『世界』メールマガジン/2023年11月号【特集1:大阪とデモクラシー──維新・万博・都市の地層】【特集2:デジタルの壁】
2023/10/06 (Fri) 11:00
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■■ 『世界』メールマガジン/2023年11月号
■■ vol.#0101
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■『世界』2023年11月号(第975号)好評発売中
2023年10月6日発行
定価935円(税込)
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▼本号の目次
特集/注目記事/世界の潮/SEKAI Review of Books/連載/編集後記/
『世界』臨時増刊月号のご案内/『世界』から生まれた本/「WEB世界」のご案内
┏━━━┓
┃特集 1┃大阪とデモクラシー──維新・万博・都市の地層
┗━━━╋…────────────────────────────────
〈失われる地盤〉
維新の会の「中抜き」政治はどこに向かうのか
丸山真央(滋賀県立大学)
〈作家のまなざし〉
大阪〈ベイエリア〉叙景──人工島EXPOへの文学的道標
加藤政洋(立命館大学)
〈リスクだらけ〉
開催できるのか? 瀬戸際の関西万博
北田明子(ジャーナリスト)、今西憲之(ジャーナリスト)
〈検証〉
大阪の教育と草の根民主主義──久保校長の提言書、その後
辻野けんま(つじは1点のしんにょう)(大阪公立大学)
〈釜ヶ崎公民権運動から〉
新しいものはなにもいらない──維新、天皇、万博、排除
山下壮起(日本基督教団阿倍野教会牧師)
〈エッセイ〉
大阪で生まれた男やけれど
木津毅(ライター)
〈根づいたもの〉
大阪に「子どもの本」の文化の灯をともし続ける
土居安子(大阪国際児童文学振興財団)
┏━━━┓
┃特集 2┃デジタルの壁
┗━━━╋…────────────────────────────────
〈議論の土台に〉
憲法と社会のデジタル化についての覚書
宍戸常寿(東京大学)
〈優しくない?〉
デジタルも社会もユニバーサルデザインに
関根千佳(株式会社ユーディット)
〈混乱の要因〉
国民総背番号とは何だったのか──マイナンバー「利用範囲拡大」が炙り出すもの
高木浩光(産業技術総合研究所)
〈市場の力〉
NFTと新しいお金の流れ
坂井豊貴(慶應義塾大学)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◆注目記事
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
〈座談会〉
芸能人と人権 ジャニーズ問題のゆくえ
佐藤大和(弁護士)×平本淳也(ジャニーズ性加害問題当事者の会代表)×森崎めぐみ(俳優)
〈組織と対峙する〉
台湾と日本、海を越えた事故遺族の対話
松本創(ノンフィクションライター)
〈利権と権力闘争〉
再エネ汚職・万博・マイナ保険証──漂流する岸田政権
森功(ノンフィクション作家)
〈インド論〉
「ヒンドゥー国家」に呑まれたG20
中溝和弥(京都大学)
〈「テロとの戦い」の果て〉
再編に向かうアフリカ安全保障体制──ロシア/ワグネル報道に欠けているもの
上江洲佐代子(明治大学アフリカ研究所)
〈「奴隷制」はいま〉
「自由と寛容」をめぐるせめぎあい──オランダから考える
水島治郎(千葉大学)
〈制度を前に進める鍵は〉
「出自を知る権利」──精子提供によって築かれた親子関係と社会課題
柘植あづみ(明治学院大学)
〈「雨の木」を聴く女たち〉
読み読まれ、書き書かれる主体─大江健三郎に入門するために
渡辺祐真(書評家)
〈「非現実的」な希望〉
再録・大江健三郎のことば 第4回 戦闘的なユマニスム
大江健三郎、解題=山本昭宏
〈対談〉
「劣化したリーダー」がなぜ増えたのか?
