気候変動対策はなぜ進まないのか
平田仁子(Climate Integrate)
〈住まいから対策を〉
建築物省エネ法改正までの道のり
竹内昌義(東北芸術工科大学)
〈マスコミの役割は〉
なぜ、メディアに「希望」を掲げるのか
Media is Hope(メディア支援NGO)
〈環境汚染のエリート〉
環境破壊をもたらす富豪層
ジークハルト・ネッケル(ハンブルク大学)、訳・解説=大貫敦子
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┃特集 2┃日本政治の底──ポスト岸田の論点
┗━━━╋…────────────────────────────────
〈選択肢を作れるか〉
「3・2・1の法則」と政党対立の再編成──二つの争点軸と三極構造の変容
大井赤亥(広島工業大学非常勤講師)
〈本当に「総理の専権事項」か?〉
「自由な解散権」が政治を劣化させる
橋本基弘(中央大学)
〈その正体〉
フォークダンスDE一番病──岸田首相のつかみどころのなさについて
高橋純子(朝日新聞)
〈世論のいま〉
イデオロギーか業績評価か──立民と維新への投票の変質
遠藤晶久(早稲田大学)
〈失政のツケ〉
岸田政権がもたらす経済衰退のメカニズム
金子勝(慶應義塾大学名誉教授)
〈若者世代が問う〉
「岸田首相、核廃絶はできますか?」
田中美穂(カクワカ広島)
〈挫折の歴史から見えるもの〉
残骸の諸層位
木庭顕(歴史学者)
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◆注目記事
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〈新たな動向〉
ウクライナ危機とアフリカ──グローバルサウスの復権
勝俣誠(明治学院大学名誉教授)
〈「この戦争」をどう見るか〉
ウクライナ戦争をめぐる「が」について
小泉悠(東京大学先端科学技術研究センター講師)
〈ルポ〉
SEALDs、それから
大瀧哲彰(朝日新聞)
〈新連載〉
滅びゆく日本、再生への道 第1回──失われた30年、衰退の4つの節目
星浩(ジャーナリスト)
〈リレー連載〉
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林典子(フォトジャーナリスト)
〈COP30にむけて〉
アマゾンの森を守る誇り──ルポ・ブラジル先住民族大集会
下郷さとみ(ジャーナリスト)
〈「国葬」の謎〉
《騎士》シルヴィオ・ベルルスコーニの埋葬
村上信一郎(神戸市外国語大学名誉教授)
〈根本の問題〉
「食料安全保障」は実現するのか──食料・農業・農村基本法改正のゆくえ
安藤光義(東京大学)
〈食料民主主義へ〉
追い詰められる酪農家──コロナ禍の二重危機
清水池義治(北海道大学)
〈今も生きる三歳児神話〉
「地域みんなで子育て」という難題──母性神話・家族原理主義からの脱却
神谷哲司(東北大学)
〈集住論への批判〉
農山村で生きることは「非効率」なのか?
