『世界』メールマガジン/2023年12月号【特集1:限界を生きる──超高齢社会の老後とは】【緊急特集:ガザ 極限の人道危機】
2023/11/08 (Wed) 11:00
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■■ 『世界』メールマガジン/2023年12月号
■■ vol.#0102
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■『世界』2023年12月号(第976号)好評発売中
2023年11月8日発行
定価935円(税込)
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▼本号の目次
特集/緊急特集/注目記事/世界の潮/SEKAI Review of Books/連載/編集後記/
『世界』臨時増刊月号のご案内/『世界』から生まれた本/「WEB世界」のご案内
┏━━━┓
┃特集 1┃限界を生きる──超高齢社会の老後とは
┗━━━╋…────────────────────────────────
〈ケアの視点〉
家族のアップデートはいかにして可能か
筒井淳也(立命館大学)
〈介護現場から〉
訪問ヘルパーがいなくなる──問題だらけの介護保険
小島美里(NPO法人「暮らしネット・えん」)
〈家がなくなる〉
深刻化する単身高齢者の住宅問題
葛西リサ
(追手門学院大学)
〈社会的課題〉
中高年者の孤立と孤独
小林江里香(東京都健康長寿医療センター)
┏━━━━┓
┃緊急特集┃ガザ 極限の人道危機
┗━━━━╋…────────────────────────────────
〈歴史を紐解く〉
ハマースはなぜイスラエル攻撃に至ったのか
臼杵陽(日本女子大学)
〈読書・観賞日記特別篇〉
人間を描く作品たち
酒井啓子(千葉大学)
〈「ハマスの背後」とは?〉
イランとアメリカ──中東政治の激震のなかで
中西久枝(同志社大学)
〈哲学者が問う〉
哀悼のコンパス──暴力を批判する
ジュディス・バトラー(カリフォルニア大学バークレー校)、訳・解説=清水知子
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◆注目記事
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
〈女性と政治〉
政治とハラスメント──女性議員はなぜ増えないか
はま田真里(Stand by Women代表)(「はま」は「濱」の異字体)
女性を「政治」から遠ざける日本というシステム
安藤優子(ジャーナリスト)
ふたつの「壁」──地方議会は変われるか
寺島渉(地域政策塾21)
「変わらない」を変える 第7回──政治家の性別と名前
三浦まり(上智大学)
〈漁業者の苦しみ〉
なぜ、海洋放出だったのか──遠ざけられる漁業復興
濱田武士(北海学園大学)
〈覚悟と提言〉
絶望からのメディア論──なぜ私は朝日を辞めたのか
南彰(琉球新報)
〈普遍的な課題〉
性加害とファン文化の不幸な関係──ジャニーズ問題とわたしたち
田中東子(東京大学)
〈困難な道のり〉
統一教会問題の解決とは何か──「解散命令」請求の限界
櫻井義秀(北海道大学)
〈大国の大罪〉
「蔑まれた地」の声──リビアから考える
福富満久(一橋大学)
〈ウクライナ侵攻一年半〉
プーチン「終わらない戦争」の深層
佐藤親賢(共同通信)
〈ヒトと大地の戦争〉
人新世の惑星政治学とはなにか
前田幸男(創価大学)
〈歴史からの展望〉
グリーン成長・脱成長・ポスト成長──何が異なり、どこへ向かうのか
枝廣淳子(環境ジャーナリスト)
〈治療の現場から〉
終わらないコロナ感染症と後遺症
平畑光一(ヒラハタクリニック)、聞き手=和田秀子
〈「分水嶺 II」番外編〉
次なる「想定外」に備えられるか──コロナ対策専門家の交代
河合香織(ノンフィクション作家)
〈致死処置をめぐって〉
動物の命をめぐる考察──人と動物の関係から
打越綾子(成城大学)
〈人はなぜ惹かれるか?〉
「占い」から社会をまなざす
鏡リュウジ(占星術研究家・翻訳家)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◇世界の潮
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◇原告全員を水俣病と認めた大阪地裁判決の意味
高峰武
◇臨時国会召集先送り訴訟──「憲法の番人」の役割を放棄した最高裁
豊秀一
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◇SEKAI Review of Books
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◇「内なるアウトサイダー」の声は世界にこだまする──林晟一『在日韓国人になる』
森千香子(同志社大学)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
●連載