立石泰則(ノンフィクション作家)×辻野晃一郎(アレックス代表取締役社長)
〈「甘粕事件」一〇〇年〉
橘宗一少年虐殺をめぐる記憶の再生
田中伸尚(ノンフィクション作家)
〈エッセイ〉
虐殺から百年後の朝鮮人犠牲者追悼式典
木村友祐(小説家)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◇世界の潮
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◇9・4辺野古最高裁判決──こんなずさんな「審理員判決」でよいのか
白藤博行
◇ザポリージャ原発「非軍事ゾーン設定」を急げ
尾松亮
◇ストライキの社会的意義──そごう・西武とアテネ・フランセを例に
伊藤大一
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◇SEKAI Review of Books
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◇連載│読書・観賞日記 読んで、観て、聴いて
中村佑子(作家/映像作家)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
●連載
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
〈好評連載〉
「拉致問題」風化に抗して 第6回──日本人拉致が北朝鮮にもたらしたもの(その2)蓮池薫(新潟産業大学)
〈好評連載〉
滅びゆく日本、再生への道 第2回──自民党の人材枯渇と政治の停滞
星浩(ジャーナリスト)
〈好評連載〉
隣のジャーナリズム──〈息遣い〉を伝えるということ
urbansea(ノンフィクション愛好家)
〈好評連載〉
「変わらない」を変える 第6回──「マネル」(MANEL)はもう止めよう
三浦まり(上智大学)
〈好評連載〉
ブラック・ミュージックの魂を求めて 第4回──自由を希求する共同体の歌
中村隆之(早稲田大学)
●ボナエ・リテラエ ──私の読書遍歴 第12回─『神の痛みの神学』
森本あんり(東京女子大学長)
●脳力のレッスン(257)──国家構想なき日本を超えて─未来圏・日本の構想
寺島実郎
●片山善博の「日本を診る」(168)──辺野古をめぐる国と沖縄県との泥沼の闘争から得るべき教訓
片山善博(大正大学)
●日本語のなかの何処かへ 第8回──『アジアの孤児』を知った頃
温又柔(作家)
●香港からの通信 第16回──「白色テロ」下の香港知識分子
張燦輝(元香港中文大学教授)
●気候再生のために 第18回──「瀕死の一・五℃目標」救いへの希望
高村ゆかり(東京大学)
●沖縄(シマ)という窓─冊子『沖縄・米兵による性犯罪年表 第一三版』
山城紀子(フリーライター)
●ドキュメント激動の南北朝鮮(315)──(23・8~9)
編集部
●民話採光
阿部海太(画家・絵本作家)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
○読者投句・岩波俳句
選・文=池田澄子(俳人)
○アムネスティ通信
○読者談話室
○デザイン
赤崎正一 + 佐野裕哉 (協力=国府台さくら)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
編集後記
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昨年、地元大阪の天王寺公園を十数年ぶりに訪れた。青空カラオケの面影もなく、こぎれいな広場になっている。高さ日本一を誇る「あべのハルカス」開業など大規模開発を経た街と、いつもグレーの曇り空だった心象風景とのギャップは大きかった。
関西万博の開催に向け、会場となる人工島・夢洲(ゆめしま)で準備が進んでいる。土壌汚染や地盤の問題も指摘されるが、長くごみの最終処分場とされてきた一帯は大阪の「負の遺産」などではない、「現実に使っていた土地」だ──との言葉に(ルポ「開催できるのか? 瀬戸際の関西万博」)、霞ヶ丘アパートを思った。2020東京五輪の会場となる国立競技場の建て替えにあたり、明治公園などと一緒に区画整理の対象となった都営住宅だ。
立ち退きを迫られた住民には、清掃やマッサージ業、会計事務など、都市機能を支えてきた高齢の女性たちも少なくなかった(本誌2017年7月号、稲葉奈々子さん論考)。新国立競技場の建設は、いま樹木伐採問題が注視される神宮外苑再開発の一環だった。関西万博の夢洲開発も、カジノ・IRとセットでみると、「夢」を描いた人たちの姿が窺える(森功さん寄稿)。
