『世界』メールマガジン/2024年2月号【特集1:リベラルに希望はあるか】【特集2:受験という迷路】
2024/01/06 (Sat) 11:00
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■■ 『世界』メールマガジン/2024年2月号
■■ vol.#0104
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■『世界』2024年2月号(第978号)好評発売中
2024年1月6日発行
定価1045円(税込)
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▼本号の目次
特集1/特集2/注目記事/世界の潮/本との出会い/連載/編集後記/
『世界』臨時増刊月号のご案内/『世界』から生まれた本/「WEB世界」のご案内
┏━━━┓
┃特集 1┃リベラルに希望はあるか
┗━━━╋…────────────────────────────────
戦後日本の「リベラル」と平和主義──その所与条件と歴史的経緯
小熊英二(慶應義塾大学)
『世界』の起源 石川健治(東京大学)
〈座談会〉
「リベラルである」とはどういうことか──今そこにある問題から考える
杉田 敦(法政大学)×五野井郁夫(高千穂大学)×池田弘乃(山形大学)
現代の政治的対立軸とは何か──日欧の福祉国家再編をめぐって
田中拓道(一橋大学)
絶望と希望が隣り合わせのこの世界で──なぜ行動するか
畠山澄子(ピースボート共同代表)
┏━━━┓
┃特集 2┃受験という迷路
┗━━━╋…────────────────────────────────
受験後遺症の大人たちが子どもを追い詰める
鳥羽和久(作家)
不正入試事件が示す社会的空気
中村高康(東京大学)
〈対談〉
小学・中学受験のリアル
小針 誠(青山学院大学)×森 いづみ(日本学術振興会特別研究員)
見すごされる高校受験のなかで
相澤真一(上智大学)
うちの子は特別だから──少子化、独自性、韓国の「教権崩壊」
朝比奈祐揮(韓国外国語大学)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◆注目記事
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
安倍派パーティー券事件の深層
上脇博之(神戸学院大学)
〈ルポ〉
岸田首相と統一教会──関連団体トップとの写真流出の裏側
鈴木エイト(ジャーナリスト)
〈ルポ〉
娯楽としての暇アノン──SNSで扇動される誹謗中傷
安田浩一(ノンフィクションライター)
〈追悼〉
ぼくたちは山田太一でできている──巨匠から届いた二〇通のハガキ
渡辺一史(ノンフィクションライター)
〈スケッチ〉
「問い」へのアプローチ
小川 哲(小説家)
〈シリーズ夜店〉
政治とエビデンスの複雑な関係──なぜ「合理的な政策」は困難なのか?
杉谷和哉(岩手県立大学)
〈対談〉
欲望・身体・美──問いとしての障害
キム・ウォニョン(作家)×伊藤亜紗(東京工業大学)
AIをクィアする──プロメテウスの子どもたちはどこへ行くのか
清水知子(東京藝術大学)
給食費無償化はなぜ必要か?
福嶋尚子(教育行政学者)
所得再分配の壁──世論調査と実験からの模索
松本朋子(東京理科大学)
イスラエル 展望なき強硬姿勢のパラドックス
辻田俊哉(大阪大学)
壊れた対話を取り戻す──原発事故をめぐる対話メソッドと哲学者の思考
星 暁雄(技術ジャーナリスト)
よみがえる、野枝さん
森 まゆみ(作家)
〈文化のいま〉
博物館の未来を夢見る
真鍋 真(国立科学博物館副館長)
〈文化のいま〉
”負の歴史”展示の原点
新井勝紘(高麗博物館前館長)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◇世界の潮
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◇COP28 化石燃料からの脱却に「合意」できたのか?