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
〈リレー連載〉
隣のジャーナリズム──拍手のないパリコレ
宮智泉(マリ・クレールデジタル編集長)
〈好評連載〉
再録・大江健三郎のことば 第5回 戦後文学から今日の窮地まで
大江健三郎、解題=山本昭宏
ブラック・ミュージックの魂を求めて 第5回──変わりゆく同じもの
中村隆之(早稲田大学)
滅びゆく日本、再生への道 第3回──「大きな絵」描けぬ日本外交
星浩(ジャーナリスト)
●ボナエ・リテラエ──私の読書遍歴 第13回──『ローマ書』
森本あんり(東京女子大学長)
●脳力のレッスン(258)──二一世紀・未来圏の日本再生への構想(その1)
寺島実郎
●片山善博の「日本を診る」(169)──機関委任事務の亡霊が幅をきかす自治の現場
片山善博(大正大学)
●香港からの通信 第17回──閉ざされた大学キャンパス
鍾剣華(英サリー大学リサーチフェロー)
●気候再生のために 第19回──左右の対立を超えて
江守正多(東京大学)
●日本語のなかの何処かへ 第9回──思い出させる存在
温又柔(作家)
●沖縄(シマ)という窓──「静かな夜を返せ」──四十年越しの嘉手納基地爆音訴訟
親川志奈子(沖縄大学非常勤講師)
●ドキュメント激動の南北朝鮮 (316)──(23・9~10)
編集部
●民話採光
阿部海太(画家・絵本作家)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
○読者投句・岩波俳句
選・文=池田澄子(俳人)
○アムネスティ通信
○読者談話室
○デザイン
赤崎正一 + 佐野裕哉 (協力=国府台さくら)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
編集後記
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
「これからはいつも数をかぞえないといけない。注意深く。少しでも目を離したら、大切なものは消えてしまう」
映画『ムーンライト』原作者のタレル・マクレイニーは、幼少期、母親の交際相手で自分に唯一優しくしてくれたドラッグディーラーの男性が、週末会わない間に抗争で殺されたと知って、こう決意したという。「プロジェクト」(低所得者向け公共住宅)に暮らす黒人の少年が不条理のなか身につけた習慣のことを、酒井啓子さんのエッセイを読みながら思いだした。
イスラエルは退避勧告を行なう一方、苛烈な空爆を続け、ガザ北部の人々は逃げる手立てもない。そして、この場に居続けなければ二度と帰れず、大切なものを守れない──イスラエル建国で難民化させられたパレスチナ人は、歴史を通してそう知っている。三〇年前のオスロ合意が示した二国家共存も果たされず、事実上のイスラエル一国支配のもと、たえず「いなくなるよう」求められてきた人々の命がこれ以上奪われてはならない。
地上侵攻への動きが連日伝えられ、SNSを飛びかう映像に圧倒される今だからこそ、酒井さんが紹介する、イスラエル・パレスチナ問題をめぐる作品世界にも目を向けたい。連載「ブラック・ミュージックの魂を求めて」(中村隆之さん)今号でニーナ・シモンの「自由になりたい」が取り上げられているが、「生きた人間」を描きだす映画や小説は、パレスチナの人々が希求する自由を知る手がかりになるはずだ。
占領、戦争状態をその極限的な現れと位置づけながら、福富満久さんは、「蔑まれた地」との視点で中東・北アフリカを捉え、リビアの洪水被害を分析している。様々な時間軸から、今後もこの地の歴史と未来を見つめていく。
国際情勢が緊迫するなか、日本では臨時国会が開かれている。折からの物価高対策として首相は所得税減税を打ち出しているが、「待ったなし」と述べていた異次元の少子化対策のその後についてはあまり聞こえてこない。
今号「脳力のレッスン」(寺島実郎さん)によれば、二〇五〇年には日本の人口は一億人、うち四割が六五歳以上になるという。私もその一人となる。保育であれ介護であれ、必要なケアを、家族に依存せず社会で担うことは可能だろうか。
「シンプルな制度を作ってそこから漏れ出すライフスタイルはカバーしないといった方針は、もはや現実に即していない」(特集1 筒井淳也さん論考)。
社会保障制度にみられる世帯主義、住宅政策における持ち家重視など、特定の条件にあう人を優遇するのではなく、多様な個人に対応できる制度を粘り強く実現していきたい。環境危機を直視し、経済を根本的に見つめなおす作業も必要だ(枝廣淳子さん論考)。
小誌は次号より誌面をリニューアルします。デザインで雑誌を支え、深夜にも及んだ校了期間をずっと一緒に走り続けてくださった赤崎正一さんに、心からお礼申し上げます。
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~~『世界』臨時増刊号のご案内~~
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◎『世界』臨時増刊 ウクライナ侵略戦争――世界秩序の危機
『世界』編集部 編
2022年4月14日刊
定価1,320円