「新しい時代」を掲げて権力者が進める排除、隠蔽を暴き、その空虚さを笑う視座(山下壮起さんエッセイ)。変わる景色を見つめながら、文化や教育の灯をともし続ける営み──特集1では、私たちの足もとにあるデモクラシーを考察する。
マイナカード問題が象徴する日本のデジタルの現状も、やはり民主主義の根幹にかかわるテーマだ。デジタル化で情報入手のストレスが増えたという人も少なくないと思う。他方で、関根千佳さんが述べるとおり、本が電子化されることで、初めてその中身にアクセスできるようになる人もいる。
排除のないデジタル社会へと向かうために、「市民であり消費者である個人を起点にした議論」(特集2 宍戸常寿さん論考)を活発化させていきたい。
「自由」を謳歌する市民と、「不自由」な状態にとどめられる外部者たち──昨今のオランダ政治からその線引きを考察した水島治郎さんの論考は、日本の難民・移民政策はもちろん、過去と現在を貫く視点で差別を捉える視点を与えてくれる。
そこで鍵となる「他者の不自由の上に成り立つ自由」との概念は、沖縄の基地問題にもいえる。九月初め、辺野古新基地建設の地盤改良工事承認をめぐる裁判で、沖縄県の敗訴が確定した。国は司法の場で勝利したとしても、政治的には成功していない。むしろ、対立を深め、不信感を増幅させてきた。片山善博さんの指摘に頷かされる。
地元に丁寧に説明し、理解を求めたい。そう繰り返した安倍政権下での辺野古沖ボーリング調査から一〇年。「丁寧な説明」は首相の常套句であり、官房長官も最高裁判決を受け改めて口にしていたが、アメリカの顔だけを見る政治のもとで何が起きてきたのか。誰の自由が守られてきたのか。
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~~『世界』臨時増刊号のご案内~~
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◎『世界』臨時増刊 ウクライナ侵略戦争――世界秩序の危機
『世界』編集部 編
2022年4月14日刊
定価1,320円
https://iwnm.jp/022242
※書籍版はご好評につき品切れとなりましたが、電子書籍版を配信中です。
国際社会は冷戦終結以降、最大の危機を迎えた。核大国による侵略という事態をどう理解し、どう対峙するのか。多角的に検証する。
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~~『世界』から生まれた本~~
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◎プリズン・サークル
坂上 香
定価2,200円
https://iwnm.jp/061526
人は、ひとりでは罪と向き合えない。日本初となる刑務所内での長期撮影、一〇年超の取材がここに結実。
◎学問と政治 学術会議任命拒否問題とは何か(岩波新書)
芦名定道、宇野重規、岡田正則、小沢隆一、加藤陽子、松宮孝明
定価924円
https://iwnm.jp/431925
日本学術会議会員任命拒否には、日本社会の矛盾が象徴されている。当事者六名が、その背景と本質を問う。
◎読書会という幸福(岩波新書)
向井和美
定価946円
https://iwnm.jp/431932
本を語ることは人生を語ること。三十年以上続く、豊穣な「魂の交流の場」への想いをやわらかな文章で綴る。
◎沖縄という窓 クロニクル2008―2022
山城紀子、松元 剛、親川志奈子
定価2,420円
https://iwnm.jp/061541
三人の書き手が多角的に描き出す沖縄の同時代史。一四年にわたる雑誌『世界』好評リレー連載を単行本化。
◎いま、この惑星で起きていること 気象予報士の眼に映る世界
森さやか
定価902円
https://iwnm.jp/500954
世界各地で観測される異常気象を気象予報士の立場で解説し、今後について考察する。『世界』の大好評連載をまとめた一冊。
◎孤塁 双葉郡消防士たちの3・11
吉田千亜
定価1,100円
https://iwnm.jp/603333
死と隣り合わせで震災と原発災害に対応した消防士たちを丹念に取材。当時の緊迫を描き出した迫力作。
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~~「WEB世界」のご案内~~
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雑誌『世界』のWEB版もぜひ、ご覧ください
https://tanemaki.iwanami.co.jp/
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◇本誌のご注文はお近くの書店か小社営業部宛てにお願いいたします.