深草亜悠美(FoEJapan)
◇国立大学法人法改正 運営方針会議をめぐる謎
米田俊彦(お茶の水女子大学)
◇オスプレイ 生産停止へ──放置され続けた欠陥
平安名純代(沖縄タイムス)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◇本との出会い
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
読書・観賞日記 読んで、観て、聴いて
長谷部恭男(早稲田大学)
本とチェック 第9回 詩人とその父をめぐる時間旅行(下)
金承福(クオン代表)
〈生の終わり〉〈死の終わり〉の物語──『葬送のフリーレン』
植 朗子(神戸大学)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
●連載
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
〈新連載〉
島に帰る 第1回 ホームとフィールド
榎本 空(エスノグラファー)
●〈小さな物語〉の復興 第2回 論破と対話
小川公代(上智大学)
●隣のジャーナリズム 技能実習の「廃止」をめぐって
望月優大(ライター)
●ボナエ・リテラエ──私の読書遍歴 第15回 『怒りの神』
森本あんり(東京女子大学長)
●脳力のレッスン(260)二一世紀・未来圏の日本再生の構想(その3)
寺島実郎
●片山善博の「日本を診る」(171)自民党パーティ券裏金疑惑の背景を診る
片山善博(大正大学)
●「変わらない」を変える 第9回 政治とカネ もはや政治改革は不可欠
三浦まり(上智大学)
●滅びゆく日本、再生への道 第5回 メディアと政治 「I think」報道で活性化を
星 浩(ジャーナリスト)
●香港からの通信 第18回 香港わが街、わたしが見た国安法後の姿
小出雅生(香港中文大学非常勤講師)
●気候再生のために 第21回 「化石燃料からの脱却」のためにすべきこと
江守正多(東京大学)
●日本語のなかの何処かへ 第11回 考える時間
温又柔(作家)
●沖縄(シマ)という窓 ようやく「社会の問題」に─若年出産への支援をもっと
山城紀子(フリーライター)
●ドキュメント激動の南北朝鮮 第318回(2023・11~12)
編集部
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
○記憶をもった鏡──『趙根在─地底の闇、地上の光』
戸田昌子(写真史家)
○岩波俳句
選・文=池田澄子(俳人)
○アムネスティ通信
○読者談話室
○表紙木版画
久保舎己 (黒い水 2011、裏表紙 それは涙から始まった 2010)
○キャラクター・扉絵
西村ツチカ
○アートディレクション
須田杏菜
○本文デザイン
大原由衣+安賀裕子
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
編集後記
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ここ一年ほど、子どもへの読み聞かせを通じて、恐竜の世界に足を踏み入れるようになった。絶滅したかわいそうな生き物と思っていたのに、一億六〇〇〇万年、人類よりはるかに長く生きていたことに驚く。
鳥類以外の恐竜が小天体の衝突で絶滅したのは今から約六六〇〇万年前。このときより緩やかながら、さらに大きな六度目の大量絶滅期に私たちは向かっているかもしれない。国立科学博物館副館長の真鍋真さんはそう記している。化石は過去の大量絶滅の深刻さを伝えるものでもある。
気候変動対策というと漠然と響くが、「化石燃料の採掘と燃焼を止める」と表現すれば、もっと具体的に考えられるようになる。本誌二〇二三年一〇月号での中村峻太郎さんの発言を、一二月開催のCOP28の経過を追いつつ思い返した。化石燃料からの脱却が合意文書に盛り込まれたが、各国の駆け引きを経て抜け穴も指摘される。
産油国を説得しようとするより、自国の脱炭素化を着実に進めること。途上国を支援し、化石燃料を買わずに済む状態に一緒に向かうこと。限られた時間とエネルギーを「やるべき仕事」に注ぐため、議論の言葉も磨きたい(江守正多さん、深草亜悠美さん)。
COP開催期間中、日本では自民党派閥のパーティー券問題が明るみに出、「政治とカネ」報道が続いている。安倍派で五年間に五億円もの裏金が必要とされたのはなぜか。規制の枠内での選挙運動では勝利できない政治になっているのではないか、と三浦まりさんは指摘する。公正な選挙という幻想を打ち砕かれるのは何度目のことだろう。
政治改革が振り出しに、といわれるが、野党への期待が高まっているわけではない。日本で「リベラル」とは、政局的な看板に過ぎなかったのか。別世界で繰り広げられる金権政治はもういらない。同じ世界で言葉を交わし、山積する社会課題を解決するために、今だからこそリベラルの可能性を探求してみたい(特集1)。
医大での入試不正事件が象徴するように、受験もまた制度の根幹が問われている。相澤真一さんが述べるとおり、多くの人が自分事としてこだわるあまり、様々な課題がこぼれ落ちやすいこのシステムを、特集2では社会全体の不平等という視点から見つめ直した。
お隣の韓国では、私的な教育負担の大きさから、子どもの可能性を育んであげられない、「かわいそうだから、欲しくない」と話す若者たちがいる。「少子化と独自性の時代」(朝比奈祐揮さん)の抑圧は日本にも通ずるものだ。
「わたしがやりたいのは、互いに何の関係もなく交流もない複数の世界を一つの空間へと引き寄せること」
そう語る作家のキム・ウォニョンさんが東京の岩波書店を訪ねてきてくれた。伊藤亜紗さんとの対話は、出会い、語りあうことの緊張感と歓びを伝える時間だった。複数の世界を一つの空間へ――それは小誌が実践したいことでもある。本年もよろしくお願いします。
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~~『世界』臨時増刊号のご案内~~