https://iwnm.jp/022242
※書籍版はご好評につき品切れとなりましたが、電子書籍版を配信中です。
国際社会は冷戦終結以降、最大の危機を迎えた。核大国による侵略という事態をどう理解し、どう対峙するのか。多角的に検証する。
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~~『世界』から生まれた本~~
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◎プリズン・サークル
坂上 香
定価2,200円
https://iwnm.jp/061526
人は、ひとりでは罪と向き合えない。日本初となる刑務所内での長期撮影、一〇年超の取材がここに結実。
◎学問と政治 学術会議任命拒否問題とは何か(岩波新書)
芦名定道、宇野重規、岡田正則、小沢隆一、加藤陽子、松宮孝明
定価924円
https://iwnm.jp/431925
日本学術会議会員任命拒否には、日本社会の矛盾が象徴されている。当事者六名が、その背景と本質を問う。
◎読書会という幸福(岩波新書)
向井和美
定価946円
https://iwnm.jp/431932
本を語ることは人生を語ること。三十年以上続く、豊穣な「魂の交流の場」への想いをやわらかな文章で綴る。
◎沖縄という窓 クロニクル2008―2022
山城紀子、松元 剛、親川志奈子
定価2,420円
https://iwnm.jp/061541
三人の書き手が多角的に描き出す沖縄の同時代史。一四年にわたる雑誌『世界』好評リレー連載を単行本化。
◎いま、この惑星で起きていること 気象予報士の眼に映る世界
森さやか
定価902円
https://iwnm.jp/500954
世界各地で観測される異常気象を気象予報士の立場で解説し、今後について考察する。『世界』の大好評連載をまとめた一冊。
◎孤塁 双葉郡消防士たちの3・11
吉田千亜
定価1,100円
https://iwnm.jp/603333
死と隣り合わせで震災と原発災害に対応した消防士たちを丹念に取材。当時の緊迫を描き出した迫力作。
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~~「WEB世界」のご案内~~
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雑誌『世界』のWEB版もぜひ、ご覧ください
https://tanemaki.iwanami.co.jp/
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〒101-8002 東京都千代田区一ツ橋2-5-5
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岩波書店営業部読者係(TEL:03-5210-4111,FAX:03-3263-6999)
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■『世界』2023年12月号(第976号)好評発売中
2023年11月8日発行
定価935円(税込)
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▼本号の目次
特集/緊急特集/注目記事/世界の潮/SEKAI Review of Books/連載/編集後記/
『世界』臨時増刊月号のご案内/『世界』から生まれた本/「WEB世界」のご案内
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┃特集 1┃限界を生きる──超高齢社会の老後とは
┗━━━╋…────────────────────────────────
〈ケアの視点〉
家族のアップデートはいかにして可能か
筒井淳也(立命館大学)
〈介護現場から〉
訪問ヘルパーがいなくなる──問題だらけの介護保険
小島美里(NPO法人「暮らしネット・えん」)
〈家がなくなる〉
深刻化する単身高齢者の住宅問題
葛西リサ
(追手門学院大学)
〈社会的課題〉
中高年者の孤立と孤独
小林江里香(東京都健康長寿医療センター)
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┃緊急特集┃ガザ 極限の人道危機
┗━━━━╋…────────────────────────────────
〈歴史を紐解く〉
ハマースはなぜイスラエル攻撃に至ったのか
臼杵陽(日本女子大学)
〈読書・観賞日記特別篇〉
人間を描く作品たち
酒井啓子(千葉大学)
〈「ハマスの背後」とは?〉
イランとアメリカ──中東政治の激震のなかで
中西久枝(同志社大学)
〈哲学者が問う〉
哀悼のコンパス──暴力を批判する
ジュディス・バトラー(カリフォルニア大学バークレー校)、訳・解説=清水知子
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◆注目記事