岩波書店営業部読者係(TEL:03-5210-4111,FAX:03-3263-6999)
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■『世界』2023年11月号(第975号)好評発売中
2023年10月6日発行
定価935円(税込)
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▼本号の目次
特集/注目記事/世界の潮/SEKAI Review of Books/連載/編集後記/
『世界』臨時増刊月号のご案内/『世界』から生まれた本/「WEB世界」のご案内
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┃特集 1┃大阪とデモクラシー──維新・万博・都市の地層
┗━━━╋…────────────────────────────────
〈失われる地盤〉
維新の会の「中抜き」政治はどこに向かうのか
丸山真央(滋賀県立大学)
〈作家のまなざし〉
大阪〈ベイエリア〉叙景──人工島EXPOへの文学的道標
加藤政洋(立命館大学)
〈リスクだらけ〉
開催できるのか? 瀬戸際の関西万博
北田明子(ジャーナリスト)、今西憲之(ジャーナリスト)
〈検証〉
大阪の教育と草の根民主主義──久保校長の提言書、その後
辻野けんま(つじは1点のしんにょう)(大阪公立大学)
〈釜ヶ崎公民権運動から〉
新しいものはなにもいらない──維新、天皇、万博、排除
山下壮起(日本基督教団阿倍野教会牧師)
〈エッセイ〉
大阪で生まれた男やけれど
木津毅(ライター)
〈根づいたもの〉
大阪に「子どもの本」の文化の灯をともし続ける
土居安子(大阪国際児童文学振興財団)
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┃特集 2┃デジタルの壁
┗━━━╋…────────────────────────────────
〈議論の土台に〉
憲法と社会のデジタル化についての覚書
宍戸常寿(東京大学)
〈優しくない?〉
デジタルも社会もユニバーサルデザインに
関根千佳(株式会社ユーディット)
〈混乱の要因〉
国民総背番号とは何だったのか──マイナンバー「利用範囲拡大」が炙り出すもの
高木浩光(産業技術総合研究所)
〈市場の力〉
NFTと新しいお金の流れ
坂井豊貴(慶應義塾大学)
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◆注目記事
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〈座談会〉
芸能人と人権 ジャニーズ問題のゆくえ
佐藤大和(弁護士)×平本淳也(ジャニーズ性加害問題当事者の会代表)×森崎めぐみ(俳優)
〈組織と対峙する〉
台湾と日本、海を越えた事故遺族の対話
松本創(ノンフィクションライター)
〈利権と権力闘争〉
再エネ汚職・万博・マイナ保険証──漂流する岸田政権
森功(ノンフィクション作家)
〈インド論〉
「ヒンドゥー国家」に呑まれたG20
中溝和弥(京都大学)
〈「テロとの戦い」の果て〉
再編に向かうアフリカ安全保障体制──ロシア/ワグネル報道に欠けているもの
上江洲佐代子(明治大学アフリカ研究所)
〈「奴隷制」はいま〉
「自由と寛容」をめぐるせめぎあい──オランダから考える
水島治郎(千葉大学)
〈制度を前に進める鍵は〉
「出自を知る権利」──精子提供によって築かれた親子関係と社会課題
柘植あづみ(明治学院大学)
〈「雨の木」を聴く女たち〉
読み読まれ、書き書かれる主体─大江健三郎に入門するために
渡辺祐真(書評家)
〈「非現実的」な希望〉
再録・大江健三郎のことば 第4回 戦闘的なユマニスム
大江健三郎、解題=山本昭宏
〈対談〉
「劣化したリーダー」がなぜ増えたのか?