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◎『世界』臨時増刊 ウクライナ侵略戦争――世界秩序の危機
『世界』編集部 編
2022年4月14日刊
定価1,320円
https://iwnm.jp/022242
※書籍版はご好評につき品切れとなりましたが、電子書籍版を配信中です。
国際社会は冷戦終結以降、最大の危機を迎えた。核大国による侵略という事態をどう理解し、どう対峙するのか。多角的に検証する。
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~~『世界』から生まれた本~~
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◎プリズン・サークル
坂上 香
定価2,200円
https://iwnm.jp/061526
人は、ひとりでは罪と向き合えない。日本初となる刑務所内での長期撮影、一〇年超の取材がここに結実。
◎学問と政治 学術会議任命拒否問題とは何か(岩波新書)
芦名定道、宇野重規、岡田正則、小沢隆一、加藤陽子、松宮孝明
定価924円
https://iwnm.jp/431925
日本学術会議会員任命拒否には、日本社会の矛盾が象徴されている。当事者六名が、その背景と本質を問う。
◎読書会という幸福(岩波新書)
向井和美
定価946円
https://iwnm.jp/431932
本を語ることは人生を語ること。三十年以上続く、豊穣な「魂の交流の場」への想いをやわらかな文章で綴る。
◎沖縄という窓 クロニクル2008―2022
山城紀子、松元 剛、親川志奈子
定価2,420円
https://iwnm.jp/061541
三人の書き手が多角的に描き出す沖縄の同時代史。一四年にわたる雑誌『世界』好評リレー連載を単行本化。
◎いま、この惑星で起きていること 気象予報士の眼に映る世界
森さやか
定価902円
https://iwnm.jp/500954
世界各地で観測される異常気象を気象予報士の立場で解説し、今後について考察する。『世界』の大好評連載をまとめた一冊。
◎孤塁 双葉郡消防士たちの3・11
吉田千亜
定価1,100円
https://iwnm.jp/603333
死と隣り合わせで震災と原発災害に対応した消防士たちを丹念に取材。当時の緊迫を描き出した迫力作。
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~~「WEB世界」のご案内~~
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雑誌『世界』のWEB版もぜひ、ご覧ください
https://tanemaki.iwanami.co.jp/
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◇本誌のご注文はお近くの書店か小社営業部宛てにお願いいたします.
岩波書店営業部読者係(TEL:03-5210-4111,FAX:03-3263-6999)
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■『世界』2024年2月号(第978号)好評発売中
2024年1月6日発行
定価1045円(税込)
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▼本号の目次
特集1/特集2/注目記事/世界の潮/本との出会い/連載/編集後記/
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┃特集 1┃リベラルに希望はあるか
┗━━━╋…────────────────────────────────
戦後日本の「リベラル」と平和主義──その所与条件と歴史的経緯
小熊英二(慶應義塾大学)
『世界』の起源 石川健治(東京大学)
〈座談会〉
「リベラルである」とはどういうことか──今そこにある問題から考える
杉田 敦(法政大学)×五野井郁夫(高千穂大学)×池田弘乃(山形大学)
現代の政治的対立軸とは何か──日欧の福祉国家再編をめぐって
田中拓道(一橋大学)
絶望と希望が隣り合わせのこの世界で──なぜ行動するか
畠山澄子(ピースボート共同代表)
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┃特集 2┃受験という迷路
┗━━━╋…────────────────────────────────
受験後遺症の大人たちが子どもを追い詰める
鳥羽和久(作家)
不正入試事件が示す社会的空気
中村高康(東京大学)
〈対談〉
小学・中学受験のリアル
小針 誠(青山学院大学)×森 いづみ(日本学術振興会特別研究員)
見すごされる高校受験のなかで
相澤真一(上智大学)
うちの子は特別だから──少子化、独自性、韓国の「教権崩壊」
朝比奈祐揮(韓国外国語大学)
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◆注目記事
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安倍派パーティー券事件の深層
上脇博之(神戸学院大学)
〈ルポ〉
岸田首相と統一教会──関連団体トップとの写真流出の裏側
鈴木エイト(ジャーナリスト)
〈ルポ〉
娯楽としての暇アノン──SNSで扇動される誹謗中傷
安田浩一(ノンフィクションライター)
〈追悼〉
ぼくたちは山田太一でできている──巨匠から届いた二〇通のハガキ
渡辺一史(ノンフィクションライター)
〈スケッチ〉
「問い」へのアプローチ
小川 哲(小説家)
〈シリーズ夜店〉
政治とエビデンスの複雑な関係──なぜ「合理的な政策」は困難なのか?