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〈女性と政治〉
政治とハラスメント──女性議員はなぜ増えないか
はま田真里(Stand by Women代表)(「はま」は「濱」の異字体)
女性を「政治」から遠ざける日本というシステム
安藤優子(ジャーナリスト)
ふたつの「壁」──地方議会は変われるか
寺島渉(地域政策塾21)
「変わらない」を変える 第7回──政治家の性別と名前
三浦まり(上智大学)
〈漁業者の苦しみ〉
なぜ、海洋放出だったのか──遠ざけられる漁業復興
濱田武士(北海学園大学)
〈覚悟と提言〉
絶望からのメディア論──なぜ私は朝日を辞めたのか
南彰(琉球新報)
〈普遍的な課題〉
性加害とファン文化の不幸な関係──ジャニーズ問題とわたしたち
田中東子(東京大学)
〈困難な道のり〉
統一教会問題の解決とは何か──「解散命令」請求の限界
櫻井義秀(北海道大学)
〈大国の大罪〉
「蔑まれた地」の声──リビアから考える
福富満久(一橋大学)
〈ウクライナ侵攻一年半〉
プーチン「終わらない戦争」の深層
佐藤親賢(共同通信)
〈ヒトと大地の戦争〉
人新世の惑星政治学とはなにか
前田幸男(創価大学)
〈歴史からの展望〉
グリーン成長・脱成長・ポスト成長──何が異なり、どこへ向かうのか
枝廣淳子(環境ジャーナリスト)
〈治療の現場から〉
終わらないコロナ感染症と後遺症
平畑光一(ヒラハタクリニック)、聞き手=和田秀子
〈「分水嶺 II」番外編〉
次なる「想定外」に備えられるか──コロナ対策専門家の交代
河合香織(ノンフィクション作家)
〈致死処置をめぐって〉
動物の命をめぐる考察──人と動物の関係から
打越綾子(成城大学)
〈人はなぜ惹かれるか?〉
「占い」から社会をまなざす
鏡リュウジ(占星術研究家・翻訳家)
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◇世界の潮
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◇原告全員を水俣病と認めた大阪地裁判決の意味
高峰武
◇臨時国会召集先送り訴訟──「憲法の番人」の役割を放棄した最高裁
豊秀一
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◇SEKAI Review of Books
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◇「内なるアウトサイダー」の声は世界にこだまする──林晟一『在日韓国人になる』
森千香子(同志社大学)
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●連載
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〈リレー連載〉
隣のジャーナリズム──拍手のないパリコレ
宮智泉(マリ・クレールデジタル編集長)
〈好評連載〉
再録・大江健三郎のことば 第5回 戦後文学から今日の窮地まで
大江健三郎、解題=山本昭宏
ブラック・ミュージックの魂を求めて 第5回──変わりゆく同じもの
中村隆之(早稲田大学)
滅びゆく日本、再生への道 第3回──「大きな絵」描けぬ日本外交
星浩(ジャーナリスト)
●ボナエ・リテラエ──私の読書遍歴 第13回──『ローマ書』
森本あんり(東京女子大学長)
●脳力のレッスン(258)──二一世紀・未来圏の日本再生への構想(その1)
寺島実郎
●片山善博の「日本を診る」(169)──機関委任事務の亡霊が幅をきかす自治の現場
片山善博(大正大学)
●香港からの通信 第17回──閉ざされた大学キャンパス
鍾剣華(英サリー大学リサーチフェロー)
●気候再生のために 第19回──左右の対立を超えて
江守正多(東京大学)
●日本語のなかの何処かへ 第9回──思い出させる存在
温又柔(作家)
●沖縄(シマ)という窓──「静かな夜を返せ」──四十年越しの嘉手納基地爆音訴訟
親川志奈子(沖縄大学非常勤講師)
●ドキュメント激動の南北朝鮮 (316)──(23・9~10)
編集部
●民話採光
阿部海太(画家・絵本作家)
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○読者投句・岩波俳句
選・文=池田澄子(俳人)
○アムネスティ通信
○読者談話室
○デザイン
赤崎正一 + 佐野裕哉 (協力=国府台さくら)
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編集後記
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「これからはいつも数をかぞえないといけない。注意深く。少しでも目を離したら、大切なものは消えてしまう」
映画『ムーンライト』原作者のタレル・マクレイニーは、幼少期、母親の交際相手で自分に唯一優しくしてくれたドラッグディーラーの男性が、週末会わない間に抗争で殺されたと知って、こう決意したという。「プロジェクト」(低所得者向け公共住宅)に暮らす黒人の少年が不条理のなか身につけた習慣のことを、酒井啓子さんのエッセイを読みながら思いだした。