嶋田暁文(九州大学)
〈命の深淵!〉
植物と生をめぐる対話
伊藤比呂美(詩人)、藤原辰史(京都大学)
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◇世界の潮
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◇岐路に立つ中国経済、習近平政権の正念場
柯隆
◇国連「ビジネスと人権」作業部会が突きつけたもの
吉永磨美
◇認知症基本法の誕生──共生社会に向けて
徳田雄人
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◇SEKAI Review of Books
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◇スクリーンの前の読書会──映画『君たちはどう生きるか』をめぐって
古谷田奈月(作家)
◇連載│読書・観賞日記 読んで、観て、聴いて
長谷部恭男(早稲田大学)
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●連載
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〈好評連載〉
「変わらない」を変える 第5回女性政治家を阻む「地域の壁」
三浦まり(上智大学)
〈好評連載〉
ブラック・ミュージックの魂を求めて 第3回──アメリカスに渡ったアフリカの声と音
中村隆之(早稲田大学)
〈好評連載〉
香港からの通信 第15回香港におけるインターネット規制の現状と展望
莫乃光(米スタンフォード大学客員研究員)
●ボナエ・リテラエ─私の読書遍歴 第11回──『ピューリタン』
森本あんり(東京女子大学長)
●脳力のレッスン(256)──日本近現代史における三人の国家構想
寺島実郎
●片山善博の「日本を診る」(167)──ミッションを逸脱した組織や政策は破綻する
片山善博(大正大学)
●日本語のなかの何処かへ 第7回──もしも私が……
温又柔(作家)
●沖縄(シマ)という窓─奇跡の舞台──「肝高く」示す地域の道標
松元剛(琉球新報)
●ドキュメント激動の南北朝鮮(314)──(23・7~8)
編集部
●民話採光
阿部海太(画家・絵本作家)
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○読者投句・岩波俳句
選・文=池田澄子(俳人)
○アムネスティ通信
○読者談話室
○デザイン
赤崎正一 + 佐野裕哉 (協力=国府台さくら)
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編集後記
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蝉の声を浴びながら砧公園の欅並木を通り過ぎ、世田谷美術館に行ってきた。「世界」と「暮しの手帖」のカット原画を紹介するコレクション展が開催されている(「雑誌にみるカットの世界」11月19日まで)。
ともに戦争への深い悔恨から出発した雑誌の歩みを、レイアウト指定の書込みの残る作品から追っていく。「暮しの手帖」では目に愉しいカットのほぼ一切を花森安治編集長が描いていたという。「世界」では、時代ごとに駒井哲郎さん、司修さん、宇佐美圭司さんらによる多彩な作品が掲載され、テキストとの組み合わせが新鮮に映った。
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政治学者の大井赤亥さんは、岸田政権をアベノミクスの延長上に位置する「踊り場の政権」としている。政権の経済政策の本質とはなにか。「第二自民党でいい」という日本維新の会が存在感を示すなか、野党立て直しの鍵はどこにあるのか。特集2では日本政治の現実を考察している。
この特集で首相の核政策を見つめながら、田中美穂さん(「カクワカ広島」)は、世界的な核廃絶に向けた歩みのなか、止まっているのは政府だけ、と述べている。もうひとつの気候変動特集の問題意識も、「底」で眠っている日本政治を目覚めさせることにある。
世界5番目の二酸化炭素排出国で、化石燃料事業への海外公的支援額は世界トップクラスという日本の気候変動対策はなぜ遅れたままなのか(平田仁子さん論考)。カーボンニュートラルの看板も、産業振興を主目的とする「GX」に掛け替えられている。
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『世界』編集部 編
2022年4月14日刊
定価1,320円
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国際社会は冷戦終結以降、最大の危機を迎えた。核大国による侵略という事態をどう理解し、どう対峙するのか。多角的に検証する。
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◎プリズン・サークル
坂上 香
定価2,200円
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◎学問と政治 学術会議任命拒否問題とは何か(岩波新書)
芦名定道、宇野重規、岡田正則、小沢隆一、加藤陽子、松宮孝明
定価924円
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日本学術会議会員任命拒否には、日本社会の矛盾が象徴されている。当事者六名が、その背景と本質を問う。
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向井和美
定価946円
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本を語ることは人生を語ること。三十年以上続く、豊穣な「魂の交流の場」への想いをやわらかな文章で綴る。
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山城紀子、松元 剛、親川志奈子
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三人の書き手が多角的に描き出す沖縄の同時代史。一四年にわたる雑誌『世界』好評リレー連載を単行本化。
◎いま、この惑星で起きていること 気象予報士の眼に映る世界
森さやか
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世界各地で観測される異常気象を気象予報士の立場で解説し、今後について考察する。『世界』の大好評連載をまとめた一冊。
◎孤塁 双葉郡消防士たちの3・11
吉田千亜
定価1,100円
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死と隣り合わせで震災と原発災害に対応した消防士たちを丹念に取材。当時の緊迫を描き出した迫力作。
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