杉谷和哉(岩手県立大学)
〈対談〉
欲望・身体・美──問いとしての障害
キム・ウォニョン(作家)×伊藤亜紗(東京工業大学)
AIをクィアする──プロメテウスの子どもたちはどこへ行くのか
清水知子(東京藝術大学)
給食費無償化はなぜ必要か?
福嶋尚子(教育行政学者)
所得再分配の壁──世論調査と実験からの模索
松本朋子(東京理科大学)
イスラエル 展望なき強硬姿勢のパラドックス
辻田俊哉(大阪大学)
壊れた対話を取り戻す──原発事故をめぐる対話メソッドと哲学者の思考
星 暁雄(技術ジャーナリスト)
よみがえる、野枝さん
森 まゆみ(作家)
〈文化のいま〉
博物館の未来を夢見る
真鍋 真(国立科学博物館副館長)
〈文化のいま〉
”負の歴史”展示の原点
新井勝紘(高麗博物館前館長)
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◇世界の潮
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◇COP28 化石燃料からの脱却に「合意」できたのか?
深草亜悠美(FoEJapan)
◇国立大学法人法改正 運営方針会議をめぐる謎
米田俊彦(お茶の水女子大学)
◇オスプレイ 生産停止へ──放置され続けた欠陥
平安名純代(沖縄タイムス)
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◇本との出会い
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
読書・観賞日記 読んで、観て、聴いて
長谷部恭男(早稲田大学)
本とチェック 第9回 詩人とその父をめぐる時間旅行(下)
金承福(クオン代表)
〈生の終わり〉〈死の終わり〉の物語──『葬送のフリーレン』
植 朗子(神戸大学)
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●連載
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〈新連載〉
島に帰る 第1回 ホームとフィールド
榎本 空(エスノグラファー)
●〈小さな物語〉の復興 第2回 論破と対話
小川公代(上智大学)
●隣のジャーナリズム 技能実習の「廃止」をめぐって
望月優大(ライター)
●ボナエ・リテラエ──私の読書遍歴 第15回 『怒りの神』
森本あんり(東京女子大学長)
●脳力のレッスン(260)二一世紀・未来圏の日本再生の構想(その3)
寺島実郎
●片山善博の「日本を診る」(171)自民党パーティ券裏金疑惑の背景を診る
片山善博(大正大学)
●「変わらない」を変える 第9回 政治とカネ もはや政治改革は不可欠
三浦まり(上智大学)
●滅びゆく日本、再生への道 第5回 メディアと政治 「I think」報道で活性化を
星 浩(ジャーナリスト)
●香港からの通信 第18回 香港わが街、わたしが見た国安法後の姿
小出雅生(香港中文大学非常勤講師)
●気候再生のために 第21回 「化石燃料からの脱却」のためにすべきこと
江守正多(東京大学)
●日本語のなかの何処かへ 第11回 考える時間
温又柔(作家)
●沖縄(シマ)という窓 ようやく「社会の問題」に─若年出産への支援をもっと
山城紀子(フリーライター)
●ドキュメント激動の南北朝鮮 第318回(2023・11~12)
編集部
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○記憶をもった鏡──『趙根在─地底の闇、地上の光』
戸田昌子(写真史家)
○岩波俳句
選・文=池田澄子(俳人)
○アムネスティ通信
○読者談話室
○表紙木版画
久保舎己 (黒い水 2011、裏表紙 それは涙から始まった 2010)
○キャラクター・扉絵
西村ツチカ
○アートディレクション
須田杏菜
○本文デザイン
大原由衣+安賀裕子
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編集後記
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ここ一年ほど、子どもへの読み聞かせを通じて、恐竜の世界に足を踏み入れるようになった。絶滅したかわいそうな生き物と思っていたのに、一億六〇〇〇万年、人類よりはるかに長く生きていたことに驚く。
鳥類以外の恐竜が小天体の衝突で絶滅したのは今から約六六〇〇万年前。このときより緩やかながら、さらに大きな六度目の大量絶滅期に私たちは向かっているかもしれない。国立科学博物館副館長の真鍋真さんはそう記している。化石は過去の大量絶滅の深刻さを伝えるものでもある。