イスラエルは退避勧告を行なう一方、苛烈な空爆を続け、ガザ北部の人々は逃げる手立てもない。そして、この場に居続けなければ二度と帰れず、大切なものを守れない──イスラエル建国で難民化させられたパレスチナ人は、歴史を通してそう知っている。三〇年前のオスロ合意が示した二国家共存も果たされず、事実上のイスラエル一国支配のもと、たえず「いなくなるよう」求められてきた人々の命がこれ以上奪われてはならない。
地上侵攻への動きが連日伝えられ、SNSを飛びかう映像に圧倒される今だからこそ、酒井さんが紹介する、イスラエル・パレスチナ問題をめぐる作品世界にも目を向けたい。連載「ブラック・ミュージックの魂を求めて」(中村隆之さん)今号でニーナ・シモンの「自由になりたい」が取り上げられているが、「生きた人間」を描きだす映画や小説は、パレスチナの人々が希求する自由を知る手がかりになるはずだ。
占領、戦争状態をその極限的な現れと位置づけながら、福富満久さんは、「蔑まれた地」との視点で中東・北アフリカを捉え、リビアの洪水被害を分析している。様々な時間軸から、今後もこの地の歴史と未来を見つめていく。
国際情勢が緊迫するなか、日本では臨時国会が開かれている。折からの物価高対策として首相は所得税減税を打ち出しているが、「待ったなし」と述べていた異次元の少子化対策のその後についてはあまり聞こえてこない。
今号「脳力のレッスン」(寺島実郎さん)によれば、二〇五〇年には日本の人口は一億人、うち四割が六五歳以上になるという。私もその一人となる。保育であれ介護であれ、必要なケアを、家族に依存せず社会で担うことは可能だろうか。
「シンプルな制度を作ってそこから漏れ出すライフスタイルはカバーしないといった方針は、もはや現実に即していない」(特集1 筒井淳也さん論考)。
社会保障制度にみられる世帯主義、住宅政策における持ち家重視など、特定の条件にあう人を優遇するのではなく、多様な個人に対応できる制度を粘り強く実現していきたい。環境危機を直視し、経済を根本的に見つめなおす作業も必要だ(枝廣淳子さん論考)。
小誌は次号より誌面をリニューアルします。デザインで雑誌を支え、深夜にも及んだ校了期間をずっと一緒に走り続けてくださった赤崎正一さんに、心からお礼申し上げます。
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~~『世界』臨時増刊号のご案内~~
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◎『世界』臨時増刊 ウクライナ侵略戦争――世界秩序の危機
『世界』編集部 編
2022年4月14日刊
定価1,320円
https://iwnm.jp/022242
※書籍版はご好評につき品切れとなりましたが、電子書籍版を配信中です。
国際社会は冷戦終結以降、最大の危機を迎えた。核大国による侵略という事態をどう理解し、どう対峙するのか。多角的に検証する。
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~~『世界』から生まれた本~~
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◎プリズン・サークル
坂上 香
定価2,200円
https://iwnm.jp/061526
人は、ひとりでは罪と向き合えない。日本初となる刑務所内での長期撮影、一〇年超の取材がここに結実。
◎学問と政治 学術会議任命拒否問題とは何か(岩波新書)
芦名定道、宇野重規、岡田正則、小沢隆一、加藤陽子、松宮孝明
定価924円
https://iwnm.jp/431925
日本学術会議会員任命拒否には、日本社会の矛盾が象徴されている。当事者六名が、その背景と本質を問う。
◎読書会という幸福(岩波新書)
向井和美
定価946円
https://iwnm.jp/431932
本を語ることは人生を語ること。三十年以上続く、豊穣な「魂の交流の場」への想いをやわらかな文章で綴る。
◎沖縄という窓 クロニクル2008―2022
山城紀子、松元 剛、親川志奈子
定価2,420円
https://iwnm.jp/061541
三人の書き手が多角的に描き出す沖縄の同時代史。一四年にわたる雑誌『世界』好評リレー連載を単行本化。
◎いま、この惑星で起きていること 気象予報士の眼に映る世界
森さやか
定価902円
https://iwnm.jp/500954
世界各地で観測される異常気象を気象予報士の立場で解説し、今後について考察する。『世界』の大好評連載をまとめた一冊。
◎孤塁 双葉郡消防士たちの3・11
吉田千亜
定価1,100円
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死と隣り合わせで震災と原発災害に対応した消防士たちを丹念に取材。当時の緊迫を描き出した迫力作。
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