立石泰則(ノンフィクション作家)×辻野晃一郎(アレックス代表取締役社長)
〈「甘粕事件」一〇〇年〉
橘宗一少年虐殺をめぐる記憶の再生
田中伸尚(ノンフィクション作家)
〈エッセイ〉
虐殺から百年後の朝鮮人犠牲者追悼式典
木村友祐(小説家)
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◇世界の潮
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◇9・4辺野古最高裁判決──こんなずさんな「審理員判決」でよいのか
白藤博行
◇ザポリージャ原発「非軍事ゾーン設定」を急げ
尾松亮
◇ストライキの社会的意義──そごう・西武とアテネ・フランセを例に
伊藤大一
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◇SEKAI Review of Books
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◇連載│読書・観賞日記 読んで、観て、聴いて
中村佑子(作家/映像作家)
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●連載
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〈好評連載〉
「拉致問題」風化に抗して 第6回──日本人拉致が北朝鮮にもたらしたもの(その2)蓮池薫(新潟産業大学)
〈好評連載〉
滅びゆく日本、再生への道 第2回──自民党の人材枯渇と政治の停滞
星浩(ジャーナリスト)
〈好評連載〉
隣のジャーナリズム──〈息遣い〉を伝えるということ
urbansea(ノンフィクション愛好家)
〈好評連載〉
「変わらない」を変える 第6回──「マネル」(MANEL)はもう止めよう
三浦まり(上智大学)
〈好評連載〉
ブラック・ミュージックの魂を求めて 第4回──自由を希求する共同体の歌
中村隆之(早稲田大学)
●ボナエ・リテラエ ──私の読書遍歴 第12回─『神の痛みの神学』
森本あんり(東京女子大学長)
●脳力のレッスン(257)──国家構想なき日本を超えて─未来圏・日本の構想
寺島実郎
●片山善博の「日本を診る」(168)──辺野古をめぐる国と沖縄県との泥沼の闘争から得るべき教訓
片山善博(大正大学)
●日本語のなかの何処かへ 第8回──『アジアの孤児』を知った頃
温又柔(作家)
●香港からの通信 第16回──「白色テロ」下の香港知識分子
張燦輝(元香港中文大学教授)
●気候再生のために 第18回──「瀕死の一・五℃目標」救いへの希望
高村ゆかり(東京大学)
●沖縄(シマ)という窓─冊子『沖縄・米兵による性犯罪年表 第一三版』
山城紀子(フリーライター)
●ドキュメント激動の南北朝鮮(315)──(23・8~9)
編集部
●民話採光
阿部海太(画家・絵本作家)
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○読者投句・岩波俳句
選・文=池田澄子(俳人)
○アムネスティ通信
○読者談話室
○デザイン
赤崎正一 + 佐野裕哉 (協力=国府台さくら)
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編集後記
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昨年、地元大阪の天王寺公園を十数年ぶりに訪れた。青空カラオケの面影もなく、こぎれいな広場になっている。高さ日本一を誇る「あべのハルカス」開業など大規模開発を経た街と、いつもグレーの曇り空だった心象風景とのギャップは大きかった。
関西万博の開催に向け、会場となる人工島・夢洲(ゆめしま)で準備が進んでいる。土壌汚染や地盤の問題も指摘されるが、長くごみの最終処分場とされてきた一帯は大阪の「負の遺産」などではない、「現実に使っていた土地」だ──との言葉に(ルポ「開催できるのか? 瀬戸際の関西万博」)、霞ヶ丘アパートを思った。2020東京五輪の会場となる国立競技場の建て替えにあたり、明治公園などと一緒に区画整理の対象となった都営住宅だ。
立ち退きを迫られた住民には、清掃やマッサージ業、会計事務など、都市機能を支えてきた高齢の女性たちも少なくなかった(本誌2017年7月号、稲葉奈々子さん論考)。新国立競技場の建設は、いま樹木伐採問題が注視される神宮外苑再開発の一環だった。関西万博の夢洲開発も、カジノ・IRとセットでみると、「夢」を描いた人たちの姿が窺える(森功さん寄稿)。