気候変動対策というと漠然と響くが、「化石燃料の採掘と燃焼を止める」と表現すれば、もっと具体的に考えられるようになる。本誌二〇二三年一〇月号での中村峻太郎さんの発言を、一二月開催のCOP28の経過を追いつつ思い返した。化石燃料からの脱却が合意文書に盛り込まれたが、各国の駆け引きを経て抜け穴も指摘される。
産油国を説得しようとするより、自国の脱炭素化を着実に進めること。途上国を支援し、化石燃料を買わずに済む状態に一緒に向かうこと。限られた時間とエネルギーを「やるべき仕事」に注ぐため、議論の言葉も磨きたい(江守正多さん、深草亜悠美さん)。
COP開催期間中、日本では自民党派閥のパーティー券問題が明るみに出、「政治とカネ」報道が続いている。安倍派で五年間に五億円もの裏金が必要とされたのはなぜか。規制の枠内での選挙運動では勝利できない政治になっているのではないか、と三浦まりさんは指摘する。公正な選挙という幻想を打ち砕かれるのは何度目のことだろう。
政治改革が振り出しに、といわれるが、野党への期待が高まっているわけではない。日本で「リベラル」とは、政局的な看板に過ぎなかったのか。別世界で繰り広げられる金権政治はもういらない。同じ世界で言葉を交わし、山積する社会課題を解決するために、今だからこそリベラルの可能性を探求してみたい(特集1)。
医大での入試不正事件が象徴するように、受験もまた制度の根幹が問われている。相澤真一さんが述べるとおり、多くの人が自分事としてこだわるあまり、様々な課題がこぼれ落ちやすいこのシステムを、特集2では社会全体の不平等という視点から見つめ直した。
お隣の韓国では、私的な教育負担の大きさから、子どもの可能性を育んであげられない、「かわいそうだから、欲しくない」と話す若者たちがいる。「少子化と独自性の時代」(朝比奈祐揮さん)の抑圧は日本にも通ずるものだ。
「わたしがやりたいのは、互いに何の関係もなく交流もない複数の世界を一つの空間へと引き寄せること」
そう語る作家のキム・ウォニョンさんが東京の岩波書店を訪ねてきてくれた。伊藤亜紗さんとの対話は、出会い、語りあうことの緊張感と歓びを伝える時間だった。複数の世界を一つの空間へ――それは小誌が実践したいことでもある。本年もよろしくお願いします。
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~~『世界』臨時増刊号のご案内~~
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◎『世界』臨時増刊 ウクライナ侵略戦争――世界秩序の危機
『世界』編集部 編
2022年4月14日刊
定価1,320円
https://iwnm.jp/022242
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国際社会は冷戦終結以降、最大の危機を迎えた。核大国による侵略という事態をどう理解し、どう対峙するのか。多角的に検証する。
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◎プリズン・サークル
坂上 香
定価2,200円
https://iwnm.jp/061526
人は、ひとりでは罪と向き合えない。日本初となる刑務所内での長期撮影、一〇年超の取材がここに結実。
◎学問と政治 学術会議任命拒否問題とは何か(岩波新書)
芦名定道、宇野重規、岡田正則、小沢隆一、加藤陽子、松宮孝明
定価924円
https://iwnm.jp/431925
日本学術会議会員任命拒否には、日本社会の矛盾が象徴されている。当事者六名が、その背景と本質を問う。
◎読書会という幸福(岩波新書)
向井和美
定価946円
https://iwnm.jp/431932
本を語ることは人生を語ること。三十年以上続く、豊穣な「魂の交流の場」への想いをやわらかな文章で綴る。
◎沖縄という窓 クロニクル2008―2022
山城紀子、松元 剛、親川志奈子
定価2,420円
https://iwnm.jp/061541
三人の書き手が多角的に描き出す沖縄の同時代史。一四年にわたる雑誌『世界』好評リレー連載を単行本化。
◎いま、この惑星で起きていること 気象予報士の眼に映る世界
森さやか
定価902円
https://iwnm.jp/500954
世界各地で観測される異常気象を気象予報士の立場で解説し、今後について考察する。『世界』の大好評連載をまとめた一冊。
◎孤塁 双葉郡消防士たちの3・11
吉田千亜
定価1,100円
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死と隣り合わせで震災と原発災害に対応した消防士たちを丹念に取材。当時の緊迫を描き出した迫力作。
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