「新しい時代」を掲げて権力者が進める排除、隠蔽を暴き、その空虚さを笑う視座(山下壮起さんエッセイ)。変わる景色を見つめながら、文化や教育の灯をともし続ける営み──特集1では、私たちの足もとにあるデモクラシーを考察する。
マイナカード問題が象徴する日本のデジタルの現状も、やはり民主主義の根幹にかかわるテーマだ。デジタル化で情報入手のストレスが増えたという人も少なくないと思う。他方で、関根千佳さんが述べるとおり、本が電子化されることで、初めてその中身にアクセスできるようになる人もいる。
排除のないデジタル社会へと向かうために、「市民であり消費者である個人を起点にした議論」(特集2 宍戸常寿さん論考)を活発化させていきたい。
「自由」を謳歌する市民と、「不自由」な状態にとどめられる外部者たち──昨今のオランダ政治からその線引きを考察した水島治郎さんの論考は、日本の難民・移民政策はもちろん、過去と現在を貫く視点で差別を捉える視点を与えてくれる。
そこで鍵となる「他者の不自由の上に成り立つ自由」との概念は、沖縄の基地問題にもいえる。九月初め、辺野古新基地建設の地盤改良工事承認をめぐる裁判で、沖縄県の敗訴が確定した。国は司法の場で勝利したとしても、政治的には成功していない。むしろ、対立を深め、不信感を増幅させてきた。片山善博さんの指摘に頷かされる。
地元に丁寧に説明し、理解を求めたい。そう繰り返した安倍政権下での辺野古沖ボーリング調査から一〇年。「丁寧な説明」は首相の常套句であり、官房長官も最高裁判決を受け改めて口にしていたが、アメリカの顔だけを見る政治のもとで何が起きてきたのか。誰の自由が守られてきたのか。
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◎『世界』臨時増刊 ウクライナ侵略戦争――世界秩序の危機
『世界』編集部 編
2022年4月14日刊
定価1,320円
https://iwnm.jp/022242
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国際社会は冷戦終結以降、最大の危機を迎えた。核大国による侵略という事態をどう理解し、どう対峙するのか。多角的に検証する。
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~~『世界』から生まれた本~~
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◎プリズン・サークル
坂上 香
定価2,200円
https://iwnm.jp/061526
人は、ひとりでは罪と向き合えない。日本初となる刑務所内での長期撮影、一〇年超の取材がここに結実。
◎学問と政治 学術会議任命拒否問題とは何か(岩波新書)
芦名定道、宇野重規、岡田正則、小沢隆一、加藤陽子、松宮孝明
定価924円
https://iwnm.jp/431925
日本学術会議会員任命拒否には、日本社会の矛盾が象徴されている。当事者六名が、その背景と本質を問う。
◎読書会という幸福(岩波新書)
向井和美
定価946円
https://iwnm.jp/431932
本を語ることは人生を語ること。三十年以上続く、豊穣な「魂の交流の場」への想いをやわらかな文章で綴る。
◎沖縄という窓 クロニクル2008―2022
山城紀子、松元 剛、親川志奈子
定価2,420円
https://iwnm.jp/061541
三人の書き手が多角的に描き出す沖縄の同時代史。一四年にわたる雑誌『世界』好評リレー連載を単行本化。
◎いま、この惑星で起きていること 気象予報士の眼に映る世界
森さやか
定価902円
https://iwnm.jp/500954
世界各地で観測される異常気象を気象予報士の立場で解説し、今後について考察する。『世界』の大好評連載をまとめた一冊。
◎孤塁 双葉郡消防士たちの3・11
吉田千亜
定価1,100円
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死と隣り合わせで震災と原発災害に対応した消防士たちを丹念に取材。当時の緊迫を描き出した迫力作。
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